昨年8月にホーム、eggmanで行われた初のワンマンライブはソールドアウト
1年の終わり際には不定期で開催しているの晩餐会を東名阪ツアー形式で開催し、東京はハク。に加え、コンポーザーである高田(Ba.)のルーツであるネクライトーキーをゲストに招いたchef's

音楽雑誌にインタビューが掲載されたりと、少しずつ状況が好転する中2度目のワンマンはSHIBUYA CLUB QUATTROに
かつてストレイテナーとandropのツーマンにてオープニングアクトとして立った会場に自力で帰ってきた

この日は整理番号が早かったのもあり、かなり早めにCLUB QUATTROに、すると個人的にQUATTROで最も見やすい場所と思っているPA右横のエリアは封鎖
ミラーボール真下を中心とする会場上手付近のエリアには機材が設置されている
現在発展途上、致し方無いがそれでもしっかりフロアは埋まっている
つまりO-crestなどの会場では間違いなくソールドアウトしていたということだ

定刻を少し過ぎた頃にゆっくり暗転し、「SHOWTIME」がSEで流れると、先に楽器隊の3人がステージに現れ、高田(Ba.)やフルギヤ(Gt.)が黒い衣装で登場する一方で伊吹(Dr.)の衣装は白
その後に登場したアヤナ(Vo. & Gt.)も黒の衣装だったので、伊吹の格好はやけに目立つし、このクアトロでシェフのような格好で4人がステージに立っていたことを思い出す

そのクアトロにオープニングアクトで立っていた際にも演奏していた「ヒーローコンプレックス」で始めると、アヤナの声にはどこか人間の弱さも感じたりするが、高田のベースは太く、フルギヤのギターはキャッチーなメロディを奏でている
聞き手によってはシティポップの影響を強く感じる方もいるだろうが、個人的に強いと思うのはジャズ
メロディアスとダンサブルを併せ持つのはシティポップよりもジャズだから

chef'sは先日、最新EPとして「Hollow Dripe」をリリースしたのだがそのEPから最初に放つ「Raclet」は、昨年見たキネマ倶楽部公演にてリリースに先駆けて披露されていた新曲の1つ
ハンドマイクになったアヤナはサビで積極的にお立ち台に立ち、全員の視界に入って歌うことをこころがけている
リリースされたばかりなので合唱はそこまで起こってなかったが、次第に合唱も起こり、聞くだけで気分が弾むような曲はより心が弾むようになるはずだ

序盤ながらフルギヤのギターソロが挿入され、お立ち台に立ったフルギヤがギターロックの影響を受けているであろうギターソロを行ったあと、「Hamlet」は変拍子によって、静と動の緩急が分かりやすいが、伊吹は同じパターンのドラミングを繰り返すのではなく、細かくリズムを変えている
こういったところを見るのに、伊吹もジャズの影響を受けたドラマーなんだろうか

バンドを代表するのかように、アヤナが客席に向けて挨拶をするが、chef'sの楽曲を制作しているコンポーザーはアヤナではなく高田
その高田は今回のライブタイトル、「Cenacle」は月に関連するものであり、「最後の晩餐」を意味するものとも話す
つまり今回のライブは「今日が最後だとしたら」を想定したようなライブでもある
このようなライブは、かつてASIAN KUNG-FU GENERATIONが不定期で行っていた「酔杯」シリーズ(解散ライブを想定したセットリストを組むライブ)を彷彿させるものがある

「プルミエール」になると再びアヤナはハンドマイクになり、高田と伊吹はモータウンビートを彷彿させるグルーヴを築くものの、歌謡曲のエッセンスも入っているから横ノリというよりは縦ノリ
それも間奏ではフルギヤが思い切りギターを鳴らすが、伊吹による手数の多さを見せるようなドラムソロを経て、キメが多い「だって、金星」もファンキー
フルギヤが刻むカッティングリフもキャッチーなもの
ありとあらゆるジャンルはフルギヤのギターが全年齢対象の音楽に塗り替えてい

UKポップやthe band apartの影響を伺わせる「メイブルー」はステージも青く染め上げて、青い世界へ塗り替えていく中、アヤナが煽りまくる「洒落徒」は一気に音圧が変貌
フルギヤがエモーショナルなギターを弾くのに合わせるかのように、高田もベースを歪ませ、伊吹はパワフルなビートに変える

「洒落はいらないでしょ」

の通り、チルい感覚など全くない血しぶきでも上げるような音と音のぶつかり合い

その「洒落徒」のアウトロから伊吹がビートを刻んだあと、高田がスラップを鳴らすというセッションのような繋ぎが行われ、その繋ぎは「Hollow Dripe」の中で唯一、キネマ倶楽部で行われなかった新曲にしてファンキーな「ハイジャックゴースト」へ
キネマ倶楽部でライブした際、

「歌える曲が増えてきました!!」

なんてアヤナが話していたが、これも歌わせる曲
SUPER BEAVERやsumikaが所属しているのが影響しているのだろうか
合唱出来る曲が増えつつある

一方で

「また会うための音楽を」

と簡単に前説を入れる「ourora」でアヤナはハンドマイクに戻っているが、回りだすミラーボールが導くのは幻想的な世界
心の中にいる宇宙を追体験しているかのように

まるで魔法にでも掛けられているかのように伊吹が性急なビートを刻み、フルギヤが爆音でギターソロを鳴らす「appe'ci(n)der era」を皮切りに始めるのはもちろん「Ci(n)der era」
最初はおとぎ話を聞いているかのようにメロウだけど、ラスサビ前に一気にアンサンブルがぶつかり合うのは何度聞いても快感
夢を見ることは誰にも止められないのだから

アヤナによってライブが早くも後半に入ったことを告げられたと同時に、フルギヤが繊細なギターリフをイントロで鳴らすのは「Ci(n)der era」と同じフレーズも登場する「ヒッチコック」
伊吹が刻む跳ねるビートに乗せて、フルギヤは次々と印象深いメロディを鳴らすのだが、「ヒッチコック」といえばEveの有明アリーナワンマン前に、開場BGMとして流れていたことが未だに忘れられない
いったいどこでchef'sの音楽と出会ったのだろう

前述の通り、chef'sがクアトロでライブをするのはこれが初めてでなく2度目
テナーとandropのツーマンのオープニングアクトでステージに立った2022以来なので3年半ぶりに立つことになったので、

「こんなにおおきかったんだ…」

とアヤナが驚くのは無理もないだろう

伊吹が昨年のeggmanワンマンから、既に半年近く時間が経過する時の流れの速さに驚きつつ、

「今日来てくれている方はchef'sの音楽を普段から聞いてくれている方だよね?聞いてくださる方がいるのでchef'sの音楽が成り立っています。私はこの4人で5年10年、50年とchef'sをやりたいのでよろしくお願いします。」

と敬意を払い、

「いつでも帰ってきていからね!chef'sの音楽はみんなの帰ってくる場所だから!!」

とchef'sの音楽があなたの帰ってこれる場所だと伝えたあと、「Comedy」はchef'sの音楽の中で特に重要だと思っている曲だ

chef'sの音楽は高田が作詞作曲しているので、世界観はフィクションに近いだろう
しかしながら自分や誰かの期待に目を向けすぎると大切なものを見失ってしまう
それが「Comedy」に記されていること
以前、高田は

「chef'sの音楽はどの時間に聞いても合う」

と解説していたが、この「Comedy」は特にそうではないだろうか
嫌なことを忘れるべく、食していくスイーツかのように

代表曲の「スピンオフヒロイン」は、度々来る決めの

「1、2!!」

を合唱させ、フルギヤがこれでもかというほどカラフルなリフを鳴らすが、サビで次々と変化する照明が日替わりでヒロインが変わっていることを揶揄しているようにも見える
まるでラブコメ作品のように

「Comedy」と「スピンオフヒロイン」は終盤に続けて行うことが多い曲
この2曲を続けてやることはライブが終盤に入ってることを示唆しているのだが、その2曲のあとに行われた「チャプリン」は4年半前にクアトロでライブした際、新曲として演奏されていた曲だ
あのライブを見ていた方はここにどれくらいいるのだろう
少なくともその時よりも

「そばにいたい」

と思う方は増えているはずだし、個人的には今の時代にこそ曲名の元ネタであるチャールズ・チャップリンのような風刺をテーマにした作品を作るスターが出てきてほしい

「chef'sの音楽は私じゃなくて、(高田)真路が作っているんだけど、1リスナーとして聞いても良い音楽だと思うし、その音楽がみんなに届くのを想像するのが楽しい」

と高田の作る音楽を絶賛しつつ、chef'sの音楽が届く瞬間を想像するのが楽しいと話す辺り、音楽をやるために生まれてきた人間なんだろうと思うが、

「私はステージに立つのは苦手だけど、chef'sの音楽を聞くと、少しだけ自信や勇気をくれる」

の言葉の通り、chef'sの音楽はリスナーに力を分け与えてくれる

良い音楽なだけではない
何か力を授けてくれる特別な音楽なのだろう

「chef'sの音楽がもっと日常にありますように」

とアヤナが告げ、ハンドマイクになって歌うのは「Raclet」と同じく、昨年のワンマンで披露されていた「chiffon」
客席両サイドに接地されているミラーボールが回るのはチルサウンドのこの曲にぴったりだと思うが、これもあなたの事を肯定してくれる曲
気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを飲むように、あなたを肯定してくれる曲だ

「最後の曲だけど、まだ踊れるよね?」

とアヤナが煽る最後の曲は、前回のワンマンでは最初に演奏された「ブランニュース」

「腕は頭の上で!!」

とアヤナが指示するのは、SUPER BEAVERの渋谷龍太のようであったが、ジャズとEDMを人力で再現したかのようなオリジナリティあるアンサンブルで踊らせて終了

それからステージを捌けると見せかけて、高田を筆頭に4人は速攻で戻ってくるのだが、

高田「サポートメンバーだけど、初めてワンマンとしてステージに立ったのがCLUB QUATTRO。だから最初のワンマンはクアトロでやりたかった。けど所属しているmuffin diskも愛着が強くて、eggmanとクアトロは初ワンマンの気持ちでやった」

と話すように、高田はクアトロへの思い入れがとても強かった
きっと高田にとってクアトロとeggmanは大切な場所なのだろう
何度でも立てるような存在になってほしい

物販紹介を経て、次回主催ライブ8/26
結成記念日を予定しているようだが、そのライブはなんとご飯も食べれるライブになるらしい
それどころか全曲ライブも予定されているとのこと
アナウンスはまだ出来ないようだが、少なくとも来年以降8/26は予定を極力空けようと思う

そして昭和歌謡を思わせるようにダンサブルな「いとをかし」にて、

「ここで会ったのは偶然じゃないよ!」

とアヤナによって、この遭遇は必然であることを強調し、アンコールを終えたが前回のワンマンはダブルアンコールを行っていた
なのでほとんど帰る方はおらず、すぐにダブルアンコールで戻ってくるが、高田は他のアーティストのサポートだろうか、翌日北海道に行かなければならないらしい
にも関わらず、打ち上げで飲む気満々
それどころ前回のワンマン、翌日ライブが控えていたにも関わらず、高田もフルギヤもお酒を飲みまくった模様
つまりは2人ともお酒が好きなのだろう
睡眠時間が心配になるけど(笑)

アヤナ「帰ろうか(笑)」

とアヤナがライブの終わりを遠回しに宣言し、「ヒールマニフェスト」を爆音で鳴らすことによって2回目のワンマンは終わりを迎えるのだった

2回目のワンマンライブとはいえ、終演したのは前回よりも早い
その理由は最後のライブであることを意識するかのように、シームレスに曲をやりまくったからだろうか
当然ながらこれで終わりではないが、文句無しにお腹いっぱい
おいしい音楽のフルコースをたっぷり堪能した

高田がライブ中に触れたテナーとandropのツーマンライブは自分も参加し、オープニングアクトだったchef'sを見たときのこともしっかり覚えている
あのライブが自分にとって、chef'sとの初顔合わせになったわけだが、その時から「凄いバンドが出てきたな…」と思った
そこから動向を逐次追ってはいたが、ワンマンに足を運ぶまでになるとは思わなかった
シーンに出てきた直後から追いかけているのはchef'sとSIX LOUNGE(「大人になってしまうなよ」をリリースし、音楽メディアが取り上げ始めた頃から熱心に追いかけた)くらいだろう

音楽は生活の必需品ではない
1日聞かなくても生活を送ることは出来るから
けれども衣食住と同じくらい大切なものだと自分は考えている
先日見た須田景凪もライブで話していたが、音楽のお陰で生きることが出来る人もいるのだから

その中でもchef'sの音楽はいろんな方の日常に溶け込める音楽
暑苦しいほどに体育会系でもなければ、現実を突きつけるようなシリアスな世界観でもない
匙加減が丁度いいから様々なシチュエーションとマッチする
どんな時だってあなたの近くにいるおいしい音楽がchef'sの音楽だ

そしてchef'sの音楽に勇気づけられたり、自信を授ける力があるのは、アヤナが身を持って証明している
事務所の大先輩、マカロニえんぴつの音楽が「弱者に寄り添うバンド」であるようにchef'sは日常を支えてくれ

セトリ
SE︰SHOWTIME
ヒーローコンプレックス
Raclet
hamlet
プルミエール
だって、金星
メイブルー
洒落徒
ハイジャックゴースト
ourora
appe'ci(n)der era〜Ci(n)der era
ヒッチコック
Comedy
スピンオフヒロイン
チャップリン
chiffon
ブランニュース
(Encore)
いとをかし
(W Encore)
ヒールマニフェスト


chef's 2ndワンマンライブ「Cenacle」告知


5月も中旬なので今月の予定の時間
どんな記事を制作するかは現在考え中です

今月の予定はこんな感じ↓

5/1 ???※
5/2〜5 JAPAN JAM 2026(千葉市蘇我スポーツ公園)
5/11 ???
5/12 ???
5/15 BRAHMAN(東京ガーデンシアター)
5/16 androp(さいたま)
5/17 Galileo Galilei(KT Zepp Yokohama)
5/19 ストレイテナー(KT Zepp Yokohama)
5/20 ???
5/24 ???※
5/29 ???※人気公演なので当日まで黙秘
5/30 ???※チケット確保済

10+α、具体的に言えばフェス4日+4本ですね

まずはJAPAN JAM
例年なら3日参戦ですが、今年は全日程にしました
その理由はこのJAPAN JAMがSHISHAMOを見る最後の機会になるからです
後悔しないよう、確実に見るために全日程を確保しました
曜日によってカラーが大きく異なりますが、いつもの動き方で見ることになるでしょう
どっかのの日はサブステージだらけになるんじゃないでしょうか?

その次はBRAHMAN、一昨年の横浜BUNTAIから始まったアニバーサリーシリーズもこれでラスト
単独でガーデンシアターはこれが初めてかと
去年「virasha」のツアーには2回参加しましたが、年を遡れば流れも大きく変わるはず
新しい気持ちで「virasha」のツアーに臨みます

続いてはandrop
本来ならばこの時点で新作「Imperfect」がリリースされるはずでしたがレコーディングが難航しているのでしょうか、リリース日はまだ不明となっています汗
それどころか、本来ならばツアーファイナルに参加予定のはずが別の公演と被り、神奈川公演も他の公演と重複
結果、まさかのさいたま公演に参加することに
…開き直って現地のラーメンでも食べるか?

次はGalileo Galilei
昨年の三国ツアーにて開催を明言していた新規ツアーです
ガリレオのツアーにはなんらかのコンセプトがある
「NAKED HERO」に込められた意味とは…?

そして公表できる最後のライプはストレイテナー
7月まで続くツアーの初日です
この記事を執筆している段階では特に最新作のリリース情報はなし
久々にリリースが絡まないツアーになるかもしれません
昔あった「FREE ROAD Tour」みたく、シングル重視のツアーか?

この他にも2本、確保しているライプがありますがそれは当日までのお楽しみに
自分だけでなく、皆さんが参加したいライプに無事参加できますように

では
最初は青春パンクのブームに乗ってメジャーデビュー
NARUTOの主題歌に起用された「GO!!」をきっかけに、数多のアニメタイアップを担当するアニソンロックバンドとして世界をまたにかけるようになったFLOW
そのFLOWは2000年に結成した結果、2026年に図ったかのように結成26周年を迎えることに(同時に去年は結成25周年だったりした)
そんな2026年をFLOWの年と称し、結成26周年ツアーを開催
26周年に因んで、「カップリングコレクション」も含んだ13枚のアルバムから各2曲、合計26曲やるぶっ飛んだツアーである

アニメ効果で国内を飛び越えて、海外でもFLOWは人気がある
故に客席に訪日客が多いのも特徴であるが、フロアはぎっしりと埋まって、早々にサイドゾーンを解放
つまりFLOWをガッチガチに愛するものが会場に集っているということでもあるし、まさかこのツアーが玄人向けのツアーになるなんて誰も開演前は思っていなかった

定刻を少し過ぎた頃にゆっくり暗転すると、場内には「カップリングコレクション」を皮切りにFLOWがこれまでリリースしたアルバムを1枚ずつ読み上げるアナウンスが
それはこのツアーがFLOWの歴史を振り返るツアーということを示すも同然だが、、全てのアルバムを読み上げたあと、5人は全員拡声器を片手にジャージを持った状態で登場し、「Fun Time Delivery 2009(「カップリングコレクション」に収録されたバージョンお思われる)」で始まるのはあまりにも度肝を抜かれるオープニング
音源がオケになっている関係上、GOT'S(Ba.)やTAKE(Gt.)も拡声器でラップを行っているが、メンバー最年長のIWASAKI(Dr.)に至ってはロボットダンスも始める始末
実はこれアルバムの特典に収録れていたPVで行われたものだが、どれくらいの26ers(FLOWファンの呼称)があのPVを覚えているのだろうか

あまりに斬新なオープニングを終えて、それぞれが持ち場にくと、またも「カップリングコレクション」に収録された「Fiesta」を行う刺激が強すぎる序盤
ただ久々にFLOWのライブを見ると、GOT'Sの太いベースとIWASAKIによる前に出すぎないビートはポップパンクの影響をもろに受けたもの
青春パンクのブームに乗ってシーンに出てきた頃とFLOWの根本はほとんど変わってないことが分かる

そのFLOWの原点とも言える「SPLASH!!」に収録された「プラネットウォーク」は現在でも頻繁にやる定番曲の1つ
KOHSHI(Vo. & Gt.)とKEIGO(Vo.)はツインボーカルの特徴を活かすように、高低音の別れたラップをステージで動き回りながら行い、歪んだギターを鳴らすTAKEは、

「かかってこいよ!!」 

といつものように煽るが、以前LIQUIDROOMでDOESとツーマンした際、ダイバーが普通に出ていたがこの日は出てない
それは最前列付近にセキュリティがいなかったのも影響していそう

彼らの出身である沖縄の温かい日差しを感じる「SUNSHINE 60」は陽性のメロディーと共に合唱をもたらすポップパンク
かつて全オリジナルアルバムの収録曲を網羅するマンスリー配信ライブシリーズがあったものの、まさか今になって「SUNSHINE 60」が聞けるとは…
ラウド・パンク系のフェスでこれをやったら、間違いなく受け入れられるだろう

00年代から10年代に一気に駆け上がり、ソカのリズムに載ってGOT'Sのグルーヴィなベースラインで踊らせる「Steppin' Out」は、この日初のアニメタイアップソング
サビはいつものようにタオル回しを促していくが、まさかこれがこの日数少ないアニメタイアップソングになるなんて、思いもしなかったが

「2026年はFLOWの年!!」

を打ち合わせも無く、いきなり告げるので

「急に言わないでくださいよ(笑)」

とKOHSHIにツッコミを入れられるKEIGO

どうやらKOHSHIは日本語でMCをするのが久々すぎて、つい前のめりになってしまったようだが、世界中でライブしまくっている東京スカパラダイスオーケストラもこんな感じなのだろうか

結成26周年に因んで、26曲やることから

KEIGO「今日はいつもより長くなりますよ〜!!」

と長期戦になることを伝え、「TRIBALYTHM」よりニルヴァーナのかの名曲「Smells Likes Teen Spirit」をタイトルの元ネタにしたであろう「Smells Like 40 Spirit」にて、

「ゲームボーイ」「カードダス」

など懐かしいのトレンドを曲中に盛り込みつつ、ラウドバンドとしてのFLOWを見せたあと、キャリアの中でも特にエモが強い「#5」からは、GOT'SとIWASAKIが築く強いリズムに張り上げるように強い熱量をぶつける「PULSE」
アルバムのCMで「PULSE」が流れていたことを覚えていらっしゃる方もいるのでは?

TAKEが軽快なカッティングを刻む「赤いサイレン」で赤い照明の元、頭を振らせるだけでなく、随所で起こる合唱はシュプレヒコールにも見えてくる
サイレンはSOS信号でもあるのだから

「FLOW THE MAX!!!」に収録された
「Red Hot Riot」もツインボーカルのメリットを活かした曲
KOHSHIが張り上げるように歌う一方でKEIGOは切れ味鋭いラップを見せて、見事な役割分担を果たしているが、「MICROCOSM」に収録された「ATMOSPHERE」が始まると熱狂は嘘のように消える
「MICROCOSM」はコンセプチュアルなアルバムであり、他のアルバムと毛風も大きく異なるが、この「ATMOSPHERE」は「反戦」がテーマ

「自分だってそうだよ
例えば 大切な人が誰かに殺されて
僕はそれをどんな風にして許せるというのだろう」

という重いフレーズも普通に出てきてしまう
世界中でライブをしているバンドゆえ、世界情勢にはどうしても敏感になる
アメリカがイランに進行する馬鹿げた行動に出なければ、セットリストに入らなかったのだろうか

しかしながら直後に、「#10」に収録された「JOY TO THE WORLD」でKEIGO扮するJOY神が降臨すれば、
そんな考えさせられる曲をやったのがまるで嘘のように消える
ラウドなアンサンブルに載せてKEIGOがシャウトしまくるから
世界を遊び尽くそうという見解で見れば、この曲順も納得できるが

直前の2曲の流れは今回のセットリストで1番キツいところだったとKOHSHIとKEIGOが話すが、KEIGOが

「ツアー久しぶり!」

と話したのは、去年のツアーはワールドツアーの一貫
対バンツアーとなったFLOW THE PARTYを除くと、ワンマンツアーはおそらく2023以来
かなり久々だし、前回がアニソン縛りでありつつも、実質シングル縛りだったので、相当雰囲気も異なるが、今回のツアーで1番のビッグニュースはGOT'Sが復帰したこと
2024年からやっているFLOW THE FESTIVALも昨年は欠席
ようやく帰ってこれたことをGOT'Sは喜んていたが、ライブに参加出来なかった期間が長くなったからこそ、50手前で禁酒
食生活も見直したようだ
この姿勢をKEIGOはおおいに喜んでいたし、結果的にバンドの寿命を伸ばすことにつながったかもしれない

こういうMCをやるのはだいたい中盤だが、26曲やるライブ故にこの曲数でもまだ序盤
KEIGOとGOT'Sが話している間にKOHSHIはギターを背負い、TAKEとのツインギター編成で披露したのは、GOT'Sがスラップを随所で入れるファンキーな「ANSWER」(タイアップ曲が多い「アイル」の収録曲)
FLOWがアニソンのイメージは強いのは言うまでもないが、この「ANSWER」は「探偵学園Q」の実写版ドラマ主題歌に起用されたとヒットした曲でもある
26年の歴史を振り返る上で、このヒット曲も拾ってくれたのはとても嬉しい

シーケンスを大胆に入れてIWASAKIが四つ打ちのビートを刻む遊び心満載な「TOY MACHINE(「FLOW THE MAX!!!」収録)」でKOHSHIがハンドマイクに戻り、拳を挙げさせる中、「26 a Go Go!!!」からはGOT'Sの歌うようなベースラインがクールに牽引するパンクな「ラブ☆セラ」、KOHSHIとKEIGOの甘いハーモニーがTAKEが奏でる美メロに乗る「Smile Smile Smile」を選曲
しかもこの2曲は曲順通り
この順番でなんとしてでも、やりたかったのだろう

IWASAKIがタイトなビートを刻む「アイオライト」ではKOHSHIが再びギターを背負うが、「アイオライト」の見所といえばKEIGOのハーモニカソロであり、KEIGOの鍵盤ソロには大きな歓声が起こる
「待ってました!!」と言わんばかりに

イントロのシーケンスが鳴った途端に大歓声が起こるのは車のCMソングで大量OAされた「AROUND THE WORLD」
サビでは腕を右に左へと振らせていくが、シングルにも関わらず存在感か薄いのは収録アルバムの「アイル」には、「ANSWER」以外にも「Re:member」に「COLORS」なども収録されていた
タイアップが多くて埋もれている気がするが、2006年ごろはダンサブルな曲は今みたいに大衆に受け入れられてなかった気もする
今の方が受け入れられそうな気もするのは考えすぎだろうか

「昔と違って曲はCDじゃなくて、手元で聞くものになった。ライブも配信で見れる時代。でも熱さはここにしかないよな!これからもやっていきますよ!!」

とシーンが移りゆく流れをリアルタイムで体験してきたKEIGOが話し、ライブの熱量だけは変わらないことを話すが、FLOWは音楽性を常にアップデートしており「United Sparrows」はEDMをバンドに落とし込んだもの
以前と異なりアレンジはだいぶ変わった感じするが、バンドでなりければ成立しないようなアンサンブルに進化した
これがアニメのEDに使用されていたことを覚えている方はどれくらいいるのだろう

今回のツアーは13枚リリースしたアルバムの中から各2曲ずつやるライブのため、セットリストの予想が各所で行われていたようだが、最も予想が当たっていた方で4割
それほどまでに予想が困難なセットリストだし、

KEIGO「初めて来た人ごめん、今日は「COLORS」やらない(笑)」

とお詫びすると、何故かIWASAKIが注意を
もうこの時点で「アイル」の曲をやりきったし、KEIGOが理不尽極まりない

去年のワールドツアーで5大陸を制覇、アフリカでもライブしたことをKOHSHIは嬉しそうに話すが、

「1年目のバンドじゃこんなの絶対出来ないけど、俺たちはみんなと一緒にライブを作ってきた。みんなで作ってきたライブ、世界に通用したぞ!!」

と世界に通用するバンドにまでなったのは、26ersと作った空間があったから
もっと細かく噛み砕けば見つけてもらえたから、FLOWのライブ空間が作られた
5人の力だけでは決してなし得なかったこと
沖縄から生まれたミクスチャーロックバンドが世界に羽ばたくなんて思いもしなかっただろうから

そのKEIGOが話したことを言語化したのが「BLACK & WHITE」に収録される前から披露され、ツアータイトルにもなっていた「ON THE LINE」であり、ライブがFLOWと26ersを結びつけるものであることを改めて歌ったあと、間髪始まる「Dear」は代表曲こと「DAYS」も収録された傑作「GOLDEN COAST」のオープニング
久々に聞いても色褪せてないし、KOHSHIとKEIGOが客席にマイクを向ければ大合唱
アルバムを聞きながら受験勉強していたのが懐かしくなる(大学受験の頃、よくFLOWのアルバムを聞いていたため)

KOHSHIが英語詞、KEIGOが日本語詞とパートが振り分けられている「LUNA」はIWASAKIが刻む高速16分で踊らせたあと、「GAME」に収録された「その先には…」はスカをベースに脳裏に風景を浮かばせる
2026年仕様と思わせるような歌詞もあったが、各アルバムから2曲行うコンセプトだから、歩んできた歴史を1つ残さず振り返ることが出来る
つまりターニングポイントとなったであろう曲も1つ残らず出来る

青春パンク真っ盛りの頃のFLOWが垣間見える「ドリームエクスプレス」は、一緒にライブを見ることが多い仕事先の後輩が聞きたがっていた曲
よって、後輩の聞きたい曲は見事に回収されたのだが、間奏になると

「誰がカズレーザーだ!!(笑)あの人ほど知識無いから!!…探求心はあります」

とカズレーザー呼ばわりされたことにTAKEはツッコミを入れながら、26年目を迎えることが出来たことに感謝し、まだまだ先に行くことを宣言
そこからラスサビを聞くと今にも走りたくなるし、

「山手線3周目」

のフレーズがあることで、
今更ながら歌詞に山手線が入ってたことに気づいた

神聖な雰囲気から和を感じさせるミクスチャーに変化する「GOLD」はいつものように跳ねさせたり、頭を振らせたりしつつ、最後は座らせてから跳ねさせるが、「GOLD」を聞くと今でもFLOWと親交が深いROTTENGRAFFTYが浮かんでくる
ロットンの「金色グラフティ」を参考に制作されたのだろうか

「世界中、SNSで人を傷付けあったり戦争が起こったりと色んなことが起こったりしていますが、俺たちはずっと人との繋がりを大切にしてきた!!」

とFLOWでさえも戦争に言及せざるを得ない状況
しかし、FLOWは常に繋がりを大切にしてきたバンドである
今こそFLOWの音楽は真価を発揮する時なのかもしれない

どんな状況になったとしてもライブを続けることをKOHSHIはバンドを代表して宣誓
ならびにライブを続けるということは、桃源郷を守ることでもあり、それは最後の「Garden」に繋がる
この「Garden」も見方によっては反戦の歌
沖縄出身のFLOWからすれば戦争に賛同なんて出来ない
だからここで終わる合唱は平和を願うもの
平和を願う優しい合唱は確かに広がっていた

これを持って全ての曲が終了
しかしながらFLOWは既に今年2つの曲をリリース
まだ発表してないことが多くあることを伝えつつ、

「もう1曲やっていい?」

と客席に頼んで最後に行ったのはGOT'Sがスラップを入れまくる「5TELLA」

シーケンスは大胆に入っているものの、途中で入るKEIGOとKOHSHI掛け合いは2026年型のミクスチャー
次なるFLOWを見せつけ、26+αの曲を演奏し終えたのだった

最後の曲を終えて演奏が終わると、記念撮影
メンバー紹介を終えてステージを去ると、この日は演奏されなかった「LIVING DEAD(club asiaで開催されたBACK-ONも出演したROOKiEZ is PUNK'D主催イベントでは演奏されたらしい)」が終演SEとして
この曲が収録されている「BASTARD」のパチンコ新台は一切打つ気がないが、この新曲は早くライブで聞きたいと思った
それ以上に27曲やって2時間半で終わらせるあまりのスピーディーさに驚いたが

正直開演前は、「アルバムから2曲ってアニソンで埋まるだろ」と思ったし、あるいはアニソン+αと思った
FLOWの歴史を辿る上で、アニソンの存在は無視できないから

しかし蓋を開けてみれば、「GO!!」も「DAYS」も「COLORS」も無い
アニメタイアップは僅か3曲
ライブの定番曲を集め、26ersが沸くような曲が大集合したようなセットリストに
ステージにいたのはアニソンロックバンドではない
ミクスチャーロックバンドとしてのFLOWだった

終盤、KOHSHIは

「「SPLASH!!」からお世話になっている方もいますよね?」

と話していた

その頃から追いかけている方は、「メロス」や「贈る言葉」のカバーをリアルタイムで体験しているだろう
つまりはFLOWの人気が絶頂だった頃を知っている

一方で自分がFLOWを知ったのは「Re:member」で、本格的に追いかけたのは「FLOW THE BEST」の頃から

アルバムを本格的に聞き出したのは「MICROCOSM」の辺りからだと思うが、そもそもFLOWに目を向けた理由はミクスチャーロックが好きだったから
Dragon Ashに山嵐、スケボーキングと聞いていき、たどり着いたのがFLOW
しっかりアルバムを1枚聞いた結果、
「FLOWってカッコいいロックバンドだったんだ!!」と驚愕したのを覚えている

惜しむらくは「BLACK & WHITE」の頃、横浜BLITZに行かなかったこと
あの時行っておけば、もっとFLOWとの思い出を作れていたはず(ライブハウスに足を運んだことが無かったので、一歩踏み出すことが出来なかった)

ただコロナが原因で現地ライブが制限を受けていた時期、FLOWは12ヶ月連続で配信マンスリーライブをやった
そのお陰でFLOWへの熱が戻り、ついに現地でライブを見るまでになった

そしてこのライブはFLOWと過ごした日々を思い出させてくれた
FLOWはやっぱりカッコいいロックバンドだと

6月には5年続けて開催すると宣言したFLOW THE FESTIVALの3年目が開催 いよいよ折り返しの3年目に入るが、今年はスタンディングゾーンが導入
今までと異なる景色が見えるだろうし、新しい楽しみ方も生まれる
去年までと異なり、ようやく2日通しでチケットも確保した
6月が今から待ち遠しいが、初日のTBA枠は誰なんだろう(個人的にはSixTONESと見てる)

ただその前に、JAPAN JAMが待っている
FLOWにとっては2010年の「GO! FES」以来16年ぶりのロッキンオンのフェス
かつてならアニソンはシーンから敬遠されたかもしれないが、だいぶシーンの壁め無くなったし根本はポップパンク由来のミクスチャーロック
今なら多くの人がFLOWの良さを知ってくれるはず
なので、ぴあアリーナMMの前にまずは千葉市蘇我スポーツ公園で
そして多くの仲間を作って、6月にぴあアリーナMMで会いましょう

セトリ
Fun Time Delivery 2009/「カップリングコレクション」
Fiesta/「カップリングコレクション」
プラネットウォーク/「SPLASH!!」
SUNSHINE 60/「SPLASH!!」
Steppin' Out/「#10」
Smells Like 40 Spirit/「TRIBALYTHM」
PULSE/「#5」
赤いサイレン/「#5」
Red Hot Riot/「FLOW THE MAX!!!」
ATMOSPHERE/「MICROCOSM」
JOY TO THE WORLD/「#10」
ANSWER/「アイル」
TOY MACHINE/ 「FLOW THE MAX!!!」
ラブ☆セラ/「26 a Go Go!!!」
Smile Smile Smile/「26 a Go Go!!!」
アイオライト/「TRIBALYTHM」
Around The World/「アイル」
United Sparrows/「Voy☆☆☆」
ON THE LINE/「BLACK & WHITE」
Dear/ 「GOLDEN COAST」
LUNA/「MICROCOSM」
その先には…/「GAME」
ドリームエクスプレス/「GAME」
BLACK & WHITE/「BLACK & WHITE」
GOLD/「Voy☆☆☆」
Garden/「GOLDEN COAST」
5TELLA/ アルバム未収録
終演SE︰LIVING DEAD/アルバム未収録


FLOW 26周年アニバーサリーライブポスター


「ゴールデンカムイ」の実写版映画化主題歌に「輝けるもの」が起用されたことで、再び注目を浴びる存在となったACIDMAN
新作「光学」はタイアップ曲が多数収録されつつも、光や愛を軸にテーマに非常にロックなアルバムとなった
その新作「光学」を引っさげてのツアーがKT Zepp Yokohamaより開幕
「Loop」の再現ツアー以降は、KT Zeppでワンマンするのがお馴染みになりつつある

この日は2階席のチケットを確保していたため、KT Zeppに入場したのは開演15分前頃
それまで時間調整を行っていたのだが、開演が近いにも関わらず入口付近で長い列
自分のようにギリギリで入場する方が多かったのだろうか
流石に予想しなかった状況である

ほぼ定刻にゆっくり暗転
ステージ中央にある照明がゆっくりと「光学(Introduction)」に合わせて点滅
し、音が大きくになるに連れて3人が登場するが今回も下手にサトマ(Ba.)、上手にイチゴ(Dr.)、中央にオオキ(Vo. & Gt.)というフォーメーション
もうお馴染みであるが、オオキをサトマとイチゴの2人が支えているかのようにも見えるフォーメーションである

SEとして起用された「光学(Introduction)」を経て、アルバムの曲順に沿うように、「アストロサイト」から始まり、手数の多いビートを刻むイチゴと軽快なステップを踏みながらベースラインをなぞるサトマから築くグルーヴで踊らせるが、サビになると一気に爆音へ
初日とはいえ、オオキの声はしっかり出ており入念に準備を行ったことを伺わせる(ちなみに「アストロサイト」は、オオキが学者と対談した際に存在を知った言葉らしい)

イントロからオオキが歪んだギターを鳴らす「go away」は、イチゴが力強くビートを刻み、サビの

「go away! go away!」

に合わせて思い切り客席から拳が上がりまくっているのだが、今回のアルバム「光学」は「有と無」以降では、近年て1番ロックを鳴らしている印象がある
ここまでストレートに爆音を鳴らすACIDMANをアルバムで聞くのはいつ以来だろう

実は「光学」の収録曲たちは、昨年12月にアルバムリリースを記念し、開催されたお披露目会にて全ての曲が演奏されている
なのでウォーミングアップは実質済んでいるのだが、それでもオオキは緊張している模様
新曲を初お披露目するのと、ツアー初日はまた違った緊張感を抱くようだ

「光学」のイントネーションの話をしたり、

「数学とか物理学とか、みんな、“学”ってつけると嫌がるけど、あえてそこを行く(笑)「こっちの方が良いよ」と勧められても、俺はやりたい方を行く(笑)」

とあえてタイトルに「学」をつけた理由を熱弁した上、ファッションから教授を自称するオオキ(笑)
話し出すと止まらないのはいかにもオオキだし、

「光について、音楽を通して伝えたいと思います!!」

となんだか、ライブというより講義のようになりつつある(ちなみに自分は文系に進んだので、理系の知識はほとんど無い)

「珍しい曲ではないけど」

と前置きしつつ、イチゴがカウントした直後に「オイオイオイ!!」の合いの手が起こるのはお馴染み「アイソトープ」
かつてはフェスでも頻繁にやっていたので、レア曲ではない
ただサトマがネックを振りながらベースラインをなぞっているのを見ると、客席にいるこちら側も拳を思わず挙げてしまう

「Rebirth」はサトマがスラップベースを時に交えながらイチゴは性急なビートを刻むのだが、リリース当初は「ACIDMANがアニメタイアップ!?」と度肝を抜かれたものである
とはいえ蓋を開けてみれば、いつものACIDMAN節だった訳だが、そのあと盟友の10-FEETをはじめ、今までアニメタイアップをやってなかったバンドがアニソンを担うことは多くなったが、ACIDMANはその先駆者になったような気がしてならない(むしろまた別のアニメで主題歌を担当して欲しい)

「Rebirth」のアウトロから曲間を繋ぐように、イチゴがビートを刻んだ後、光をテーマにしたツアーなんだし、「EVERLIGHT」あたりでもやるのかと思った
だが、予想の斜め上を行くようにオオキが選んだのは、「and world」より「プラタナス」
逆光を浴びるとプラタナスの針葉樹は葉が透けるかららしいが、流石にそれは植物に詳しくなければ分からない

ドラマ主題歌にもなった「白と黒」は、ジャズを基調とゆったりしたリズムで身体を揺らすも、途中で急変
凄まじい爆音を時に放ち、

「僕は息をしていたいんだ
この夜に生きていたいんだ
誰かに愛を求めるのは当たり前だろう?」

と人間か抱える本望を我々の代わりに代弁する
生への渇望、愛されることを願うのは不自然なことじゃない
当たり前のこと

「「この曲なんだっけ…?」となりつつ、サビで「「プラタナス」か!!」って気づいてほしかった(笑)」

と「プラタナス」をやったことはオオキの思惑通り
心理学の観点から選曲しているようにも見えるが、ここまでが導入
この次より、より「光学」の濃い部分に入り込んで行くのだが、「光学」の中でも一際異彩を放っていたゴスペルの要素を入れた「feel every love」はオオキも口にしていたが、反戦をテーマにした曲
例のごとく宇宙の話を交えつつ、

「「みんな一緒だよ」って愛を込めて」

とオオキは合唱を促していたが、最初は打ち込みのビートを刻んでいたイチゴは終盤になると生へシフト
するとアンサンブルも生命力が宿ったかのように変化するが、これはお互いに分かり会えた世界の話といった認識でよろしいのだろうか

ACIDMANのフルアルバムでは、インストゥルメンタルが収録されるのが通例
しかし今回はインストゥルメンタルは未収録
それ故か、ライブでもインストゥルメンタルを演奏することもなく、代わりに収録された「1/f(interlude )」が場面転換の役割を果たしているのだが、スケールの大きい「青い風」は照明は青く染めるだけでなく、あなたの存在意義も肯定する
屋内だから風が吹くことは無い
でもそっと背中を押してくれている気がする

戦争が終わった後の世界をテーマにした「龍」は、オオキが鳴らすメロディとチョーキングを多用するサトマのベースが軸
イチゴのビートはアウトロ以外刻まれてないのだが「for every love」から「光の夜」までの流れは曲順通り
半再現ライブとなっているのである
2024年にKアリーナ横浜で見たMr.Childrenの「miss you」リリースツアーも曲順を一部再現しているセクションが盛り込まれていたが、ACIDMANもこうした試みを行うとは…

しかしながら音源を聞いた際、音圧に圧倒された「蛍光」はイチゴの手数が凄まじい
あまりにタイトすぎて「反動すごいだろうな…」と心配になるが、サトマに至っては帽子を途中で落とし、その帽子蹴飛ばしてしまうほど暴れ回ってる
元よりダイナミックなロックではあるが、ライブではリズム隊がより目立つ
音源でもライブでは、曲のインパクトは大きい

直後にステージは暗転
スケールの大きいメロディーがゆっくり広まり、yamaに楽曲提供した「光の夜」のセルフカバーへ
ACIDMANの特徴と言えばスケールの大きいアンサンブル
それがyamaに提供し、歌謡よりになることで、オオキのメロディーセンスはより発揮されているような印象
ならびに、オオキが手掛ける夜をテーマにした曲はやっぱり名曲揃い
「夜のために」という曲がある程だし

先程やった「龍」があまりにも良くて、オオキが自画自賛する中、

イチゴ「俺セットリスト判っているけど、1曲1曲染みながらやってる」
サトマ「聞いてきた圧が伝わってくるから、こっちも良い演奏が出来る」

とリズム隊の2人に意見を伺ったところ、2人とも楽しめている様子
かつてはイチゴがMCでよく弄られていたが、今はそんなことはない様子である

フランス語で「小さなうた」を意味する「Sonet」を

「あなたが流した涙が蒸発して雲になり、他の国で大雨を降らしているかもしれない。太陽の眩しさ、雨の美しさ、自分の不甲斐なさを感じる」

と解説しつつ、オオキはやっぱり話しまくるのだが、客席に向けて話すのが楽しいのだろうか、

「(パワー)ポインタを使いたい(笑)」

とつい漏らしてしまうオオキ(笑)
オオキの講義を生徒として参加してみたいのは自分だけだろうか

そうしてスケール大きい「Sonet」が美しく鳴らされるが、かつて自分は豆腐メンタルで学生時代は泣いてばかり
週に何回涙を流したんだろうと振り返ってしまうほどだが、その時の涙が海外の雨に繋がったとなると、少しは役に立ったのだろうか
涙は無駄では無かったと信じたい

「今日みたいなライブがあれば最高だって思える!生きていてよかったと思えるような人生にしましょう!!」

と客席に訴え、オオキが美メロを鳴らす「MEMORIES」は、一時期フェスでもやっていた曲
「INNOCENCE」を通り越して、「Λ」の曲をやるのは意外だったが、

「失う事に慣れても
生きてゆくんだよ
生きてゆくんだよ」

がかつてなく響く状況である
戦争で命もそうだし、自由も失われそうになっている
それでも生きて行かなければならない
それが人生というもの

イチゴが刻むビートに合わせて、サトマが客席を煽ると、通例では「ある証明」に繋がるが、今回はサトマがイントロでゴリッゴリのベースを鳴らす「造花が笑う」に
もちろんこれも客席からは当たり前のように合いの手が成立
「アイソトープ」と同じく、特別珍しい曲ではないが、後半に持ってくるのはとても珍しい
特攻隊長のように先陣を切る曲のイメージだから

そして今のACIDMANのライブにおいて、熱量がピークに達するのはもちろん「輝けるもの」
他の曲でほとんど起こらない手拍子がやたら起こるのもその証拠であるが、サウンドスケープもこの日最大級

「僕らは争い合うばかりだ
互いに奪い合うばかりだ
そこから生まれる色では
何も描く事は出来ないんだ」

があまりにもリンクする世の中になってしまっているのはとても残念だが、かの名曲「リピート」を彷彿させる

「何を手にして
何を失って
儚き旅は続いてゆく」

のように旅は続いていくのだ

今回は映像演出が無いので、スクリーンに月が映る演出はない
けれども

「今もあの空に輝く
金色の星が呼んでいる」

に合わせて、金に似た黄色の照明がステージを照らしたことで、確かに金色の星に招かれている
そんな感じがしていた

割とライブは長くなるイメージがあるACIDMANだが、テンポ良く曲をやり続けたのもあってあっという間にラスト
客席から「えええ!!」と反応があっても、

「疲れたんだもん、もう出来ない(笑)」

とオオキは開き直っているが、

「でも全力でやると決めているから
、最後まで全力でやります」

と納得させるのは流石
あれだけ壮大な世界観を描けるのは、頭の回転の良さもあると思うが、「伝えたいことは全てここに入れた」

と話す、「あらゆるもの」の話になると、

「世の中は色々なものと密接しあって生きている。カオス理論とも言うし、バタフライエフェクト(相乗効果)ともいう。僕たちは光を食べて生きているんだって。植物は光を出したり、タンパク質を出しているけど、僕たちは別ものにして食べているんだって。」

と一気に学者に様変わりするオオキ
子供もいるのに、知識をアップデート出来ているのは時間の使い方が雄弁なんだろうけど、

「今日(ライブが行われた4月9日)戦争停戦して良かった(といいつつ、ドナルド・トランプのことだから停戦なんてあっという間に終わるかもしれない)けど、こういうのは誰が悪いとかではない。」

までは「人を疑ったことがない」とインタビューで話すほど、性善説が強くコロナ禍を契機に性悪説に考えが変わってしまった(のもあるが、接客業で働いているのもあり、人間の本性を何度も見てきているので、性悪説になるのは必然だったと思う)自分と思考回路が真逆であるが、そのオオキが

「自分たちもそうしてしまうかもしれない。」

と口にした
あのオオキがこう口にしてしまうのは、相当な危機感を抱いている証拠である

「僕たちはみんなエネルギー体なんだって。こんな風なのに。だからみんな同じ。殺し合うよりも愛し合おう。小さな子どもたちはまだ分からなくなてもいいから!!」

と「feel every love」でも口にしたことと似たようなこと、殺し合うよりも愛し合うことを強く求め、最後の「あらゆるもの」を始めるが、かつて長尺ソングを何度も生み出してきたACIDMANらしく、演奏時間は8分近く
他のアーティストと比べたらとてつもなく長いが、絶妙に緩急が付いているから全く集中力は失われないし、全ての生を肯定とする力強い生命賛歌だ

そして最後、サトマとイチゴは先に去ったあと、オオキが鳴らすのは「光学」で用いられていたリフ

「数え切れない何億の星が輝く夜
君が生まれた それだけは 正しい事なんだよ」

と歌い上げて、本編は終了するのだった

アンコールで戻ってくると、告知として昨年12月にZepp Hanedaで行われた全曲お披露目会に映像化することが発表
ただ、フィジカルで発売されるのは幕張メッセ公演のみ
言い方を変えるならば、「幕張に来てくれ」ということだが、幕張に来れない方のためにもデータ販売を予定しているとのこと
なお各会場では幕張公演のチケットを販売中
会場で購入される方にはくじ引きを引くことが出来、当選したらライブを終えたばかりのACIDMANと出会える可能性があるとのこと
これで外したら色んな意味で落ち込みそうだが

川越の観光大使ならぬ、大使という川越市に10人もいない大使に選ばれたことをオオキが報告し、

「歌詞に出てくる夕暮れは、川越市の夕方のことだから!」

と解説したあと、

「1曲だけやります!最後も反戦の歌!!」

とアンコールでやるのは、やはり「Your Song」

普段はお互いの検討を称え合う曲だが、戦争が起こっている今日
平和を願う曲として「Your Song」が行われたのだった

ここまでの文章で散々書いてきたように、去年「光学」の全曲披露公演をやっている
その公演を基礎学習とするならば、このツアーは応用編だろうか
特に「for every love」から「光の夜」までの流れは、アルバムの流れはまるで復習
徹底的なまでに「光学」の世界観をテーマにしたライブとなった

「光学」のリリース時、オオキはインタビューで、

「もうすぐ世界に平和が訪れそう」

と話していたが、世界は真逆な方向に向かった

先月戦争が始まって、平和は一気に遠ざかったし、なんなら首相もどきは自衛隊を派遣する気満々だった(アメリカに同行した今井がなんとか食い止めた)
日本のトップが戦争に加担しようとしたり、言論統制を目論んだりと統○教会の悲願に全力を注ぐ愚行を行うことに日々憤りを隠せない(だからKT Zeppから近い桜木町駅前の広場では600人ほどを集めたサイレントデモが行われ、自分も参加した)が、そもそも戦争の根源は思いやりの無さから始まる
他人の意見を聞き入れず、自分の意見を押し通すような振る舞いが戦争を招く
必要なのは多様性、愛だ
お互いを尊重できれば戦争は起こらないのだ

過去にオオキは、

「ミュージシャンが綺麗事を言わないで、誰が綺麗事を言うんだ!!」

と叫んでいた

殺し合いよりも愛を
我々はエネルギーから変化したあらゆるもの
お互いを認め会えたときに、戦争が終わる可能性が高くなると思っている
だから愛を叫び続けるんだ
世界は緊迫しているがそれでも分かり合える未来があると信じて
まだまだ息をしていたいし、愛を求めるのは当たり前だから

セトリ
SE︰光学(Introduction)
アストロサイト
go away
アイソトープ
Rebirth
プラタナス
白と黒
feel every love
1/f(interlude )
青い風
蛍光
光の夜
Sonet
MEMORIES
造花が笑う
輝けるもの
あらゆるもの
(Encore)
Your Song


ACIDMANライブツアー「光学」公演情報


タイトル:「光学
アーティスト:ACIDMAN


光学 (初回限定盤)(Blu-ray付)

 

「ゴールデンカムイ」の実写版主題歌に「輝けるもの」が起用されたことで、再び注目を集めているACIDMAN
「輝けるもの」が収録された最新アルバムのタイトルは「光学」
「INNOCENCE」をリリースして以降、「Loop」を再構築するツアー、金に纏わる曲を行う「ゴールデンセットリスト」、恒例のTHIS IS ACIDMANをツアー形式にしてライブを行ったりはしていたものの、アルバムは4年ぶり
じっくり制作されていたということでもあります

今回のアルバムは、生命や宇宙の根源となる光がテーマ
いつもながら広大なテーマ、そう感じますが今回のアルバムは非常にロック色が濃い作品だと思ってまして、壮大なイントロから性急なロックへ様変わりする「光学」を合図に、冒頭の「アストロサイト」からロック
スリーピースとは思えないスケールの大きいロックを鳴らすACIDMANの真骨頂が最初から炸裂していると言ってもいいでしょう

ACIDMANらしい死生観が全面に出た「go away」もハードロックと迫力満点てますが、ACIDMANの名前を再び知らしめた「輝けるもの」は、アルバムでも大きな存在感

「何を手にして
何を失って
儚き旅は続いてく」

と「リピート」を彷彿させる死生観の強いフレーズはここで際立っています
大型タイアップがついても、「生と死」をテーマにするのはさすがACIDMANではないでしょうか

直後の「sonet」も同じ「ゴールデンカムイ」絡みの曲で、こちらは壮大なストリングスが用いられるバラードですが、個人的に来るのは「白と黒」
ジャズの側面を見せながら途中で轟音になり、

「僕は息をしていたいんだ
この夜に生きていたいんだ
誰かに愛を求めるのは当たり前だろう?」
「たった一つの命さ
そんな事分かっているさ
無愛想に白と黒を混ぜるのさ」
「愛よりも大切なモノなんてないはずさ
そんな綺麗事を歌い踊るのさ」
「太陽がこの夜を金色に染めるまで
あらゆる色と色を混ぜるのさ」

は人間の本質を思い出させてくれるもの

人間が愛を求めるのは当たり前
愛がなければ生きていけないから
色々なものを愛することで世界は平和に向かうのです

その愛に通じるのがリード曲となった「feel every love」でゴスペルの要素も入ったりしているのですが、

「あなたに流れる血も
誰かが流しているあの血も
星の最期に生まれた
同じもの(鉄)だ」
「僕ら皆この星で
泣きながら生まれたんだ
だから最期のその時は
笑うんだ」
「どんな世界になっても
光が注ぐように
互いの命を讃えよう」

と全ての人を称えようという曲
今の世の中は憎悪だらけですが、全員同じ人間であることに変わりはない
せめて戦争が起こる前だったら、深くこの曲も響いたんだろうなあ…

ACIDMANのアルバムにはこれまでインストゥルメンタルがありましたが今回のアルバムはインスト無し
変わって次の曲への導入として、繊細なメロが奏でられる「1/f (interlude)」が収録されているのですが青空を想像するようなスケール大きい「青い風」もまた、

「青い風が泣いていた
誰もが独りきりなんだ
君の頬を濡らしたのは
ここに生きている証さ」

と生について歌った曲
生きていることへの賛美歌でしょうか

10年前からあったらしい「龍」では戦争が終わったあとの世界を描くというファンタジックなことを行ってますが、アンサンブル序盤静寂
ピアノも活用したアンサンブルが後半、壮大になるのは世界が再生されていく瞬間を音で表現しているように見えますが、「蛍光」は耳元からも凄まじい音が聞こえてくるオルタナティブ
サウンドスケープからバチバチした光が放たれていることをイヤホン越しで体感できる曲と言っても過言ではないでしょう

yamaに提供した「光の夜」のセルフカバーは、ストリグスも用いたスケールの大きなバラード
世界観も含めてとてもロマンチックな1曲でしょう

そして最後の「あらゆるもの」は、アルバムに入っている全ての曲のフレーズを入れた爆音ロック
8分にも登る超大作はオオキもインタビューで話していたように、

「光であらゆるものは生まれ
君にほら繋がっているから」
「今はまだ分からなくてもいい
生きていて 生きていて」
「数え切れない何億の星が輝く夜
君が生まれた それだけは 正しい事なんだよ」

とあなたの存在を肯定する曲

全人類にむけて存在価値を肯定する曲はこの時代、最も求められている曲かもしれません

元々、「光学」はオオキが昔から使用したかったタイトルだったようですが、光に纏わる曲がずらりと
光を軸に、愛に満ちたような1枚になっていました
久々にロックバンドとしてのACIDMANが全面に出た作品でした

※画像はAWAから

フジファブリックの活動停止後、次々に新たな楽曲を生み出しては曲をリリースすることによって、改めて引き出しが凄まじいミュージシャンと認識されているであろう山内総一郎
昨年はEX THEATRE ROPPONGI、昭和女子大学人見記念講堂とある意味、山内にとって縁の深い場所でライブしてきた訳だが、3度目のワンマンライブは東阪で行われるツアー形式
東京は恵比寿ガーデンホールにて2days、初日はFC限定なので非FCの自分は必然的に2日目の参加となる

この日のガーデンホールはいつもと入定方法が異なり、普段は入って右に進むのが逆方向の左
女性の参加者が多いのだろうか、男性トイレがとてつもなく激狭な1階の個室しかない謎の仕様になっており、頭を抱えてしまう(普段より規模は縮小している?)

ほぼ定刻辺りにゆっくり暗転
砂山淳一(Ba.)、伊藤大地(Dr.)
、大樋祐大(Key. from SANABAGUN.)といつもの3人をサポートに迎え、山内もリラックスしたような表情で登場したあと、シーケンスによって流れる電子音も印象深い「旅に出る」から今回のワンマンを始めるのだが、山内の声は相変わらず上手い
最初から「絶好調」と強調したくなるほど出まくっている
かねてから親交が深い砂川と伊藤からなるリズム隊は、前に出しすぎないように徹しているが、山内のソロにおいて重要な役割を果たしているのは大樋
山内の作る音楽の肝は、おそらく鍵盤から生まれるメロディー
大樋が山内の編みだす曲をより親しみやすいものに変えている

アウトロにてステージを歩き回ることによって、大勢の方が見ることが出来るように配慮する中、「風を切る」は
ソロワンマンではほぼ毎回と言っていいほど演奏されている曲
大樋が鍵盤で奏でる心地よいメロディーが駆けていくが、山内のソロワンマンは音源になってない曲がとても多い
砂山がスラップベースを入れる「トワイライトワンダーランド」はまだ音源化されていない曲
山内のソロワンマンは初めて参加する方にとって、未知との遭遇の連発
自分も「こんな曲、あったな」と思ってしまうほどに

前日はライブを見た帰り、雨が降りまくっていたので傘を使用したのだが、天気予報を鵜呑みにしたのだろうか

「本日はお足元の悪い中…」

と雨が降ってないにも関わらず、まるで雨が降っているシチュエーションの挨拶を始めるのはさすが山内
相変わらずの天然というべきだろう

「ぶらんにゅーでい」というツアータイトルに因むかのように、

「細胞を目覚めさせて花開いて行きましょう!!」 

と細胞開花を山内は促すが、ツアータイトルにもなっている未発表なファンクナンバー「ぶらんにゅーでい」は、

「夜明けが来る 夜明けが来る」

とインパクト相変わらず強い
夜明けが到来するのはあながち間違いでは無いけど

「ギター、俺!!」

と宣言して始めるギターソロはやはり痛烈
山内のギターソロはいつ見ても「来た!」と興奮する
同じ事務所に所属する斎藤宏介がリスペクトするのも納得である

イントロから合唱が起こるのは、星街すいせいに提供した「先駆者」のセルフカバー
前回の人見記念講堂でやった未発表音源には一応身体に染み付いた
ただこちらをはじめ、山内が楽曲提供した曲が体に馴染んでいないは不思議な感触
イントロで合唱が起こったのは、山内が提供した曲もほぼ全て予習しているということだろうか(SUPER EIGHTや20th Centuryに提供した曲も)

山内がアコギを奏でる「ソラネコ」は既にリリース済
山内が持つポップセンスが存分に発揮されるくらいポップな曲である(と同時に伊藤はこうした曲でもジャズ由来の手数の多さを見せる)が、シタールギターに持ちかえる「Jasmine Flower」は一気にサイケミュージックが充満
フジが時に放っていたサイケミュージックは山内のソロでも健在であり、むしろこういった要素を「らしい」と捉えてしまうのは長年、フジのメンバーとして活動していたからだろう
しかも普通に曲は終わらず、山内がサイケなメロディーを鳴らしてそこに大樋がメロを重ねることで、さらにサイケな世界は広がる
コーヒーカップで回され過ぎて、目が回って混乱しているようなシチュエーション

このセッションを自画自賛しつつ、山内は大樋の鍵盤を褒めるのだが、バンドでライブをするのはこれが年内初
それまではというと、山内は曲を作っていたようだが、

「さっきもリリースされてない曲をやっていたけど、歌詞をしっかり聞こうとしてくれるのが嬉しい!!」

と参加者の傾聴姿勢に感激
裏を返せば山内の曲は未発表音源だらけ
メロディや歌詞は、ここしか聞けないものだらけだから
他のライブよりも集中しなければならない環境とも言える

そのうえで桜にちなんでステージがピンクに染まる「青春の響きたち」は、山内がハンドマイクに専念して歌うので、より声が出るようになっているが、やるのはフジが活動中に昭和女子大学人見記念講堂で行われたソロライブ以来だろう
もしフジが止まってなければ、こうしてまた歌う機会は無かったのだろうか

「海に来てしまった」は波の音をイントロで流し、

「水を買いに行ったはずが 海まで来てしまった」

という珍奇な体験はまず起こらない(なぜコンビニで水を買うはずが、海にまで行く)
しかしながらフジを活動停止した直後の山内は心に穴がポッカリ空いてしまったことを去年の六本木ワンマンで話していたし、

「僕は僕だ」

にたどり着く名曲として昇華してしまうのが山内の凄いところというべきか
(くるりの「奇跡」を彷彿させる曲調なのは、サポートしていた頃の経験がリファレンスされた?)

「スロウダンス」では砂川はウッドベースに持ち替えたことで、伊藤と築くグルーヴをより濃いものに
そうなるとダンサブルになるが、山内のメロディーセンスによって歌謡曲の良さが混ざる
その結果、歌謡曲とR&Bの良さをそれぞれいいとこどりしたような、ダンスナンバーになった
さすが山内

山内は自分が携わったを褒めまくるのはフジの頃から(笑)
これは演奏することで良さを再認識しているということでもあるのだが、未発表曲については、

トワイライトワンダーランド→心の中にワンダーランドがあるみたいな曲
ぶらんにゅーでい→「長い」
先駆者→歌詞を自画自賛

と言った感じで解説

きっと現場にいらっしゃらない方にはどんな曲であるかは全く伝わってないだろう

山内はもがくように曲を作っていることを伝えつつ

「ギタリストとしての自分と、ボーカリストとしての自分を分ける必要はない」

と考えにたどり着き、今回もやはり披露された未発表の新曲は、フジ時代にもほとんど無かったようなインストゥルメンタル曲
なのでギタリストとしての山内総一郎を楽しめる曲というべきだろうか
ガーデンホールにいる方は山内達が奏でている旋律を楽しんでいる訳だが、4人が鳴らしているのは、Earth, Wind & Fireを彷彿させるもの
これならソロの山内を知らない方でも楽しむことが出来る気がする

フジがまだ活動していた2024年、You Tubeにて音源が発表されていた「GOOD FELLOWS」はダンサブルながら拳を挙げさせていくが去年、六本木でやった際には直前に乾杯をしていたのも懐かしい
あの前振りはもうやらないのだろうか

ステージも暗くなって、シーケンスが強い「あやかし音頭」は山内がハンドマイクでステージを動きまくり
終盤には再びギターソロも行ったが、自分の中では「フジ=変態ロック」のイメージが強い
なのでソロでも変態ロックをやってくれるのは嬉しい

「BANBANZAI!!」は昨年、人見記念講堂ワンマンで初披露されたあと、今年になってから音源化されたのだが、その影響もあるのだろうか
合いの手がしっかり決まるように成っていた
「FEVERMAN」、「ミラクルレボリューションNo.9」のような立ち位置になるのだろうか

「細胞から目が開いて、花開いたんじゃないですか?」

と山内なりの表現で、細胞の開化具合を確かめる中、山内がソロ活動を初めて1年
最初は不安だったというが、多くの方が見てくれているのもあり、

「音楽続けていて良かった!!過去も未来も肯定できます!!」

と喜ぶ山内

一度立ち止まる手だって正直あった
メンタルはとても疲弊しているから
それでも止まらず、すぐにソロ活動のかじをとった
早めに動いたからこそ、たくさんの方に見つけてもらったのだろう

「行けるところまで行って、見たことがない花を咲かせたいと思います!!」

と山内はまだ見ぬ風景を見にいくことわ口にしつつ、

「音楽辞めないからな!!」

と宣言

こちらとしても山内には、まだまだ人前でギターを弾いてほしい
引退するにはまだ早い

そして最後は最初に人見記念講堂でワンマンを行った際、未発表だった新曲をリメイクした「彗星たちのカンタータ」

星空を意識するように会場の壁を星空に見立て、幻想的な光景を作り出していた

アンコールで戻ってくると、4月ということで新生活に因んだ話を行いつつ、去年の人見記念講堂でも披露された「あなたのためのうた」を行うが、音源になってない曲はこれで8曲目
とんでもない量である

春は山内が所属するフジファブリックが「桜の季節」でメジャーデビューした季節
そんな大切な季節にライブできることを山内は嬉しく思っているようだが、

「自分はアルバムアーティスト」

と急にアピールを始めると、告知として7月22日に、新作アルバム「a」のリリースを発表
遂に未音源化だった曲たちを手元で聞ける日が訪れた
いつかはアルバムが出ると思っていたので、満を持してである

更に全国ツアーも開催
ホール形式で行う座席指定公演とオールスタンディング公演に別れてるようだ

「全公演来てくれ!!」

という山内の要望に答えるのは流石に厳しいが、KT Zeppは最優先でチケットを取りたい所存だ

そして最後は大胆なキメから始まり、

「だから一息いれようぜ これからはそれから
なくしたものは数えずに 変えていける 変えていける
空の高さは置いといて 大きく飛べるから
もしお腹が鳴くのなら
そばでも食べようぜ ゆっくり食べようぜ」

といった山内の個性的な人生観が出た「人間だし」
最後にはメンバー紹介も兼ねたソロ回しも行われた

去年7月にEX THEATRE ROPPONGIで行われた最初のワンマン、昨年10月に昭和女子大学人見記念講堂で行われた2回目のワンマン
その時のような新曲祭りは流石に無かったが、ギターの上手さや歌唱力の高さはもう言うまでもない
それどころか、「こんな曲作れるの?」と思ってしまう引き出しの多さは、仮に音楽活動を停止していたらきっと見れなかった
山内が音楽を続けてくれてよかった

一度、フジファブリックの曲を通って「良いな〜」と思った方は8月からのツアーに是非来てほしい
山内の才能は現在絶賛開花中である

年々追いかけるアーティストは増えているけど、バンドマンのソロプロジェクトで熱心に追いかけているのは山内くらい
それは初めて自分のお金を作ってライブハウスに足を運び、ほぼ毎回ツアーに参加
アリーナも足を運び、時に他県に遠征してまでライブを見た大切なバンド、フジファブリックの山内の声やギターを聞きたいから
それは山内だけじゃない
加藤慎一のベースも
金澤ダイスケの鍵盤も
自分の人生からフジファブリックを切っては切り離すことが出来ないから
この3人の活動は、可能な限り追いかけたい
そして批判覚悟で書かせてもらうと、この3人が集まってまたライブをするのを自分は見たい

7月のアルバムリリースで、ソロミュージシャン山内総一郎の楽曲はいよいよ大勢の方の手に届く場所にいく
情報供給が多いこの時代、なんらかのきっかけが無ければ手に取ってくれるのも難しい時代である(裏を返せば、きっかけ次第で過去の曲もバズる。HALCALIの曲は20年の時を経てバズった)
けれども手に取った方を「おっ⁉」と引き込む音楽が山内総一郎が作る音楽
この才能は是非耳を済ませるべきだ

山内はソロミュージシャンとしても凄いところまでいく
自分はそう信じている
山内の旅ははじまったばかりだ

セトリ
旅に出る
風を切る
トワイライトワンダーランド
ぶらんにゅーでい
先駆者(星街すいせいに提供した曲のセルフカバー)
ソラネコ
ジャスミンフラワー
青春の響きたち
海にきてしまった
スロウダンス
インストの新曲
GOOD FELLOWS
あやかし音頭
BANBANZAI!!
彗星たちのカンタータ
(Encore)
あなたのためのうた
人間だし


山内総一郎ライブ at 恵比寿ガーデンホール 開催情報


昨年はシングル2枚をリリース
久々に主催フェス、NANO-MUGEN FES.2025を開催し、ASHとスプリットツアーも行ったアジカン
2024年には潔(Dr.)加入25周年を祝福するように横浜BUNTAIで2days、そのままライブハウスツアーに繰り出したが、今年でアジカンは結成30周年
アニバーサリーイヤーの幕開けとなるのが、今回の有明アリーナ2daysである
2022年には、結成25周年ツアーの延長戦としてパシフィコ横浜にてアニバーサリーライブが2daysに渡って行われたが、「ぼっち・ざ・ろっく!!」によって、再評価されたのもあるだろうか
規模は一気に2倍以上の有明アリーナに
最新EP「フジエダ EP」や「スキンズ」がリリースされた直後に行われるライブでもある

自分は有明アリーナを2週間程前、King Gnuのワンマンで訪れたばかり
しかし会場内にキャッシュバックブースが設けられているからだろうか、会場の導線はあまり良くない
それ以上にKing Gnuと違って、この日の座席は3階と言いつつ、実際には4階の後方
ステージ正面なので見やすいのは見やすいのだが…

会場内には西部劇にも出てきそうな派手なセットが用意され、

「WHO'S ALRIGHT?」

とモニターにうっすら出たりもしている(トランプや高市への皮肉?)中、少し入場に時間がかかったのだろうか
暗転したのは定刻を少し遅れた18時10分前後に暗転 

場内に打ち込みのビートが流れると、achico(Cho. from Ropes)、George(Key. from Mop of Head)とお馴染みのサポート2人と共にステージに現れるが、バンド名にちなんでカンフー服を着用していた2022年のパシフィコ横浜2daysと異なり、今回のゴッチ(Vo. & Gt.)のファッションはシンプル
こちらのほうがかえってアジカンらしい

事前に流れていたビートにそのまま合わせるように、モニターに英訳されたタイトルが映された「新世紀のラブソング」で始まるが、有明アリーナは低音が反響しにくい会場
喜多こと建さん(Gt.)のギターは普段通りだが、山田(Ba.)のどっしりとしたベースは序盤、うまく響いてない印象で
音響の悪さは相変わらず

しかし、

「朝方のニュースでビルに飛行機が突っ込んで
目を伏せるキャスター そんな日もあった」

と911を連想する部分(今回のセットリストには入ってないが「ワールドアパート」も911関連だったりする)は、あえて歌詞をモニターに映し出して強調
潔のビートが入ってバンドに切り替わったあと出てくる、

「息を吸って 生命を食べて
排泄するだけの猿じゃないと言えるかい?」

は現代社会への痛烈な皮肉
ゴッチの声の調子が良いからこそ、このアイロニーは尚更刺さるものがある
もちろん自分はそんな猿ではない

先日まで「BLEACH」のOPに起用された際の映像がYou Tubeに公開されていた「アフターダーク」は、建さんが鳴らすエッジの効いたギターリフに合わせるように、左右に設置された車などが光っていくが、「僕のヒーローアカデミア」の映画主題歌になったこともあり、若い世代にアジカンの名前をとどけることになった「エンパシー」は、本調子になった山田のどっしりしたベースが牽引

「朝焼けの空を駆け抜けた」

にならうように、空の様子を映し出されるのが、多様性を受け入れる時代が訪れることを願った

「生まれた場所に基づく風景を
虹彩や皮膚に紐づけた運命を
打ち消して
ただ認め合うような将来を夢見て
夢見て」

をリリース当時よりも共感してしまうのは、多様性を尊重する時代から遠のいてしまっているように思えるから
(トランプが再任したことがきっかけで、世界敵に右に傾いてしまった気が)

ゴッチが軽く挨拶してメンバー紹介を行ったあと、

「ここに集まってきてくれた1人1人のあなたに向けて」

と鳴らされるのは、アジカン流の人間讃歌である「ライフ イズ ビューティフル」
スクリーンにもステージにも

「Life is beautiful」

の文字が映り、ここに足を運んでくれたあなたの人生を称賛するようでもあるが、THE BLUE HEARTSの歌詞を引用した

「未来は僕らの手の中」

はまさにその通り
未来は権力者の中ではない
我々の中にこそある

イントロのギターリフがなった途端に大きな歓声が起こる「ソラニン」は、普段あまり用いないレーザーも活用
張り上げるようなゴッチの声は風景を頭に連想させていくが、どうしてこの曲が楽器初心者向けの曲として、紹介されるのか、自分は未だに分からない(ドラムは間奏のフィルインが多いし、初心者にはキツい)
潔のビートを中心としたセッションがイントロに盛込まれ、曲の始まりと共に、

「1、2!!」

とカウントを合唱する「ブルートレイン」はモニターにPVも映しながら青い照明が走り、潔は手数の多いビートを刻むが間奏はGeorgeの鍵盤によって近未来仕様に
おそらく横浜市営地下鉄(グリーンラインと共にブルーラインかある)が元ネタなんだろうけど、Georgeのアレンジによって、地下鉄どころかリニアモーターカーに進化しているようにも取れる
それくらいのアップデート

「君の街まで」はモニターに地方の街並みが映され、建さんの美メロに引っ張られるように

「明日の羽になるかな」

をゴッチも声を張り上げるが、カラオケで歌うたびに流れて、爆笑を誘う例のPVが映ることは流石にない
シンクロナイズドスイミング中に突然カニが現れるアイデアは一体、誰が発案したのだろう(ゴッチが唖然として見るのもシュール)

今日のシーンで多く見られる4つ打ちをひと足早く導入した「君という花」は、イントロで潔が4つ打ち刻み始めた時点で大歓声
謎の少年に導かれるあのPVもモニターに流され、

「らっせーらっせー」

の合唱も当然起こるが、ここでアジカンが4つ打ちを入れたことはシーンに大きな影響を及ぼし、Base Ball Bearがこの4つ打ちを高速化
KANA-BOONが更にBPMを速めることで、4つ打ちは一時シーンの中心になった
アジカンか後続のシーンに及ぼた革命の1つは、きっとこの4つ打ち(同時にそれよりも前に4つ打ちを取り入れたTRICERATOPSも忘れないでほしい)
ちなみに初日はいつものように、「大洋航路」のフレーズを終盤歌ったが2日目は無し
この違いは一体

30年もバンドをやっていればゴッチも話したとおり、様々なトピックスがある
その中でも近年最もホットなトピックスはクラウドファンディングを経て、ゴッチの地元藤枝市に音楽スタジオを設立したこと

「横浜に出てきたからのゴッチと、静岡で生まれた後藤正文が結びついた」

とゴッチが総括するほどで、人生の転機の1つになったかもしれない

「30周年ってことで久々に来る方もいるだろうし、初めての方もいる。「やあ」って伝えるべきところだろうけど、俺はこう伝えたい。「おかえり」」

と話すのは最新EP「フジエダ EP」に収録された新曲の「おかえりジョニー」
建さんが美メロを奏でる「これぞアジカン」な王道のロックにして、

「未来を知るのはAIか神のみか」

なんて今風なフレーズもあるのだが、
PVはYou Tubeで公開されているものと異なり、かつてアジカンが表紙巻頭特集されたロッキンオンジャパン(この号にはアジカンの盟友、ストレイテナーが4人になった直後のインタビューも掲載)がちらっと映っていた
かつてゴッチはロッキンオン誌面に連載を持っていたりしたが、アジカンにとってロッキンオンは相当大切な雑誌なんだろうか(ちなみに来月のロッキンオンは、アジカン30周年記念特集。)

「柳小路パラレルユニバース」は、ゴッチがじっくりイントロを歌い上げた時点でもう大歓声
シングルがリリースされる前、歌詞が異なる別バージョンも存在したことで混乱したことも懐かしいが、

「少しずつ影が背を伸ばしても
まだまだ終わりじゃないさ
今日
午後からは街の風になって
君らしく踊ればいいじゃない」

は本当にその通りだし、

「サンハイ!」

とゴッチが煽った

「ラルラ ルラ」

は大合唱

もう「出町柳パラレルユニバース」は、アジカン30周年の歴史の中で欠かす事のできない1曲となった

この辺りでサポートのGeorgeもachicoも抜け、ステージに残ったのはゴッチたち4人

「俺たち30年も活動しているけど、8年くらいは横浜と下北沢のライブハウスにいた。誰にも見つけてもらえなかったから。」

とまだ見つけてもらえなかった下積み時代を振り返りつつ、

「潔は一度抜けるし、建さんは冷蔵庫の営業にハマるし(笑)スーツでスタジオ来たこともあったけど、「俺アジカンすきじゃないんだよね」って言われて山ちゃんに泣きながら電話した(笑)」

と有名なエピソードを次々とゴッチが口にするので、笑いが起こる場内
山田にゴッチが泣きながら電話する光景は今では想像できないが、その山田とゴッチも一度衝突(「マジックディスク」の頃)
それが原因で、解散危機に直面したのも有名な話だろう

それでも解散危機を乗り越え、バンドは今日も存続できているが、

「横浜のスタジオを潰さないために曲を作っていたけど、そのときに俺がやり方を間違えていたことに気づいた」

と話すように、山田とゴッチの喧嘩がなければ、ゴッチは自身のやり方を省みることは無かったかもしれない

ゴッチが先輩から譲ってもらったファルコンをパワーアップさせつつ、震災で被災した方の家の木材を活用したギターを背負ったあと、

「昔の自分を成仏させにいきます!!」

とゴッチは意義込み、

「まずはこの人のベースから」

と山田が前に出てベースを鳴らすのはアジカンの原点にして、ゴッチが力強くシャウトする「遥か彼方」
これが「NARUTO」のOPに起用されたことで、後に世界に羽ばたくきっかけにもなったが、

「生き急いで搾り取って
縺れる足だけど前より
ずっとそう、遠くへ」

は今でもアジカンを象徴するフレーズだと思う
潔が刻む16分のビートに載るかのように、ずっとずっとシーンの先を走ってまうのだから

疾走感ある「羅針盤」は、横浜BUNTAIで2days行われたファン感謝祭でも演奏されていたし、なんなら「サーフ ブンガク カマクラ(完全版)」のツアーでもやった
なので馴染み深い感じがするが、ゴッチのうたい出しに「まさか!?」となったのは、「君の街まで」のカップリングだった「hold me tight」
スクリーンには次々と標識のようなものが現れ、ユニークだからこそ見落とせないのだが、

ゴッチ「「hold〜」は横浜のライブハウスでやっていた頃、評判が悪かった(笑)。褒めてくれる人もいたけど(笑)」

と横浜のライブハウスでやっていた時期のことを思い出すゴッチ

歌詞の恥ずかしさも自虐しつつ、

「なんか喜んでいる人もいれば、「知らない曲出てきた」な方もいたけど、無理に盛り上がらなくていいからね?「お前らかかってこい!!」みたいに煽らないから(笑)「全員本気で来い!!」とも言わないから(笑)」

と自然体でいいと促した際、山口が真似をしたのはサンボマスターの山口隆?(昔は渋谷陽一をいじりまくっていたし)

「遥か彼方」の歌詞が1番も2番も同じ件について、

「BUMP OF CHICKENとRADWIMPSの聞きすぎ(笑)」

と客席を弄って爆笑させるものの、実際には書きたいことが見つからず、やっていくうちに書きたいことが分かるようになったらしい
抽象的なフレーズを書くイメージが強いだけにこれは意外(なおBUMP OF CHICKENとは昨年のCDJで久々に再会している)

「筆圧が強い時期に書いた曲をもうしばらく」

と告げたあと、ロックンロールテイストが濃い「サンデイ」は

「土曜日だけど、サンデイ」

と洒落た発言からはじめつつ、よりアジカンの初期に入り込むが、ヘビーなイントロがなった途端に思わずガッツポーズしてしまった「粉雪」は、雪が輝いてるような演出
レミオロメンの「粉雪」が有名すぎる分、こちらも知られていいと思うが、
気づけば「崩壊アンプリファー」に収録されていた楽曲を連発する4人
ある意味、プチ網羅ライブをやっている感じである

そんな中で建さんがメインボーカルを務める「嘘とワンダーランド」は、途中ゴッチが手を右に左に振るように促し、客席にもその動きが浸透
割とやっているイメージが強いからこそ、欠かせない曲になったのだが、まさかゴッチではなく建さんが

「有明!!」

と煽るとは…
しかも叫んだのは結局建さんだけなんて、予想するまい

「曲をやると作ったときの出来事を思い出すけど、「サンデイ」は広い場所でやるべき曲じゃない(笑)」

と演奏後、「サンデイ」をライブハウス向けの曲と分析するゴッチするので、「ライブハウスではぜひやっていただきたいなあ」と思いつつ、

「次の曲はどうしても建さんがやりたいってメール送ってきた。面倒くさいからね、この人(笑)。俺もやりたかった(笑)」

とゴッチが紹介したのは「マジックディスク」に収録された「さよならロストジェネレイション」

歌詞は2026に修正され、今日のものにアップデートされていたが、

「「暗いね」って切なくなって
「辛いね」ってそんなこと言わないで
「暗いね」って君が嘆くような時代なんて
もう僕らで終わりにしよう」

とこの腐敗した時代は、我々で終わりしなければといった使命を強く感じる
混沌とする今日の社会情勢がゴッチや建さんに選ばせたと思うような1曲

ゴッチの苦悩が歌詞となった、アジカン屈指の名バラード「転がる岩、君に朝が降る」は、「ぼっち・ざ・ろっく!!」をきっかけに再評価されたのが近年では印象深い
ただ、モニターには福島の様子やデモの風景も映っているように見えたし、曲の終わり際には「NO WAR」の文字がうっすらと

一瞬、「見間違えかな」と自分は思った
しかし「そうじゃない!!」と確信できたのはアイリッシュな新曲、「スキンズ」は「Dr.STONE」の最終クールOPにも関わらず反戦をテーマにした曲だから
モニターには原作終盤を思わせる宇宙飛行士が出てくる場面もあったが、途中で

「暮らしを抱きしめて」

に歌詞を変えていたように見えたし、ラスサビではモニターにはっきり

「NO WAR」

の文字が

ゴッチはここ最近起こっているデモにもメッセージを寄せていた
ある時から反体制よりの意見をツイッターで投稿するようになり、バッシングされることもあったが、それは平和を愛し戦争反対を日頃から訴えていたからこそ
某教会のスパイが日本を戦争に巻き込もうとしている中、スクリーンに見せた意思表示
音楽は平和ではないと、自由に鳴らせないから

少し長い間合いを作って突入する「センスレス」はモニターを使ってなかったが、ステージは赤と緑の照明で照らされていた
どこかの国をイメージしたもの何だろうけど、ダンサブルなアンサンブルからかけぬていくような終盤に歌われる

「世界中を悲しみが覆って
君に手招きしたって
僕はずっと
想いをそっと此処で歌うから
君は消さないでいてよ」

は、アジカンの音楽のテーマだと勝手に思っている
あなたを消させやしない、希望のロック

「闇に灯を
心の奥の闇に灯を」

はアジカンのテーマの1つなのかもしれない

間髪入れずに行う「スタンダード」は、まるで初期のアジカンに回帰したかのような1曲
なのでゴッチも思い切り声を張り上げて歌うが、「スタンダード」で浮かび上がるのは平和への願い
デモが広がるような景色も見える中、

「小さな願いは今日 スタンダードだ
少女は風変わりなまま歌ったんだ
風変わりなまま そこに在ったんだ」

の通り、戦争反対への願いは今スタンダードである
「さよなら〜」から「スタンダード」までの流れは明確な戦争反対のスタンス
アニバーサリーライブでもその意思を表明するアジカンはまさにロッカー

山田のベースソロから始まる「Re︰Re 」は「ぼっち・ざ・ろっく!!」の劇中バンド、結束バンドがカバーしたり、アニメのOPに起用されたりと今や定番曲
潔が刻む軽快な4つ打ちに則って踊らせるが、

「君じゃないとさ」

では多くの方が腕を上げる
「やっぱりアジカンがいないと!!」と思わせる様に

そして一時期、色んな意味で話題になった「リライト」は、1サビはそこまで合唱が起こらず、ゴッチの声が近年で1番耳に入ってきたのだが、

「2番はみんなの「リライト」だから(笑)この曲に関しては、「後ろのやつうるせえ!!」とか無しで」

と「リライト」は、もはや全員のものになっていることを告げ、2番サビでは大合唱に
「リライト」が持つパワーはあまりにも破格
一瞬にしてその日のハイライトを作ってしまうのだから

建さんが美メロを奏でる「荒野を歩け」は、身体をじっくり揺らさせるロック
少しベクトルは違うように見えるが、
ラスサビ直前にはゴッチが張り上げるように歌う
リリースした頃、ロッキンオンの山崎洋一郎がべた褒めしていたが、やっぱりメロディーが素晴らしい

最後の曲の前にゴッチはある曲のフレーズを歌い上げる
それはかつてサポートを行っていたシモリョーが所属していたthe chef cooks meの「Now is the time」
長きに渡って活動を共にした仲間の曲を歌い継いだ上で、

「まだ はじまったばかり
We've got nothing」

のフレーズが象徴的な「ボーイズアンドガールズ」がラスト
結成から30周年を経過してもアジカンはまだ道半ば
それでもまだはじまったばかりのである
まだまだアジカンは得るものがある
そう思わせて本編は修了



アンコールでもどってくると、秋に行われるライブハウスツアーに言及
このツアーは「ファンクラブ」を再現するツアーになるようで、潔は「え?」って顔をしたようだが、「やるなら再現しないとダメでしょ」とゴッチは持論を述べ、

「俺たちもMrs.GREEN APPLEみたいな時期があった(笑)2週連続チャート1位!!」

と90万近い売上を記憶した「ソルファ」の頃を回顧するが、

「でも売れた結果、逆に俺たちは悩まされた。俺たちどうしようって。だから今週、5年後や10年後、20年後に求められるアルバムを作ろう」

と思って作られたのが「ファンクラス」のようだ

自分はかつて「ソルファ」の再現ライブに参加できなかった
ましてや「ファンクラブ」がリリースされた時期はアジカンを聞いてすらいない
アジカンの名前を認知したのは「或る街の群青」だから
なのでこのツアーは、なんとしてでも参加したい所存
これを逃したら、聞けない曲があまりにも多そうだし

「またお会いしましょうな曲」

とゴッチが紹介したのは、鍵盤がいる編成だからこそ出来る「迷子犬と雨のビート」

ホーンの音はGeorgeが出しているようだが、本格的に追いかけ始めたのが「ワールド ワールド ワールド」の時期とはいえ、「迷子犬〜」を超えるような陽性なアジカンのポップは聞いたことがない
シングル曲を並べ直すとかなり浮いているようにも見えるが、これほどアジカンの曲で気分が弾む曲も無いだろう

そして最後に鳴らされたのは、去年辺りからフェスでも最後に演奏されることが多くなっている「MAKUAKE」だが、モニターに映るのは日本どころか世界中でアジカンがライブしている様子
神奈川(というより関東学院大学)
で生まれたバンドが国内を飛び越えて、世界中で愛されるようになった姿がモニターに流れていた

それでもアジカンは止まらない

「もう何を振り返る
振り返るなよ
そう今を誰より抱きしめて
暗闇を振り返らずに朝陽が昇る頃だね」

と今を大事しているから
過去よりも前に進みたいのだ

そして終わり際には、「30年間ありがとう」の文字が

こうしてアジカンの30周年イヤーがMAKUAKEしたのであった

5年前のアニバーサリーライブに参加していたので、あの時のようにアジカンのクラシックを集めたようなセットリスト
そこに「崩壊アンプリファー」の収録曲の大半が、4人で演奏される往年のファンが喜ぶ展開
さらには新曲…

アジカンを最近好きになった方も長年喜んできた方が喜ぶ仕掛けだらけ
ライブタイトルに「Revolution」という言葉が入っていた通り、30年の軌跡をたどるようなライブになっていた

アジカンはここから海外でライブも控えているし、アンコールで触れていた「ファンクラブ」を再現するライブハウスツアー、ゴッチの誕生日には両国国技館にてライブをすることまで決まっている
まさかアジカンが生誕祭のようなライブを行うなんて思いもしなかったが、
、来年はホール・アリーナツアーも続く
ホール・アリーナツアーももしかしたら…
「サーフ ブンガク カマクラ (完全版)」以来のアルバム、期待していいかもしれない
アジカンの30周年イヤーはここからが本番だ

現在国会では、表現の自由を奪おうとするとんでもない法案を政府が成立させようとしている
NHKをのぞくマスコミだけでなく、演劇団体に出版団体など様々な団体が声を上げる事態
もし法案が成立してしまったら、「戦争反対」の声すら挙げられなくなってしまうかもしれない
だから4/8水曜日に各地でデモが予定されているが、与党は4/14に強行採決する気満々
アジカンも少し遅れていたら、ライブの内容に影響が出てきたかもしれない

今の世界情勢はあまりにも混沌
毎日綱渡りをして生きているようなものだ
1日1日の重みは以前よりも増している
明日も平穏な日常を送れるとは限らないから

そんな時代だから音楽の重みも増しているし、音楽は希望
アジカンの音楽も希望の1つだ
ありとあらゆるものに立ち向かうための動力源だ

小学校の頃、全校放送で「リライト」が流れまくった頃からはもう20年以上前
その時は曲名もバンド名も知らなかった
そこから「或る街の群青」で知り、「ワールド ワールド ワールド」から本格的に追いかけて、20近く
こんなに長きに渡って人生を共にするバンドになるなんて思いもしなかった

結成30周年、おめでとうございます
闇に火を灯し続けてくれ

セトリ
新世紀のラブソング
アフターダーク
エンパシー
ライフ イズ ビューティフル
ソラニン
ブルートレイン
君の街まで
君という花〜大洋航路
おかえりジョニー
出町柳パラレルユニバース
遥か彼方
羅針盤
hold me tight
サンデイ
粉雪
嘘とワンダーランド
さよならロストジェネレイション
転がる岩、君に朝が降る
スキンズ
センスレス
スタンダード
Re︰Re︰
リライト
荒野を歩け
Now is the time〜ボーイズ&ガールズ
(Encore)
迷子犬と雨のビート
MAKUAKE


AKG30周年ライブ、未来へのメッセージ


アジカン 30周年 有明アリーナライブ


昨年10月から行われてきた「たかがパンクロック!」リリースに伴うサバシスター史上最大の全国ツアー
半年間にも及ぶ全国ツアーは、ファイナルシリーズに突入し、このZepp DiverCityワンマンでファイナル
何度もサバシスターは見てきたものの、ワンマンを見るのは実はこれが初めて

これまではスタンディングで見ていたものの、今回は2階席を確保できたので2階から
そのため会場入りしたのもやや遅めだが、入場待機列には子供連れの親子の姿も
サバシスターの楽曲がタイアップに使われている機会はおおいに増えた
楽曲に触れる機会が大幅に増えているからこそ、ファミリー層にも届いているんだなと思うが、BGMもリハの音もとてつもなくデカかった理由は一体(「お子さん連れは子供にイヤーマフしないとマズいのでは?」と危惧するレベル)

今回のライブは映像収録も行われていることがアナウンスされたあと、定刻を少し過ぎた1903辺りに、ステージに張られていた幕に、サポートベースのDくんも含めた4人のシルエットが映される
そうして流れるのは「たかがパンクロック!」のオープニングとして収録されていた「JUST PUNK ROCK!!」で、
これまではSEとして用いられてきたもののが今回は生演奏
しかも4人が奏でるアンサンブルがとても大きい
ここまでデカい音を聞かされたら、一発で集中モードに入るし、いざ幕が剥されるとステージには白と黒のモノトーンで彩られた台の上に4人の姿が
Dくんはサングラスを着用するようになったが、衣装は統一されている印象

SEを生で演奏し終えると、inゼリーのCMソングに起用されていた「才能」でるみなす(Gt.)はエモーショナルなリフを鳴らすが、セトリの流れは氣志團をゲストに招いたツアー初日を土台にしたもの
なので曲順は大きく変化したわけではないが、過去最長のツアーによってアンサンブルは大きく進化
ごうけことGK(Dr.)とDくんが築くグルーヴは特に力強くなっている
同時になち(Vo. & Gt.)のたくましい歌声はさらに伸びを感じるようになり、小山田壮平から頂いた言葉を元にした

「翔け、今
君にはその才能があって
信じ続けたものが風となり背中押すよ
走り出せ、いつか転んでしまう時がきても
踏み出した一歩は
君の才能」

も更に届くようになっている
もちろんダイバーも最初から凄まじく、前方にいる人が心配になりつつ、セキュリティもダイバーを裁くのが、特に大変そう

ロングツアーを経て成長した姿をみると、なちの歌唱力の高さを活かす「ナイスなガール」にて、「なちはナイスなミュージシャンだよなあ」と思うほど進化しているが、Dくんのベースを中心に恋に落ちる瞬間を爆音で鳴らす「ドゥルーピーアイズ」では、1階にいる方々はダイブをせずに、拳を上げることで応えている
パンクを音楽性にするバンドだと、「いやそれダイブする曲じゃない」といったタイミングでダイバーが出ることがある
しかしサバシスターのファンは、その辺りを臨機応変に対応している
なちたちはとてもファンに恵まれているなと思う

なちが挨拶代わりに軽くMCを行ったあと、the ピーズの大木温之から頂いた言葉を歌詞に用いた「あかるくかるく」にてなち自身のスタンスを示したあと、「台風」では様々なアプローチでリズムを刻むGKのビートに合わせてBメロは手拍子を促すなち
曲そのものは全く陽気なものではない()
けれどもライブではそんなことを感じさせず、表面上のイメージである軽快な1曲として演奏されている

眠れない夜をロックンロールで鳴らす「デービゴ!」を終えて、Dくんがスラップベースを鳴らす「ポテサラ」はハンドマイクになったなちがステージを降りてゆっくりステージを歩き回るが、そしてこんな可愛らしいタイトルなのにサビになった途端、ダイブの嵐
初めてサバシスターのライブに足を運んだ方は驚くのも無理はない

今回のツアーはサバシスター史上最長
これが34本目ではあるものの、バンドマンはライブしてこそ
なのでツアーが終わることになちは寂しさを感じているが、

「今日終わったら、アルバム(「たかがパンクロック!」)の曲はしばらくやらなくなるかもしれないけど、みんなの心には残り続ける!!」

の通り、JUST PUNK ROCK Tourを終えたら当分やらなくなる曲もあるかもしれない
でもライブで聞けなくとも、ずっと心には残る
サバシスターが作り上げた曲はどれも名曲なのだから

「たかがパンクロック!」には、激しい曲以外ももちろん収録されており、喪失をテーマにした「最後のラブレター」は脳裏に風景を浮かべさせていくのだが、なちがアコギを背負う「生活」を聞くのは2024年の1月、F.A.D. Yokohamaにてkoboreとのツーマンを見たとき以来
前半はなちの弾き語りで途中からバンドが合流してくれるが、背後になちがどんな生活を送っているかがぼんやりと浮かぶし、

「明日早起きしよう」

は休日になった途端、8時まで寝ることが多い自分にはグサリと刺さるものがある(どうも1週間の仕事終わりは寝る時間が遅くなってしまう)

「クレヨンしんちゃん」のスピンオフ、「野原ひろし 昼メシの流儀」のEDになっていた「今日のごはんはなんだろな」でもなちはアコギを奏で、世界情勢が世界情勢だから、帰宅してご飯を食べられることは素晴らしいことと痛感するが、収録カメラが入っている関係でなちは緊張したのだろうか
間奏の鍵盤ハーモニカでうまく音を出せてない印象
納得がいかないなちは、ハーモニカの部分をやり直し、

るみなす「ここにいた人だけの秘密ね!」

とお願いがするが、さすがに無理だろう(おそらくこのブログ以外にも、各所のレポで言及されてしまう)

早くもライブは後半に入ることを告げつつも、

「「たかがパンクロック!」には短い曲がたくさんあるから!!」

となちが話したように、「たかがパンクロック!」にはショートチューンがたくさん収録

なちがウクレレを奏でたかと思いきや、るみなすが歪んだギターを弾いた途端なちはギターに持ち変えて

「テキトーに考えた歌詞に曲なんてつけねーよ
心の奥うたっちゃダメとか言うなら音楽なんてやらねーよ」

と本音を丸出しにする「テキトー」、散髪に失敗したフラストレーションを音楽にぶつけた「My way」とショートチューンの連打
共にGKが性急なビートを刻むからこそ、次々にダイバーを誘発させるが
、「My girlfriend is PIZZA OF DEATH(以下かのピザ)」は随所で「オイ!オイ!」と合いの手が起こりまくり
なちが客席にマイクを向けた

「怪しい事務所!!」
「知らないCD!!」

は大合唱が起こり、Dくんがゴリッゴリのベースを鳴らした直後には、これもGKのビートに引っ張られるようにダイバーが次々
2階から見ると「ひええ…」となるような光景が広がっているが、O-EASTと違うのはこの直後、スカパンクバージョンである「My girlfriend is PIZZA OF DEATH Ⅱ」にシフトしたこと
再びハンドマイクになったなちは台を降りて、るみなすが奏でる軽快なカッティングギターに乗せてスカダンスを踊りまくっていたが、ワンマン以外では「かのピザ」だけで終わることが多い
出来るなら、1も2も両方やって欲しい
どっちにも良さがあるんだから

Dくんのベースソロを皮切りに、るみなすからGKとソロ回しが起こる「覚悟を決めろ!」はアンサンブルが一気に強くなり、サビではGKも力強く4つ打ちを刻むがパワフルに歌うなちの

「2本離してピースを決めろ」

に合わせてサビ終わりでピースを決めるのがお約束
自分の周囲は初めて来た方が多かったのか、最初はあまりやっている方が多くなかったが次第に周囲は順応
「覚悟を決めろ!」はピースサインで埋め尽くされるのが一番

日常生活でよく見かける記号をロックの題材にする「!」を終えると、このツアーがようやく終わることに

「やっと解放される」

となちは、思わず本音が漏れてしまう(笑)

そのため慌てて「ホッとする」に言い直したが、

「連チャンとかは少ないけど、2週間くらい家に帰れないこともあって、植物が枯れてしまった。フェスもあったし、新曲も作らないといけなかったりと大変だった。」

とあまりにもハードだったことが分かる
indigo la Endの川谷絵音がFC限定ブログでバンドマンの生活について書いたのを見ているので、どんな日々を送っているかは理解できるものの、2週間帰宅できないのはとんでもない日程
CDJ25/26ではカウントダウンアクトを任させられたのでプレッシャーも大きかっただろう
しかし、

「でも「バンドマンしているなあ」と思った。このツアーを乗り切った。サバシスター、さらに大きくなるでしょう!!」

と無事に完走できた、延期することもなく
このツアーで得た経験を経て、サバシスターはさらなる進化を遂げるはずだ

「嘘じゃなくて、
僕ここに立つため生まれた
嘘じゃなくて、
君のこと歌いにきた
そう思う、心から
ありがとう」
「嘘じゃなくて、
僕ここに立つため生まれた
嘘じゃなくて、
自分のために歌うよ
そう思う、心から
ありがとう」

とあなたのためにも、自分のためにも歌を歌うなちの心境が言語化された「ステージ」で、なちが力強く張り上げるように歌ったあと、ハンドマイクに持ち変えて台を降りたなちが合唱の練習をさせたあと、ギターを背負い直してはじめる「作戦会議」はDくんとGKによる強固なリズムの元で大合唱
まるで秘密裏に作戦を会議、発起集会でもやっているかのような大合唱である

そのうえで自身が音楽の囚われになることを歌った「ミュージック・プリズナー」はなちのエゴが強く出ており、リフトが壁のように出来上がるのだが、

「今更僕らを誰も止められない」

の通り、もうサバシスターの勢いを止めることは出来ない
パンクロックの新しい歴史を作っているのだから
サバシスターの音楽は誰にも言えない夜を抜け出す音楽になっている

「タイムセール〜」では途中、Dくんになち、るみなすの3人が背中越しで並んで息のあった動きを見せていくが、

「こんな僕に世界がほら
今は微笑んでくれてるみたい
こんな僕にあなたがほら
今は耳を傾けてくれてる」

のようにライブ会場は、いつでもなち達のために微笑んでる
ハードなスケジュールだから疲弊してしまうかもしれないが、自らの足でこの場所を選んだ大勢の方が、サバシスターの曲を受け止めてくれる
その光景を目にすれば、サバシスターは進み出すことが出来る

個人的には、

「スタバの期間限定も
飲めないまま終わってくれ」

には待ってくれだし、ラーメン花月の限定ラーメンは何が何でも食べせてほしいが

auのCMソングになったことで、今や最大の代表曲になった「ハッピーになって」は、るみなすが鳴らす軽快なリフによってダイバーが次々に飛んでいくが、この日最大の多幸感
ステージとの掛け合いもたのしいどころか、るみなすは1人でChoo Choo TRAIN
Dくんに至ってはベースを大きく掲げながら、GKの目の前で弾いていたが、

「ハッピー そこにあるハッピー
見落としたって大丈夫さ
ハッピー ここにあるハッピー
いつかどこかで会いましょうね」

の合唱が起こったあと、更にテンポが早くなってダイバーはおそらくこの日最多
場内の至るところがもうハッピー尽くし

そして最後はハンドマイクになったなちが台を降りて、お辞儀する仕草を見せて感謝を示す「サバカン」
ツーマンでさえ短い時間で20曲近くやってしまうのだから本編なんて、あっという間だった

いつものようにアンコールはまずDくんがステージに現れ、どういうわけか台湾語でアンコールを促したり、思い切り滑ったりしたようだが、

「今日くらいは普通にアンコールしよう!」

とのことで直球で促すも、「男子!」「女子!!」と煽ったあと、

「相模原‼」

と煽って返したのは2人だけ
相模原はDくんの地元らしいが、これは流石にこれは凹む

その後なち達が帰ってくるが、なちは前方にいたお客さんにインスタントカメラを渡しステージを撮影してもらう
このカメラで撮った写真はどこに掲載されるのだろう

「今日でツアーは終わるけど、またツアーはある!!はず…」

となちが話したことから、次のツアーはまだ調整中だと思われるが、新曲そのものは既にリリースされており、「Oha!4 NEWS LINE」に描き下ろした「朝が来て」はまるでマーチングソング
目覚めの一杯ならぬ、目覚めの1曲となりそうだ

そして最後は、なちがハンドマイクとなって、

「サバサバ 今さら 騙されて 悲しくて
サバシスター今日もゆく
さらば青春なんてまだ早いから
サバサバ 今だけ 騙されて 気づいてよ
サバシスター今日だけは
さらさら泣かす気はないんだから」
「サバサバ 今さら 騙されて 悲しくて
サバシスター今日もゆく
さらさら理想には近づけないけど
サバサバ 今だけ 騙されて 気づいてよ
サバシスター今日だけは
さらさら帰す気はないんだから」

の通り、サバシスターのテーマソングこと「サバシスター's THEME」てダイブの嵐
涙は流させずにもみくちゃ、後方や2階で見ていた方も汗をかかせて終了

全ての曲を終えたあと、なちたちはピックを投げるが、その直後にある曲が流れる
それはKen Yokoyamaの「PUNK ROCK DREAM」
横山たちのパンクスピリットは、なちたちにしっかり受け継がれているんだなと思った

途中でフェスも挟んだとはいえ、ツアーの期間は実に半年近く
間違いなく体力的にもメンタル的にも来るものはあったはず
ただ武者修行のようなロングツアーを経たからこそ、得られたものも過去1番
未来に繋がるものになるだろう

前述したように、会場内には子供連れの方も多々見かけた
人の上を多くの人が転がる光景は、少し刺激が強すぎたかもしれない
でもお子さんがライブハウスに来たということは、サバシスターの音楽が好きということ
かつてWANIMAがお茶の間にパンクロックを届けたように、サバシスターもお茶の間にパンクロックを届けている
そうやってパンクは受け継がれていく
きっと何十年後にはこの日見たお子さんがステージに上がり、サバシスターと対バンしているかもしれない
  
ツアーが終わっても、サバシスターは色んなアーティストのツアーやフェスに招かれている
なので次のツアーが発表されるまでにまたどこかでライブを見ることになるだろう
ロングツアーお疲れ様でした
趣味が合う僕らはまた会えるよ
四角いこの世界で

セトリ
JUST PUNK ROCK!!
才能
ナイスなガール
ドゥルーピーアイズ
あかるくかるく
台風
デービゴ!
ポテサラ
最後のラブレター
生活
今日のごはんはなんだろな
テキトー
My way
My girlfriend is PIZZA OF DEATH
My girlfriend is PIZZA OF DEATH Ⅱ
覚悟を決めろ!
ステージ
作戦会議
ミュージック・プリズナー
タイムセール逃してくれ
ハッピーなんて
サバカン
(Encore)
あさが来て
サバシスター's THEME


サバシスター「たかがパンクロック!」ツアー finale

※氣志團をゲストに招いたツアー初日、Spotify O-EAST公演のレポ
アルバム︰「たかがパンクロック!
アーティスト︰サバシスター


たかがパンクロック!(CD+DVD) - サバシスター (特典なし)

 


彗星のごとくシーンに現れてはPIZZA OF DEATHに所属、ポニーキャニオンからメジャーデビューと破竹の勢いで快進撃を続けサバシスター
メジャーデビュー半年でZeppをソールドアウトにしたあと、2025年は半年足らずでツアーを3本行うなどとてつもなくアクティブな活動を行っていたわけですが、その年の後半にリリースされたアルバムが「たかがパンクロック!」
タイトルはなちが尊敬し、ピザオブデスの社長でもある横山健がなちに掛けた「たかがパンクロックじゃん!楽しみなよ!!」からとったタイトルです
おそらくタイトルの由来を知らなければ「なんだこのタイトル?」と不思議に思われても仕方ないでしょう(笑)

なおかつこのフルアルバムをリリースするまでサバシスターは2枚のEPをリリースしたのですが、既発3曲と音源になっていなかった1曲以外の12曲は全て新曲
最近多い先行シングル楽曲の寄せ集めではなく、意味のあるアルバムになっています

そんなこのアルバムはドレミファソラシドのフレーズも入ったインストにして、現在行われているツアーのSEになっている「JUST PUNK ROCK!!」から始まるのですが、るみなすがエモーショナルなギターを鳴らす「才能」は、inゼリーのCMソングとして聞き馴染みが深い方も多いハズ
なおかつこのアルバムに2曲に収録されている先輩からの言葉を元に生まれたもの曲の1つでもあるのですが、「才能」の元ネタとなったのは小山田壮平の言葉

「翔け、今
君にはその才能があって
信じ続けたものが風となり背中押すよ
走り出せ、いつか転んでしまう時がきても
目を逸らさずいよう
ゴールはすぐそこ
君は最高」

辺りが確かそうだったかと
先輩に頂いた言葉を今度はリスナーにむけて歌う
あなたもきっとそうなんだよと

曲名が夏を連想するように見えて、

「夏です
ぜんぶやめてもいいですか?
誰のことも傷つけないから
君に出会わなければよかったな
消えることすらだるくなるのです」

など「台風」はフラストレーションがおおいに爆発するような曲なのですが、「あかるくかるく」も先輩からのアドバイスを反映した曲名
ここではTheピーズの大木の言葉が反映され、なちのスタンスがむき出しになった曲となっています

先行シングルの時点からインパクト抜群だった「ポテサラ」はここでも過激な歌詞が際立ち、「デービゴ!」は眠れない夜のことを性急なビートに載せているわけですが、歌謡テイスト強めな「今日のごはんはなんだろな」で垣間見えるのは、自宅で食事を取ることが出来る幸せ
何気ないようで忘れてはならないものを思い出させてくれます

また「春、思い出すこと」は、るみなすが鳴らしているであろうノスタルジックなギターリフが印象深いバラードですが、そこで描かれてるのはなちよ学生時代
過去と現在を結んでいくかのようなバラードになっています

中盤、「テキトー」から「My girlfriend is PIZZA OF DEATH」までは、ショーンチューンが非常に多いのですが、ウクレレからパンクに切り替わる「テキトー」の

「テキトーに考えた歌詞に曲なんていらない
心の奥うたえないなら音楽なんてやらない」

には、なちの音楽にかける思いが出てますし、るみなすが鳴らすエモーショナルなギター、GKの力強いビートを刻む「ステージ」には、

「嘘じゃなくて、
僕ここに立つため生まれた
嘘じゃなくて、
君のこと歌いにきた
そう思う、心から
ありがとう」、
「嘘じゃなくて、
僕ここに立つため生まれた
嘘じゃなくて、
自分のために歌うよ
そう思う、心から
ありがとう」

とステージに立つ覚悟
なちはこうやってステージに向かっていると

「テキトー」と「ステージ」、この2曲はアルバムの中でも特に重要な立ち位置にある曲でしょう

散髪に失敗したエピソードをロックにぶちまける「My way」、Oi!パンクを楽しく昇華したした「My girlfriend is PIZZA OF DEATH」はいずれもショートチューン
パンクの楽しさを教えるような曲でもありますが、auのCMソングになっていた「ハッピーなんて」は、パンクでありつつも、

「自分だけハッピーだなんて
そんなのあんまり不公平だろ
ハッピーなんて そこらじゅうじゅうに
転がっているもんさ」
「自分だけ不幸せだなんて
そんなのあんまり不公平だろ
ハッピーかどうか そんなのあとで
寝てから考えよう」

と幸せについて考えさせるような1曲
お茶の間にパンクロックの楽しさを、知らせるきっかけになったのではないでしょうか
かつてWANIMAの「やってみよう」がお茶の間で大量オンエアされた時のように

そのうえで「最後のラブレター」は美メロにとどまらず、歌うようなベースラインが印象深いノスタルジーなバラード
ノンフィクションかフィクションか、見分けの付きにくいような世界観が綴られてますが、

「最後のラブレター
燃やしてさよならさ
僕の前から消えてくれ
そう願ったのは僕だけど
なんで涙がこぼれるの
これが最後のラブレター
燃やしてさよならさ
僕のことを忘れてほしい
そう願ったのは僕だけど
心は消えちゃいそう」

と決別したように見えて、

「君の匂いを忘れられない
君がくれたものは
いつか僕の歌になるかな」

と変わるのは許しでしょうか
短編小説でも見ているかのようなバラードです

Dくんのゴリッゴリなベースラインを中心としたラブソング「ドゥルーピーアイズ」を経て、最後はライブで度々披露されてきたショートパンク「サバカン」

「趣味が合う僕らはまた会える
四角いこの世界で
眠れぬ夜になりますように
ありがとうよ届け!」

と再会も忘れられない夜になることを祈るサンクスソングでアルバムは終わります

なちのマインドが前面に出てきた曲も多々ありましたが、基本的に中心軸は日常
同時にパンクロックの楽しさが前面に出たような1枚となったのではないでしょうか

将来、このアルバムを聞いてパンクロックを志すミュージシャンが必ず現れるでしょう
パンクロックの未来を作るような傑作でした

昨年4月に野音ワンマン、7月にはFC限定ライブや自主企画を大阪で開催した須田景凪
「暗殺教室」の再放送に合わせて書き下ろされた「ラストルック」以降、コンスタントに新曲を発表してきたが、2箇所とはいえ2024年以来となるツアーを開催
東京の会場はKandvia hall
昨年ワンマンを行った日比谷野外音楽堂とほぼ同じキャパなので、チケットはやはりソールドアウト

この日は2026年のプロ野球が開幕した直後
自分は贔屓チームである福岡ソフトバンクホークスが勝利したのを確認した上で水道橋を訪れたが、水道橋が最寄り駅である東京ドームはまさかの試合中
巨人と阪神の開幕3試合目は、3時間を超える熱戦になっていた(結果は阪神の勝ち、巨人は中継ぎが崩壊していた)

ステージ中央のスクリーンには「GLIMMER」の文字が浮かび上がり、色んなところに花が置かれている中、定刻を少し過ぎた18時05分にゆっくり暗転

のっけからレーザーを用いるSEとともに、いつものサポートメンバーがステージに現れるが、奥田一馬(Ba.)の髪が水色になっていたり、タケさんこと竹内亮太郎(Gt.)がサムライを思わせるような髪型になっており、「2ヶ月の間に何が起こった」と心の中で思わざるを得ない(1月に自分はsyudouが主催するPENTATONICにて須田のライブを見ている)

サポートメンバーの準備が終わるとセッションが始まり、力強いビートを刻む箱木駿(Dr.)のカウントを合図にモチヅキヤスノリ(Key. なとりやsyudouのサポート)も含む4人が音をぶつけ合ったところで花束が置かれていたステージ中央に須田が登場
まるでイリュージョンのような演出が施されたあとに、須田の名前をボカロ界隈以外にも一気に届けるきっかけを作った「veil」から始めると須田の声はとても良く出ている
しっかりこのツアーに、合わせてきたのが伝わるように
竹内の奏でるギターリフもとてもキャッチーであるが、今回のツアータイトルである「GLIMMER」とは一筋の光を指す

「笑えない日々を辿ったって
変わらない今を呪ったって
宙に舞った言葉じゃ
あなたを救えないのだろう」

は、ここにいる人々が闇の中に囚われているということを示し、

「この手が離れても
また歩いて行けるように
さよならは言わずに
何処かでまた会えるように」

がこのライブのコンセプトを現しているなんて、ライブレポを書くまでは思いもしなかった

ダンサブルな「メーベル」は大きな歓声が起こり、竹内がここでもキャッチーなメロを奏でる上で、須田は甘い歌声を響かせて踊らせるが、

「あんな言葉も優しさというから
触れる様な虚しさが残る」

で終わるので、どうも束縛されている感じが残る
前向きになることが出来ないような

ギターを背負うといなや

「最初から本気見せてもらっていいですか?」

と煽り、今度は性急な「雨とペトラ」で腕を降らせまくり
去年野音で聞いたV flowerが歌唱するバージョンと比較すると、須田のセルフカバーはどこか人間臭さを覚える
それは須田が歌唱するのに合わせて、多少キーが下がっているのもあるが、それ以上に太いベースを鳴らす奥田とパワフルなビートを刻む箱木からなるリズム隊がとても強いのも大きい
この2人のグルーヴが、ボカロ曲をロックへ大きく昇華させている

このKandvia Hallでライブをするのは初めてだったからだろうか

「ここは、四方から囲まれていますね(笑)」

と正直すぎる感想を話す須田(笑)

この会場の構造はやや特殊
普段やっている会場は客席が横に広かったりするので、あまり慣れないシチュエーションかもしれない

このツアーのコンセプトについて簡単に説明したあと、「メーベル」と同じくダンサブルな「花に風」は、スクリーンに初音ミクが踊る映像が流れるが、ここまでの曲はフェスでも耳にすることが多いであろう曲
初見を意識して、フェスだとバルーン名義の代表曲を連発しているのもあるが、冷静に考えたらとても攻めている

モチヅキが奏でるメロディーが陽性な「バグアウト」は一昨年LINE CUBE SHIBUYAで聞いて以来だが、非常にポップなのに視線はとても冷めたもの
須田が告げる

「孤独に嘆いて苦しめばいい」

はいつ聞いても不気味である

一方スピーディーな「ラブシック」は、「GHOST POP」のツアー以来
なので自分は初めて聞くことになるのたが、やっぱりこちらもポップなのに世界観は毒づいたもの
妬みが全面に出たうえ、サビで須田が張り上げるように歌ったあとの

「分かるかしら」

はゾットする
背後から声をかけられたかのように

直後、須田は「最近須田景凪を知った人はどれくらいいるか?」とアンケートを撮るのだが、その理由は今回のツアーはここ最近やってない曲をメインにしたツアーだから
「バクアウト」から、去年の野音でやってない曲が続き始めたのが物語るように

なので須田は「初めて来た人には分かりづらいかも」と事前にお詫びするのだが、スクリーンに幼少期に触れ合ったであろうおもちゃの映像が流れる「MOIL」はFC限定ライブ以外では6年ぶり
この事実を知ったあと、「そんなにやってなかったの?」と自分は驚いたが、

「どんな形で
どんな言葉で
どんな明かりで照らせば」

とまるで場面転換の役割を与えられたかのようだ

「シックハウス」はFC限定ライブ以外では2019以来らしいので、当然ながらライブでは初聞き
ブルージーではあるものの、少しずつ希望は芽生えて行っているのが分かるが、曲間を繋ぐようなインターリュードをモチヅキが奏でたあとにたどり着く「idid」は赤と緑の照明が非常に象徴的
レーザーに至ってはステージを覆い尽くすほどだが、その状態でギターを背負った須田が力強く歌う

「誰も彼も自分次第です」

は、物事はすべて自分次第と突きつけられているようだが、裏を返せば「あなた次第で希望を見いだせる」ということ
少しずつ光が差し込んでいるのが分かる

須田が煽りに煽りまくってイントロ代わりに、箱木が自身のドラムセット後方に用意されていたドラを叩いて始める「パレイドリア」でいつものように照明は激しく
須田も張り上げるように歌っていたが、東京でライブを行うのは、昨年の野音ワンマン以来
千葉や神奈川でライブをしていただけに、少し意外ではあるが、

「俺の中では、春って憂いのある季節」

とようやく訪れつつある春に対する須田の印象は少しネガティブ
出会いと別れの季節と言われる春で後者の印象が強いのが原因かもしれない
これが最後にひっくり返るなんて思いもしなかったが…

そんな春に関する話に導かれるように、須田は「はるどなり」を丁寧に歌っていくが終盤になるとステージにたくさんの照明が降りて美しい夜空
この時、自分の近くにはカメラマンと思われる方が来てステージの様子を撮影していた
ある媒体のライブレポにでも使われれたのだろうか

もう1つの春に纏わる曲は「ミラージュ」
ちょうど昨年の4月前後にリリースされたのが記憶に新しいが、

「眩暈がしそうな優しさは呪いのようで
また目を逸らしてしまう」

を合図に、後半になると別の曲を聞いているかのように爆音が溢れだす
その瞬間は鳥肌が立つかのようにインパクトが強いし、

「心が叫ぶような美しい世界が
姿形を変えて僕らを待っている
後悔は消えやしない、それは変わらない
目に映るもの全てを愛そうなんてしないで
煩わしいこの世界でさ 足宛いてやろうぜ
憎たらしいこの心だけ 愛してやろうぜ」

はもう前向きになっている
美しい世界が待っていると希望を抱き、「愛してやろう」と愛そうとしているから

そのうえで壮大なインターリュードから、近年の須田の楽曲では最もポピュラーと思われる「メロウ」は、神々しさすら感じるアンサンブルとともに間奏で大合唱
その瞬間はまさしくメロウな空間だし、眩しいほどのアンサンブルは大きな希望の1つ

刺激的な映像とともに曲が進行する「ミーム」は後半に入ったことを示唆する曲だが、刺激の強いPVは一気に雰囲気を変える
途中、

「陳腐なレイトショー」

なんてフレーズが出てきても、須田のライブに陳腐な雰囲気は一切感じない
けれどもこの夜を「最後まで楽しみませんか?」という雰囲気ははっきり感じる

後半に突入したことを契機に須田がより煽りまくって、自身もギターを背負「レド」はパワフルな声も見せながら竹内が脳裏に刻まれるリフを鳴らすが、「ユーエンミー」は途中ソロ回しが
スクリーンにはメンバーが紹介されつつ、竹内のギターソロに移行するが、スクリーンに映した「ウォーアイニー」の文字は「ユーエンミー」の文字に
言うなれば1VS1
まるで1人1人にむけて歌っているかのようである

そのうえで須田はここのところ、自分の考えを話すことが多いのだが、この日もそれは健在であり、

「最近音楽について考えていて。音楽って衣食住とは違って、無くても生きていけるじゃないですか?でもここにいる皆さんもステージいる人たちも裏にいる人たちも音楽のおかげで生かされている。音楽は大切な一筋の光」

と今回話したのは音楽について

音楽は確かに、生活に必要不可欠なものではない
ただミュージシャンやライブに足を運ぶ方は、音楽によって活かされている方
音楽が与えるものはあまりにも大きい

「俺に出来るのは良い曲を作って良いライブをすること。自分の音楽で少しでも持って帰れるものがあれば」

と自身に託されているであろう使命を話したあと、映像とともにモチヅキ鍵盤で奏でるメロディーが印象深い「ダーリン」はやはり大合唱に
ピンクのレーザーには女々しさも感じるけど、奥田が終盤になぞるシンセベースはとても気持ちいい

「最大級の愛を込めて」

という前口から始まるのは、

「何処までも行け
あの日 夢見た光まで」

に始まり終わる「ラストルック」

去年と今年、イベントで見た際、サビの半分近くを客席に委ねていた
しかしこの日はサビも全て歌唱
思い切り張り上げるように歌っていたし、ステージ中央に登って歌う須田はまるで教師に見えた
スクリーンに殺風景な教室が見えたのは「暗殺教室」に掛けて?

そして最後は、奥田のバッキバキなベースが火を吹き、レーザーも放たれまくる「リベラ」

「闇の奥を照らす光があること」

とまるでこのライブを総括するようなフレーズも出てきているが、この時点ではまだ「悪夢」や「地獄」にいる
そのことにライブが終わった時点では全く気がつかなかった

アンコールで戻ってくると新規ライブ開催を告知
そのライブとは開業したばかりのSGC HALL ARIAKEにて9/19にワンマンを行う
ステージもキャパも過去最大規模
今日出来なかった演出が出来ると須田は意気込んでいたが、問題はその日がロッキン開催日と丸かぶりしていること(またダブルヘッダーするか?)

そのうえでライブ前日に情報が解禁されていた新曲「ニーナ」は、アイリッシュながらも自分の心と対峙する曲で須田は

「自分にとって大切な曲になる」

と話していたのは、自分と向き合った曲だからだろうか

そして須田のライブで終盤を彩る曲と言えば「シャルル」
この日も須田が煽る必要もなく合唱が起こり、

「笑い合ってサヨナラ」

する状況になったが、今回は「シャルル」では終わらない
最後に行われたのは「はるどなり」や「ミラージュ」とならび、須田の春を代表する曲である「エイプリル」
曲中には度々「悪夢」が登場するように、長い悪夢の先にあるのがこの曲
その「悪夢の続き」である春へ我々を導かんとするかのようである
闇の中にある一筋の光が招くは嵐の様なざらめき

「春が僕らを手招いて
花曇りの中 身体を寄せ合う
嵐の様なざわめきが
今、心を満たしていた!
嵐の様なときめきが
今、心を満たしていた!」

とこれから始まろうとする新しい日々に胸を膨らませるかのようだった

最後の曲が終わり、メンバーが一足先にステージから去ったあと、

ステージに1人残った須田は

「また生きてどこかでお会いしましょう。」

と一言

どんな尺でも構わないから、早くまた須田のライブを見たくなった

感覚としては、「Artless」よりも更に前、「Ghost Pop」以前に戻った感じだろうか
須田は2024年にエイベックス内にあるA.S.A.B.(あたらよもここに所属している)に移動
タイアップ曲が非常に増え、新曲のリリーススピードが加速した
その結果、近年やれてない曲が増えた
なので行われたのが今回のツアーを
近年リリースした「ユートピア」や「WOLF」も外れたし、昔から須田の音楽を聞いていた方ほど、今回のツアーは嬉しいものになったのかもしれない(「ラブる」は何処に行った)

去年のCDJ辺りから、須田はやたらたと考え込んでいることが多い
別にセールスが伸び悩んでいる訳ではないし、ライブの動員も順調な方
では何を考えているかというと、それは自分に出来ること
やたら哲学的になっている理由は、「自分がやるべきことは何か」、それを少しずつ整理しているのではないだろうか
その結論にたどり着いたとき、「Ghost Pop」以降リリースされていないアルバムをリリースすることができるのではないか(須田は客席から「アルバムは?」と聞かれたときにはぐらかしていた。まだコンセプトが定まらないのか。それとも、コンセプトが出来ていてヨルシカのように埋めているか)

望んでなくても訪ずれる闇
その時にこのライブのセットリストを曲順に再生して、少しでも悪夢も辿れば愛おしいドラマだったと思えますように
このライブ、心を満たしていた!

セトリ
veil
メーベル
雨とペトラ
花に風
バグアウト
ラブシック
MOIL
シックハウス
idid
パレイドリア
はるどなり
ミラージュ
メロウ
ミーム
レド
ユーエンミー
ダーリン
ラストルック
リベラ
(Encore)
ニーナ※新曲
シャルル
エイプリル

須田景凪GLIMMERツアーのステージ


Kanadevia Hallライブ「GLIMMER」ツアー看板