昨年8月にホーム、eggmanで行われた初のワンマンライブはソールドアウト
1年の終わり際には不定期で開催しているの晩餐会を東名阪ツアー形式で開催し、東京はハク。に加え、コンポーザーである高田(Ba.)のルーツであるネクライトーキーをゲストに招いたchef's
音楽雑誌にインタビューが掲載されたりと、少しずつ状況が好転する中2度目のワンマンはSHIBUYA CLUB QUATTROに
かつてストレイテナーとandropのツーマンにてオープニングアクトとして立った会場に自力で帰ってきた
この日は整理番号が早かったのもあり、かなり早めにCLUB QUATTROに、すると個人的にQUATTROで最も見やすい場所と思っているPA右横のエリアは封鎖
ミラーボール真下を中心とする会場上手付近のエリアには機材が設置されている
現在発展途上、致し方無いがそれでもしっかりフロアは埋まっている
つまりO-crestなどの会場では間違いなくソールドアウトしていたということだ
定刻を少し過ぎた頃にゆっくり暗転し、「SHOWTIME」がSEで流れると、先に楽器隊の3人がステージに現れ、高田(Ba.)やフルギヤ(Gt.)が黒い衣装で登場する一方で伊吹(Dr.)の衣装は白
その後に登場したアヤナ(Vo. & Gt.)も黒の衣装だったので、伊吹の格好はやけに目立つし、このクアトロでシェフのような格好で4人がステージに立っていたことを思い出す
そのクアトロにオープニングアクトで立っていた際にも演奏していた「ヒーローコンプレックス」で始めると、アヤナの声にはどこか人間の弱さも感じたりするが、高田のベースは太く、フルギヤのギターはキャッチーなメロディを奏でている
聞き手によってはシティポップの影響を強く感じる方もいるだろうが、個人的に強いと思うのはジャズ
メロディアスとダンサブルを併せ持つのはシティポップよりもジャズだから
chef'sは先日、最新EPとして「Hollow Dripe」をリリースしたのだがそのEPから最初に放つ「Raclet」は、昨年見たキネマ倶楽部公演にてリリースに先駆けて披露されていた新曲の1つ
ハンドマイクになったアヤナはサビで積極的にお立ち台に立ち、全員の視界に入って歌うことをこころがけている
リリースされたばかりなので合唱はそこまで起こってなかったが、次第に合唱も起こり、聞くだけで気分が弾むような曲はより心が弾むようになるはずだ
序盤ながらフルギヤのギターソロが挿入され、お立ち台に立ったフルギヤがギターロックの影響を受けているであろうギターソロを行ったあと、「Hamlet」は変拍子によって、静と動の緩急が分かりやすいが、伊吹は同じパターンのドラミングを繰り返すのではなく、細かくリズムを変えている
こういったところを見るのに、伊吹もジャズの影響を受けたドラマーなんだろうか
バンドを代表するのかように、アヤナが客席に向けて挨拶をするが、chef'sの楽曲を制作しているコンポーザーはアヤナではなく高田
その高田は今回のライブタイトル、「Cenacle」は月に関連するものであり、「最後の晩餐」を意味するものとも話す
つまり今回のライブは「今日が最後だとしたら」を想定したようなライブでもある
このようなライブは、かつてASIAN KUNG-FU GENERATIONが不定期で行っていた「酔杯」シリーズ(解散ライブを想定したセットリストを組むライブ)を彷彿させるものがある
「プルミエール」になると再びアヤナはハンドマイクになり、高田と伊吹はモータウンビートを彷彿させるグルーヴを築くものの、歌謡曲のエッセンスも入っているから横ノリというよりは縦ノリ
それも間奏ではフルギヤが思い切りギターを鳴らすが、伊吹による手数の多さを見せるようなドラムソロを経て、キメが多い「だって、金星」もファンキー
フルギヤが刻むカッティングリフもキャッチーなもの
ありとあらゆるジャンルはフルギヤのギターが全年齢対象の音楽に塗り替えてい
UKポップやthe band apartの影響を伺わせる「メイブルー」はステージも青く染め上げて、青い世界へ塗り替えていく中、アヤナが煽りまくる「洒落徒」は一気に音圧が変貌
フルギヤがエモーショナルなギターを弾くのに合わせるかのように、高田もベースを歪ませ、伊吹はパワフルなビートに変える
「洒落はいらないでしょ」
の通り、チルい感覚など全くない血しぶきでも上げるような音と音のぶつかり合い
その「洒落徒」のアウトロから伊吹がビートを刻んだあと、高田がスラップを鳴らすというセッションのような繋ぎが行われ、その繋ぎは「Hollow Dripe」の中で唯一、キネマ倶楽部で行われなかった新曲にしてファンキーな「ハイジャックゴースト」へ
キネマ倶楽部でライブした際、
「歌える曲が増えてきました!!」
なんてアヤナが話していたが、これも歌わせる曲
SUPER BEAVERやsumikaが所属しているのが影響しているのだろうか
合唱出来る曲が増えつつある
一方で
「また会うための音楽を」
と簡単に前説を入れる「ourora」でアヤナはハンドマイクに戻っているが、回りだすミラーボールが導くのは幻想的な世界
心の中にいる宇宙を追体験しているかのように
まるで魔法にでも掛けられているかのように伊吹が性急なビートを刻み、フルギヤが爆音でギターソロを鳴らす「appe'ci(n)der era」を皮切りに始めるのはもちろん「Ci(n)der era」
最初はおとぎ話を聞いているかのようにメロウだけど、ラスサビ前に一気にアンサンブルがぶつかり合うのは何度聞いても快感
夢を見ることは誰にも止められないのだから
アヤナによってライブが早くも後半に入ったことを告げられたと同時に、フルギヤが繊細なギターリフをイントロで鳴らすのは「Ci(n)der era」と同じフレーズも登場する「ヒッチコック」
伊吹が刻む跳ねるビートに乗せて、フルギヤは次々と印象深いメロディを鳴らすのだが、「ヒッチコック」といえばEveの有明アリーナワンマン前に、開場BGMとして流れていたことが未だに忘れられない
いったいどこでchef'sの音楽と出会ったのだろう
前述の通り、chef'sがクアトロでライブをするのはこれが初めてでなく2度目
テナーとandropのツーマンのオープニングアクトでステージに立った2022以来なので3年半ぶりに立つことになったので、
「こんなにおおきかったんだ…」
とアヤナが驚くのは無理もないだろう
伊吹が昨年のeggmanワンマンから、既に半年近く時間が経過する時の流れの速さに驚きつつ、
「今日来てくれている方はchef'sの音楽を普段から聞いてくれている方だよね?聞いてくださる方がいるのでchef'sの音楽が成り立っています。私はこの4人で5年10年、50年とchef'sをやりたいのでよろしくお願いします。」
と敬意を払い、
「いつでも帰ってきていからね!chef'sの音楽はみんなの帰ってくる場所だから!!」
とchef'sの音楽があなたの帰ってこれる場所だと伝えたあと、「Comedy」はchef'sの音楽の中で特に重要だと思っている曲だ
chef'sの音楽は高田が作詞作曲しているので、世界観はフィクションに近いだろう
しかしながら自分や誰かの期待に目を向けすぎると大切なものを見失ってしまう
それが「Comedy」に記されていること
以前、高田は
「chef'sの音楽はどの時間に聞いても合う」
と解説していたが、この「Comedy」は特にそうではないだろうか
嫌なことを忘れるべく、食していくスイーツかのように
代表曲の「スピンオフヒロイン」は、度々来る決めの
「1、2!!」
を合唱させ、フルギヤがこれでもかというほどカラフルなリフを鳴らすが、サビで次々と変化する照明が日替わりでヒロインが変わっていることを揶揄しているようにも見える
まるでラブコメ作品のように
「Comedy」と「スピンオフヒロイン」は終盤に続けて行うことが多い曲
この2曲を続けてやることはライブが終盤に入ってることを示唆しているのだが、その2曲のあとに行われた「チャプリン」は4年半前にクアトロでライブした際、新曲として演奏されていた曲だ
あのライブを見ていた方はここにどれくらいいるのだろう
少なくともその時よりも
「そばにいたい」
と思う方は増えているはずだし、個人的には今の時代にこそ曲名の元ネタであるチャールズ・チャップリンのような風刺をテーマにした作品を作るスターが出てきてほしい
「chef'sの音楽は私じゃなくて、(高田)真路が作っているんだけど、1リスナーとして聞いても良い音楽だと思うし、その音楽がみんなに届くのを想像するのが楽しい」
と高田の作る音楽を絶賛しつつ、chef'sの音楽が届く瞬間を想像するのが楽しいと話す辺り、音楽をやるために生まれてきた人間なんだろうと思うが、
「私はステージに立つのは苦手だけど、chef'sの音楽を聞くと、少しだけ自信や勇気をくれる」
の言葉の通り、chef'sの音楽はリスナーに力を分け与えてくれる
良い音楽なだけではない
何か力を授けてくれる特別な音楽なのだろう
「chef'sの音楽がもっと日常にありますように」
とアヤナが告げ、ハンドマイクになって歌うのは「Raclet」と同じく、昨年のワンマンで披露されていた「chiffon」
客席両サイドに接地されているミラーボールが回るのはチルサウンドのこの曲にぴったりだと思うが、これもあなたの事を肯定してくれる曲
気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを飲むように、あなたを肯定してくれる曲だ
「最後の曲だけど、まだ踊れるよね?」
とアヤナが煽る最後の曲は、前回のワンマンでは最初に演奏された「ブランニュース」
「腕は頭の上で!!」
とアヤナが指示するのは、SUPER BEAVERの渋谷龍太のようであったが、ジャズとEDMを人力で再現したかのようなオリジナリティあるアンサンブルで踊らせて終了
それからステージを捌けると見せかけて、高田を筆頭に4人は速攻で戻ってくるのだが、
高田「サポートメンバーだけど、初めてワンマンとしてステージに立ったのがCLUB QUATTRO。だから最初のワンマンはクアトロでやりたかった。けど所属しているmuffin diskも愛着が強くて、eggmanとクアトロは初ワンマンの気持ちでやった」
と話すように、高田はクアトロへの思い入れがとても強かった
きっと高田にとってクアトロとeggmanは大切な場所なのだろう
何度でも立てるような存在になってほしい
物販紹介を経て、次回主催ライブ8/26
結成記念日を予定しているようだが、そのライブはなんとご飯も食べれるライブになるらしい
それどころか全曲ライブも予定されているとのこと
アナウンスはまだ出来ないようだが、少なくとも来年以降8/26は予定を極力空けようと思う
そして昭和歌謡を思わせるようにダンサブルな「いとをかし」にて、
「ここで会ったのは偶然じゃないよ!」
とアヤナによって、この遭遇は必然であることを強調し、アンコールを終えたが前回のワンマンはダブルアンコールを行っていた
なのでほとんど帰る方はおらず、すぐにダブルアンコールで戻ってくるが、高田は他のアーティストのサポートだろうか、翌日北海道に行かなければならないらしい
にも関わらず、打ち上げで飲む気満々
それどころ前回のワンマン、翌日ライブが控えていたにも関わらず、高田もフルギヤもお酒を飲みまくった模様
つまりは2人ともお酒が好きなのだろう
睡眠時間が心配になるけど(笑)
アヤナ「帰ろうか(笑)」
とアヤナがライブの終わりを遠回しに宣言し、「ヒールマニフェスト」を爆音で鳴らすことによって2回目のワンマンは終わりを迎えるのだった
2回目のワンマンライブとはいえ、終演したのは前回よりも早い
その理由は最後のライブであることを意識するかのように、シームレスに曲をやりまくったからだろうか
当然ながらこれで終わりではないが、文句無しにお腹いっぱい
おいしい音楽のフルコースをたっぷり堪能した
高田がライブ中に触れたテナーとandropのツーマンライブは自分も参加し、オープニングアクトだったchef'sを見たときのこともしっかり覚えている
あのライブが自分にとって、chef'sとの初顔合わせになったわけだが、その時から「凄いバンドが出てきたな…」と思った
そこから動向を逐次追ってはいたが、ワンマンに足を運ぶまでになるとは思わなかった
シーンに出てきた直後から追いかけているのはchef'sとSIX LOUNGE(「大人になってしまうなよ」をリリースし、音楽メディアが取り上げ始めた頃から熱心に追いかけた)くらいだろう
音楽は生活の必需品ではない
1日聞かなくても生活を送ることは出来るから
けれども衣食住と同じくらい大切なものだと自分は考えている
先日見た須田景凪もライブで話していたが、音楽のお陰で生きることが出来る人もいるのだから
その中でもchef'sの音楽はいろんな方の日常に溶け込める音楽
暑苦しいほどに体育会系でもなければ、現実を突きつけるようなシリアスな世界観でもない
匙加減が丁度いいから様々なシチュエーションとマッチする
どんな時だってあなたの近くにいるおいしい音楽がchef'sの音楽だ
そしてchef'sの音楽に勇気づけられたり、自信を授ける力があるのは、アヤナが身を持って証明している
事務所の大先輩、マカロニえんぴつの音楽が「弱者に寄り添うバンド」であるようにchef'sは日常を支えてくれ
セトリ
SE︰SHOWTIME
ヒーローコンプレックス
Raclet
hamlet
プルミエール
だって、金星
メイブルー
洒落徒
ハイジャックゴースト
ourora
appe'ci(n)der era〜Ci(n)der era
ヒッチコック
Comedy
スピンオフヒロイン
チャップリン
chiffon
ブランニュース
(Encore)
いとをかし
(W Encore)
ヒールマニフェスト













