流されるまま
ちょっとした小山の山頂の墓地へ流れ着く。
和尚の何語かすらも判らない儀式を聞き流しながら
辺りを見渡しつつ、時が過ぎるのを待つ。
自分の隣にいた一番上の長男は
この納骨をどういう気持ちで見守っていたのだろう。
文にすると変な言い方だけど、
父方の家では弟は長男なので
この一連の葬儀では彼が喪主で
墓に骨壺を収めるのは喪主の役目。
彼は墓に骨壺を収めようと
肩辺りまで腕を墓に突っ込むのだが
彼はそのまま、
墓に腕を突っ込んだまま
動けない。
骨壺から、
その手を離せない。
そう、、。
彼にとっては、これが最後の最後の
本当のお別れなのだ。
なのに、
何と言うか残念な事に、
自分はそんな事よりも
自分の目の前に立っている
背を向けた誰だか判らない親戚の
爺様の肩に止まったアブの方が
気になって気になって仕方がないのだ。
この温度差はなんだ、、
自分の冷静さに呆れでもするべきなのか?
いや、
それも無理か。
この時に気が付いたよ。
思い出が無いと悲しむ事も出来ないんだな。
そういう事なんだなと。
妙に納得した。
何か決定的な物を認識してしまった感を抱えて下山する。
また先ほどの母屋に集まり
食事と酒が出され、
喪主である弟の最後の挨拶が始まる。
色んな感情や人間関係や思惑が入り乱れている。
ある意味異様とも言えるその空気の中、
弟はそれを察して
「残った人間だけでも仲良くしていきましょう」
と挨拶を締めくくる。
うん。かっこいいぞ。
さすが自分の弟だ。
まだ話した事も無いけど。
葬式弁当を食べながら
誰が誰やら判断がつかないまま
飲まし飲まされしていると
弟が近づいてきて
話しかけてくれる。
出方が解らなかったので助かったよ。
「これ知ってますよガンズですよね」
と自分のアタッシュのステッカーを差すのだが
いや、これは S.O.D. だよ、十字逆だし、
とか言っても解らないだろうから言わなかったけど
えーやん、兄弟なんやし敬語とかやめてーと伝える。
なんと弟も音楽をやってて彼のバンドのギターが
ガンズとか好きらしい。
え?
lml[I_I]lml
母屋内で色んな人を何人も
次から次へと、
これが親戚の何々の何々で、
と紹介されるんだけれども
全然覚えられない。
どうやら親父は再婚後に婿入りしたらしく
それで苗字が変わってしまったらしい。
ただでさえ複雑な心境なのに
人間関係、血縁関係もぐちゃぐちゃでね。
自分の事なんか忘れても、
それなりに幸せに過ごしてて欲しいな
なんておめでたい事を
なんとなく考えてたんだけどね
甘かったな。
人が死ぬって簡単じゃないね。
どう挨拶していいかも判らない流れの中
位牌のある間に通される。
その位牌を見た瞬間、
自分はそこに崩れた。
やっと会えた。
やっと会えた。
そんな物、ただの木で作られた札でしかなくて
そんな場所にいるどころか
とっくに死んでるのに
そんな事解ってるのに、、
自分でも意外だった。
この時始めて泣いた。
立てなかった。
自分で自分にすごく驚いた。
ずっと自分自身に気持ちを隠してた事を、
そしてもう
どうやっても取り返しがつかないって事に
ようやく気が付いた。
自分はこういう行事にうといが、
49日は納骨の日らしい。
この家の裏山に墓地があるらしく
全員でその山奥へ向かう。
スーツで登山かよ。
無神論者な自分は
死後の魂が云々、なんて話は一切信じて無い。
死んだらそれで終わりだから
骨や墓なんてどうでもいいのだ。
生きてる間にしか意味なんて無い。
lml[I_I]lml
次から次へと、
これが親戚の何々の何々で、
と紹介されるんだけれども
全然覚えられない。
どうやら親父は再婚後に婿入りしたらしく
それで苗字が変わってしまったらしい。
ただでさえ複雑な心境なのに
人間関係、血縁関係もぐちゃぐちゃでね。
自分の事なんか忘れても、
それなりに幸せに過ごしてて欲しいな
なんておめでたい事を
なんとなく考えてたんだけどね
甘かったな。
人が死ぬって簡単じゃないね。
どう挨拶していいかも判らない流れの中
位牌のある間に通される。
その位牌を見た瞬間、
自分はそこに崩れた。
やっと会えた。
やっと会えた。
そんな物、ただの木で作られた札でしかなくて
そんな場所にいるどころか
とっくに死んでるのに
そんな事解ってるのに、、
自分でも意外だった。
この時始めて泣いた。
立てなかった。
自分で自分にすごく驚いた。
ずっと自分自身に気持ちを隠してた事を、
そしてもう
どうやっても取り返しがつかないって事に
ようやく気が付いた。
自分はこういう行事にうといが、
49日は納骨の日らしい。
この家の裏山に墓地があるらしく
全員でその山奥へ向かう。
スーツで登山かよ。
無神論者な自分は
死後の魂が云々、なんて話は一切信じて無い。
死んだらそれで終わりだから
骨や墓なんてどうでもいいのだ。
生きてる間にしか意味なんて無い。
lml[I_I]lml
「おー、」「お前らか?」
ゆっくりと腰を降ろし
「・・・・よー来たのー。」
と話始めたその男こそ
親父の弟で、
今回の葬儀やその他、
自分達への連絡等もしてくれた叔父だった。
ゆっくりと
いかに彼にとって兄(自分達の父)が大事だったか
いかに仲良しだったか
兄の死がどれほど叔父にとって堪え難く
そしてつらい物かを、、、
それなのに初めて一緒に入れ墨を彫りに行って
血だらけで電車に乗った話や
その他上品とは言えない笑いのセンスを交えながら
語ってくれるその語り口が、
何故なのかはいまだに解らないけど
懐かしさを感じさせてくれ、
あー、、、
この人、親戚なんだな
と実感した。
帰って来たんだな、自分。とすら思った。
そして叔父は二枚の写真をテーブルに置く。
左の一枚を見た瞬間、
それを撮られた時の事を思い出す。
まだ自分が『保育園』と言えず
ホークエンと言ってた頃のある朝
バイクで送ってくれる母が
楽しくもなさそうな顔で
写真を撮ると言い出す。
何事か解らず
団地によくある水色の鉄扉をバックに
怪訝な顔のまま
写真に納まったその保育園児は
三十年の月日を経て
その写真の意味を知る。
この写真と兄の写真が入った古財布を
いつも車のダッシュボードに入れていたんだそうな。
もうね、、、。
これだけでよかったね。
全てを許してもいいような気にさせられたね。
それくらいの破壊力あったね。
まいったよ。 完全に忘れてた訳じゃなかったんだね。
「そろそろ行くかの」
叔父の一声で皆の衆とともに
事務所から母屋へ移動する事に。
その道すがら、
自分達を出迎えるように立っていた人々の中に
赤く、パンパンに泣き腫らした顔に
さらに満面の笑顔を浮かべ、
目をキラキラさせてこっちを見つめる男がいた。
そのどっちだか判らない異様さに
目を合わせられずに通り過ぎたけど、
すぐに判った。
あれが弟なんだなと。
lml[I_I]lml
ゆっくりと腰を降ろし
「・・・・よー来たのー。」
と話始めたその男こそ
親父の弟で、
今回の葬儀やその他、
自分達への連絡等もしてくれた叔父だった。
ゆっくりと
いかに彼にとって兄(自分達の父)が大事だったか
いかに仲良しだったか
兄の死がどれほど叔父にとって堪え難く
そしてつらい物かを、、、
それなのに初めて一緒に入れ墨を彫りに行って
血だらけで電車に乗った話や
その他上品とは言えない笑いのセンスを交えながら
語ってくれるその語り口が、
何故なのかはいまだに解らないけど
懐かしさを感じさせてくれ、
あー、、、
この人、親戚なんだな
と実感した。
帰って来たんだな、自分。とすら思った。
そして叔父は二枚の写真をテーブルに置く。
左の一枚を見た瞬間、
それを撮られた時の事を思い出す。
まだ自分が『保育園』と言えず
ホークエンと言ってた頃のある朝
バイクで送ってくれる母が
楽しくもなさそうな顔で
写真を撮ると言い出す。
何事か解らず
団地によくある水色の鉄扉をバックに
怪訝な顔のまま
写真に納まったその保育園児は
三十年の月日を経て
その写真の意味を知る。
この写真と兄の写真が入った古財布を
いつも車のダッシュボードに入れていたんだそうな。
もうね、、、。
これだけでよかったね。
全てを許してもいいような気にさせられたね。
それくらいの破壊力あったね。
まいったよ。 完全に忘れてた訳じゃなかったんだね。
「そろそろ行くかの」
叔父の一声で皆の衆とともに
事務所から母屋へ移動する事に。
その道すがら、
自分達を出迎えるように立っていた人々の中に
赤く、パンパンに泣き腫らした顔に
さらに満面の笑顔を浮かべ、
目をキラキラさせてこっちを見つめる男がいた。
そのどっちだか判らない異様さに
目を合わせられずに通り過ぎたけど、
すぐに判った。
あれが弟なんだなと。
lml[I_I]lml