父と死と血と人(5/10) | セトのブログ

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歌と英語と作曲と。

「おー、」「お前らか?」



ゆっくりと腰を降ろし

「・・・・よー来たのー。」

と話始めたその男こそ

親父の弟で、

今回の葬儀やその他、

自分達への連絡等もしてくれた叔父だった。


ゆっくりと

いかに彼にとって兄(自分達の父)が大事だったか

いかに仲良しだったか

兄の死がどれほど叔父にとって堪え難く

そしてつらい物かを、、、

それなのに初めて一緒に入れ墨を彫りに行って

血だらけで電車に乗った話や

その他上品とは言えない笑いのセンスを交えながら

語ってくれるその語り口が、

何故なのかはいまだに解らないけど

懐かしさを感じさせてくれ、

あー、、、

この人、親戚なんだな

と実感した。

帰って来たんだな、自分。とすら思った。


そして叔父は二枚の写真をテーブルに置く。

左の一枚を見た瞬間、

それを撮られた時の事を思い出す。


まだ自分が『保育園』と言えず

ホークエンと言ってた頃のある朝

バイクで送ってくれる母が

楽しくもなさそうな顔で

写真を撮ると言い出す。

何事か解らず

団地によくある水色の鉄扉をバックに

怪訝な顔のまま

写真に納まったその保育園児は

三十年の月日を経て

その写真の意味を知る。


この写真と兄の写真が入った古財布を

いつも車のダッシュボードに入れていたんだそうな。


もうね、、、。

これだけでよかったね。

全てを許してもいいような気にさせられたね。

それくらいの破壊力あったね。

まいったよ。 完全に忘れてた訳じゃなかったんだね。



「そろそろ行くかの」

叔父の一声で皆の衆とともに

事務所から母屋へ移動する事に。


その道すがら、

自分達を出迎えるように立っていた人々の中に

赤く、パンパンに泣き腫らした顔に

さらに満面の笑顔を浮かべ、

目をキラキラさせてこっちを見つめる男がいた。

そのどっちだか判らない異様さに

目を合わせられずに通り過ぎたけど、

すぐに判った。


あれが弟なんだなと。

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