『住めば都』は永久に来ず。 -5ページ目

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

20th[Beast of Blood]

「ところでの話で悪いねんけどな、さっき校長探すのに三日かかるどうこう言ってたやん。…正確には百年かな。うん、百年後まで御機嫌よう。」
「帝センセー、草太郎クンみたいな初心者にいきなり週刊少年ジ●ンプのマニアックネタはヤバいわよ~。ていうか萌でもヤバい雰囲気ムンムン…あらヤダ~♪萌はいつでも色気がムンムンよっ♪」


嗚呼…

涅マ●リ様…ね。


…失礼だけど葵井くんも彼に負けないくらいの毒々しさがあると思うよ。


「(あ、草太郎クン。…さっき帝センセーに洋酒飲まされてたけど大丈夫かしら?)」
「(ハイ…あ、うん。大丈夫…)」

葵井くんに耳打ちで声を掛けられたので

「大丈夫、平気だよ。」と返答しようとしたら


フラッ…

「あ…れ…?」

まるで腰が抜けたように僕は

床に膝を付けて座り込んでしまった。


「ハニー!!」
「草太郎クン!?」
「ヘタレくん!?」


僕が座り込んだ時

白銀さん
葵井くん
波華ちゃん

が同時に僕の名前を呼んだ。

特に白銀さんが酷く慌てていた。


「どうしました!?ハニー…。」
「あ…白銀さん、大丈夫ですよ。ちょっとフラッとしただけで…。」


…

僕は

気付いた。


白銀さんの双眸から

涙が溜まり

滴り落ちていた。


「え…?」
「僕は…ハニーの悪戯に怯える顔は好きですが…


僕以外の人間に苦しむハニーの顔は見たくはありません!!」


藍色の長い髪の毛が揺れる。


僕は思う。





…なんでいきなり白銀さんに怒鳴られなきゃならないんだ…?


あ…

まさか…。


「(洋酒飲まされた事白銀さんに言ってなかった…!!)」

きっと白銀さんは僕が貧血かなんかで倒れたと勘違いしてるんだろう。

なんてタイミングの悪い事!!


「大人しく正直に吐きなさい。…ソイツの喉を『コレ』で抉って掻き出してあげますよ…!!」
「ひっ…!!」


白銀さんがスラックスのポケットから取り出したのは


ダガーナイフ。


なんで桐野先生といい白銀さんといい…

すぐに『凶器』が取り出せるんだよ!!?


これで銃弾飛び交ってたらマジでシャレにならないぞ…!!

深い闇落ちて行けば

違う世界


…ってね!!
(byWonder●ul Wonder World)


「ちょっ…ちょちょちょ!!!白銀さん!僕大丈夫ですから!!だからそんな物騒なものは今すぐしまって下さい!!!」
「僕を止めないで下さい!!ソイツを僕は殺して…「ほ~?私を殺す気かいな?」


後ろを振り返ると

ニンマリと笑顔を浮かべた帝先生が…


「涼風ェ…雑巾掛けだけじゃ済まさへんでェ…?」
「いえいえ帝先生貴方のような猛者を狙おうなんて命知らずな奴なんて地球上何処を見渡しても誰一人としていませんよ。」


饒舌に言い訳を並べる白銀さんだったが

帝先生は

表情を変えずに怒りを白銀さんに向けた。



そして始まるは


捕食者:帝先生

餌:白銀さんの


追いかけっこ。

next…
19th[本心&下心]

「この学校で校長見つけよー思たら、多分3日探さなアカンさかい。最低限の資料はやっとくよってに今日は早よ帰りー。」

なんとか帝先生に編入学手続きをしてもらい、(いやぁ、よく見つかったなぁ…。)

京介君とも別れて僕は寮に戻るため生徒手帳や学生保険などの資料を持って廊下を歩いていた。

すると、

「草太郎くん!見つけましたよ!」

で や が っ た !

廊下を曲がろうとした時後ろから声がしたかと思うと後ろからがばっと白銀さんに抱き締められた。

「ちょっ、白銀さんはなし…「心配!…したんですよ。」白銀さん?」

白銀さんから逃れようと暴れる僕に白銀さんはそう言った。


あれ?
なんか、様子が
変?

「草太郎くんはこの学校がどれだけ広いと思ってるんですか!
校長みたいに行方不明になってからじゃ遅いんですよ!

波華さんも今君を探してます。
萌にまで頼んだんですから…。

迷子になりませんでしたか?

職員室まで一人で辿り着けました?

帝先生に無理やり酒を呑まされたり…しませんでした、か?」

顔は見えないが最後の方は消え入りそうな声で白銀さんは言った。

そう言えば微かに体が震えてる…。


…心配をかけてしまったようだ。

『愚問ですね。
僕は例え奈落の底でも愛しのハニーのいる所ならどこへでもついて行きますよ。』

口ではあんなこと言ってたけどほんとは僕が迷うかも知れないと思ってついて来てくれたのかもしれない。

何気に白銀さんが言った心配事全て実行しちゃってるし…。

「職員室には葵井君や桐野先生それに、京介君もいたから大丈夫です…。
心配かけて、…ごめんなさい。」

僕がそう言うと白銀さんは安心したようにホッと息を付くと抱き締めていた腕を腰にまわした。

…ん?
腰にまわした!?

「ちょっと、白銀さんどこ触ってるんですか!」

「いえいえ、僕の演技にすっかり騙されてシュンとしているハニーも魅力的で、つい。」

はぁあぁぁあ!
演技?あれが!、またからかわれたのか、僕!

「ハニーがそこまで反省してるのでしたら僕が今から校内案内をして差し上げますよ。
…手とり足とりじっくり、ね。」

「結構です!
ってか離して下さい~!」

いつもの笑顔を貼り付けて言う白銀さんに僕は慌てて抵抗を再開するのだった。

ああー!もう、次は絶対信用しない!

□■□■□■□■

「はぁ…、たく、ネーゼはこれだから。」

物陰でこっそり二人のやりとりを見ていたボクはため息をついた。

『波華さん!ハニーが、草太郎くんがいません!』

『むぅ…逃げたねぇー。
まぁ大丈夫でしょ。』

『よく、ありません!
僕は萌にも連絡を入れますから。
波華さんも捜して下さい!!』

『ちょっ、ネーゼ?』

あんなに必死に愛しのハニー君を捜してたのに、いざ見つかれば…。

「ふふ、ホントに素直じゃないなぁー…。」

さて、萌くんに連絡を入れといてやるか。

next…

名城 蘭
16th[Dead or Alive]

そんなわけで、僕は職員室まで、葵井くん、桐野先生と行くことになったんだけど……
(どうやら桐野先生いわく僕の担任は職員室にいるらしい)

「キャハハ!草太郎君ったら本当かわいい~v
 白銀君が夢中なのもわかるわーvV」

助けて下さい桐野先生!僕は今、絡まれています。
もちろん不良とかじゃないけどさあ!正直反応しがたいよ!!
だって共通の会話が白銀さんしかないんだもの。
こんなんじゃ僕、職員室まで持つ自信がないよ!

そんなことを思って桐野先生に視線を送ると、気づいてくれたのか、頷いてくれた。
よかった、桐野先生ってネガティブで、病弱っぽいけどそんなところは気がついてくれるんだ。
そう思って胸をなでおろした。

「あ…葵井くん、そんなに質問攻めだと…来島くんが……疲れてしまうよ」
「なあに~桐野先生ったら、草太郎クンにヤ・キ・モ・チ?
 先生ったらキャワイイ~!」
「あ…いや、そうじゃ…なくて」

先生……立場弱いよ!!
いや、しかしありがたいことに先生はまだ諦めてないようだ。
僕は仕方なく起死回生を望もう。

「そんなに…したら、来島くんが…長期入院してしまうよ……」

…………僕、小さくても先生ほど病弱じゃないからね!!?
ココは前回も使った『第三者頼み』で行くしか……って、そうそう上手く行く訳が

「あれ、葵井君かい?」

本当に来た――――!!!

そう言ってやってきたのは背のそこそこある学生。
身長的に僕と歳が同じぐらいか?
暗い茶髪。黒縁眼鏡。柔和そうな笑み。
見るからに、優等生っぽい風紀を守っている格好。
きっとまともな人!そう望む!!いや、一人くらいまともな人がいるはずだ。
だってここ有名私立校だよねぇ!?

「キャー、佐野クンじゃなあぃvチョーひさしぶり!一体どうしたのん?」
「いや、今日は帝先生に呼ばれたんだ。入学式の手伝いにね。
 ところで、そっちの男の子は……?ウチの制服着てるけど見たことないね」

そういって、僕に向かって初めましてって挨拶をしてくれた。
だから僕はその、佐野さんに挨拶をしかえした。

「は、初めまして!僕は来島草太郎といいます!
 明日から、この学校の2-Cに編入します」

そう言うと、佐野君は手をポンっと叩いた。

「ああ、そうか君が帝先生が言ってた人だね。
 俺は佐野京介[さのきょうすけ]、俺も2-Cなんだ。よろしく」

人好きされそうな笑みを浮かべて言う。
握手を求められて困ったが、好感が持てる人だった。

「アハ!そうだ、もしよかったら佐野クン草太郎クンを職員室までつれってってんv
 そのほうが明日から同級生なんだしいいでしょ~!」
「ああ、いいですよ。俺も帝先生に用事があるから。あ、ちなみに、帝先生は俺たちの担任だよ。
 でも、いいのかい?来島君」
「僕も…その方がありがたい、ですね…行方不明の校長を……探さ、ないと」

もちろん異論なんてなかった。
だって、あきらかに佐野さんの方が(僕の身が)安全に着きそうだったから。
せっかく来てくれた葵井さんや、着いてきてくれた桐野先生には悪かったが、僕はお礼を言って佐野さんに着いていった。

「俺の佐野って呼びにくいだろ?だから京介って呼んでくれていいよ」
「え……じゃあ、京介君?」
「うん、そのほうがいいな。親しみもわくしね」

そう言いつつ、京介君はどんどん先に進んで行く。
僕もそれを駆け足でついていった。
すると、さほどもしないうちに職員室があった。
その扉を開くと、そこには……なぜか職員室なのにソファーがあった。

ためらいも躊躇もなく、失礼しますと京介君が言った後にソファーまで歩いて行った。
そして、そのまま僕を呼び寄せると女性が寝ていた。
スーツではないが、黒いTシャツに長ズボン、そして男物のジャケット。さらにはスニーカー。
洒落っ気なんか微塵も感じさせない人だった。
……きっと職員室にいる限りは先生だと思うんだけど。

「帝先生!起きてください。式が始まりましたよ。
 それに来島君も来ましたし、用事を済ませてください!
 あとは、今日位は式にもでるんですからちゃんとスーツを着てください」
「んー……なんや、来島が来たんか?
 あー、アンタが来島?私は城崎帝[しろさきみかど]。アンタの担任や」

ようやく起き上がりぼさぼさの頭をそのままで僕に、飲む?とグラスに入った飲み物を勧めてきた。
いただきます、ともらいつつ、帝先生って言うぐらいだから男だと思ってたな、なんて思った。
関西弁……だよね、向こうの方の先生なのかな?

「どや?美味いか?」
「あ、はい」

グラスの中身は少し変わった香りのする、白と茶色が混ざったような飲み物だった。
そう、ちょうど紅茶にミルクを入れたような。
それをちびちび飲んでいると帝先生は笑った。

「そうか、そらよかったわ。美味いやろ?
 それ、ミルク割の洋酒やねん」

ブ――!!!と一気に噴出した。

「うわ、何もったいないことしとんねん!」
「さすがにそれは先生が悪いですよ」
「どこがや。美味いんやったらええやん」
「未成年に酒を飲ませないで下さい!!……うえ、苦…」

後から苦さがしてきた。

「はいはい、しゃーないなあ。じゃあ、ちゃっちゃと手続き終えよか。
 メンドいけどしゃあないしなあ」
「その後は着替えて式にも出てくださいね」
「わかっとるって」

……こうしてようやく僕の編入手続きが始まった。
それにしても、これじゃあ、どっちが先生かわからないよ!?

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