Auracleは米国のTrumpetとSax/Fluteの管楽器奏者2名を含んだ6人編成のBandで、70年代後半に自主制作盤を含む3枚のアルバムを残している。本作は、あのTeo MaceroがProduceを手掛けたということで一部注目を集めた。79年にChrysalisから『Exhibition』というご機嫌なアルバムをリリースしている鍵盤奏者John Serry Jr.が在籍していたGroupということで気になっていた。また、アルバムを手に入れ、メンバーのCreditを見て驚いたのだが、Sax/Flute奏者が80年代にChick Coreaと一緒にやっていてMulti-Instrumentalistとしても活躍するSteve Kujala( Stephen R. F. Kujala)で、Trumpet/Flugelhorn奏者がRichard C. BrownことRichard Carl Braun、現在はRick Braunと名乗っていてDave Koz & Friendsとか2000年代もその筋で人気を集めた人物という、管楽器奏者2人とも名の知れたMusicianであったりする。そしてベースのBill Staebell、ドラムスのRon Wagner、そしてPercussion奏者のSteven A. Rehbein、このメンツで自主制作盤と思われるDebut Album『Auracle』を76年にリリースしている。本作は、それに続いて2年後の78年にChrysalisからリリースされたアルバム。メンツは変わらず、時代的にはCrossover/Fusionな70年代後半の雰囲気を纏ったギリギリでEasy ListeningなFusionに陥らないところで頑張っている感じ。ギタリスト不在で管楽器とVibraphoneに鍵盤とPercussionでEnsembleも捻りが効いていて音数の多いリズム隊にのってガンガン攻めたてるのが良い。変拍子なども挟みつつ緩急自在の展開や、民族音楽的なPolyrhythm、スリリングなUnisonなど、この後出てくる凡百のFusion Groupとは一線を画した作品に仕上がっている。最終作となる次作『City Slickers』では鍵盤がBiff Hannonに交代しているが、このアルバムの魔法はとけてしまった。
『Glider』はAuracleが78年にChrysalisからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目“Columbian Bubblegum”は冷ややかなエレピから始まりFunkyなリズム隊にのってHorn隊が軽快に切れ込むとFluteが心地良く風を舞う。CoolなVibraphone、低音でウネりまくるベースやSynthesizerの使い方もイイ感じ。ドラムスのWagnerの作品。
“Tom Thumb”は颯爽としたTrumpetで始まりFunkyに躍動するリズム隊にのってSteve KujalaのTenor SaxがBlowしまくり。リズム隊の勢いがとにかくスゴイ。
“Glider”は12/8拍子で、こちらもFluteが大活躍する。Recorderも登場してAndesというか、チョイMysteriousな香りも放ちPat Methenyなんかにも通じるScaleの大きい音楽が奏でられる。
“Sno' Fun”はFunkyなベースで始まる高速Sambaなナンバー。転がるエレピ・ソロが心地良い。この時代、流行りまくった凡百の高速SambaのFusionとは明らかに異なるスリリングで趣向を凝らしたリズム隊と上モノのEnsembleの妙が楽しめる。PercussionのRehbein作。
“Sleezy Listening”は疾走するリズム隊とPercussionがキモで、特にベースは高速フォービートなラインも弾いて強力だ。スリリングなUnisonもカッコイイ。6拍子を挟みながら緩急自在のリズム隊にのってエレピ・ソロが駆け巡る。最後のドラム・ソロも圧巻。
“Kid's Stuff”はタイトル通り心が和む箸休め、と思いきや、やっぱりリズム隊がキレキレで目まぐるしく展開を繰り返す。
Rick Braun作“Chez Amis”はウネるベースとTrumpetソロが気持ち良い。
最後をシメるのはRehbein作の“Sartori”。Percussionで始まりハチロクのPolyrhythmを感じさせるスリリングながら心地良いナンバー。
(Hit-C Fiore)