①別府鉄道キハ2②別府鉄道野口線跡③野口駅跡④国鉄山電立体交差⑤高砂線尾上駅跡⑥加古川橋梁跡
訪問日:2021年5月
所在地:兵庫県加古川市・高砂市
多木製肥所(現・多木化学)の初代社長・多木粂次郎(1859-1942)は加古郡別府村(現・加古川市)の農業・醤油醸造業・魚肥商などを営む家に生まれた。
明治18年(1885)日本初の人造肥料として蒸製骨粉の製造を開始、大正7年(1918)法人組織に改組、株式会社多木製肥所を設立、「肥料王」と呼ばれた。
大正10年(1921)には自社製品輸送用として当時の播州鉄道野口駅ー別府港駅(現在のイトーヨーカドー付近)ー港口駅を結ぶ軽便鉄道野口線を敷設・開業する。
開業当時は播州鉄道(のち播丹鉄道)に直通して加古川駅に乗り入れていた。大正12年(1923)には別府港と直接山陽本線土山駅に連絡する土山線を開業。
これにより野口線の貨物は減少し、旅客営業主体の路線となった。粂次郎死後の昭和18年(1943)播丹鉄道が国有化(国鉄高砂線)されると、乗り入れは中止される。
野口線は昭和20年(1945)には不要不急線に指定されて資材供出のため全線休止、社名を別府鉄道と改めた翌年の昭和22年(1947)全線再開された。
しかし両路線とも旅客輸送は近代化されず、別府に乗り入れる山陽電鉄とは列車本数・スピードとも勝負にならなかった。
1980年代になると、国鉄の貨物営業の合理化・縮小により、国鉄土山駅の貨物取扱が中止、受け渡し輸送ができなくなった。
これが致命傷となり、昭和59年(1984)2月、別府鉄道は両路線とも廃止となった。同年12月には国鉄高砂線もまた廃止された。
別府鉄道の路線跡は道路や遊歩道などとして現在も明瞭に確認でき、野口ー別府ー土山のLRT敷設計画があるとかないとか、、、。
以下、現地案内板より
高砂線野口駅の歴史
大正2年12月1日 播州鉄道加古川町〜高砂口間開通時に開業
大正10年9月3日 別府軽便鉄道野口駅開業
昭和18年6月1日 播丹鉄道会社線全線鉄道省に買収され高砂線となる
昭和59年11月30日 日本国有鉄道高砂線廃止
昭和63年4月2日 特定地方交通線代替バス輸送転換開始
お知らせ
各位
昭和59年1月31日(火)で当社線の運輸営業を廃止させていただくことになりました。長い間御利用、御愛顧いただき誠に有り難うございました。
心から厚く御礼申し上げます。
昭和59年1月25日 別府鉄道株式会社