本当に
大きな学校だ。
僕はキョロキョロと周りを見回しながら担任の先生を探した。
何処が何処だか分からない。
一体何処に行けば良いんだ?
くるくる回って占う訳にも行かないし。
(生憎僕は鉛筆でもなければボールペンでもないし、木の棒でもない。)
僕が考え込んでいると背後から。
「どうしたんだい?迷子かな?……さしずめ、『不思議の国のアリス』と言ったところかな?」
やたら気障(キザ)ったい声が聞こえた。
…僕
こういうの苦手なんだよね…。
そんなふざけた存在は白銀さんで間に合ってるっていうかさ。
(結構どころか大いに失礼だ。)
「あの…僕はただ単に担任の先生を探してるだけなんで。」
僕がウザそうにしながら相手の方を振り返ると
蒼白い肌
生気を失った髪の毛
乱れたワイシャツ
所々に絆創膏
手首から伸びるチューブ
そして先には点滴
…ダメだ。
この人…ダメ…。
立派な病人だ!!
ブレザーじゃないところから、生徒じゃないと見れるが
イヤだよ!!?
こんな病人な先生!
「そうだね…キミは…見た事がない…から、転校生だね。……だから僕は…キミの緊張を解こうとして…冗談めいた事を言ってみたんだけど…キミにとっては僕の冗談なんて部屋の隅から出て来た砂に混じった埃に等しい…ね。しかも表情からして…迷惑そうだし…僕みたいな社会のゴミは…ゴミらしくまとめて棄てられるべき…だよね…。」
しかものしかもで
超ネガティブ!!
(同時に点滴の液が沸騰してる!……まさかメーター?)
困ったぞ。
いきなり強烈な先生に出会っちゃったよ、僕!!
「あ…あの!僕、来島草太郎って言います!!先生は…?」
取り敢えず自己紹介で陰鬱な雰囲気から逃れなきゃ…
僕は耐えられなくなっちゃうよ!!
「僕は…。……桐野重継(きりの しげつぐ)って言うんだ…。名前に似合わず貧弱だろう…?小さい時からコンプレックスの一つとして残ってるんだ…。もっともっと…下賤な名前でも良かったのに…。……だから僕は…決めたんだ…。来世で、もっと似合う名前になろうって…。」
効果無し!!
というか最後自殺する為の遺言みたいなものがなかった!?
…ああ!!
カッターをポケットから取り出した!!
「ちょっと!!先生!一体何する気なんですか!!?」
「…見届けて…くれないか…?僕の醜く朽ちる瞬間…あと…来世に旅立つ瞬間を!!」
自殺はそんな描写で表せる程美しくないですよ!!?
ていうかライトノベル調だな、この先生って!!
「…ぅ…ああ…!!絶望した!!」
「それってある意味先生の同業者の名台詞ですよね!?」
パクっちゃいかんだろう!!
久米●康治先生に謝れえぇ!!
「それじゃあ…キミも…僕と…心中してくれるのかい!?」
「極端だなぁ!!この先生!!」
ああ…早くしないと授業に遅れちゃう。
でも…
この小説で死人なんて勿論出したくないというのも望みだし。
此処で望ましいのが
『第三者の介入』。
過去に数回あった手だ。
白銀さんと居た時によくあった…。
「って何僕他力本願なんだよ!?」
情けない…
未だに先生カッターを振り回してるし。
何処のコンビニ強盗さんだよ…。
すると。
来た。
『第三者』が。
「あらヤダ桐野センセー!また自殺未遂しちゃってるの!?」
え…
女…の子?
の割には
声が…男…。
まさか…オカマ!?
「あ…葵井くん…!!」
「んもう、桐野センセーったらいっつもスイッチ入ったら自殺未遂しちゃって~!そんな事したら、萌、桐野センセーの事嫌いになっちゃうゾvV」
ゾワゾワ…
な、なんだ…!!?
この奇怪な会話…
鳥肌が…!!
話が大体終わったのか、オカマさんが僕の方にやって来た。
「ハローにゃの♪来島草太郎クン♪萌の名前は『葵井萌(あおいい はじめ)』って言うのよ!あと萌、草太郎クンと違うクラスなんだけど、『同志』に頼まれちゃったもんだから案内しに来たの~♪」
違うクラスなのに来てくれたんだ…。
優しいなぁ…。
しかし。
気になる事がある。
いや
改造感あふれる制服よりも
それよりも。
「あの…『同志』って?」
「ああ、萌の同志?…キャハハ!『涼風白銀クン』よ!!全く…あそこまで必死な白銀クン初めて見ちゃった~♪」
…ああ、
AKB仲間。