Night Cruiser/Deodato | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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  Deodato80年代の幕開けは、このアルバム。Luiz Bonfaと仕事をするためにNYに移住してArranger、そしてComposer、Producerとして輝かしい実績を積み重ねたEumir Deodatoは、いよいよソロ活動としてシンプルにDeodatoと名乗り、Creed TaylorCTI72年にリーダー作『Prelude』を発表し一世を風靡する。続くアルバムでも大成功を収める。その後、MCAに移籍、そしてWarnerに移籍する。78年にTommy Lipumaと組んだ名作『Love Island』(最高)、そして79年には、自分が初めて買ったDedatoのレコードである『Knights of Fantasy』、そして本盤『Night Cruiser』の登場である。Brasil時代やCTIの頃のDeodatoファンからしてみれば、前作からの下世話なDisco路線は許せないところがあるだろう。80年といえばDeodatoがProduceしたKool and the Gangのアルバム『Celebrate!』が大ヒットした年だ。既に彼らの前作『Ladies' Night』をProduceして初のPlutinummをもたらした実績を掲げ、DeodatoはBlack Music界でもProducerとして名を轟かせていた頃。Horn隊やエレピ、ギターのカッティングを組み合わせた、おぼえ易いキャッチーなリフ。シンプルな繰り返しの美学は勿論、快感原則に基づくものである。それは80年代にDeodatoがProduceを手掛けたCon Funk ShunKleerJuicyといったグループに共通している。一方、自身のリーダー作でも同様の手法を取り入れつつも、かろうじてBrazilianなお得意のStrings ArrangementとHarmonyの妙を盛り込むDeodato。Rio de Janeiro生まれの貴公子然とした音楽青年が、NYの夜遊びおぼえてナンパオヤジに豹変みたいな、FunkでDiscoなDeodatoである。下世話な自分は、こういうDeodatoも大好きである。

 『Night Cruiser』はDeodato80年にリリースしたアルバム。Warnereからの3作目となる。前作『Knights of Fantasy』でDisco路線に一気に走り出したDeodato。その時はベースにThe Brecker BrothersNeil Jason、ドラムスにKokomoJohn Sussewellというリズム隊だった。これにRubens BassiniのPercussionが加わり、単なるDiscoに聴かせつつ、実は快感指数の高いリズムを作り出していた。さて、本盤ではドラムスにFunkバンドPlatinum HookのメンバーStephen Danielsを起用。ベースのGary Grangerは、EW&Fの弟分Pockets出身で、やはりSlapビシバシのベーシスト。この漆黒のリズム隊にシンプルなDisco Beatを刻ませながら、BrazilianなPolyrhythmsを内包しているのがDeodato Magic。 面白いのは南アフリカ出身の新鋭Composer/鍵盤奏者のDavid Bravoを起用していること。Deodatoとの共作2曲と単独で1曲書いているBravoはセンスが良い。Os MutantesSergio DiasがギターとProduction、Songwritingで参加しているのも要注目。
オープニングのタイトル曲“Night Cruiser”は派手なHornにSlapベースが暴れるナンバー。David Bravoとの共作。
イントロのKalimba親指ピアノ)、16のウラのキメのフレーズからしてEW&Fの影響が感じられる“East Side Strut”はSergio Diasが共作に名を連ね、ギターで参加。FluteStringsが効果的。
ギターのカッティングとSlapが、いかにも80's Funk“Skatin”。もうンペンペ下世話すぎるほどのSlapがなんともダサカッコイイ。David Bravoの作品。この曲はFender RhodesもBravo。Deodatoは印象的なStringsで彩をつける。
Hand Clapsと「Do It!」のかけ声がいかにもの“Uncle Funk”はPlatinum HookのベーシストElisha Ingramを迎えている。Kool and the GangRonald BellのTenorソロもあり。Deodatoのギターはご愛嬌だけどセンスは素晴らしい。
Favid Bravoのペンによる“Love Magic”。この時代のサウンドではあるんだけど、イージーリスニングやFusionに陥りかねないギリギリ感。DeodatoのStrings Arrangemmentが冴える。
最後はElisha Ingramが再びベースで参加した、Funkyな“Groovitation”。うねりまくるSynthが、この時代らしい。
East Side Strut/Deodato

(Hit-C Fiore)