2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、偏りはあるものの、かなり各チーム均等に観戦できるようになりました。
伊賀FCに関しても、コーナーキック本数で2017年11本、2018年7本(2部)、2019年30本、2020年37本と採取したデータが増えています。
 
(1)2020年シーズンの全般傾向。
 
リーグ戦でコーナーキックから3得点、3失点。
2019年は10得点と大きく稼いだが、並の結果になってしまった。
 
 
レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。
 
① 高さ関係:補強で平均を超える(B)
2019・2020年シーズンは、畑中(166cm)・宮迫選手(163)・松久保選手(163)・乃一選手(166)と言いところが守備陣として先発。
道上選手(169)・三橋選手(167)・小川選手(166)・西川選手(166)もFWとしてコンスタントに出場している。
メンバー状況によっては、リーグ3・4番手の位置づけ。
 
② 軸になる攻撃:正面からファー狙い(B)
戦力を集中して攻めるよう監督・コーチから声が出ていたが、キックの先は分散していた。
ニアは、基本的にはデコイ(おとり)と言っても良い。
 
③攻撃の工夫・戦略:仕込みは見られなかった。(C)
 

ピックプレーを使ったり、ミドルシュートも打った。色々やっていた。

現地観戦することが多い伊賀FCですが、2部だった2018年は、ほぼ毎試合のように、1本目のコーナーキックで新しいプレーを見せていた。

大嶽監督は、コーナーキックを仕込むのは大好きなんだと思う。

 

だが、2019・2020年は徐々工夫は減り、練習していないのか?と思わせた。

勝ち星が上げられず、セットプレーまで手が回らなかったのだろう。

 
④守備力:安定したゾーンディフェンス(B)
大嶽監督就任の2018年以来 ゾーンディフェンスを採用。
 
シュートの被弾率は8.8%(全データ平均24.3%)は極めて良いのだが、
失点の際には、ぽっかり穴が空いたように、あっけなくやられている。
 
 

(2)データ

 
A.なでしこリーグ・リーグカップ公式記録より
 
 
 
B.独自収集データより
あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。
①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚
②左右CKの集積図
 
 
 
 
 
 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 
 
A.攻撃詳細
 
2020年リーグ戦で3点。2019年は10得点と爆発したのだが、減ってしまった。

 道上選手2点、小川選手1点。

 

2020年は単に決まらなかっただけではなく、

シュートも打てていない。2020年10.8%(2019年40.0%、全データ平均24.3%)。

 

 

a)ニアでの合わせ(D)

 

独自データでは、ニアへ先頭で走り込んだ選手は、以下の通り。
 道上選手12回、畑中選手5回、東選手4回などという記録。
 
が、そこへボールが来たのは4回で、先着はなし。
 
もっとも、技巧的なヘディングが出来る選手が居ないので、ニアで成果は出しにくいと思う。
唯一GK脇で場所を取っている森選手は上手いので、ニアサイドへ飛び出してのバックヘッドを期待できるくらい。
 
b)正面からファーでの競り(B)
 
集積図のように、2019年はファーにボールを集めて結果を出していた。
が、以下の3つの要因で2020年は悪化したのだと思う。
 
①配球がファーに集まらなかった。
2020年当初乃一選手のプレータイムが増えず、鈴木選手が蹴っていたが、ニアが多かった。
 
②乃一選手のパンチの効いた伸びるボールに慣れられた。
2019年は身方にしか判らない球筋だったのだけれど・・。
 
③道上選手がファーで待てなかった。
前述のように、12回もニアヘ(独自記録15回中)。ファーで待っていてもボールが来なかったのでニアを目指したのだろうか?
 
結果強みであるはずの正面~ファーをうまく使えかったと思う。
 

c)ショートコーナー・ローボール(B)

 
2019年・2020年ともに、2本のローボールから、ミドルシュートを企画している。
 
2018年は、そんなにヘディングを期待できないメンバーだったので、盛んにミドルシュートを企画していた。
レパートリーは沢山有るハズだが、高さで勝負出来るとみたのだろう。余り使わなくなった。
 
d)キッカーと戦術選択(B)
 
2020年は鈴木選手と乃一選手を併用した。
 
乃一選手(8/9)、鈴木選手(11/2)、杉田選手(6/0)。 (左/右)
 
杉田選手・鈴木選手は、コントロール重視で、曲げて落とす球質。ニアを狙うなら適している。
乃一選手は、パンチを効かせた球質。正面からファーサイドに適していて、「見方しか慣れていない」効果も出していたが、2020年はその効果が落ちた。
 
 
e)ピックプレー(B)
 
2018年は結構複雑なこともやっていたが、この2019年2回、2020年3回と減っている。
 
見ていると、選手個々にピックプレーを使うわけではなく、練習で仕込んだピックプレーを使っているのだと思われる。要するに大嶽監督には知識があるが、選手たちの身にはなっていないのだと思う。

 

 

f)ゴール前密集隊形(C)
 
このチームはずっと採用している。
前監督の野田さんが盛んに使っていたが、その名残りだと思う。
 
道上選手ら強い選手がいるので、採用すること自体は妥当なこと。
ただし、工夫が有るわけではないので、大嶽監督が細かく指導しているとは思えない。

g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(B)
 
GK脇にセットするのは、主に森選手(158cm)。
身長の割にポジショニングも、ヘディングも上手いので、案外脅威になっている。
 
h)その他
 
特にない。
 

B.守備詳細
 
a)基本守備体系
 
2018年大嶽監督になってからゾーンディフェンスを採用し、2019年もシーズンを通して使っていた。
シュート被弾率が19.0%(全データ平均25.0%)と良く守れている。
理にかなった配置だと思っている。
上図は2019年のものだが、2020年も変わらない。
①標準形での特徴:2列目の両端にSB。
主に8作間選手と3松久保選手を配置するが、この2人は左右のコーナーキックによって、対称移動しない。ショートコーナーや2次攻撃などへの対応は、13宮迫選手が加わればバックスラインが復元できるので簡単。
 
デメリットは、特に8作間選手の高さ・強さに欠けること。
6乃一選手がカバー範囲を少し拡げるべきだと思って、観戦していた。
 
②相手エース格には、13宮迫選手・2畑中選手がマンマーク
左下は、ジェフLの大滝選手をケアした配置。
右下は浦和戦だが、170cm近い4人選手が相手で、ニアに先頭で走る選手を13宮迫選手が、ファーサイドの1人を2畑中がマンマークしていた。
 
相手エース格を押さえる為とは言え、最も危機管理意識の高い2人をマンマークに充当することには、少し異論がある。
背が低くても、走り込みのタイミングをずらせれば良いので、他の選手でも良いと思う。
 
 
イ)マンツーマンディフェンス
 
2019年・2020年は採用していない。(2018年も)
 
 
ウ)対ショートコーナー
ゾーンディフェンスでもあって、あまり積極的に対応しないチームと認識している。
 
 
c)逆襲力(C)

10人守備をやっているので、基本的には逆襲能力は低い。
 
だが、杉田選手が持ち上がった時は、なかなかの迫力。
押し上げが早いし、杉田選手からのスルーパスは、なでしこリーグ1部で間違いなくトップレベルだったと思う。
 
d)統制(B)
このゾーンディフェンスは、13宮迫選手の役割が大きい。
 
 

(4)この約5年間の傾向・推移
 
A.個人の力の増減

a)キッカー
2015年~2019年春:杉田選手が中心で蹴っている。
2016年には、下條選手も蹴っている。
2017年には、作間選手と大久保選手も左右使い分けで蹴っている。
2019年夏~乃一選手が中心。
2020年乃一選手・鈴木選手併用。
 
良いキッカーだと思う。
 
b)ヘディング力
2018年までは畑中選手(166)や小川選手(166)・乃一選手(166)が中心であったが、強力なヘディング力とは言えなかった。

2019年に道上選手(169)・三橋選手(167)・西川選手(166)を獲得、一気に充実した。

 
c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー
~2017年:櫨選手のニアへの走り込みがメインターゲット。
2018年:敢えて言えば乃一選手のニア走り込みだったが、サインプレーを沢山仕込んで目先を変えていた。
2019年ヘディングの高さが一気にアップしたこともあって、正面からファー狙い。
 
d)ピックプレー

2018年大嶽監督になってから種々採用。

だが、選手たちが使っていないところを見ると、理解はされていないよう。

 
e)守備の統制
~2017年が大橋選手が率いていたと思う。
2018年以降は宮迫選手が引き継いだ。
 
 
(5)2021年シーズンの予想など

 

大嶽監督が留任。

 

道上選手、畑中選手が移籍し、コーナーキックの攻撃は小川選手・西川選手が主力になる。

.WEリーグに参戦できなかった割にはメンバーは残ったし、相手力関係も楽になる。

2018年の様に色々仕込む余裕も出るだろうから、期待をしている。

 

 

履歴

 2020/02/03 作成(アーカイブ)
 2021/03/21 更新
 
以上です。
 

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