『住めば都』は永久に来ず。

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

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31th[true or doubt]

草太郎がそうやって鬱憤を晴らそうかと思っていたとき、部屋の扉を乱暴に叩く音がした。
何事かと思って扉を見やると、聞きなれた人の声が聞こえた。

「おぉ――い!草太郎いるかー?」
「あ、(ちっちゃくても)日比谷先輩、どうしたんですか?」
「僕が……開けてくる……」

そう言って、レイが扉を開けるとそこには見慣れた小さい亮……と、誰かもう一人いた。
見覚えのない背の高いその人は何とも妙な髪をしていた。
長い前髪の左側をピンで止め、残った分を耳にかけていた。
だが、何より変わっていたのはその髪の色だった。
全体はアッシュにしているのに、先の方だけ蒼く染めていた。
だが、人当たりは悪くない……むしろそこそこ整ったと言えなくも無い顔立ちにこの身長、この雰囲気だと好む人の方が多いだろう。……恐らくは。

レイと草太郎が、その人を見上げていると気づいたのか、口許を緩めて笑った。

「はじめまして、お邪魔するよ」

その男性がそう言うと、漸く気づいたという風な顔をして亮が説明しだした。

「あ、そっかそっか。草太郎とレイは会ったことねぇよな。
 こいつは俺のダチで萩谷 秀司[はぎや しゅうじ]後で遅れてもう一人来るけど……まあ紀章は後でいいな」
「まあ、そういうことだよ、よろしくな。
 君達が亮が言ってた新しく寮に来た子達か。
 俺はちょくちょく来ると思うからそん時はよろしくな」
「あ……はい、こちらこそよろしくお願いします、来島草太郎です」
「同じく……如月、レイ」

そんな風に挨拶をしているともちろんこの人物が黙っているはずがなかった。

「それで……萩谷先輩はわざわざこんなオンボロアパートに何をしに来たのですか?
 まさか挨拶だけをしに来たなんてバカなことは言いませんよねえ?」

余りにも挑発的な口調だったにも関わらず、秀司は気にせず普通に説明をした。

「ああ、実は帝先生にココに来るようにさっき言われたんだ。
 何でも家庭訪問するから俺もついでにされろということだった……よな?亮」

そう聞かれると聞かれたで、亮は偉そうに腕を組んで「ああ」と頷いていた。

「……なぜ、ここに来る。……家庭訪問は……各自の家で……すべきなのでは……?」

つぶやくレイに答えようと秀司がすると意外な人物に答えられた。

「甘いですよレイ君!あの先生のぐうたら振りを舐めてはいけません!!
 あの人はきっと『何人もの人の家に行くの面倒いなぁ、もうええやあいつら全員まとめて呼びつけたらええやろ。あそこやったら近いしな』とか思ってるに違いないですよ!」
「何帝先生の声真似までしてるんですか白銀さん!しかも似てませんよ!!」

いつものボケ漫才を繰り広げながら中に招き入れると、腰を落ち着けた秀司は少しきょろきょろとしていた。
それを不振に思った草太郎が尋ねると、亮が「ああ、大丈夫大丈夫気にすんな」と言った。
しかし、それだけでは事情を飲み込めない草太郎は首をひねるばかりだった。

「あのさ、今日はあの子ら……いないの?」

秀司が聞くと、白銀は不足そうに答えた。

「もうすぐ来ますよ。まったく、せっかく彼女達が出て行ったからようやく二人きりになって草太郎君にいたずら出来ると思いましたのに」
「白銀さん!いったいどんな悪戯ですか!もう勘弁してくださいよ!」
「白銀……僕も、いたから二人きりと……違う」
「何を言うのです!基本人畜無害な君はいてもいなくてもいたずらには支障ありません!」
「……ああ…………それもそうか」
「そこ!なっとくしないでよ!」
「お前ら……少しは黙れ――――!!!」

亮が切れるまでマシンガントークを続けていると漸く秀司の待望の人物が帰ってきた。
扉を軽くノックして開ける音がしたので、皆が振り返り見るとそこには星野姉妹がいた。
こちらの方を見て波華は荷物を足元に置いて慌ててこちらに来た。
一方の風華は、あらとか言いながら波華が置き散らした荷物を纏めてこちらに来た。

「風華!波華ちゃん!久しぶり、元気にしてたかい?」
「うわー秀司久しぶりー!まだ生きてたんだー」
「あはは、波華ちゃんは相変わらず冗談が上手いなあ。そういうところもかわいいよ」
「またそんな事言ってるー。ボクはお世辞なんかいらないよーだ!」
「お世辞じゃなくて本気だよ」

余りの秀司の口調等の変貌ぶりにレイと草太郎は唖然としている。
いや、レイは唖然としているようには見えないが。
一方の白銀はまたかという感じに違う意味で呆れ、亮はすでに感慨すらわいていない。
その間、秀司は始終星野姉妹を愛でていた。

「……え、これどういう状況ですか?」
「あーこれはですねー」
「よし!ココは俺様が逐一、萩谷秀司という人物につい……」

亮が張り切って解説をしようとすると、風華が割り込んできた。
彼女は普段こういうことをしないから珍しいだろう。

「秀司君は女の子が好きなんですよ、だから波ちゃんを可愛がってくれてるんです」
「え……あれは可愛がっているってレヴェルじゃ……」
「……むしろ……ナンパ……?」
「かわいがってくれてるんです」

はい、こわいです風華さん。
雰囲気はいつもどおりなのになぜか怖いです。

「……はい、ごめんなさい」

流石の二人も威圧感に圧倒され、おとなしくあやまった。
そして、言葉を中断された亮が風華に食いかかっていった。

「風華ー!なんで俺の邪魔をしやがる!
 俺の滅多にない晴れ舞台をー!ってうわ!!」

亮が食いかかっていくと、秀司に首根っこを捕まれて宙に浮いていた。
ある意味当たり前だ。180を超える秀司の身長に対し、未だ150cm代にすらなれていない亮ならば、足が付かないのも当たり前。

「亮……お前、何風華に向かって行ってんの」
「は、離せ!話しやがれ――!!!」

後ろから怒ってるオーラを出してる秀司に、もがき、暴れる中学s……げふんげふん!亮の姿は余りにも滑稽だった。
なにをどうしたらいいのか急な展開についていけていない草太郎はもう混乱していた。

「もー!何がどうなってるんですか!」
「まあまあ、草太郎君気にせずお茶でも」
「……うまい……」
「白銀さんは和まないでください!レイ君も何和んでるんですか!あれ、もしかして僕だけ蚊帳の外……!?」
「仕方ありませんよ……何しろ彼は学校内でも有名な女たらしらしいですからねぇ」

そんな状況はさておきこちらはこちらで秀司が亮の首許をつかんで揺らしている。
そりゃあもうがったがったと!

「女の子に食ってかかるとはなんてことしてるんだ!
 女の子は愛でろ!可愛がれ!」
「ちょ、秀司!やばい!俺の首なんか確実にやばいからー!!!」
「ちょ、タラシ君それはさすがにやめてあげてよー!ね、僕からのお願い!」

そう珍しく波華が頼み込めば不承不承という感じだが、漸く亮を解放した。
急に開放された亮はむせていた。その背中を風華が擦っている。

「波華ちゃんがそういうならいいけど……。
 風華、君はそれでいいかい?」
「ええ、波華ちゃんがいいと言ってるんですもの。
 駄目な理由なんて無いでしょう?秀司くん」
「……そうか、波華がそういうならいいや。
 だけどな亮!女の子に危害を加えるやつは俺が許さないぞ」


あくまで最後までも女の子の味方らしい秀司。

……無駄に女の子が好きである。


「お前の女好きは……変わってるよな」

最後にこう亮は呟いた。
そのとき、ノックが再び聞こえた。

結城 薫

30th[A Song for××]

龍宮荘では…

「『酷い!アナタとはもうやって行けないわ!!実家に帰らせて貰います!!』」
「ま、待って下さいメイ●ン!!確かに親戚一同集まった時貴方のお姉さん…ルナ●リアに見とれてしまいましたが僕にはメイリ●!!貴方しか居ないのです!!また愛の巣で二人で愛し合いましょう!!」
「あの………………………………………………………。白銀さん?」

さっきから人形振り回して何遊んでるんですか。

しかも人(僕?僕は来島草太郎。)の部屋のど真ん中で。


ていうかメ●リンとかルナ●リアって誰だよ?

白銀さんの夢の中での話?


「嗚呼、マイハニー。この赤いツインテールの少女はメイリン=ホ●ク。ザ●トのオペレータでしたが、僕と結婚したので寿退社しました。そしてショートカットの少女は彼女の姉のルナマ●ア=ホーク。同じくザ●ト所属の方でモビルスーツのパイロットです。彼女も僕と結婚したので寿退社「つまりはどちらも白銀さんの嫁ですか!!!!!」


アンタ亭主関白過ぎ!!

女性も働きまくる時代だぞ!!?
しかも彼女達の世代ならなおさら!!


「…マイハニー…、安心して下さい。メイリ●と●ナマリア以外にもミー●、ス●ラと嫁が選り取りみどりでたくさん居ます。」
「一体何処に安心しろっての!!?理解出来ませんてば!!」
「いえいえ、AKBの住人は大抵一夫多妻です。アフリカとか関係ありません。」
「一人に決めて下さいよ!!鬱陶しい!!!」
「それは無理です。僕はエロ同人誌(男性向け)を片っ端から読み漁り、片っ端から嫁にして行くタイプなので…。」
「お願いだ!!アンタ愛の伝道師に刃物でグサリと刺されちまえ!!!」


アンタのAKB談義はもう良いから!!

僕はただ

平穏に!

平々凡々に!!

家計簿(龍宮荘の)を付けたいだけなんだよ!!


誰か助けて!!

ていうかちょっと奮発して分厚い壁でも取り付けて貰おうかなぁ!!?

僕と白銀さんの部屋の間に!!!


「マイハニーも嫁が欲しいですか…。なるほど、ならば!初心者は『ラクス=クラ●ン』でもどうです?凛々しい方ですよ?」
「アンタはさっきからその話しかしてないぞぉ!!!飽きないなアンタ!!」
「フフ…!!良いではありませんか。恋は良いですよ!!ときめきは栄養になりますし。」


恋…?


……。

あれ?


なんでさっき珠実ちゃんの顔が浮かんだんだろ…。

やっぱり僕は珠実ちゃんが好き…?


しかしそんな甘い雰囲気もぶち壊され。



「…白銀…秋葉原を…変に略すな…!!」
「AKBはAKB!!!48人組のユニットもそうでしょう!!?」

…レイくん…


まだ根に持っているんだね…(汗)


「……、よし!分厚い壁でも取り付けて貰おうかなぁ!!!」



僕は天井に向かって


高らかに叫んだ。


next…
浅田ゆみ
29th[その男、謎]

「校長ー。来たけど用ってなんやー?
うち、早よ帰ってDVD観ながら一杯やりたいんやけど。」

バンっとドアを開け放った帝は敬意の欠片すらも見えない気だるげーな態度で椅子に座る男性に声をかけた。

「相変わらずだねぇ。帝は。」

そしてそれに怒ることなく、くすくす笑っている
「さぁこれから旅にでよう!」
と言わんばかりのふざけた恰好をした半月眼鏡の男性は
悲しいかなこれでも私立龍ノ宮学園の校長だったりするのだった…


まぁ、実際は世界中を冒険しているため殆ど学校にいないし、校長室すら一般の生徒には見つかっていない。

あるいみツチノコと張り合えるくらい謎な人間なのだが、

因みに本名は不明あくまで校長が彼の名前である。

「変わり映えのせーへん挨拶と無駄に長い地の文はえぇから早よ用件言えや。」

「帝ー、地の文なんて言っちゃダメだ…
「えぇから早よせや!ボケ!」
はいはい。」


のらりくらりと話を逸らす校長に痺れを切らした帝が怒鳴ると校長は仕方なさそうに用件を切り出した。

「ほら、この時期って言ったらさぁ、
色々生徒もそわそわしだして落ち着きがなくなると思うんだよね。

だからさ、そんな生徒を保護者と協力してしっかりと新学年としての自覚を持たせる必要があると思うんだ。」

自分で言いながら自分で納得してうんうんっと首を縦に振りながら校長は続けた。

「だからさぁ…



家庭訪問やってくんない?
勿論、帝一人で。」

校長室には一瞬の静寂の

のち、

「はぁ!?」
帝の驚き呆れた声が響いた。

「あれ?なんか問題あった?」

「ありまくりやボケェ!
なんで色々ややこしい事言うた結果、
家庭訪問に辿り着くねん!

後、何が勿論や!最後になしてうちだけやねん!
1年だけでなんぼ居るか分かっとんのんかワレェ!

理由を言え!10字以上15字以内でスパッと答えい!」

ボケボケな校長にマシンガントークならぬマシンガンツッコミを炸裂させる。
だが、

「その方が面白そうだから。かな?
あっ、漢字にしたら12字だからセーフだね。」

それすらもこの校長はあっさりと流してしまうのだった。

「あぁ、でも流石に大変だから
帝が行きたいと思った所だけ何軒か回るだけでいいから。
面白いことがあったら話してね。」


「…もぅ、えーは、行けばえぇんやろ。行けば!」

校長のペースに半ば脱力しながら投げやりに帝が言うと、校長は嬉しそうに微笑んで

「わぁ、ありがとう。帝ー、それじゃあお願いね。ちょっと出掛けて来るから。」

そう言うと大型の使い古したリュックを背負い、ツルハシ片手に校長室を出ようとする。

「…ってちょい待ちぃ!
どこ行くねん!」

「イタリアの古代遺産が呼んでるんだ。
大丈夫、体育祭までには帰ってくるから。」


一体、何が大丈夫なのだろうか。

まるで、スーパーに買い物に行くようなノリで校長は言う。

(前は
「卒業式には間に合うから。」
とか言うて結局入学式なっても帰ってこーへんかったよな…。)

これはマズいと校長よりは幾らか常識のある帝は止めようとするが

「あっ、帝。今度のお土産はテキーラでいい?
美味しいおつまみも付けちゃうよ?」

「おっしゃあ!!
後のことはうちとその他のまともな先生に任せとき!
あんたのおらん分しっかり働いてもらうさかい!」

悲しいかな帝も常識は一般人基準をはるかに下回っているのだった。


かくして、校長は笑顔で親指を立てている帝に見送られ意気揚々と校長室を後にしたのだった。




「ふっふっふ…、誰ですか。やっぱり今回も出番が無かったとか言っている方は。」

「残念ですが僕の出番はやって来るのです!!次こそ、次こそは鮮やかに登場して見せますとも!」

「…ネーゼ知ってた?
一々こうやってひょこっと最後に出てきて愚痴ってる方が余計虚しいんだよ?」


next…

名城 蘭