やっと、なでしこリーグが始まりました。私も久々の投稿。
 
従来なら、1・2節、17・18節は、前年の上位と下位の組み合わせなのですが、
今年は新型コロナウィルスで、第2節までを近場優先に再編成したため、
上位チームにも開幕戦をアウェーで向かえるチームも出ています。
 
そんな昨年3位のI神戸を、昨年4位の伊賀FCが準ホームグラウンドの鈴鹿に向かえて、7月18日に行われた試合を、まずピックアップします。
 
伊賀FCは昨年と同じシステムで、同様のメンバー。
前線からのプレスを優先すれば、予想できたメンバーで、9道上選手はベンチスタート。
 
今季は交代枠が5。
前線の消耗が激しい伊賀FCのシステムにとって、アタッカーの豊富な駒数を生かせるレギュレーションと言える。
が、昨シーズン後に下條選手が抜けた。
下條選手は、得点で大きな期待はできないが、前線で追い回す力は、伊賀FCで最高だと私は評価していた。
特にI神戸のような上位チームは、バック陣が巧みなボール回しをするので、
両ウィングは19安齋選手との組み合わせが基本になっていた。
下條選手抜きでも、粘り強くチェイシングできるのか?そこを、当面注目していきたい。
 
 

一方のI神戸は、移籍で獲得した9田中美南選手、15坂口萌乃選手が先発。
昨秋から怪我で出場していなかった3鮫島選手も戻ってきている。
GKは21スタンボー選手起用だが、伊賀FCに追い回されても落ち着いてできるかが、この試合の見所の一つ。

ところで、7中島選手・13仲田選手・14京川選手・28八坂選手がベンチにもいない。
レギュレーションではベンチ7名のところ、6名しか入っていなかったので、「使えない」と言うことか?
 
シーズン序盤の私の注目は以下の2点。
① アタッカーの(前監督的な)駒数問題
昨年は、アタッカーを交代させずに、大事な試合の終盤に息切れ・失点が目立ったI神戸。
イ・ミナ選手は抜けたが、エンゲルス新監督になって9田中選手と若い27ファン・アヒョン選手で問題解決となるのか?
② 豊富なボランチの起用方法
OFFに獲得した16西川彩華選手を含め、だぶつき気味のメンバーを、どう新監督が生かしていくのか?
 
 
 
さて試合は、I神戸が試合をコントロールし続け、完勝。今年のI神戸は明らかに違う。
① 伊賀FCのハイプレスに的を絞らせなかった。
ウラへ抜け出す選手へ5三宅選手からのフィード、2守屋選手のいなし、長短織り交ぜたパスワークなどが効果的だった。
攻撃に流れが有った。
9田中選手のポストプレーや、2列目のウラへの抜けだしで、伊賀FCバックス陣を翻弄。
停滞感はほとんど無かった。
③GKスタンボー選手も無難だった。
ファインセーブも有ったし、ビルドアップも怪しかったのは1本だけかな?
 
9田中選手がI神戸移籍初得点をあげたし(PKをセーブされたけど)、良いシーズンスタートが切れたのではないか?
だが、途中退場した15坂口選手の怪我が心配だし、前述の4人のこともあって、
実は火の車で、この勝利を素直に喜べない状況かも知れない。
 
 
負けた伊賀FCだが、昨年のリーグ戦では、I神戸に対し勝ち点4。
2試合とも互角以上の戦いができていた。
が、この試合は全く違っていて、点差こそ1点だが、勝てる要素のない試合だった。
でも、伊賀FCの出来が悪かったのではなく、I神戸が変わっていたのだと思う。
 
また、昨年秋の対浦和戦でも感じたが、研究されてハイプレスが躱されている。
I神戸のようなチームに、開幕戦として、照準を合わせ準備されると、厳しいのだと思う。
練習の通りにプレスで追い詰めて奪取したのは、後半の1本だけじゃなかったのかな?
 
攻撃面でも9道上選手を投入し、起点を作ろうとしたが、他のアタッカー陣が押し上げられずに孤立してしまった。
 
 
 
ところで、審判はつらいのだろう。
Jリーグでも再開後、疑問がついていたが、この試合も判定がいつもより気になった。
プレシーズンマッチもほとんど無かったようだし、選手たちより、新型コロナの影響が出ているのだと思う。
審判の方々には、早く感を取り戻してもらいたいものである。
 

得点:
54分(53:30~) (50m右)17増矢(35m右ライン際)10岩渕(~25m右→8m右)9田中(シュート)

~:ドリブル

 YouTubeポインタ操作 前半:+14:56 後半:+30:53

 

その他主なチャンス

  SB:Shoot Block SC:Shoot Cut S:Save FS:Fine Save B:Bar P:Post
  F:Free(GKと1対1など)


伊賀FC
CK12:07~,18:53~FS,CK19:32~,CK20:52~,27:25~,CK27:59~,CK28:34~
FK59:30~SB,CK62:39~,82:05~S
 
I神戸
00:52~,03:14~SB,CK04:05~,05:59~F,07:55~S,09:00~,21:45~S,CK22:32~,PK24:12~S,FK30:52~,35:35~,CK36:25:~,CK39:29~,44:31~
CK46:14:~,FK47:30~S,49:05~SB,49:20~SB,58:35~S,76:32~,CK80:14~,CK80:36~,81:32~S,CK84:44~
 
では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく。
 

(1)両チームのディフェンスシステム
 
伊賀FCは大嶽体制3年目、ゾーンディフェンスで、10人守備。
この試合では、4-2(+2)で、9田中選手に13宮迫選手、5三宅選手に2畑中選手をマンマークで付けた。
失点してからは、交代で入った9道上選手を前線に残し、9人守備。
 
I神戸は9人守備でマンツーマン、2人のゾーン固定。

ちなみに。先発選手を身長順に並べると以下のよう。
 
伊賀FC
  2      5      6     11       3      13      8   17   10   19    GK23
畑中 西川 乃一 小川 松久保 宮迫 作間 森 杉田 安齋 井指
 166  166  166   166     164    164   158 157 157  153   169
I神戸
  5       2     11      9     3      8      17   15     10     6     GK21
三宅 守屋 高瀬 田中 鮫島 杉田 増矢 坂口 岩渕 伊藤 スタンボー
 165   164   164   164  163   162   160  158   155   150    175
 
伊賀FCやや有利だが、互角の範囲。
 

(2)統計
 
例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
 
              伊賀FC    I神戸
コーナー本数                9
得点(1次攻撃)              0

センタリング→シュート  0/1      0
センタリング→パス    0/1      0
ルーズボール                  0
クリアー           2/0    4/0
キーパーパンチ              0
キーパーキャッチ            3/0
 * フリー/競り合い
オフェンスファール             0
ディフェンスファール            0
キックミス                  0
ショートコーナー不発           1
時間つぶし                  1
直接ゴール                  0
オウンゴール                  0

フリーになった選手    1/0      0
    (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む  1/0      0
     (成功/失敗)
 

(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー
 
A.伊賀FCのコーナーキック
 
a)体制
 
キッカーは6乃一選手右利き。
受け手は以下のパターンで始まったが、走り込む4人は色々と位置を入れ替えていて、固定的ではない。
・ニアへ:11小川選手3松久保選手
・正面からファー:2畑中選手5西川選手
・GK脇: 17森選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 10杉田選手19安齋選手
・セーフティー:8作間選手13宮迫選手
 
b)結果概要
 
1本目 (12:07) 左CK 6乃一選手5西川選手・3鮫島選手の上を抜けルーズボール。
2本目 (19:32) 右CK 6乃一選手→バーに当たって外へ。GK
3本目 (20:52) 右CK 6乃一選手11小川選手に当たって外へ。GK
4本目 (27:59) 右CK 6乃一選手→3鮫島選手ヘディングで外へ。再CK。
5本目 (28:34) 左CK 密集隊形 6乃一選手→戻し・8作間選手→3鮫島選手ヘディングクリア。
6本目 (62:39) 左CK 6乃一選手5西川選手ヘディング折り返しが外へ。GK。

 
c)全般的な印象と特記すべきプレー
 
この試合を見る限り、昨年と同様。特に目新しいことは無かった。
高いレベルを保っていると思う。
① キッカー6乃一選手の低く伸びるボールで、ゴール正面からファーサイド狙い。
②5本目にI神戸のお株を奪うセーフティー(8作間選手)への戻しからの攻めを見せた。 
③ピックプレーも、昨年盛んにやっていた5西川選手がファーサイドへ向かうパターンを6本目に発動。
 
そのピックプレーを図にしておく。
ゴール正面にいた5西川選手が、ニアへフェイクを掛けてからファーサイドへ反転。
マークの3鮫島選手は、9道上選手・5三宅選手、2畑中選手・11高瀬選手らが邪魔になって追えない。
5西川選手は約5mフリーになってヘディング。
折り返したボールは、ゴールを越えて外へ。GKになった。
 
私は3鮫島選手がこんなにセパレートされたのを見た記憶が無い。
このブログで、私も何度も紹介しているし、3鮫島選手も熟知し、注意していたはず。
それでも、ここまでの効果があるのだから、まだまだ使えそうなパターだと思う。
9道上選手が入ってからのコーナーキックは、この1本だけ。
力強い競りを見られなかったのは少し残念。
 

B.I神戸のコーナーキック

a)体制
 
キッカーは8杉田選手で左利き、3本目だけ15坂口選手で右利き。
受け手は以下のパターンで始まった。
・ニアへ:5三宅 9田中選手
・正面からファー:2守屋選手・11高瀬選手
・GK脇・ニアポスト前:10岩渕選手
・ショートコーナー:-
・コボレ狙い: 17守屋選手・15坂口選手
・セーフティー: 3鮫島選手・6伊藤選手
 
b)結果概要
 
1本目 (04:05) 右CK 8杉田選手→GK井指キャッチ。
2本目 (22:32) 右CK 8杉田選手→2畑中選手ヘディングクリア。
3本目 (36:25) 左CK 15坂口選手→GK井指キャッチ。
4本目 (39:29) 右CK ショートコーナー8杉田選手→10岩渕選手→15田中選手ヘディングシュート→GK井指選手キャッチ。
5本目 (46:14) 左CK 8杉田選手→17森選手クリア。
6本目 (80:14) 右CK 8杉田選手→5西川選手ヘディングで外へ。再CK。
7本目 (80:36) 右CK 8杉田選手→17森選手ヘディングクリア。
8本目 (84:44) 右CK 8杉田選手→GK井指選手キャッチ。
9本目 (93:26+) 右CK 8杉田選手が始めて、時間つぶし。
 

c)全般的な印象と特記すべきプレー
 
今年もニア狙いのようだ。
9田中選手が移籍してきて、メインターゲットが5三宅選手と2人になっただけという印象。
が、その2人に、伊賀FCが2畑中選手13宮迫選手を付けてきたことによって、ほぼ完封されてしまった。
7中島選手不在も有ってか、本数的には沢山蹴ったが、工夫も無いまま。
 
エンゲルス新監督は、あまりコーナーキックについて熱心じゃないのかな?
 

 以上です。
 
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