開始以来定期的に会場を移動して開催されてきたO-crestの店長、ムロさんこと室清登が主催するMURO FESTIVAL
昨年初めて神奈川県の赤レンガ倉庫で開催されたが、反響も良かったのだろうか
今年も赤レンガ倉庫での開催となった

昨年は無料エリアが設置されていたが、今回は無料エリアが消え6ステージでの開催
持ち時間は短いとは言え、たくさんのアーティストを見るのにこれほど適したフェスはない
ドコモユーザーだから電波が悪すぎてキレそうになったけど(笑)

1番開演が早く、メインステージとしての立ち位置になっているムロ海ステージにはモニターが設置され、パワーアップを果たしていたが開演前に諸注意説明を行ったムロさんは、

「海に飛び込んだら退場。それどころか警察呼びます(笑)」

とユーモアを交えながら警告
それ以前に海に飛び込んだら、溺死する可能性があると思うのだが

・シンガーズハイ[ムロ海ステージ LEFT STAGE](10:00〜)
10時から21時近くまでほぼノンストップで続くこのフェス
トップバッターは昨年リリースしたフルアルバム「シンガーズハイ」が傑作だったシンガーズハイ
去年のCDJで見る予定が、sumikaが特別編成となって、見るのを見送ったのでTalking Rock!の日以来に見ることに

SEが鳴る中でメンバーが1人ずつ現れ、最後に出てきた内山ショート(Vo. & Gt.)がバンドロゴが書かれたタオルを掲げ、

「シンガーズハイです。」

と挨拶し、最初からこのフェスはクライマックスと言わんばかりな「climax」でりゅーいち(Dr.)は細かくビートを刻んでいくが、内山はロートンとハイトーンを駆使した真骨頂ともいえる声を早くも炸裂
喉の消耗が激しそうな歌い方なので、ちゃんと声が出るか心配になりながら見ている部分もあるが、いきなりこの歌声が決まれば全編クライマックスは確定

そうしてクライマックスが確定したところで、みつ(Ba.)とりゅーいちによる力強いグルーヴが織りなす「エリザベス」で踊らせるが、この「エリザベス」でまさかのダイバー続出
正直、シンガーズハイを初めて聴いた際には勝手ながらダイバーが続出する風景をイメージしていたので、Talking Rock!の日でダイバーが出なかったのは意外だった
それがムロフェスでは出まくっており、「こうなるよな‼」と思わずにいられない

更に「ニタリ」ではほりが大きく足を上げながらギターを弾き、内山と堀たちによる掛け合いが楽しいが、この赤レンガ倉庫から1時間もあればたどり着くだろう平沼高校に在籍していたみつによるゴリッゴリなベースソロから導かれる「ノールス」の威力はやっぱり凄まじい
眠気が一瞬で吹っ飛ぶ、そんな爆音

内山自身が好きな曲と話し、内山の故郷のことを歌っただろう「パンザマスト」を終えると、内山は改めて口を開くが、

「これはこうでないと駄目とかどうでもいい!愛を伝えることだけは諦めたくない‼」

と伝えたい内容もコンパクトに

「説教臭いこと言ってごめん!!体調には気をつけて!!」

と謝っていたが、むしろ熱い側面を見せて心を燃え上がらせ、最後はハイトーンボイスが一際目立つ「愛の屍」で終了
火付け役となるだろう、見事なトップバッターだった

セトリ
climax
エリザベス
ニタリ
ノールス
パンザマスト
愛の屍

・FOMARE[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](10:25〜)
先月キュウソネコカミとのツーマンで神奈川で見たばかりのFOMARE
F.A.D. Yokohamaで度々ライブしているのもあり、神奈川とは縁が深いバンドだろう

シンカーズハイが終わって数分経過すると、すぐにSEが流れるが、熱さ対策もあってだろう、アマダ(Vo. & Ba.)はサングラスを着用するロックスター仕様
この登場に会場も大いに湧いたが、「SONG」で始めること、それは

「ほら声に出して 思う事歌えばいい
ほら手を伸ばして欲しいもの掴めばいい」

の通り、思い切り声を出して歌っていいことに他ならない

もう発声のガイドラインは無い
けどフェスに来るのが初めてな方は「自分が合唱して良いのか…」と不安がる方もいるだろう
合唱するかどうかは人の自由
自分みたいにほぼ静観で楽しむのもありだが、歌いたければ思い切り歌っていい
FOMAREのライブでは特にそう思っており、それは名曲「愛する人」の、

「当たり前だった毎日がただ恋しいだけだったんだ」

でコロナ禍初期の発声出来なかった頃を思い出すからだ

ガイドラインが撤廃されたって、あの厳しかったガイドラインが帰ってこない保証はない(あの政権なら支持率アップのために、平気でイベント中止させることもあり得る)
いつも歌える訳ではないから、歌いたいなら躊躇わずに歌うべき
そうして各々の想いが籠もった合唱は、ライブ会場でしか味わえない大きな体験となるから

この2曲でウォーミングアップを終え、オグラ(Dr.)のビートがパンキッシュな「風」からはダイバーがで始めると、「ゴールデンカムイ」の主題歌でもあった「Grey」はアマダが鳴らすイントロのベースから一気に歓声が湧く
どういうわけか、先日のF.A.D.では演奏されず不思議に思っていたが、フェスではしっかりやる
客層によってFOMAREはセトリを変えているのかもしれない

そのうえでムロ海エリアは、文字通り近くに海が広がっている
ということでカマタ(Gt.)が波のように度々変化する「wave」もやるのだが、昨年出演していたストレイテナーの「シーグラス」もとても映えていたし、海にまつわる曲を持つアーティストは是非立っていただきたいステージ
FOMAREをムロフェスに来年以降も出すならこのムロ海エリアで
すっかりそのイメージが出来た

持ち時間の関係上、F.A.D.でやっていたコールアンドレスポンスは行わず、軽く挨拶するだけにとどめ、「Frozen」で一気にダイバーを続出させたあと、最後は持ち時間が余ったことで「Continue」も追加

シンガロングさせたり、ダイバー続出したり、野外で発声出来る当たり前の前日が恋しかったこと
これを忘れずに生きていこう

セトリ
SONG
愛する人

Grey
wave
Frozen
Continue

・ラックライフ[ムロ海ステージ LEFT STAGE](10:55〜)
昨年は近くを通っていた遊覧船にPON(Vo. & Gt.)が声をかけに行ったら、参加者も徐々に手を振り出してPONが慌てて止めに入ったラックライフ(この一部始終をちょうど隣のステージで見ていた忘れらんねえよの柴田は爆笑していた)
今年は早い時間の出演

リハで、

PON「歌える人は歌って!!」

と「ファンファーレ」を行い、本番になると、去年リリースされていたベストアルバムの最後に収録されていた「Hand」を始めるが、ラックライフは2日間で数少ないランティス(アニメタイアップを請け負うアーティストが多く所属するレーベル。バンドだとnano.RIPEも所属)からの出演
いわゆるアニソンバンドと言われる存在だが、やっていることは正攻法のギターロックであり、たく(Ba.)やLOVE大石(Dr.)が生み出す冷静なグルーヴは今年で活動16年目になるベテランバンドだからなせるものだろう
ちなみにたくはビートに合わせて静かに跳ねたり首を頷いたりしているが、大石はメンバーで唯一タンクトップなのでいろんな意味でも目立つ

アンサンブルから勇ましく冒険する主人公が浮かび上がり、ikomaのブルージーなギターはその勇敢さを更に引き立てるような「リフレイン」で躍らせた後、

「俺たちの生きた証をオークレストから横浜へ」

とPONが告げた「軌跡」はこれでもかというほど、キメをぶつけていくがどんなにアニメタイアップが多くとも彼らの主戦場はライブハウス
ライブハウスで生き抜いてきたから、こうしてムロフェスの舞台に立っている
このムロフェスはライブバンドが生き抜いてきた証とも受け取ることが出来る

そのうえでラックライフは今年で16年目を迎え、

「中途半端な年でも祝わせんぞ!!」

とPONが叫んだのは、近年は「○○年活動したからずっとこのまま」なんて保証が無いからだろう
自分の好きなバンドもアニバーサリーイヤー中に活動停止報告がなされた
バンドは永遠じゃない
だからどんな年でもPONは祝ってほしいのだろう
そこから「すげえ〜」と言わせる謎コーナーが始まったけど(笑)

そのうえでPONにとっては、

「ムロフェスに出れることはご褒美」

と出演できる喜びを話しつつも、出演出来て当たり前のフェスではないことを話した
今のシーンは世代交代が特に激しいから、来年への出演ハードルも高くなっている
それにラックライフが首都圏で出演出来るフェスもそう多くない
だからラックライフには可能な限り、このフェスに出続けて欲しいのだ

そして、

「音楽がライブがライブハウスがいつまでも続きますように。」

とPONが願いを込めて、最後に演奏されるのはPONの優しさが伝わるような「名前を呼ぶよ」

ラックライフはこの後、自分が前日に見たBRADIOや同日出演のLACCO TOWERとスリーマンツアーを回る
東京はロッキンひたちなか最終日と被っているのがキツイが、ロッキンに行けないならこのスリーマンに参加するのもありと思っている

セトリ
SC.ファンファーレ
Hand
リフレイン
軌跡
名前を呼ぶよ

・Hakubi[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](11:25〜)
ほぼ去年と同じような時間での出演となるHakubi
ラックライフと同じく、ライブを見るのは1年ぶりだ

そのラックライフが5分近く時間を余らせて、ライブを終えたので、すきま時間を埋めるかのように曲を連発し、SEもなく片桐(Vo. & Gt.)が自己紹介してまさしくライブの始まりを告げる「ハジマリ」、昨年も序盤に演奏されていた「夢の続き」で、

「まだ終わってないよ」

と自分たちはより羽ばたくバンドであることを主張するが、直前に出演していたFOMAREと比較するとこちらはオルタナより
なのでヤスカワアル(Ba.)の奏でるベースラインは太く、マツイユウキ(Dr.、よく考えたら昨年まで東北楽天ゴールデンイーグルスのクローザーだった松井裕樹と同名)のビートは強いし、片桐は曲中に客席に語りかけるスタイル
Hakubiといえば京都出身のバンドで、10-FEETのコンピレーションアルバムにも参加したことがあり、TAKUMAと被る部分もあったりする

言葉数も多く、キャッチーな「eye」で踊らせたあと、日中の出演でどんどん蒸し暑くなる気候だからか、片桐は水分補給を促そうとするも、どういうわけか噛みまくってしまう片桐(笑)
去年も出演したから緊張していた可能性は低い
単純に焦っただけだろう
この暑さは徐々に出演者にも影響を与えていくことになってしまうが…

自身も水分補給を終えると、

「よく他のバンドマンが客席のみんなを「カッコいい」というのにピンとこなかったんです。

とエレファントカシマシの宮本浩次が言いそうなことに対し、抱いていた疑問を吐露する片桐
それが、

「でも初めて今日、みんなかっこよく見えました‼」

と実感出来たのは、真剣にステージを見つめてくれていたからだろう

本格的に夏が始まったような猛暑
「参加したお前が書くか?」という話だが、用がなければ外出せずに自宅で過ごした方が良いレベルだ(ムロフェスの数日後、リハビリで外出していた自分は自宅でバテていた)
でもここにいる参加者は過酷だと分かっていても、音楽を聴きたくて会場にいる
その眼差しに片桐は感動したのだと思う

そのうえで、

「輝けないなら私たちが光になる」

と片桐は告げた「光芒」は、ヤスカワのベースラインがうねり、マツイのドラムは力強く刻まれる中で光の兆しのようなメロディーが鳴らされるが、生きていく最中ではたくさんのコンプレックスを抱え、劣等感をどんどん感じるようになる
それでももがき続けることが大切なのであって、

「生きてゆけ」

の後に起こる合唱、それはこの世の中をサバイブしようという決意の宣誓
それが広がっていく景色は美しく、グッとなってしまった

そして最後は、無情に過ぎていく日々が過ぎることを受け入れつつも、進んでいかんとする「悲しいほどに毎日は」

「また会えるなんて保障はないけど、また会おうぜ‼」

と片桐が話すのは、UVERworldの「En」のフレーズを思い出したが、4月にリリースされた「throw」も良かったし、やっぱり時間が出来たらワンマンに行かなきゃと思っている
Hakubiの音楽は25分で満たされるものじゃないし

セトリ
SC①miror
SC②Decadence
SC③最終電車
ハジマリ
夢の続き
eye
片桐
光芒
悲しいほどに毎日は

・藍坊主[ムロ海ステージ LEFT STAGE](11:55〜)
ムロフェスには毎年、「なんで出るの!?」というオーバーエイジ枠が存在し、2日目にはBLUE ENCOUNTにSaucy Dogも出演する凄まじい状況
そのうえで初日におけるオーバーエイジはきっとこの藍坊主だろう
見るのは恐らく10年ぶり

サポートドラムと鍵盤を迎えた5 人で登場し、リハを行ったあとにSEもなくすぐに「スプーン」を始めるが、hozzy(Vo. & Gt.)の声は昔よりも今の方が遥かに出ている
現在sajiと活動しているphatmans after schoolとツーマンした際、hozzyは心配になるくらい、出てない瞬間を目撃していた
それはその年か翌年に見たCDJでも

藍坊主は基本的にhozzyとベースの藤森が作曲するスタンス
名曲だらけだが、hozzyの声が出ないことがメジャー終盤は特にネックになっていた
それが見違えるように解消された
今が全盛期と思えるくらいに
そうなれば藍坊主の真骨頂の哲学的な歌詞も本領発揮し、幾度となくイヤホンを通して聞いた

「カレーライスのようだな」

もグッと響く

ついで田中(Gt.)のギターを中心にパンキッシュなアンサンブルが鳴らされる「鞄の中、心の中」と自分のような30代前半以上の参加者には懐かしい曲が続くが、一時藍坊主は野音や武道館でワンマン出来るくらい勢いがあった
00年代後半はチャート上位に藍坊主の名前があったほど(「言葉の森」もチャート上位にランクインしていたほど)

同じ00年代に活躍したORANGE RANGEのライブは、参加者の心を少年少女に戻す魔法があるが、それは藍坊主もだろう
あの頃、深い深い世界観を描くことで藍坊主の右に出るものはそういなかっただろうし

そんな藍坊主を象徴する曲か「ハローグッバイ」
ライブ映像を見た際も、hozzyの声があまり出てない印象があったが、こちらも今の方が完全に出ている
コーラスしている田中や藤森も楽しそうだし、

「あなたが生きている
それだけで僕は
何度でも感謝するんだ」

で感謝するのはこちらの方

先日活動再開を発表したAqua Timezの太志やTHE BACK HORNの山田将司が思ったように声を出せなくなった際は凹んだ
現実を受け止めたくなかったから
でも両者、だいぶ声が戻ってきた
諦めなければ再生する
好きなバンドのボーカリストの声が蘇るのは、自分のことのように嬉しい

そのうえでhozzyがギターを背負い、

「夏の曲を」

と紹介されたのは、近年発表された「プルーサイドヒーローズ」
「ホタル」や「向日葵」を期待した方もいるだろうが、藍坊主は今なお名曲を生んでいる
どんなに持ち時間が短くとも、「現在の藍坊主はこんな感じ」と示す曲を見て欲しいのだ

藍坊主を自分のように久々に見る方は多かっただろう
「懐かしい〜」で終わりたくない
「今もカッコイイ!!」で終わりたいのだ
バンドは現在進行形で進むもの
これで藍坊主の主催ライブに足を運ぶ方が1人でも増えたら、hozzy達は嬉しいに違いない

そして最後は生きることに向き合った「伝言」
最初は真っ白で生まれた人間は、

「生きることとは
苦しむことと
真実そうに
誰かが言った」

の通り、どんどん色を染められていく
人生は苦の方が多いし、負のスパイラルに入ったら簡単には抜け出せない
でも、

「生きる痛みを感じて思う
人は苦しむために生まれたんじゃない
幸せになるために生まれた」

の通り、人間は苦しむために生まれた生き物ではない
幸せになるために生まれた生物である それを藍坊主のライブは思い出させてくれた

セトリ
SC.群青
スプーン
鞄の中、心の中
ハローグッバイ
プールサイドヒーローズ
伝言

・LACCO TOWER[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](12:25〜)
どのフェスにもフェスを象徴するアーティストがおり、ムロフェスにもその存在はいる
ムロ海エリアに最初に出てきたムロフェスの象徴はLACCO TOWER
ライブを見るのはこれが初めてだったりする

藍坊主が終わりリハを始めた直後、あまりの熱さに松川(Vo.)は「暑‼」と言ってしまうほどの熱さだったが、いざ本番で「火花」が始まると戦いの火花を感じるように重田(Dr.)のドラムは激しいし、真一ジェット(Key.)の奏でる美メロはプログレを聞いているかのよう
並びにメンバーで1番派手な気がする細川(Gt.)のギターは勇ましいし、THE BACK HORNやフジファブリックが好きなら受け入れられそう
つまり、自分とは相性が良いロックを行ってるバンド

ついで先日リリースされたばかりの「有無同然」から「無有病」
上品なクラシックを真一ジェットが鳴らしたと思いき、塩崎(Ba.)と重田によるパンキッシュなリズムから激情ミュージカルになったりとあまりに大胆な展開
かなり昔に音源を聞いてはいて、ムロフェスで見ることを契機に少し音源を聞いたりはしたのだが、「こんなすごい音楽やってるの!?」と驚いてならない
ミュージカルの劇伴をロックにしているような感じ

更に「傷年傷女」になると真一ジェットがショルダーキーに持ち替え、松川は鍵盤に足を乗せたと思いきや、2人でステージを動き回るカオスぶり
普段のライブでもこんなことをやっているのだろうか
色々凄すぎて、展開が追いつかなくなる

ムロフェスには長い間から関わっていることを説明しつつ、

「今日1番楽しみにしているのはグッドモーニングアメリカという新人バンド(笑)」

とわかりやすい嘘で参加者を和ませるのだが、実はグドモのたなしんはシンガーズハイの頃から客席に既にいて写真撮影をしていた
自分はフェスだと知らない曲があったら、歌詞を見ながら聞いたりしているし、しっかり曲を聞きたいのでたなしんに気づきつつも、あえて関わらないようにしていた
その時何かやっていること察知していたけど

そのうえで、

「夏は嫌い…」

とぶっ飛んだことを言って、その理由も分かりそうな夏の風景や儚さが浮かぶ「藍染」を最後に行ったが、この松川の言動に次の出演者が反応することになる…

セトリ
SC.檸檬
火花
無有病
傷年傷女
藍染

・Ivy to Fraudulent Game[ムロ海ステージ LEFT STAGE](12:55〜)
昨年は初日のトリを務めたIvy to Fraudulent Game
今年は真っ昼間の時間への出演

LACCO TOWERが終わってリハが始まるとシューゲイザールーツの爆音がなり始めるが、本編は真逆の「she see sea」から始まる「嘘だろ!?」な幕開け海沿いだし、海に関する曲をやるにはこれ以上ないロケーション
ただIvyは割と近年の曲でイベントはセトリを固める傾向がある
過去2回見たCDJがそうだったし、ベースのカワイがライブ後に「この尺でやるの意外でしょー」なんてツイートしたように見事な奇襲
メロディアスなロックから爆音に急変するのはいかにもIvyらしいし、ドラムノ福島の作曲センスは超人的

静かなきれいな海の青とは対照的
「青写真」はこの日トップクラスの爆音で野外会場あるあるな風の影響も全く感じさせないのだが、ボーカル寺口によって紹介されたのは、この日が初お披露目らしい新曲
Ivyらしいオルタナロックで音源化が待ち遠しく、うっすら聞こえたのは

「青ざめる」

の言葉

海沿いでライブすることを意識したかのように、青をモチーフにした曲が続いている

去年はトリで出演したことを寺口が説明しつつ、

「(LACCO TOWERの)松山さんの夏嫌い、マジだと思った(笑)。このフェスってカタログみたいな感じ。思い出してくれるバンドになってくれたら」

と松山の夏嫌い、ムロフェスへの見解を話すが、いざ「オートクチュール」を始めると途中で寺口のギターがトラブってしまい、

「いつもこうだよ!!」

と言いつつ、客席に一瞬突入

去年のCDJは寺口どころか、カワイのベースまでトラブったため、それよりはマシ
しかしいつから「オートクチュール」はトラブルメーカーのような曲になったのだろう

このトラブルから復旧するまでは時間が足りないと判断したのか
寺口はやる曲を変更することを明言し、最後に行ったのは

「飼い慣らせ不安をこの歌で
飼い虚栄に手を噛まれたって
掻き鳴らせ音楽をこの不安で
掻き消してしたえよ罵声も怒号」

とこの状況を逆手に取るかのような「革命」

去年のトリで寺口は観客の「ありがとう!」に、

「こっちこそがありがとうだよ!」

と返したのを覚えている

きっとこのあとも不安はよぎるが、その不安を飼い慣らしてIvyは進む
最低な日々を超えた先に確かな今があると分かっているから

セトリ
SC.泪に歌えば
she see sea
青写真
新曲
オートクチュール
革命

・Arakezuri[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](13:25〜)
駆けつけたであろうファンが身に付けているバンドTシャツに描かれているのは「HERO'S JOURNEY」の文字
ムロフェス参加前、先にタイムテーブルを組んで色んなアーティストの音楽を聴いていたが、特に楽しみにしていたのはこのArakezuriである

出囃子はエレファントカシマシの大名曲、「俺たちの明日」
明日を生き抜くためのエネルギーを与えるためにやってきた
そんな勇ましいし登場演出であり、バンドの方向性が一瞬で理解できる「ウルトラエール」が物語るように日常生活の応援団
宇野(Ba.)や椿(Dr.)が編み出すパンクなリズムは、まさしくアンセム集団

その生活後方支援ぶりはショートチューンでも変わらず「くしゃみ」に、「ピースオブケイク」と歌詞を画面に映しながら見たいバンドだなとも思うが、根っこにあるのはラウドやパンクロック
石坂(Gt.)の細かいギターフレーズや白井(Vo. & Gt.)の言葉数の多い歌詞に合いの手が乗る「ダミダミ」と勇ましさも際立つのがArakezuri
音源からかっこよさがにじみ出て、「Arakezuriに早く出会いたかった」と思わずツイートしてしまうほどだ

で、こうなると比較対象となりそうなのはSUPER BEAVERだが、SUPER BEAVERの音楽は「現実と戦えるようにする音楽」
Arakezuriの音楽は、個人的に「あなたを慰めつつ、また送り出す音楽」
公式で「弱虫ヒーローズジャーニー」を謳うほど、弱者に寄り添う
「たいせつ」にも出ているように弱者を救う音楽
だから系譜的にはハンブレッダーズに近いのだ
やり方は違えど、弱者に寄り添っている

でも何より素晴らしいのは「時代」にて、

「TikTokじゃなくてYouTubeでもなくて
あとなんだっけ名前変わったSNSとかでもなくて
あなたの目の前で歌いたいのさ
でもその為に全部大切だ、時代よありがとう
今あなたに会いに来た」

と時代の流れを反映しながら、あなたに会えることに敬意を払い、

「僕のロックバンドが素晴らしいと思うから
知る人ぞ知るなんかじゃ終わらせたくないんだよ
あなたのロックバンドが夢を叶える姿
死んでも見せたいから 素直に生きていくんだよ」

と生き様をしっかり示していること

それは大衆が頼るバンドになりたいこと
大勢の人に知られるような存在になりたいということだ
様々なアーティストの思いを代弁しつつ、バンドの夢を歌う
ここまで赤裸々に歌われたら、応援する以外の選択はない

そして最後は石坂が泣きメロを奏でダイバーも次々に現れる「ヒーロー」
いつの時代にも早く出会いたかったと思うアーティストは多々いるが、今回のムロフェスにおいてはArakezuriがそうだ
初めて聞いた際、心を一気に奪われた
凄いバンドが現れたと

20年代のシーンにはまだまだヒーローは少ない
救世主は多ければ多いほどいいのだ
新時代のヒーローになるため、時代を変えてほしい
それが自分とArakezuriの初邂逅、ヒーローでいてくれ

セトリ
SC①素顔
SC②クアトリーセンチュリー
ウルトラエール
くしゃみ
ピースオブケイク
ダミダミ
たいせつ
時代
ヒーロー

その後、プッシュプルポットを見る予定だったが、ここで体調に嫌な予感を覚え、プッシュプルポットはモニター越しで見ることに

キュウソネコカミとのツーマンや、JAPAN JAMで見た時のようにパンキッシュかつ楽しく、何度でもライブを見たくなるバンドだが、客席に突入した後、ボーカルの山口は結構きつそうな表情をしていた

気温がピークになる時間帯
会場内でもスタッフが参加者を救助するパターンが見え始めていたが、この酷暑にあのバンドが大ピンチになるなんて思ってもいなかった

セトリ
SC①少年少女
SC②ダイナマイトラブソング
こんな日々を終わらせて
Fine!!
愛していけるように
笑って
snooze
最終電車
バカやろう

・KALMA[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](14:25〜)
そんな過酷なコンディションだが、演奏出来る時間があればリハから曲をガンガンやっていくのがKALMA
1月にワンマンに参加して以来だから、見るのは半年ぶり

時間になるとはけることなく、「SORA」で畑山(Vo. & Gt.)の声は空いっぱいに広がっていくが、モニターに青空が映されたりと、野外でやる「SORA」は格別
空が飛べるならじゃなて、本当に飛べそうな予感しかしない

斉藤(Ba.)がバッキバキにベースを鳴らし、金田(Dr.)のパワフルなビートがパンクでしかない「隣」からは次々にダイバーが飛び、畑山もいつものようにマイクスタンドを動かしまくったり、自由なスタンスでライブをやるのがKALMA
しかし、

「でっかい声で歌いまーす!!」

と毎度宣言する「ねぇミスター」辺りから畑山に異変が起こり、「1分間の君が好き」はステージで横になって歌ったりと、元気とは言い難い感じ
畑山も熱さにやられたものと思われるが、それ以上に

「ヤバい!ギターのネックが曲がっちゃった!!」

と使用しているギターが故障してしまうまさかの事態が発生
すぐにサブギターを用意して、トラブルには対応したものの、夏バテしかけるし、ギターは故障するなど前途多難すぎる序盤

トラブルの連続でライブは落ち着いてやりにくい状況ではあるが、夏になったら1度は聞きたい「夏の奇跡」は広大なメロディーが広がりつつ、

「大切にしたいフェスが出来た」

とムロフェスを守ることを決意
これ以上ない味方となり、爽やかさと熱さの両方を帯びたフレッシュなアンサンブルを「これでいいんだ」で鳴らした後は、「モーソー」で初期衝動を爆発させるも今度はここで弦が切れてしまう

しかも持ち時間がまだ残っているので、畑山は慌ててチューニングしているのだが、

「もう無理だよ!」

と斉藤はなだめており、同時に暑すぎる今回の天候から客席を心配するのだが、なんとかチューニングは間に合い、現在のKALMAの勢いを代弁する「ムソウ」で締め

あまりにもトラブル続きなライブだったが、それでも窮地を脱する
やっぱりKALMAはムソウモードが続いているだろう

秋にはEX シアターでワンマンも控えている
そちらでムソウするKALMAも是非見たい所存

セトリ
SC①blue!!
SC②恋人
SC③デート
SC④ABCDガール
SORA

ねぇミスター
1分間の君が好き
夏の奇跡
これでいいんだ
モーソー
ムソウ

・忘れらんねえよ[ムロ海ステージ LEFT STAGE](14:55〜)
KALMAのライブ中、既にステージに姿を現していたものの、

「今はKALMA見ようね!!」

とジェスチャーする優しさを見せていた忘れらんねえよの柴田
Makiとのツレ伝ツアー真っ只中ながら、ムロフェスに参加

リハの時点で忘れを代表する名曲を行い、「普段の忘れとは違うんじゃないか?」と予感させていると、本番にSEで流れたのは

「夏といえばこれでしょ!!」

と柴田が告げるのも納得なT.M.Revolutionの「HOT LIMIT」
ちなみに忘れと親交が深いキュウソネコカミは「HOT LIMIT」をSEにした際、ヤマザキセイヤが西川貴教がPVで着用した格好に似せるようにテープを身体に貼っていたことがある

夏の名曲で場内をぶちあげると、この日はいきなりの「CからはじまるABC」スタート
サポートメンバーは忘れのライブにおけるレギュラーメンバーであり、イガラシとタイチが刻むリズムは屈強なパンク

ロッキンに出れなくなった嫉妬を叫ぶように、

「ROCK IN JAPAN」

を入れるのは名物とかしているが、

「残された俺たちはムロフェスで踊りました」

と柔軟に歌詞を変えることで大歓声
ロッキンに出れなくても、ここで踊ってくれる方がたくさんいる
まさしくこの状況は「これで良い」

祭りにピッタリな盆踊りのリズムをタイチに刻ませてから突入する「ばかばっか」も序盤から投じるので、柴田もそろそろにお酒をもらうべく客席に突入
客席にいたムロさんにお金を渡して、中央に立たせてもらうのは恒例だからか、

「今日はなかなか上手い!!」

と運んでくれる方々を称賛していたが、

「出演アーティストとムロフェスがいつまでも続くことを願って!!」

とイッキを始めるのは、親密にしてたり、常連のフェスで顔馴染みだったアーティストが活動を止めるのが悲しかったからだろうか
イッキ飲みをこんな感動的なものに出来るのは柴田くらい

「バンドやろうぜ」では、Mステの下りを

「打首(獄門同好会)出たしな〜!!」

と言いつつ、

「テレビ売ったけど!!(笑)」

と自身の住居環境を暴露したりしているが、

「忘れらんねえよは弱い方や傷ついている方に寄り添うバンドです」

と柴田が告げ、フェスで「世界であんたはいちばん綺麗だ」をやるのは正直驚いたが、主催ライブでは鍵盤を用いて「世界で〜」に参加した安田は今年に入ってから、見違えるようにギターが上手くなった
タナカヒロキがあまりに上手すぎて、物足りない場面もあったが今はそんなことはない
どんどんギターが上手くなっているし、相当努力したのだろう

若手からベテラン、更には紅白出演アーティストも集うムロフェスを、

「最強のロックフェス」

と称え、多くの参加者を共感させた後、最後はムロフェスに携わる方全てに捧ぐように「アイラブ言う」

この3日後、忘れはMakiとCLUB QUATTROでツーマンを行うが、そこでも素晴らしいライブを披露してくれることになる

セトリ
SC①この高鳴りをなんと呼ぶ
SC②忘れらんねえよ
Cから始まるABC
ばかばっか
バンドやろうぜ
世界であんたはいちばん綺麗だ
アイラブ言う

・Co shu Nie[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](15:25〜)
音源は追い続けていたものの、ライブを見るのは結構久々なCo shu Nie
見なかった間にドラムが脱退し、サポートにヒトリエのゆーまおが参加していることもあったのは存じているが、実際にステージを見るとギターと鍵盤を掛け持ちする方が増えた4人編成に

リハでちょろっと「絶体絶命」をやった後、「PERSON.」で始まるがCo shu Nieはもともと情報量が多く「どうすればこんな曲出来るんだよ」と思っていたバンド
それは編成が変わっても普遍であり、キャッチーに見えてサポートドラマーが随所で手数の多いドラムを行ったりと相変わらずえげつないことを普通にやってる
中村未来(Vo. & Gt.)の歌声も以前より声が出ている

ついでどちらかといえばファンキーな「私とペットと電話線」で静かに踊らせるがもう1人の正式メンバー中村はスラップに加え、ライトハンド奏法も笑顔でこなさす超絶ベーシスト
ジャパネクで見た時にリズムがとてつもなく、笑うしかなかったのは今も覚えているがその時のドラム、藤田亮介が今やマルシィのサポート
こうなるとは誰が予想しただろう

中村が曲をガンガンやりたいとのことから、MCは無しであることを序盤で表明するが、「約束のネバーランド」主題歌としてシーンに衝撃を与えた「絶体絶命」はスリリングでサスペンチック
あまりな破壊力で「なんだこのバンド…」と言葉を失ったのは覚えているが、その頃に見たライブはあまり良い印象は無かった(中村の声があまり出てなかったり、シーケンスが狂ったりとグダグダだった感じ)
だからこそ久々に見て、あまりの変貌ぶりに驚いている

「東京喰種」の主題歌にもなりプログレッシブなのにドラムの手数が凄まじい「asphyxia」、「PSYCHO-PASS」の主題歌で「apphyxia」以上にリズムが鬼にも関わらずサラッと聴ける「bullet」とアニメタイアップ曲を続けるのは初見に配慮してだろう
しかしながらこれらの曲は、凡人には簡単に模倣できない
あまりの手数の多さに情報たっぷりな曲の数々は異常だから
こうしたカオスな曲作りとして真っ先に浮かぶのは、なんちゃらラスベガスことFear, and Loathing in Las Vegasだがラスベガスと同様、もしくはそれ以上なカオスぶりである
ラウドシーンにおいて、そのイメージはラスベガスのままだろうけど、ロックシーンにおいてはCo shu Nieだろう
一体どうすればこんな情報過多でキャッチーな曲ができるのか

そして最後はキメ連発な「永遠のトルテ」
「呪術廻戦」の主題歌だった「give it back」も「コードギアスシリーズ」主題歌になった「SAKURA BURST」もやってない
攻めているように見えて衝撃的な25分だった
この日最もインパクトのあったライブであり、このオリジナリティは誰にも真似できるものじゃない

セトリ
SC.絶体絶命
PERSON.
私とペットと電話線
絶体絶命
asphyxia
bullet
永遠のトルテ

・MAGIC OF LiFE[ムロ芝生ステージ LEFT STAGE](16:10〜)
ここでムロ海エリアからムロ芝生エリアへ移動
ムロ海エリアやムロレンガエリアと比較すると、コンパクトなステージだが、ここに出演するMAGIC OF LiFEはムロフェス皆勤賞
LACCO TOWERのようにムロフェスの顔である

「弱虫ペダル」の主題歌にもなっていた「栄光への一秒」やDirty Old Men時代の「スターチス」もリハでやるサプライズを行い、山下(Gt.)が儚いメロディーを奏でる「線香花火」は自然豊かなムロ芝生エリアにぴったりな選曲
ついで、

「冒険が始まる」

と高津戸(Vo. & Gt.)が話し、まっさか暗くなる前に「夜空のBGM」を聞けるのは予想外
MAGIC OF LiFEの世界へゆっくり誘っている感じを覚えるが、なんと出演前に高津戸は熱中症で楽屋で倒れてしまっていたらしい
出演キャンセルも頭にちらついたものの、無事にステージに出演できたのは主にIvy to Fraudulent Gameの寺口のお陰とのことだが、あまりの酷暑にスタッフにまで倒れる方が出てしまっているらしい
なので高津戸は参加者に無理しないように促していたが、渡辺(Ba.)が歌うようなベースラインをなぞる「応援歌」で高津戸は、

「踏み出した一歩が最高のエール‼」

と参加者の背中を押す

参加し続ける決断も体調を考慮して、このフェスから帰ることも含め、全てが参加者自身の最高のエールとなる
踏み出すことが大切
こうしてステージに立つことが出来た高津戸が告げると、その意味合いも大きく異なるだろう

岡田(Dr.)の強いビートとともに、参加者もメンバーも鼓舞する「弱虫な炎」で勢い駆け抜けた後、最後は昨年リリースした「Flowers」よりバンド名である「命の魔法」を言語化したような「Flowers song」
バンドにとって今年の出演はきっと忘れられないだろう
会場に到着しながら、出演キャンセル寸前になるなんてあまりにも悔しいから

普段自分はフェスに行く際、事前に食べ物やドリンクを調達して会場入りするが、この時点で持ち込んだ飲み物はホットドリンクと化し、水分補給しづらなくなっていた
だからだろう、終演して数日後にムロさんがあの声明を出すのは当然な気もしてきた

セトリ
SC①栄光への一秒
SC②スターチス
線香花火
夜空のBGM
応援歌
弱虫な炎
Flowers Song

・SAKANAMON[ムロ赤レンガステージ RIGHT STAGE](16:40〜)
ここでムロ海エリアに戻るか、ムロレンガエリアに行くか悩んでいたが、「これムロレンガ間に合うぞ!!」と確信し、今回唯一のムロレンガエリアへ
去年「ぼっち・ざ・ろっく!」に登場する結束バンドに楽曲提供して以来、SAKANAMONの知名度は再び上衝しているが、ムロフェスには意外にも初出演

ムロ芝生エリアからムロレンガエリアは会場内で1番遠い
なので着いた頃には既に「ミュージックプランクトン」が始まっていたが、森野(Ba.)の鳴らすベースラインはずっしりとしており、安定感がある
木村(Dr.)が刻む丁寧なビートやハイトーンよりのコーラスも安定感があるが、なにより驚くのは藤森が茶髪になっていること
これまで黒髪のイメージがあっただけに違和感が拭えない

藤森が鳴らすギターフレーズが鋭い「幼気な少女」で客席こ至るところから合掌や拳を挙げさせるのはSAKANAMONのフェスにおける王道の戦い方
しかしSAKANAMONは3月に最新EP「liverally.ep」をリリース
そのため、セットリストもよりバンドの骨太な場面を前面に出す「DUAL EFFECT」はスリーピースの範疇からは考えられない音を出すSAKANAMONらしいロックだし、「おつかれさま」は「酒の肴になる音楽」、並びにマイノリティー目線の歌詞を綴るSAKANAMONらしい曲だ
時にはトリッキーな曲も手掛けてきたけど、あえて短めに曲を作ったり、弱者に寄り添う曲を書くのは今も昔も変わってない
音楽スタンスは初めてSAKANAMONと出会った頃のままだ

そうして変わらないSAKANAMONが再注目されたのはやはり結束バンドに提供した「光の中へ」
結束バンドver.も春のJAPAN JAMで聞いたが、SAKANAMONver.はロックバンドの生々しさを強く感じる
かつてはメジャーにいたものの、途中からインディーズへ
それでも転がるのを止めず、「光の中へ」の提供で再び注目を集めるようになった
ロッキンではSAKANAMONと結束バンドが同日出演
「光の中へ」を1日で2度拝める贅沢な日になる方もいそうだ

そして最後はやっぱり「ロックバンド」

「流れるような〜」

の通り、シーンはとても流動的
トレンドもすぐに移り変わり、メインストリームとなるアーティストもすぐに変わる
そんな中でSAKANAMONは今1番勢いがある
3月にリリースされた「liverally.ep」の曲でも盛り上がったことから、SAKANAMONはキャリアで1番乗っているだろう

この状況を生み出した、結束バンドにはずっと感謝するし、何処までもSAKANAMONが行けますように

セトリ
ミュージックプランクトン
幼気な少女
DUAL EFFECT
おつかれさま
光の中へ
ロックバンド

ムロ海ステージに戻ってくると、ちょうどヒトリエがライブの真っ最中だが、

「次はcinema staffか…。cinema staffの時よりも大きい声を!!」

とシノダは次のcinema staffを意識してか発声を煽りまくり
昨年、ヒトリエはcinema staffとツーマンしていたがシノダは昔から意識していたバンド
今なお意識しているのだろう

・cinema staff[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](17:25〜)
この翌日は東名阪ツアー「前衛懐古主義」のファイナル
重要な日が間近に控えている中、cinema staffの出番(参加者の中には翌日O-EASTに向かう方も若干いたかもしれない)

ただ翌日「Drums, Bass, 2(to) Guitars」をコンセプトにしたライブを行うからだろうか
リハで「I SAY NO」をやってから1度はけて、SEと共に戻ってくると、「シャドウ」を筆頭に翌日O-EASTでやらない楽曲を中心にしていたのがこの日のシネマの特徴

久野(Dr.)のドラミングに合わせて、サビ手を上げる方を「シャドウ」で大勢で見かけ、

「僕らは超常現象」

の如く、シネマを説明する楽曲のような存在となっている「フェノメナルマン」では三島(Ba.)がバッキバキなベースで牽引する最中、辻(Gt.)が間奏で普通に酒を飲んでいるのは、「オイ」とツッコミを入れたくなる(笑)
焦るまでもなく、丁寧に飲んでいたから

しかし飯田(Vo. & Gt.)が客席に向かって煽り、イントロで大きな歓声が起こった「great escape」は辻が客席に突入するどころか、まさかのダイバーが起こる事態に
シネマは色んなアーティストとツーマンしたりするが、あのBRAHMANをゲストにツーマンした際もダイバーは飛んでいない
シネマのライブでダイバーが飛ぶにわかには信じられない大事件が起こっている

飯田の透明な歌声が空いっぱいに広がり、辻はギターを空に向けて大きく掲げるのが特徴な「希望の残骸」と分かりやすく代表曲を連発すれど、「Drums,〜」の曲は一切なし(「great escape」は「Drums〜」の中では別ver.)
もしかしたらシネマは、翌日ワンマンに参加するであろう方々に配慮した可能性がある
ここまで翌日演奏確定している曲をやらないのはあまりにも不自然
狙ってやったとしか思えないし、常に様々な曲を出来るようにしているシネマの真骨頂と言えるだろう

そして最後は、

「夜を抜けたら僕らの勝ちだ」

と様々な制限が多かったことを思い出しつつ

「海を見に行こう」

に今の状況が合致する「3.28」

「3.28」が呼びおこす合唱はまさしく、夜明けであるが、

飯田「またライブハウスで」

よろしく、この翌日に再びシネマのライブを見ることになる

セトリ
SC.I SAY NO
シャドウ
フェノメナルマン
great escape
希望の残骸
3.28

・ジュウ[ムロ芝生ステージ LEFT STAGE](18:10〜)
cinema staffが終わると再びムロ芝生ステージへ
忘れらんねえよの柴田隆浩が音楽と人の連載で名前を挙げたジュウを見るためだが、昨年は最後の最後でここには書けないヤバいことをやってるので、よく出演できたなとも思っている

リハで「鉄砲」とショートチューンをやった後、「平成、この夜」で始めるがアーティストイメージから感じるような怖さはそこまでなく、むしろ曲そのものはキャッチー
岩浅(Ba.)がゴリッゴリなベースを鳴らす中で伊藤(Gt.)が心地の良いメロディーを涼しくなってきた芝生が多いステージで鳴らしている
忘れの柴田は、高浪(Vo. & Gt.)が作る楽曲の良さを連載で称えていた
柴田が自身の連載で名前を出すってことは、もっと評価されるべきということ
本当にそう思わざるを得ないロック鳴らしている

警察へ通報する電話番号をタイトルにし、

「趣味が違う本棚と知らないCDが好きだ」

と自身の趣味を明かしつつも、最終的に自虐に走る「110」、SUMMER SUMMERをそのままタイトルにし岩浅とサポートドラムが力強いグルーヴを刻みつつ、夏の陽射しを感じられるようなメロを鳴らす「サマサマ」と曲を連打するが、高浪がハンドマイクに持ち替える「卒業」では雰囲気が一気に変わる
高浪のバックボーンはあまりにも暗く、雑誌のインタビューで見かけた際には驚きのあまり絶句した
「卒業」にはそのバックボーンはあまり触れられてないが、高浪は社会に上手く馴染めないで生きてきた
それは高浪の背景を知らなくてもきっと伝わるだろう
高浪のこれまでを知るものだけに、報われてほしいと思っている
過去の重さの度合いが桁外れだから

天候的に涼しくなっても、ステージはまだまだ暑いからだろうか、高浪は水分補給のち、上半身裸となり水を身体にかけるが、

「脱がない!脱がないから今年は!!」

と高浪が慌てて否定するのは昨年のムロフェスであれを露出してしまったからであり、生配信でもがっつり映ってしまった
その一部始終を配信とはいえ見ているので、自分は出禁も覚悟していたが、

「期待してくれる人がいるなら、やらない。ロックは期待を裏切るためにやっているものだから。」

と予定調和な行動をする気はないことを高浪は説明しつつ、

「でもここに来てくれた人は裏切りたくない。主催者だって、あんなことが出してくれているんだから」

と自分の音楽を支持してくれる方やムロフェスの主催者側を裏切る行為はしたくないと伝えた
他のフェスだったら、高浪の件は大いに取り上げられてしまい、SNSで心もとない声が届いていた可能性がある

それでもジュウの音楽は評価されるべきとムロフェスサイドは判断し、参加者もジュウのライブに時間を費やしてくれている
バイオレンスなタイトルから信じられないほど耳触りのいい「暴力」で、

「明日を生きるための音楽」

と例えるくらい、ジュウの音楽を渇望してくれる方がいる

岩浅は客席付近まで足を運び、参加者の扇風機を借りて風を浴びるお茶目な一面を見せたりと、とても心が綺麗な方々なんだろうと思う
外観で怖がらないで、中身で見ていただきたい

そして「金夜の社会」で高浪が客席に突入し、岩浅はスピーカーの上に登る衝動的行動に出ると、最後はショートパンク(多分「○す」?)をぶつけてステージを後に
去年は色んな意味で話題を読んでしまったが、今年はパフォーマンスでしっかりと生きるための暴力を刻み込んだ

セトリ
SC.鉄砲
SC.不明
平成、この夜
110
サマサマ
卒業
暴力
金夜の社会
○す※確定ではありません

・四星球[ムロ海ステージ LEFT STAGE](18:55〜)
COMING KOBEに出演した際、出演を無かったことにされ、運営と北島がともにいじりあったのが記憶に新しい四星球
ちなみに昨年はHump Backの安産祈願ライブをやっていたが、何故か昨年書いた自分のレポから四星球のところのみレポが綺麗に消されている(復元も出来るが、流石にメモも記憶も飛んでいる)

この日の四星球は静岡でもライブしており、ムロフェスのライブはこの日2本目
オファーが来れば拒まずの姿勢を取っているのだろうか
あまりにも酷なスケジュールとなっているが、北島によく似たちょんまげマンが四星球のリハを助け、入れ替わるように北島が合流するが、静岡からの移動に疲れたのだろうか
ステージに座り込み、

まさやん(Gt.)「あれ?生まれたての子馬がいる!!」

と「UMA WITH A MISSION」を始める分かりやすい流れ
普段なら立ち上がる下りを2回やるものの、一発で立ち上がるのは25分しか持ち時間がないムロフェス仕様
今回は特に説明もなく終わったが、メロコアver.である「UMA CORE」になると、モリス(Dr.)のビートに合わせてサークルモッシュが発生
北島によると、この現象を「競馬」と呼んでいるようだが(笑)

イントロで大きな合唱を起こす「クラーク博士と僕」で、

「今日は若手バンドと仲良くなりに来ました‼」

と北島が説明し、ダイバーが次々に飛び交う中、北島はフラフープを回しまくったり、まさやんはスピーカー付近でイナバウアーのように身体を曲げながらギターを弾いたりと情報過多になるのが四星球らしいところ
なのでどこにフォーカスすべきか、悩んでしまうのだが、

「フェスなのにバラードやってすいません!!」

と北島が話した「カーネーション」はおふざけ一切無しのバラード

四星球は毎年凄まじい数のライブをこなしながら、新曲も次々に生む
多忙だというのに新曲を作り、ライブはユーモアたっぷり
流石は天才集団
この新曲のリリースも楽しみである

そのうえで恒例の「Mr.COSMO」でU太(Ba.)がバンドを代表して挨拶したあと、北島扮する宇宙人はきかんしゃトーマスに乗車して登場すると、

北島「渋谷でライブハウスは土日休めるほど、ライブハウスは甘くない‼」

と話したとおり、O-crestはムロフェス開催期間も普通に営業しているのだが、O-crestの住所が書かれた上りを参加者に持ってもらい、北島を先頭にミステリーサークルを客席に作り出すが、

「座っている奴は○す‼」
「ジャンプしないとチケット代、再徴収します(笑)」

と脅迫してくれるので嫌でも応じなければならない(笑)
1日に2回もチケット代を払うなんてまっぴらごめんである

そして最後は最前にいる客に北島が注意喚起し、「薬草」で再びダイバーが続出するが、四星球のライブ名物の伏線回収
今回はトーマスを解体してムロの印鑑、すなわちムロさんの太鼓判に
ほんと、四星球のアイデアには毎年驚かされる

セトリ
SC.ちょんまげマンのテーマ
UMA WITH A MISSION
UMA CORE
クラーク博士と僕
カーネーション
Mr.COSMO
薬草

・アルカラ[ムロ海ステージ RIGHT STAGE ](19:25〜)
そんな天才集団、四星球の後にやるのは多くのアーティストが避けたいシチュエーション
ならばと言わんばかりに次のアーティストにされたのは、ムロフェスの顔であるアルカラ
四星球が終わった直後に、即座にリハを始めるくらい、気合が入っている

その理由はもちろんあのバンドが帰ってきたからに他ならず、

「ずっとアルカラが彼らの曲をやり続けたら、帰ってきてくれた!!今日は彼らの曲はやりません!!」

と稲村(Vo. & Gt.)と叫ぶほど喜んでおり、表情を思い切り出すドラマー疋田(Dr.)がツービートを刻む「半径30cmの中を知らない」で始めるのは祝砲そのもの
場が温まってから「半径30cm〜」をやるイメージが強いので、最初から興奮しっぱなしということだろうか

BLUE ENCOUNTのサポートをすることも多くなりつつある、下上(Ba.)によるスラップベースを中心としたソロで魅了し、

「この会場には何かが足りない…。アブノーマルが足りない!!」

とお馴染みの前説で始まる「アブノーマルが足りない」で、参加者の内に秘めた異常な一面を解放しつつ、スーパーギターヒーローとして長年アルカラを支えている為川のギターソロフューチャーしたのち、「おお!?」となったのはワンマンでもそんなにやる記憶がない「カラ騒ぎの彼女」をやったから

自分が聞くのは2016年のCLUB QUATTROワンマン以来で「「炒飯music」は何処へ行った」と思わず考えてしまったが、それ以上にこの短い持ち時間で、

「ムロフェスクラシックの時間」

と「サスペンス激情」をやったこと

ムロフェスでアルカラを見るのは実はこれが初めてだったのだが、アルカラはムロフェスだとワンマン名物のインストもやったりするようだ
それも夜の野外
2年前の野音ワンマンは当日「発声可能公演(当時は声出しが厳しく制限されていた)」だと聞いて、困惑してしまったが、稲村がバイオリンを用いるインスト楽曲は夜を彩るファクターに
個人的に、ロックバンドのインストだけをやるフェスがあっても良いと思うのだが(もちろんACIDMANも出演していただきたい)

アルカラが主催するネコフェスを来年は開催することを明言し、稲村は協力を仰ぐが、

「今日は特別な夜。彼らに帰ってきてほしくて色んなところで曲やり続けたから。」

と稲村はここでも彼らのことを口にする

活動を止めたのがコロナ禍になる直前
シーンの移り変わりは激しいから、今の若者があのバンドのことをどれだけ知っているか分からない

けれども、

「…先にやっていい?」

と許可を取るように話すと、たなしんがステージに急に出てきて、客席へダイブ
そのまま「言葉にならない」が始まるが、言葉にならないのはずっと待ち続けてきたあのバンドのファン
金廣はペギとAsurabert Ⅱを組み、たなしんは実質YouTuberに
渡邊が何をやっていかは分からない(本当にすいません…)
けど好きなバンドが止まる悲しみをDOESで自分は痛いほど味わった
活動停止期間、音源を聞けなくなってしまうほど
あのバンドの帰還が近づいてくる
そのタイミングでカバーするアルカラは流石のきこうしぶりである

そして最後の「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」
10年は経ってないが、また笑い合える日々が来た
帰ってきたあのバンドに捧げて居るかのようだった

セトリ
SC①キャッチーを科学する
SC②夢見る少女でいたい
半径30cmの中を知らない
アブノーマルが足りない
カラ騒ぎの彼女
サスペンス激情
言葉にならない(グッドモーニングアメリカのカバー)
ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト

・kobore[ムロ海ステージ LEFT STAGE](19:55〜)
しかし稲村が、

「ムロフェスなのに、雨も無い」

と言ったからだろうか

急に雨がチラツキはじめ、参加者の一部は屋根のあるゾーンに移ったり、折りたたみ傘の使用を開始
PAブースもテントを着用するほどになってしまったが、そんな悪いコンディションでもリハで曲をやりまくっていたのがLEFT STAGEのトリ、kobore
名前に因むように雫が溢れる状態でのステージに

屋根のある場所で見る方、ずぶ濡れを覚悟で見る方と客席の対応は完全に別れているが、「ヨルノカタスミ」が始まると誰もがすっかり聞き入る部分に
koboreの曲は夜を題材にした曲が多く、自分はCDJ22/23で年明けのGALAXY STAGEで轟音をぶちかますkoboreを見たことがある
その体験はあまりにも格別だったが、夜の屋内のkoboreはいつでも見れるのに対し、夜の屋外でkoboreを見れるのは限られている
ましてや雨の中なんて、そう簡単に経験できるものじゃないだろう

佐藤(Vo. & Gt.)が、

「ムロフェス終わらせて、ムロフェス始めます‼」

と宣言して改めてムロフェスの開幕を宣言するかのように、みなとみらいの端っこにある赤レンガ倉庫を「爆音の鳴る場所で」に変えると、田中(Ba.)と伊藤(Dr.)の筋肉質なリズムと共に駆け抜ける「FULLTEN」でダイバーがどんどん飛んでいく
豪雨ではないけど、雨の中をダイバーが泳ぐ
無理して飛ばなくて良いのに、飛んでしまうのはkoboreの曲に飛びたくなる衝動が宿っているからだと思われる
抑えられなくるような衝動が

「もう散々なんだこの夜は」

が雨が降っているkoboreのライブ中の気候を揶揄させながら、安藤(Gt.)が鳴らすギターが会場を照らす「夜に捕まえて」とまたも夜にまつわる曲を行うと、

「売れる売れないで良し悪しを決めたら音楽は廃れる」

と名言を放つ佐藤

この発言は至極真っ当であり、握手会商法がチャートを制圧していた2010年代前半のシーン
ライブよりも売上に比重が置かれており、名曲たちが世間に認知されないことがとても多かった
10年代後半、ビルボードチャートが日本のチャートの主流になることでようやく流れが変わったが、音楽の是非は主観で決めること
売上で良し悪しを決めたら音楽は成り立たなくなってしまう
音楽の良さは個人が決めるもの
売上をメインにして考えてはならない

そのうえで「幸せ」で、タイムテーブルが発表された際に何かあったのか、

「トリがkoboreじゃなくて、koboreがトリなんだよ‼」

とフラストレーションを爆発させるようにも叫んだが、

「あなたにとって幸せは何ですか?」

の後に、佐藤は

「ムロフェスが開催されたこと!!」

と力強く叫ぶ

ライブが出来るのは当たり前じゃない
フェスだってそう
自分が大切にしているものでライブが出来る
それが何よりの幸せである

そしてラスト、「この夜を抱きしめて」はムロフェス初日の終わりが近づいていることを悟らせるが、自分はこれからも度々泥臭えライブに救われることになるだろう
「アフレル」の頃から追ってる身として、いつか武道館に立つ日が来るなら足を運びたい
そう思わせるトリだった

セトリ
SC①リバイブレーション
SC②テレキャスター
SC③FULLTEN※自信なし
SC④爆音の鳴る場所で(一瞬)
ヨルノカタスミ
爆音の鳴る場所で
FULLTEN
夜に捕まえて
幸せ
この夜を抱きしめて

・グッドモーニングアメリカ[ムロ海ステージ RIGHT STAGE](20:25〜)
一時的に降っていた雨はなんとか上がり、長かった1日も最後のアクト
その最後のアクトとは遂にムロフェスに帰ってきたグッドモーニングアメリカ
たなしん(Ba.)は朝から客席にいたり、金廣(Vo. & Gt.)はDOESのライブにゲストで参加していたが、グドモをライブで見るのはいつ以来だろう?(ベストアルバムのために作られた「Darwin's Train」をロッキンでやっていた時以来?)

リハで「ウォールペーパー〜」をやっている時点で既に懐かしさを覚えるが、本番が始まるとたなしんのナレーションと共にステージにはたなしんが朝から参加者に書いてもらっていたフラッグが上げられる
このためのものだったのかとようやく気付いたが、金廣やたなしんはもちろん、渡邊(Gt.)やペギ(Dr.)もいる正真正銘完全体のグドモ

このオープニングだけで既にグッとなるが、「キャッチアンドリリース」のイントロが始まると、一気に高揚
グドモの音楽性は触れやすいキャッチーな曲調に対し、社会風刺よりなシリアスな歌詞が特徴
「キャッチ〜」もSNSを風刺した曲ではあるが、客席から多くの拳が上がっているのを見ると、グドモは忘れられてなかった
そう確信出来るし、若者も巻き込めて踊らせているのがとても嬉しい

渡邊が鳴らす疾走感あるメロディーと共に、ペギの4つ打ちが駆け抜ける「コピペ」はPVでもあった振り付けをやる方は流石にいないが、Tik Tokなどが流行りまくっている現代にはあまりに刺さる曲と思っていると、渡邊とたなしんは興奮しすぎて何を伝えるかまとまっていない
でもムロフェスでライブ出来るのを楽しみにしていた
それははっきり伝わる
だからこその感情爆発

グドモ名物だった「ファイヤー!!」を久々に大勢で行い、アルカラが先にやった「言葉にならない」は一気にダイバー続出
なお稲村はたなしんが持ってきたフラッグを持って、ステージにいたのだが稲村はムロフェスのロゴを作ったりと、ムロフェスの運営側のようなもの
笑顔でステージを見つめているのは、グドモが戻ってきてくれたことへの喜びそのものだろう

そうやってグドモが戻ってきたことにより、グドモもムロフェスも「輝く方へ」行く予感しかしないのだが、どのアーティストにも戻って来るためには居場所が必要
グドモの場合、ムロフェスがかけがえない居場所になっていたのだろう
ムロフェスを四星球の北島は、

「ムロさんに太鼓判を押されたアーティストが集うフェス」

と称されていたが、色んなアーティストの帰る場所にもなっている
そんな大きなフェスとなった

本編最後となったのは、グドモの名前を大きく広げていった「未来へのスパイラル」
DOESのライブで聞いた際、「やっぱり名曲だよな…」と思ったけど、渡邊達が鳴らす音が加わるとより名曲と身体が思い出させる
グドモの往年のファンによれば、そこまで声は出てなかったようだけど、金廣の声が大空一杯に広がる景色をまた目撃できる
そんな奇跡がこれから訪れるのだろう

これだけでも充分素晴らしかったが、戻って来ると渡邊は再び感謝を伝えつつ、

「ムロフェス常連の方なら、今年いないあのバンドのこと分かるよね?彼らが戻ってくるように、このフェスを守ろう!!」

と呼びかけた

あのバンドとはこの日、Ivy to Fraudulent Gameのサポートで参加していた仲道良が所属するircleのこと
5月を持って活動停止に入ったが、ムロフェスがあればいつか戻ってくるはずだ
ircleにとってもムロフェスは居場所だったのだから

そして最後はムロさんもコーラスで加わったので「空ばかり見ていた」
グドモに支えられていたファンがグドモを失った時の心理状態がまさにこれ
このライブはもう正気でいられなかったのではないだろうか
復活どころか、10年代のシーンの名曲が再び鳴り響く光景は感無量である

去り際に、渡邊は復活東名阪ワンマンツアーの開催も発表
未来どころか完全復活へのスパイラルだった

セトリ
SC.ウォールペーパーミュージックで踊りたくないぜ
キャッチアンドリリース
コピペ
言葉にならない
輝く方へ
未来へのスパイラル
(Encore)
空ばかり見ていた w/ ムロさん

2日目はこの日出演していたアーティストのワンマンに行くのでムロフェスは不参加
持ち時間25しかないのはキツイが、忘れの柴田も話していた通り、最高のロックフェスだろう

自分はフェスを見本市と考えている
ムロフェスの根本は新しいアーティストとの出会い
新たな才能や会ったことのないアーティスト、ここのところ参加できなかったアーティストをたくさん見れるフェスは最高のフェスである

ムロフェスが終わったあと、ムロさんはTwitterで来年は時期や場所の変更の可能性を示唆している
温暖化によって夏フェスシーズンは来年から動くかもしれない
けれども日程が合い、なおかつ赤レンガ倉庫でやってくれるなら是非参加したい
来年以降もよろしくお願いします



※昨年のムロフェスのレポ

※前回シンガーズハイを見た際のレポが載っている記事