『住めば都』は永久に来ず。 -6ページ目

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

本当に

大きな学校だ。

僕はキョロキョロと周りを見回しながら担任の先生を探した。


何処が何処だか分からない。

一体何処に行けば良いんだ?

くるくる回って占う訳にも行かないし。
(生憎僕は鉛筆でもなければボールペンでもないし、木の棒でもない。)


僕が考え込んでいると背後から。


「どうしたんだい?迷子かな?……さしずめ、『不思議の国のアリス』と言ったところかな?」


やたら気障(キザ)ったい声が聞こえた。

…僕

こういうの苦手なんだよね…。

そんなふざけた存在は白銀さんで間に合ってるっていうかさ。
(結構どころか大いに失礼だ。)


「あの…僕はただ単に担任の先生を探してるだけなんで。」

僕がウザそうにしながら相手の方を振り返ると


蒼白い肌

生気を失った髪の毛

乱れたワイシャツ

所々に絆創膏

手首から伸びるチューブ

そして先には点滴


…ダメだ。

この人…ダメ…。


立派な病人だ!!

ブレザーじゃないところから、生徒じゃないと見れるが

イヤだよ!!?

こんな病人な先生!


「そうだね…キミは…見た事がない…から、転校生だね。……だから僕は…キミの緊張を解こうとして…冗談めいた事を言ってみたんだけど…キミにとっては僕の冗談なんて部屋の隅から出て来た砂に混じった埃に等しい…ね。しかも表情からして…迷惑そうだし…僕みたいな社会のゴミは…ゴミらしくまとめて棄てられるべき…だよね…。」


しかものしかもで

超ネガティブ!!
(同時に点滴の液が沸騰してる!……まさかメーター?)


困ったぞ。

いきなり強烈な先生に出会っちゃったよ、僕!!


「あ…あの!僕、来島草太郎って言います!!先生は…?」

取り敢えず自己紹介で陰鬱な雰囲気から逃れなきゃ…

僕は耐えられなくなっちゃうよ!!


「僕は…。……桐野重継(きりの しげつぐ)って言うんだ…。名前に似合わず貧弱だろう…?小さい時からコンプレックスの一つとして残ってるんだ…。もっともっと…下賤な名前でも良かったのに…。……だから僕は…決めたんだ…。来世で、もっと似合う名前になろうって…。」


効果無し!!

というか最後自殺する為の遺言みたいなものがなかった!?


…ああ!!

カッターをポケットから取り出した!!


「ちょっと!!先生!一体何する気なんですか!!?」
「…見届けて…くれないか…?僕の醜く朽ちる瞬間…あと…来世に旅立つ瞬間を!!」


自殺はそんな描写で表せる程美しくないですよ!!?

ていうかライトノベル調だな、この先生って!!


「…ぅ…ああ…!!絶望した!!」
「それってある意味先生の同業者の名台詞ですよね!?」

パクっちゃいかんだろう!!

久米●康治先生に謝れえぇ!!


「それじゃあ…キミも…僕と…心中してくれるのかい!?」
「極端だなぁ!!この先生!!」

ああ…早くしないと授業に遅れちゃう。

でも…

この小説で死人なんて勿論出したくないというのも望みだし。


此処で望ましいのが


『第三者の介入』。


過去に数回あった手だ。

白銀さんと居た時によくあった…。


「って何僕他力本願なんだよ!?」

情けない…

未だに先生カッターを振り回してるし。

何処のコンビニ強盗さんだよ…。



すると。

来た。


『第三者』が。

「あらヤダ桐野センセー!また自殺未遂しちゃってるの!?」


え…

女…の子?


の割には

声が…男…。


まさか…オカマ!?


「あ…葵井くん…!!」
「んもう、桐野センセーったらいっつもスイッチ入ったら自殺未遂しちゃって~!そんな事したら、萌、桐野センセーの事嫌いになっちゃうゾvV」


ゾワゾワ…


な、なんだ…!!?

この奇怪な会話…


鳥肌が…!!

話が大体終わったのか、オカマさんが僕の方にやって来た。


「ハローにゃの♪来島草太郎クン♪萌の名前は『葵井萌(あおいい はじめ)』って言うのよ!あと萌、草太郎クンと違うクラスなんだけど、『同志』に頼まれちゃったもんだから案内しに来たの~♪」


違うクラスなのに来てくれたんだ…。

優しいなぁ…。

しかし。

気になる事がある。


いや

改造感あふれる制服よりも

それよりも。


「あの…『同志』って?」


「ああ、萌の同志?…キャハハ!『涼風白銀クン』よ!!全く…あそこまで必死な白銀クン初めて見ちゃった~♪」


…ああ、

AKB仲間。
16th[龍ノ宮学園]

前の学校が公立だったから校門の向こうに庭(噴水付き)や時計塔があるのには目を瞑ろう。
他の学校にもあるかも知れないし、


だけど

明らかに大きすぎでしょう!!

小高い丘にただ一つそびえ立つ「私立 龍ノ宮学園」に僕が始めて持った印象はこれだった。

「あっちが一年棟、その左側が二年棟、
中央にはホールがあって集会や芸術鑑賞はそこねー。
あと、げた箱もあるから靴はそこで履き替えるんだよー。」

「んで、そこから右の方にあるのが俺様たち三年の棟、それから文化系部の部室棟だ。
時計塔の中は図書館になってるぞ。
食堂は見えないが中央棟の奥な。下にはプールもあるぜ!」

「これらは全て二階部分が渡り廊下で繋がっているので靴を履き替える必要はありませんよ。
後、ハニーには申し訳ないのですが運動系施設は数が多すぎて把握していません。すみませんね。」

僕とレイ君が唖然と(レイ君はそう見えるだけだが)していると在学生の皆さんは代わる代わる校舎の説明をしてくれた。



…まず、ツッコミどころがありすぎる。

なんで、学年で棟が別々何ですか。

三階立ての建物全体を使うホールが普通学校にありますか。

運動系施設が有りすぎて分からないって何ですか!

「仕方ないじゃん。基本クラスが、M組まであるんだから。」

「M組までって…。ってか波さん!僕、今の口に出してませんでしたよ!!」

クラス数に驚きながら言うと不意に袖を引っ張られたような気がしてそっちに目を向けると、レイ君が

「入学式、遅れる…先、行く。……ごめん。」

っと若干すまなさそうに言った。

「んじゃ、俺も行く。
レイ、体育館まで案内してやるよ。」

そう、日比谷先輩が言うとレイ君はこくっと頷いて日比谷先輩についていった。

「二人はいいんですか?
ついて行かなくて。」

「入学式ってつまんないし、ハニー君の方が面白そうだからいいのー。」

「愚問ですね。
僕は例え奈落の底でも愛しのハニーのいる所ならどこへでもついて行きますよ。」

いちよう、残った二人に聞いてみたのだが無駄な質問だったらしい…。(もうハニーは気にしない。)

編入用の資料を持ち直し僕は白銀さん達と共に入り口に向かった。

「あっ、ヘタレ君。職員室は二年担当の先生は二年棟だから。
校長室は行方不明だよ~。」


天国の父さん。
僕は転校初日(実際はまだ転校してないが)
から登校拒否になりそうです。


next…
名城 蘭
15th[終了時7時半]

――阿蘇パンマン。
それは何年も前からやっていて、今でも子供からの根強い人気を誇っている日本のアニメ代表作の一つである。
とはいえ、それは基本的には小学校低学年位までの子供が好むアニメーションであって、大人になると語り草として出る程度のものである。

……さて、とりあえず僕は聞きたい事がいくつかある。
まず第一に、使ってない空き部屋をみんなして勝手に使っているのか。
次に、なぜみんな準備万端でお茶やお菓子、挙句の果てには録画まで準備されてるのか。
そして、なぜこの歳になってまで阿蘇パンマンを見なくてはいけないのか。
更には、なぜこういうのに一番興味無さそうなレイ君と風さんが真ん前を陣取ってるのか。
(しかもレイ君の服がなんか悪の幹部っぽいから、敵リーダーの指令が入ったビデオを待ってるように見えるしね)
極めつけは、なぜ白銀さんが一番前に立って、指示棒をもって解説しているかという事だ
。
いったいこれらのことに関して僕はどれから突っ込めばいいのだろうか。
いや、むしろ突っ込んでいいのかさえ怪しい。
むしろ、全部に突っ込める気力は僕には残ってない。

「……ですから、ココで阿蘇パンマンがウイルス王を阿蘇パンチをくらわすことで……」

僕も昔見ていたが、改めて見てみると、意外と面白いかもしれない。
ちなみにウイルス王とはいちいち阿蘇パンマンの邪魔をしに来る奴だ。
最近見てなかったからウイルス王の目的が本来何だったかはすっかり忘れてしまったけども。

阿蘇パンマンには二人の仲間がいる。
それが、この世界ではイケ麺……いやいや、これだと狩野英●だ。
正しくはイケメンらしい富士パンマン。
もう一人は攻撃した後が少し可哀相な大津パンマン。

そして、敵勢力にはウイルス王。
その側にいる、ときめきちゃんがいる。
ちなみに、ウイルス王はときめきちゃんが好きで、ときめきちゃんは富士パンマンが好きらしい。
まったく、子供にみせるにしては、三角関係なんてどろどろしたものをやらないで欲しいよね。

「……そして、ここでときめきちゃんが裏切って……」

そういえば、ときめきちゃんってある意味悪女だよなあとか思って見ていた。
そこから後は基本的に白銀さんの話を聞いていたら思い出してきた。
にしても、意外な特技……というか、白銀さん説明上手!!
だてにAKBと名乗ってないことがうかがえた。
もっとも、だからといって、僕の部屋に勝手に入ってきていいことにはならないからね!?

「ちなみに、最近はこのときめきちゃんが再びAKBで流行出し……うわ!何するんですかレイ君」

って、本当に何してるの!レイ君!?
さっきまでおとなしく、爺臭く(これは本人のために言わないけど)、お茶をすすりながら阿蘇パンマンを見ていたレイ君がいきなり手元にあった煎餅を手裏剣のように白銀さんに投げつけたんだ。
それが見事に白銀さんの額に直撃したという訳だ。

「くぉら、レイ!!食いモンを粗末にすんじゃねえよ!」
「あんたも口に物を入れながら喋るんじゃないよ!」

そう言って倫さんが日比谷先輩を鎮めてくれた。
いや、日比谷先輩が言ってることももっともなんですけどね。

「一体何をするんですかレイ君!!」
「…………」

……ちょ、レイ君もレイ君でせめて返事しようよ!
熱心に阿蘇パンマンばかりみてないでさぁ!
ていうよりも、一体何に怒ってるのか僕にはわからないよ!!

「……白銀、うるさい……AKB言うな」
「秋葉原をなんと言おうと僕の自由じゃないですか。ちなみに草太郎君への愛(イタズラ)もフリーダムですよ!」
「今のカッコの中のは嫌だ!」

つい、とっさにレイ君に突っ込むよりも早く、我が身可愛さにそっちを突っ込んでしまった。
だが、今更気づいたが、この突っ込みだと事態の悪化を招いた。
……ちなみにレイ君が怒った理由は白銀さんが秋葉原をAKBと略したからだそうだ。
何故かは分からないが、レイ君はそう略されるのが嫌いらしい。

「そんな、草太郎君!カッコの中はいらないということは愛ならばいいと!?」
「そんなことも言ってない!!」

そんなこんなで、皆でばたばたしていると、遠慮しがちに声が聞こえた。

「あの、皆さん。阿蘇パンマンもう終わりましたよ?」

風さんがこちらを見ながら言う隣でレイ君は頷いている。……何事もなかったかのように。
事の発端は君と白銀さんだったよねぇ!?

「んー。楽しかったぁ!じゃあ今日は僕学校休みだし二度寝しようかな」
「あら、波ちゃん。二度寝は身体によくないわよ」
「あれ?二人は学校休みなんですか?」

何気なく聞くと白銀さんが教えてくれた。

「今日は、一年生以外は入学式なので休みなんですよ」

教えてくてたのはありがたい。
ありがたいよ、でもね耳元で肩をがっちりホールドして囁かないで下さい!
しかも、なんで妙に艶っぽい声なんですか!!

そんな突っ込みを心でしていると、誰かが僕の袖を引っ張った。
振り返ってみるとレイ君が僕と自身を交互に指差して、首を傾け言った。

「草太郎……一緒に、行く?」

そうだ、そういえば僕も編入する資料と、先生に挨拶をするために学校へ行かなくてはいけなかった。

「そうですね、行くところは同じなので二人で行こうか」
「いいえ、そうは僕らがさせませんよ?」

そう言ってきたのはもちろん白銀さん。
ちなみにもう一人首を腕でしめつつ連れてきたのは日比谷先輩。

「でも、今日は休みじゃ……」
「行ってはいけないという決まりはありません。ちっちゃい日比谷先輩は入学式のお手伝いです」
「おい、ちっちゃいってなんだ!ちっちゃいって!!て、ちょ……息がやべぇって!」

さすがに長身の白銀さんにつかまると、足の先すら地面に着かない日比谷先輩は可哀相だった。
抵抗はしているにも関わらず、ぜんぜんびくともしていない。

「あ、じゃあボクも行くー!!楽しそうだね!」
「私は洗濯があるので……」
「アタシも仕事に行かなくちゃね」

結局そんな訳で僕、白銀さん、レイ君、日比谷先輩、波さんの5人で行くことになった。
学校へ行くには制服に着替えないといけないので、再び、後で竜宮荘の前で待ち合わせをすることにした。

……とりあえず、学校は普通であることを祈っています。


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