父との想い出 ~テレビ鑑賞編~ エッセイ風雑談
幼い頃、父の寝室にあった小さなテレビで、よく子供番組を見ていた。日曜の朝はカルピス漫画劇場や実写版ヒーロー戦隊もの、夕刻からは世界名作劇場やロボットヒーローものなどが立て続けに放送されるので子どもながら毎週楽しみにしていた。早朝から深夜まで働いていた父とは、となりの工場に居るにも関わらずご飯時以外はあまり会うことがなかったので、そうしてたまに一緒にテレビを見てくれることも楽しみだった。が、父は大変 うるさかった。最後、崖から落ちて炎上する敵の車を見ては「あんな風に爆発するには、ガソリンのタンクの残量と空気の混合割合がどうのこうの。いつも爆発するとは限らん」とかマジンガーZが敵に攻撃されてダメージを受け、主人公が「うわあっ!!!!」と叫び声を上げるたびに「別に本人が直接なぐられてへんのに、なんで痛いんや」とかのチャチャを入れるので、中身に全然のめりこめなかった(笑)ある朝、「フランダースの犬」の最終回を見ていた。ネロとパトラッシュが、教会のルーベンスの画の前で神に召されるあの有名なシーンである。突然、父が号泣しだした。「なんで誰も助けたらへんのんや!あの二人(ネロとパトラッシュのこと) ここに連れて来ーいっ!わしが面倒見たるっ」 と叫ぶのを「あんた何言うてんの、テレビの中の話やないの」と母に冷たく言われていた。長じて「ほたるの墓」を見たときもおいおい泣いて、同じことを言っていた。ほんとうに面白い父であったなと思う。--------------------------------------お読みいただきありがとうございました。本日よりパート仕事開始で、初出勤となります。お返事が難しくなり心苦しいので、コメント欄を閉じさせていただいておりますが何卒ご了承くださいませ。<m(__)m>