
Duke Pearsonはセンスの人である。SophisticateされながらBlues感覚を失わない独特の魅力を持っている味のあるPianistだがComposer、Arrangerとしての才能も相当なものである。Blue NoteはHorace SilverとDuke PearsonというJazzでもトップ・クラスのComposer/Arrangerとしての才能を持ったピアニスト2人によって支えられたといっても過言ではないだろう。Pearsonの多様性と独特の色彩感を持ったSound Creatorとしての才能は、もっと高く評価されてもいいだろう。Pearsonと固い絆で結ばれたTrumpet奏者Donald Byrdも同様のセンスを持っており、Pearsonの5年ぶりのBlue Note復帰作となった本作でもタッグを組んでいる。Blue NoteではPiano Trio作品で優れた2枚のリーダー作を残したPearsonは、本作では3管フロントでComposer/Arrangertとしての才能が発揮されまくっている。ByrdのTrumpetにAlto SaxとFluteのJames Spaulding、そしてHorace SilverのアルバムやPearson参加作Johnny Colesの『Little Johnny C』(最高!)やGrant Greenの『Idle Moments』に参加していたJoe HendersonをTenorに起用。ベースのBob Cranshaw、ドラムスのMickey Rokerは柔軟性に飛びながらも心地良いBeatを生み出している。多彩な色彩を描き出す3管楽器としなやかに躍動するリズム隊はPearsonの清冽なピアノ・タッチとともに陰影に富み、Bluesyで時にLyricalな味わいも感じさせてくれる実に味わい深い世界を生み出している。
『Wahoo!』はDuke PearsonがBlue Noteから65年にリリースしたアルバム。
アルバムのOpenerは小粋なBlock Chordsに続く3管の魅力的なThemeから始まる“Amanda”。Latin風味もある生命感溢れるMickey Rokerのドラミングも良い。先発のSpauldingは奇妙な味のソロに、ByrdときてHendersonが危険な香りを醸し出し、Pearsonのソロの出だしもいつになくSilverばりの攻めのBlues感覚に満ちたもの。
どこかOrientalで郷愁を誘う曲調の“Bedouin”。SpauldingのFluteが素晴らしいがPearsonのピアノが最高。
Piano TrioでPearsonお得意の可憐な曲調とピアノが満喫できるJazz Waltz“Farewell Machelle”。
B面1曲目は5拍子のアルバム・タイトル曲“Wahoo”でスタート。Temoを落とした、普通ならダレてしまうSimpleなBluesを一味違う仕上がりにしている。SpauldingのFluteも効果的だが、BluesyなPearsonのピアノがExoticな香りも放ち、やはりSilverを彷彿とさせるSophisticateされたBlues感覚を発揮している。
HendersonのTenorソロが印象的な“ESP (Extrasensory Perception)”。Bob CranshawとMickey Rokerの心地良い指パッチンなBeatにのってByrdとPearsonがBluesyなソロで楽しませてくれる。
最後を飾るのはDonald Byrd作の“Fly Little Bird Fly”。先発のHendersonが持ち味を発揮したAggressiveなソロで楽しませてくれればByrdもSpauldingもそれを引き継ぎ、Pearsonも軽快に飛翔する。
(Hit-C Fiore)