JR西日本115系 広島・山口地区 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


115系、徐々にJR世代車両に置き換えられているとはいえ、JR東日本のE233・E231両系列と、JR西日本223系に続いて第四位の両数を誇ります。JRになった今でも国鉄型車両がなかなか減らない原因の一つである系列ですね。そんな115系、今回は広島・山口地区の115系を紹介します。いわゆる「國鐵廣島」と呼ばれる広島支社の115系は、一昔前はかなりのキワモノ・ゲテモ ノ・変わりモノが走る伝説の支社でした。今では関西地区から流れてきた113系への置き換えや、体質改善N30工事や転換クロスシート化実施により随分と体質改善が図られましたが、まだまだ迷列車じみた車両が残っています。今回は原型のボックスシートを備える編成・車両を中心に取り上げます。

C-32編成

 


まずはC-32編成を取り上げます。ボックスシート車の中では、割とまともな編成とも言えます。広島の115系の塗装は、かつて湘南色や瀬戸内色、JR西日本更新色をまとっていましたが、現在瀬戸内色がわずかに2本、更新色もそこまで多くなく、現在ではコスト削減のため、画像の末期色塗装化が進んでいます。一応地域塗装ではありますが、このヤッツケ仕事は多くの鉄道ファンを閉口させました。北海道に行くと「じゃあなんでそんなに黄色いんだよ」と言われそうですが、最近では見慣れてきた感じがありますね。慣れって怖い・・。


車内です。車内構成は先に上げた岡山地区 のボックスシート車と変わりません。
 

 


座席です。セミクロス配置のボックスシートです。モケットは張り替えられており、ベージュのモケットとなっています。シートピッチは狭く、1000番台以降のシートピッチ改善車と比べるとやはり狭く感じまます。そして、なぜか左側の肘掛が茶色となっています。何か意味があるのでしょうか・・。

車端部のボックスシートです。こちらも右側の肘掛が茶色になっています。近郊型車両と言えば、壁際の座席の横幅が狭い(いわゆるS席)のがほとんどですが、この車両、両側とも横幅が揃っているように見えます。なぜでしょうか。もしや、右側の座席も一緒に狭くされてはいませんよねぇ・・。

R-07編成

 
続いて紹介するのはR-07編成です。この編成、かつてはC-42編成を名乗っており、この車両の反対側先頭車であったクハ115-652は、廃車されるまでのしばらくの間、「営業用車両として残る最古の新性能電車」というレコードホルダーでした。しかしさすがにそれも長続きせず、113系改造の先頭車と差し替えられ、編成もR-07編成となっています。この編成のポイントはやはりこの車両です。
 

元々は白熱球の大目玉ライトを装備していたのですが、105系の忘れ形見であるシールドビームを取り付けられることになりました。しかし、白熱球ライトの台座を撤去せず上から増設したため、一段盛り上がった形状となっています。誰が言ったか「ちくビーム」と言われ、末期色塗装も相まり「黄チクビ」と言われる始末。とっておきは、この車両、中はボックスシート車なのですが、他の3両は全車両転換クロス化されているということ・・。


その車両はクハ115-199を名乗り、115系では珍しい0番台の生き残りです。


そして、0番台の特徴である、非ユニット窓が残っているのも特筆出来ます。比較のため、下にユニット窓の画像を並べてみました。角が丸くなっているのが特徴で、全国でもかなり貴重な絶滅危惧種となっています。

車内です。中は先ほどのC-32ではモケット張替えの他に化粧板も白色のものを使用していましたが、この車両ではモケットこそ張り替えられていますが、アイスグリーンの化粧板が健在です。これはこの車両が元々非冷房であったため、夏場は気持ちだけでも涼しく感じてもらうためにこうなったと言われています。まぁ暑いものは暑いんですけどね(^^;;
 


ドアです。さすがに塗りドアではありませんが、半自動ボタンなどは設置されておらず、半自動扱い時は手でガラガラ開けて出入りすることになります。そういえば、新潟の弥彦線で運用されている編成の一部には、まだ塗りドアが残っているそうですね。一度見に行ってみたいものですが、新潟は遠いですねぇ・・。


車端部です。ここに来ると一層化粧板のアイスグリーンが目立つと思います。ロングシートの向こうには左側にトイレ、右側にボックスシートが配置されています。


最前面です。ここは特に0番台の特徴が現れていますね。車掌台側の窓は国鉄近郊型電車としては大き目となっており、何より右側の座席を見てみると、運転台仕切り用のポールが入っているのが分かると思います。これは右側の仕切りが可動式であることを物語っています。この車両が中間に入った際、右側の仕切りを動かし、車掌台側を客室として解放できるようにしていたためです。同様の構造は近鉄2410系・2430系 でも見ることが出来ます。


天井です。蛍光灯は剥ぎ出し、本数も少なめです。冷房装置が中央にでーーんとぶらさがっているため、かなり閉鎖的に見えますね。

窓です。非ユニット窓と言えど、内側から見る分にはあまり変わりません。
 


この車両の特徴の一つ、美しい曲線を描いたかまぼこ型持ち手です。今全国で多数派を占めているのは上のC-32編成のような大き目で四角形をした形状ですが、初期の車両はこのような形状となっていました。京阪神地区の113系ではまず見ることが出来ない希少な逸品です。

ドア横のロングシートです。2人掛けですね。座り心地としては、初期の新性能電車らしいものですね。1000番台や2000番台などは長距離でも耐えうるよう、背ズリに厚みを持たせて角度が付けられているものの、この座席はそれと比べると背ズリが小さく切り立っています。故に長距離ではなるべく避けたい座席と言えます。奈良・和歌山地区で走る105系 4扉車 を思い出しました。
 


そして先ほどの最前面直後にある3人掛けです。優先座席に指定されているため、西日本独自のピクトグラムが散りばめられたモケットとなっています。そして前述の通り、乗務員室の仕切りは可動式となっていたため、壁側にも袖仕切りのパイプが走っています。今では併結しても貫通はしないのでしょうし、この仕切りが動くこともなさそうです。一度は見てみたいなぁ・・。


車端部の座席です。ロングシートは3人掛け、ボックスシートは向かい側にトイレがあることを考慮しての配置でしょう。


さ~て、続いてはトイレで・・あ、あれ!? トイレ!!??


・・はい、この車両、元々はトイレがありましたが、現在ではきれいさっぱり無くなっています。残るのは何とも懐かしい橙色の照明のみで、非常に哀愁漂う区画になっています。それよりも、トイレは4両編成の反対側、下関寄りにあります。トイレだと思って近寄ってみたらこの有様、とっても悲惨な光景が予想されそうです(震) 特にトイレ跡だからと言って臭いが残ってるわけではありませんが、不自然なスペースですし、どうして完全に撤去してしまわなかったのでしょうか。ちなみに、この中のみ、化粧板が柄入りとなっています。なぜかこだわり(^^;;


というわけで、この車両の乗務員室側に行って見ました。何やら薄く消えかけの文字が書かれてあったので読んでみますと、「この列車は、自動販売機で清涼飲料水を販売しています」と書かれています。ということは、あのスペースには元々自動販売機があったということですね。そして撤去された現在ではそのままと・・。それでも、JRが運賃のみで利用できる列車に自動販売機を設置していたのですね。少し意外です。

C-16編成

夕暮れ時で影が入ってしまいました(><) 続いてはまたもC編成、C-16編成を取り上げます。ターゲットはクハ115-218です。この車両も数少ない0番台のクハでして、中はボックスシートなのですが・・。


ということで車内です。・・うん、確かにボックスシートですが、何やら様子がおかしいです。この車両は閑散地区用車体質改善工事というものが施された先行試作車的車両です。かつては4両が存在していましたが、現在は2両にまで半減しています。


ドアです。半自動扱い時は手動なのは変わりません。しかしドア横が広いなぁ(^^;;

車端部です。仕切り扉は昔ながらの窓が小さいタイプですね。
 


最前面です。こちらもクハ115-199同様、(かつては)開閉可能な乗務員室仕切りが残っています。元々は運転台側にも窓があったようですが、機器類の増加により埋められてしまったようです。


天井です。こちらはあまり変化が無いようです。つり革や荷棚を支える棒が白のペンキで塗装されているのも懐かしいです。


さてこの車両で一番の特徴が座席にあります。ドア間のボックス配置セミクロスシートを全て取り払い、大型でバケットタイプのボックス席8人掛けとしています。独特な持ち手・肘掛となっており、ヨーロピアンな雰囲気をかもし出しています。JR東日本215系 のクロスシートを思い出しますね。形状は全く違いますが・・。ちなみに窓割りは全く変わっていないため、中央の座席は合わせられていますが、ドア横の座席はシートピッチ拡大に伴い戸袋にかかっています。面白いのは、テーブルが座席中央に合わせてずらされていることですね。同形状の座席は、遠く金沢周辺で活躍している415系800番台でも見ることが出来ます。ロングシートが減った分シートピッチも広めに取られており、旧来のボックスシートよりは幾分快適に移動できると思います。ただ着席定員は車両単位では12名分も減少しています。混雑する時期・時間帯・走行区間では座れるかどうか、かなりの運試しとなります。そもそも割と広い広島支社管轄のの山陽本線、いつどこで遭遇するかは分からず、なかなか神出鬼没な車両と言えるでしょう。

肘掛・座面部分をアップで。窓側と通路側、座面の盛り上がり方が違っているのが分かります。座り心地から言わせてもらうと、「座面が残念」でしょうか。多くの座席に言えることが、座面が前方向に傾斜しており、足で踏ん張らないと座っていられないような好ましくない体勢となってしまうため宜しいとは言えません。そしてバケット形状にはなっているもののコシが足らないと言うか、なんだかフニャフニャです。しっかりハリを持たせて、後ろ方向へ落とし込む形状にすれば、これはこれで悪くない座席になると思うのですが・・。「放置プレイ」が常套手段である広島支社、その手の面倒なメンテは・・やらないでしょうねぇ・・。
 


座席部分を単体で。かつて背面には簡易座席が設置されていたようです。現在では台座のみとなっていますが、その気になれば台座にも座ることが出来ます。減少した座席定員分はこちらで(違)


車端部はセミクロス配置のまま残っています。またボックスシートは優先座席に指定されており、緑のカバーが掛けられています。


ロングシートは3人掛けです。やはり0番台共通の背ズリの切り立ったロングシートとなっています。

なお、反対側の先頭車も0番台ですが、通常のボックスシートとなっています。ちなみに中間車は体質改善工事が施された転換クロスシートとなっています。1編成で3つの車内が楽しめる編成もなかなかいないですよね。
 


ボックスシートです。この車両にもカマボコ型の取っ手が残っています。そして、なぜだかこちらにはテーブルがありません。どうして撤去してしまったのでしょうか・・。中央の4つのビスは、灰皿を撤去した跡です。

~おまけ~
先ほどC-32編成は「割とまともな編成」と書きましたが、実はこの編成の岡山寄りの車両のトイレも撤去されています。ただ、化粧板は車内と同じ白色系にされているためまだ浮き方が小マシですね。コンセントがありますが、多分通電していません。していたとしても、ここで携帯やPCを充電するのは止めた方がいいと思います。車両も古いですし、恐らく電圧は安定していませんので、下手をすれば電子機器が逝っちゃいます(^^;;



今後新系列、227系が導入され、広島・山口地区にもとうとうJR世代の車両が導入されます。その際には、これらの古い編成は続々置き換えられていくと思います。この風景もまもなく見納めとなりますので、乗車・記録はお早めに。

 

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