本日大々的に取り上げられていますね。
公立福生病院での透析治療中止の件。下記の記事です。
医師が「死」の選択肢提示 透析中止、患者死亡 東京の公立病院
詳細は現場でないとわかりませんが、いくつか問題点が存在すると考えられます。
①抑うつ神経症の既往があったならばうつが意思に影響を与えている可能性を精神科等の専門家にもコンサルトして除外する必要があったのではないか。
福生病院は精神科が存在します。チームに入れて相談するのが良かったでしょうね。
何度かこのブログでも書いているように、うつ病から改善すると180度「意思」が変わることも経験します。
「死にたい」「治療を受けない」と仰っていたのが、「やっぱり生きたい」となるのです。
私が経験してきた事例でも、うつの可能性を除外せずに、「はい、そうですか」とその時の希望通りにしていたら、そこで療養は終わっていました。
うつが改善し、「なぜあのように死の観念にとらわれていたのかわからない」とお振り返りになり、治療を再開して、何年も生きられて、「生きてよかった」と後日伺うこともあります。
意思というのは難しいものなのです。
②耐えがたい苦しみが出る可能性は予見できたので、十分それを説明し対応を相談しておくべきではなかったか。
福生病院には緩和ケア医はいなかったようです。
透析をしない腎不全においては、耐え難い苦痛も出現することは予測できたはずです。
症状緩和の専門家をチームに入れることができたら良かったでしょう。
苦しかったために、これならば透析を再開したいと迷った部分もあるでしょう。
十分な緩和ケアの支援がない治療の中断は、場合によっては大きな苦痛の出現を招くこともあるのです。
③気持ちは揺れるのでいつでも方針が変更可能なことは最初に保証できた。その場合の手続きも決められた。
後付けではありますが、一度透析再開をして、そこから考えることもできたでしょう。
最初の意思表示を「正気の意思」として100%取りすぎたきらいもあるのではないかと考えられます。
④言葉尻をとらえられたのかもしれないが「透析をしている人は終末期」は元気な透析者を鑑みるに広義な定義すぎやしないか。
何とも言えませんが、同じように促されて話したかもしれない担当医の次の「透析観」
「十分な意思確認がないまま透析治療が導入され、無益で偏った延命措置で患者が苦しんでいる。治療を受けない権利を認めるべきだ」
の”十分な意思確認がないまま透析治療が導入され、無益で偏った延命措置で患者が苦しんでいる”は、当てはまるケースもあれば、それに当てはまらないケースもあるでしょう。しかもこの亡くなった方が「十分な意思確認がないまま透析治療が導入され」たのかはわかりません。
⑤本件はがんの終末期と異なり時間の猶予があるのでもっと相談・決定に時間をかけても良かった印象もあります。緩和ケアマインドのある医療者が複数関与していたらよりプロセスが丁寧に辿れたと考えられますね。薬を使うだけが緩和ではないです。
いっぺん仕切り直して丁寧に再度プロセスを踏んでも良かったのに、担当医としては最初の意思が絶対的意思であると判断してしまったのでしょうかね。
腎不全の最終末期は、せん妄にもなりえます。
ご主人に送ったというLINEを見ても、意識の混濁がうかがわれます。
そのような状況で、細かく論理的な判断はできないことも多いです。
そうなることは予見できるのですから、再開すると気持ちが変わった際にどうしたら良いのかという手続きも踏まえて十分情報提供され、いつでも撤回が可能なことを提示・認識してことに臨むのが良かっただろうと考えられます。
後付けでいろいろ言うのは難しいですが、意思決定は「プロセスが大切」であり、様々な医療者が丁寧に相談を重ねて決めていくことができれば、もちろん良かったと考えられますね。
人の気持ちは揺れます。
家族も揺れます。
それに寄り添った手続きや、症状緩和が専門家の手に依らなかったことなど、振り返らなくてはいけないことがたくさんあるのではないかと感じる一例と考えます。
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