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『Black Byrd』前夜のDonald Byrd。Mizell Brothersと組んだDonald Byrdも勿論好きだけど、個人的にはAfroでDopeなFunkが気持ち良すぎる本作やDuke Pearsonがエレピを弾いた『Fancy Free』が好きである。Hermeto Pascoalが1曲だけだがFluteで参加した70年の『Electric Byrd』では文字通りElectric Milesに対するByrdの回答ともいうべきアルバムであった。Milesが『Bitches Brew』でAfroな世界へ足を踏み入れたように本作で自分のルーツであるArricaへと目を向けたByrdが楽しめる。以前も書いたように、ByrdはAfro-AmericanのIdentityとしてのBluesを下敷きに快感原則を重視するStylistである。反復による快感をもたらすFunkへとByrdが向かったのもわかる気がする。前作まではDuke Pearsonのセンス抜群の揺らめくエレピがサウンドの一つの鍵を握っていた。本作ではDavid T. WalkerとGreg Poreeという2人のギタリストを擁し、William Hendersonに泥臭いエレピを、Joe SampleにOrganを弾かせている。さらに興味深いのはベースにWilton Felder、ドラムスにEdward Greeneといったリズム隊である。それはMizell Brothersたちと作り上げることになるBreezyでBrightなFunkとは異なったものであった。
『Ethiopian Knights』はDonald Byrdが73年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は15分を越える“The Emperor”。Wilton FelderのFunkyなベースのフレーズで始まり、MinimalなベースとギターのFunkyなフレーズにのってByrdのTrumpet、Bobby HutchersonのVibraphone、Harold LandのTenorやWilliam Hendersonのエレピがソロを展開していく。淡々と、そして延々と続くFunk Jam。アルバム・タイトルを思わせるAfroなTasteも感じられる。要所をシメるEd Greeneのドラミングが良い。
切れ目なく続く“Jamie”は教会音楽を思わせるOrganに導かれ、残念なことに安っぽいイージーリスニングのような展開になってしまう。David T. Walker先生のお得意のギターのオブリが微笑ましい。
B面を丸ごと使った“The Little Rasti”。これまたDopeなFunk。 David T. WalkerとGreg Poreeの2本のギターを生かしたPolyrhythmicなリズム楽器の絡みが心地良い。Joe SampleのHammondソロもイイ感じ。浮遊感のあるByrdのTrumpetソロも気持ち良い。途中でWilton FelderがHugh HopperさんのようにベースにFuzzをかけたりByrdもEcho Machineを使ったり、思わずMind Tripしてしまいそうである。
(Hit-C Fiore)