Janko NilovićはLibrary Musicの巨匠とも言われる、トルコはIstanbul生まれの作曲家/Multi-Instrumentalist/Arranger。MontenegroとGreece出身の両親を持ち、幼少時からPiano、Oboe、Percussionを学び、50年代後半には自分のバンドを結成すると、60年にParisに渡り、Nightclubでピアノを弾きながらLes DoussisというGreece出身のMusicinのTrioのバックでBassやGuitar、鍵盤を演奏した。Nilovićは、やがてJazz Clubで演奏を続けながらPop MuscianやTV ShowのArranger/Orchestratorとしての仕事を得るようになっていった。67年に自らJu Ju Recordsを立ち上げ、歌手の楽曲を手掛け、ProduceしてSingleをリリースするようになるが、Library Music Label Éditions Montparnasse 2000 (MP 2000)の創設者André FarryがNilovićのArrangementsに注目してProducerとして契約を結ぶことになった。69年に『Psyc Impressions』をリリース、Label ManagerでA&RのDave SuckyことLouis Delacour(Pépé Luiz)と制作した、Funkyなリズム隊にのってBig BandのHornがスリリングにキメる中、Fuzz Guitarが炸裂する、このアルバムで名を知られるようになったNilovićはTV Documentaryに使用される一連の『Impressions』Seriesでも成功を収め、 Andy LooreやJohnny Montevideo名義で他のLabelからも作品をリリース、70年代半ばにはBelgiumでも活動するようになり、75年にMad Unity名義で以前ご紹介した最高傑作『Funky Tramway』をリリースしている。しかし70年代後半にNilovićはÉditions Montparnasse 2000 (MP 2000)を辞めると音楽出版社を設立し作曲に専念することになるのである。その後、Nilovićの作品はHip-HopでSamplingネタとして広く使用されることになり、一躍その筋で有名になる。ジャンルも国境も越えたNilovićの音楽は90年代以降に、Club、DJ方面でも注目を集めることになり、さらにジャンルに関係なく音楽を聴く人々の大きな注目を集めるようになっていった。
『Soul Impressions』はJanko Nilovicが75年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はBluesyな歪ませたギターのRiffで始まる“Hippocampus”。お得意の唸りを上げるFuzz GuitarにビシバシキメるBig Band Jazzの組み合わせ。Percussionも心地良い。
60年代風のギターのArpeggioで始まる“Open Country”。ギター、Fluteやエレピが醸し出すRetroな雰囲気が良い。
“Crazy Enterprise”はWah GuitarにHammond、そしてFluteという鉄壁のJazz Funk仕様。グイノリで、これはご機嫌。
タイトル曲“Soul Impressions”もWah GuitarにHarpsichordを組み合わせキレキレのBig BandのHorn隊が炸裂。Hammondがイイ感じ。
“Lettre De Mer”はアコギとOrganが郷愁を誘う爽やかなEnsemble。
“Drug Song”はタイトル通りDopeな仕上がりでタメのきいたリズム隊にのってFluteとHammondがご機嫌。
おっDeep Purpleか!みたいなイントロの“Man Of Genius”。RetroなHorn隊とHammondに絡むFuzz GuitarがおPsycheでイイ感じ。
“Push Push”も、やはり60年代風のRetroな雰囲気で迫る。
“Black Swan Lake”もPurple風のHardにShuffleするリズム隊にお茶目なHorn隊が楽しい。
“Lady Day”はFluteとOrganをFeatureしたProcol Harumの“A Whiter Shade of Pale”を思わせる、これまた60年代の郷愁を誘うナンバー。
“To And Fro”は高揚感に満ちたご機嫌なJazz Waltz。Swingするリズム隊にのって展開するTrumpet、Flute、Saxのソロが最高。
アルバム最後をシメるのはタイトル通り仄々とした多幸感に満ちた“Family Tree”。
(Hit-C Fiore)