父と死と血と人(7/10) | セトのブログ

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歌と英語と作曲と。

流されるまま

ちょっとした小山の山頂の墓地へ流れ着く。

和尚の何語かすらも判らない儀式を聞き流しながら

辺りを見渡しつつ、時が過ぎるのを待つ。


自分の隣にいた一番上の長男は

この納骨をどういう気持ちで見守っていたのだろう。

文にすると変な言い方だけど、

父方の家では弟は長男なので

この一連の葬儀では彼が喪主で

墓に骨壺を収めるのは喪主の役目。

彼は墓に骨壺を収めようと

肩辺りまで腕を墓に突っ込むのだが

彼はそのまま、

墓に腕を突っ込んだまま

動けない。

骨壺から、

その手を離せない。


そう、、。

彼にとっては、これが最後の最後の

本当のお別れなのだ。

なのに、

何と言うか残念な事に、

自分はそんな事よりも

自分の目の前に立っている

背を向けた誰だか判らない親戚の

爺様の肩に止まったアブの方が

気になって気になって仕方がないのだ。



この温度差はなんだ、、

自分の冷静さに呆れでもするべきなのか?

いや、


それも無理か。


この時に気が付いたよ。


思い出が無いと悲しむ事も出来ないんだな。


そういう事なんだなと。


妙に納得した。




何か決定的な物を認識してしまった感を抱えて下山する。

また先ほどの母屋に集まり

食事と酒が出され、

喪主である弟の最後の挨拶が始まる。

色んな感情や人間関係や思惑が入り乱れている。

ある意味異様とも言えるその空気の中、

弟はそれを察して


「残った人間だけでも仲良くしていきましょう」


と挨拶を締めくくる。


うん。かっこいいぞ。

さすが自分の弟だ。

まだ話した事も無いけど。


葬式弁当を食べながら

誰が誰やら判断がつかないまま

飲まし飲まされしていると

弟が近づいてきて

話しかけてくれる。

出方が解らなかったので助かったよ。

「これ知ってますよガンズですよね」

と自分のアタッシュのステッカーを差すのだが

いや、これは S.O.D. だよ、十字逆だし、

とか言っても解らないだろうから言わなかったけど

えーやん、兄弟なんやし敬語とかやめてーと伝える。

なんと弟も音楽をやってて彼のバンドのギターが

ガンズとか好きらしい。


え?
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