Joy/Karin Krog & Friends | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Karin Krogとの出会いは74年リリースのMichel Legrandの作品集『You Must Believe in Spring』であった。当時Krogの日本盤が何枚も出ていたから、日本でもそれなりに人気があったのかもしれない。同年リリースの『Gershwin With Karin Krog』のような正統派のJazz Vocalから、ExperimentalなVocal ImprovisationCoolで幻想的な唯一無二の世界へ誘ってくれるものまで、ここまで振れ幅の大きい、そしてInnovativeで常に音楽の領域を拡げようと果敢に挑戦していく女性Singerは、そうはいないだろう。同様に英国にはNorma Winstoneという至宝が存在するが、ありきたりのJazz VocalのScatのみにとどまらず、Wordless Improvisation器楽的なApproachをするだけでなく、Normaの場合はLyricistとしてもImaginativeな独自の世界を創造して楽しませてくれている。いずれにしても、この2人は実力も高く、Jazz SingerとしてStandardを無難に歌いこなしているだけで、そこそこやっていけるのにもかかわらず、商業的な成功を度外視して飽くなき挑戦に向かいジャンルの壁を越えて実験的な作品をリリースし続けている。その姿勢は本当に素晴らしい。それゆえにファンのみならずJazz Musicianの間でも評価は高く、Korogの場合は、John SurmanやDon EllisからArchie SheppKenny DrewDexter Gordon、Georgie Fameに至るまでQualityの高い共演作がリリースされている。そしてNorwayはOslo出身のこのJazz Singerの作品に出会って同国の才能豊かなMusicinを数多く知ることができたのは嬉しい。60年代に北欧に移住し彼らと名作を生んだGeorge RussellがLinerを書いている本日ご紹介する『Joy』も、贔屓にしているBassist Arild Andersenを知るきっかけとなった想い出深く、大好きな作品である。

 

 『Joy』はSonetから68年にリリースされたKarin Krog & Friendsのアルバム。ベースにArild Andersen、Tenor SaxとPercussionにJan Garbarek 、ピアノにTerje Bjørklund、ドラムスにSvein Christiansen、PercussionにEspen RudNorway出身のMusicianがバックを務めている。1曲のみSwedenを代表するJazz Bassist Palle Danielssonがベースを弾いている。

アルバム1曲目はNew York出身のAvant-Gardeな才女Annette Peacock作で英国のAffinityもCoverしている“Mr. Joy”。66年Paul Bley Trioの『Blood』や67年の『In Haarlem - Blood』、68年リリースの同名のアルバムでの演奏も最高に素晴らしいが、やはり歌詞をつけてKrogが気怠げに歌うVocalがMysteruousなこのVersionは素晴らしい。71年リリースの『Bley-Peacock Synthesizer Show』ではAnnette PeacockのVocalを聴くことが出来る。

5拍子のBassのRiffで始まるJan Garbarek作“Karin's Mode”。CoolでModalな激カッコイイ出だしから徐々にFreeでAvant-GardeImprovisationが炸裂していく。Garbarekの咆哮とKrogも珍しくEmotionalなShoutで応戦。

Thelonious Monkの“Round About Midnight”はPalle DanielssonとのベースとSvein ChristiansenドラムスのみをバックにLazyに情感を込めて歌い上げている。Danielssonの自由度の高いベース・ソロも聴きものである。この曲のみ68年7月6日のKongsberg Jazz Festivalでの演奏。

アルバム最後を飾るのは“Maiden Voyage - Lazy Afternoon”。

Herbie Hancockの“Maiden Voyage”は出だしのEffectをかけたVocalからビックリ。Jan GarbarekのSaxソロはここでもFreakyな部分も飛び出す。Medleyでベースから始まる54年のMusicalThe Golden Apple』のために書かれた“Lazy Afternoon”。Krogの正にLazyなVocalが楽しめる。

(Hit-C Fiore)