コロナ禍に突入して、次々とフェスが中止になる中でも2年連続でこのムロフェスは開催された(開催場所がO-EASTのビルなので、中止要請はほぼ来ない)
そのムロフェスが2023年はかつてSpitzがワンマンを行い、Green Room Fes.の会場にもなっている赤レンガ倉庫に場所を移して4年ぶりに屋外へ
名前は知っていたが、このフェスに参加するのは初
しかし、ギリギリでチケットを取ろうとしたことが仇となり、2日目のチケットと通し券はソールド
2日目のチケットを探しながら参加する、半分楽しみながら半分は翌日が不安になる奇妙なシチュエーションである
会場入りすると、赤レンガ倉庫の広大な土地を活用しているだけあって、スペースはかなり余裕がある会場設計
これでも翌日ソールドしているとのことで、どれだけの人が訪れるか気になる所存である
開演5分前には、主催者のムロ氏が登場するも、
ムロさん「ここ、いいですよね!海もあるし、山もある!!赤レンガもある!!」
と「どこに山あるんだよ(笑)」とツッコミを入れざるを得ない一言を発するムロさん
更にmoon dropも早めに呼び出したのは良いものの、あまりにも進行が駄目で、なし崩し的に本番へ
・moon drop[ムロ海エリア LEFT STAGE](10:00~)
そうして半ば強引にバトンを渡されたトップバッターのmoon drop
JAPAN JAMにも出演し、各地のフェスに出演する機会も次々に増えているが、朝から始まった参加者に捧ぐ「ボーイズアンドガールズ」でスタートすると、そのアンサンブルはとてもカラフルだ
自分は恋愛経験も失恋経験もほぼ皆無
だからそんなラブソングや失恋ソングにキュンと来ることもなく、安っぽい歌詞だとむしろスルー傾向がある
でもmoon dropは恋愛ソングを求めない方でも、引き付けるようなカラフルな音色がある
reGretGirlやThis is LASTがシーンからも受け入れられたかのように
「ライブハウスの雰囲気を屋外に持ってこれるのは至福の時!!」
と浜口(Vo. & Gt.)が告げたあとは、当たり前ながら「至福の時を」だが、清水(Gt.)が鳴らす音色は赤レンガ倉庫全域を祝福空間へ塗り替える魔法
原(Dr.)のドラムも力強かったりと、ライブハウスで戦ってきたバンドだから魅せられる音色である
浜口「野外でやるのも…似合いそうな曲…」
と謙遜気味に呟いた新曲「ヒメゴト」はカノンコードががっつり入り、将来的には鍵盤をサポートに招きそうな予感がするが、
「どんなことがあっても
人の恋を笑うなよ
どんなことがあっても
人の価値を測るなよ
人には人の
ささやかな決まりがあって
生きていく」
は失恋ソングを多く歌うバンドだからこそ言える、「恋を馬鹿にするんじゃない」メッセージだ
人は表面に現れなくとも、愛を求める生き物だから
「散々クレスト(O-Crest)でライブしてきた!散々ラブソングを歌ってきたのが繋がっている!!」
とこれまでの日々を振り返るように話し、
「これも散々歌ってきた!!」
と「ex.ガールフレンド」は音源以上に叙情的だ
その姿を見れば、「ラブソングを歌うだけのバンド」というパブリックイメージは薄れる
れっきとしたライブバンドにイメージは変わるだろう
最後は童話の魔法をイメージしたような歌詞が印象に残る「シンデレラ」
「午前0時を過ぎる頃に
あっけなく解けませんように」
は、魔法が解けてお姫様から普通の少女に戻る瞬間を指したんだろうけど、音楽の魔法もフェスが終わっても解けないことを願った
思った以上に、エモーショナルなバンドだった
セトリ
ボーイズアンドガールズ
至福の時を
ヒメゴト
ex.ガールフレンド
シンデレラ
・3markets[][ムロ海エリア RIGHT STAGE](10:30~)
moon dropがライブしたムロ海エリアはステージが2つ並べられており(四星球の北島によれば、トラックに楽器を載せているとのこと)、すぐに次のアーティストのライブが始められるようなシステムが組まれているが、3markets[]はボーカル、カザマタカフミが書籍を何冊か出しているのでそのイメージがあまりに強いバンドである
あまりにも静か過ぎるSEで登場した後、
カザマ「近隣住民に迷惑かけないようにライブします(笑)」
と約束するも、この周辺にあるのは色んな意味で話題になったゴンドラと昔から親しまれているワールドポーターズくらい
知り合いも住んでいただけに、「住宅街、あっちなんですけど」と心でツッコミを入れたが、この周辺を知る神奈川県民はだいたい同意見だっただろう
しかし矢矧(Gt.)とかつてピロカルピンに在籍していたmasaton.のドラミングが強烈に噛み合い、酸っぱいどころじゃすまない自意識過剰なフレーズが羅烈された「レモン×」、
「100円ワインと辛味チキン」
とサイゼリアの特徴を持ち出しながら、さよなら劇場池袋出身の田村(Ba.)とmasaton.のグルーヴが足踏みしたくなるほどにリズミカルな「サイゼ」と音楽性は真っ当
正攻法のオルタナサウンドを鳴らしている
しかし良くも悪くも話題になりやすいカザマは、
「この時間にMCするバンドは○んだ方がいい(笑)」
「暑いとMCするバンドは次々に殴ります(笑)。でもそれだと、ムロさんも殴らないといけない(笑)」
とMCが捻くれており、
「暑い。」
と結局は自身が発して自爆するのは天然なのか、計画通りなのか
このようにカザマは捻くれているので、世界観も劣等感丸出し
これこそ現代社会の最底辺と言うべきかもしれないが、じっくり聞かせる「底辺の恋」は美しいバラードだ
歌詞に共感は出来ずとも、アンサンブルに共感する事への壁はない
じっくり聞きたくなる、そんな芸術
バカテクの集合地帯と称していいほど、演奏は鬼気迫っているのに、タイトルでおすすめしづらい「僕はセックスが出来ない」、
「何もすること無いコーナー」
とカザマがヤハギのギターテクを無表情を見たあと、田村のベースソロには思わず反応する変り身を見せて、情報過多な「整形大賛成」と繋ぐが、
「来てくれてありがとうと言える人間ではいます(笑)」
とカザマ
一般常識は失ってなかったようだ
そして最後は、
「俺は社会のゴミ」
とヤングスキニーの「ゴミ人間、俺」以上に自分を鼻で笑い、
「一生夏休み」
が、就労したくとも、人間不信に陥っていた頃の自分を思い出してしまった「社会のゴミカザマタカフミ」
自分は3markets[]を見るのはこれが初(というより、このフェス、初見のアーティストが多い)
ライブを見て、「これはCIVILIANのように好き嫌いはっきり別れるバンドだな…」と思った
カザマの人間性と歌詞がイコールだから
コンプレックスがあまりにも出ているから
でも演奏している姿に、劣等感は無かった
すなわち、ダメ人間では無かったということ
セトリ
レモン×
サイゼ
底辺の恋
僕はセックスが出来ない
整形大賛成
社会のゴミカザマタカフミ
・Hakubi[ムロ海エリア LEFT STAGE](11:00~)
その3markets[]のライブをHakubiの3人は準備しながら見ており、中でも片桐(Vo. & Gt.)はステージをよく見ていたのだが、3markets[]のライブが終わるや否や、すぐにリハを開始
履けることはなくそのまま本番
初音源の表題曲、「夢の続き」を始めるが、パンクの影響を匂わせるマツイのドラムに負けじと
「うるせぇ真面目にやってるよ!」
と怒りをぶつけるように叫んだと思いきや、
「僕らはまだ終わってないよ」
と冷静に歌い上げたりとHakubiの音楽は3markets[]と対照的
ムロフェス開催日に、富士急にてワンマンをやっているこのフェスの代表、SUPER BEAVERの系譜を継ぐように
その実力は京都の先輩、10-FEETが自身のトリビュートアルバムに「アンテナラスト」で参加させたように、聞き手に寄り添うもの
「Eye」にて、ヤスカワ(Ba.)がバンドの支柱になっているベースラインを見せたあと、マツイはフェスが開催できた事を喜ぶようなMCをするが、
「色んな人が色んな目的でこのフェスに来ているけど、「救われた」と思う曲に出会えるように」
と片桐はマイノリティに向けるかのように話し、弱者の内心を書き出したような「在る日々」はスリーピースを形成する1つ1つの音が簡単に止まってしまいそうなほど繊細
それでいて、
「この25分であなたに何を伝えられるか!!」
と言葉を次々に交わすのは、SUPER BEAVERの渋谷龍太や10-FEETのTAKUMAをイメージする人もいるだろう
目の前にいるあなたを思う
それがHakubiの音楽
Hakubiは、ムロフェスで見ることを楽しみにしていたアーティストの1組
ようやく見る機会が訪れたのだが、Hakubiに注目するきっかけとなったのは、
「忘れるんじゃないかって
消えてしまうんじゃないかって」
と生きるのが、やっとな弱者を思う「辿る」
「era」を初めて聞いた時に掴まれ、いつかライブで見たいと思うようになった
だから生で聞いて、スケールの大きさに感動する
が、25分では流石に収まらなすぎる
イベントだとしても40分はいる
要は、すぐにでも次のライブを見たいのだ
「自分の憧れのバンドがムロフェスに出ているって知って、いつか出てみたいと思っていた。そしたらクレストに出れた!!そこで名前は知らなかったムロさんに会えて、「絶対に出たい!!」と伝えたムロフェスに出れた!皆さんにもっといいものを見せられますように!!」
と更に素晴らしいものを見せることを約束して、最後は儚げなメロディーがライブの終わりを告げる「悲しいほどに毎日は」
ラスサビ、片桐は合唱を促したけど、あまり合唱は起きてなかった
自分のように初めて見る方が多かったんだろうが、これが大合唱になったそれはさぞ美しいだろう
そんな日々を夢見て、僕らはまだ終わってないよ
セトリ
SC①ハジマリ
SC②mirror
夢の続き
Eye
在る日々
辿る
悲しいほどに毎日は
・GOOD ON THE REEL[ムロ海エリア RIGHT STAGE](11:30~)
かつてはZeppや野音でワンマンをしたこともあるGOOD ON THE REEL
ムロフェスではお馴染みだが、今年に入ってギターの伊丸岡、ドラムの高橋が脱退
ドラムに翌日出演、本当に1年で帰ってきたThe Cheseraseraの美代一貴、並びにサポートギターを迎えることになり、現在は千野(Vo.)、岡崎(Gt.)、宇佐美(Ba.)の3人となった
Hakubiが終わるとそのままライブが始まり、お馴染み「素晴らしき今日の始まり」はムロフェス開催を祝福するも同然
続けて、客席で手を大きく回す行為が多々見られる「シャワー」とこちらも馴染み深い
メンバーチェンジはしてしまったが、千野の今にも崩れ落ちそうな儚い歌声を歩みながら伝えるスタンスは変わらない
3人編成になってからも、ムロフェスが呼びかけてくれた事に感謝するが、直後の「ナツメロ」
懐メロと夏メロを掛け、ノスタルジックな雰囲気が内包されているが、
「時代は変わる 僕らも変わる」
のように、本当に時代は変わってしまった
ぶっちゃけ、コロナ禍初期よりも今の方が生活しづらい
コロナに対する認識で、戦時下の日本のようになってしまったから
更にGOTRも今や3人
まさか彼らから2人も離脱するなんて思いもしなかった
変わらなければ人は生きられない
だとしても、こんな悲しい変化は見たくなかった
それでもGOTRは進もうとする
千野が、客席内テントの人に
「日和ってる?」
と弄ったように、振り切らなければ進めないから
だから最後はいつものように、「ハッピーエンド」だった
依然、幸せな結末を願っているから
だから私達はいつでもハッピーエンドを待ってるの
セトリ
素晴らしき今日の始まり
シャワー
ナツメロ
ハッピーエンド
・BIGMAMA[ムロ海エリア LEFT STAGE](12:00~)
例年、このフェスには「いや、このフェスに出るべきアーティストじゃないでしょ?」なベテラン枠、即ちオーバーエイジ枠が存在する
過去にはandropやTOTALFATが出演したが、今年1組目は恐らくBIGMAMA
ちなみに翌月には、同じくバイオリンがメンバーに在籍するAliAとの対バンを控えている
おなじみ壮大なSEでメンバーは登場するも、猛暑ではないものの、バケツを被っているビスたん(Dr.)にはあまりにキツい
「持ち時間25分でも暑さに耐えられるのか?」と心配になるレベルだが、
「ムロフェス!!」
と金井(Vo. & Gt.)が発し、
「ご案内しましょう、シンセカイへ」
を皮切りに、「荒狂曲”シンセカイ”」は久々に絶好なシチュエーション(JAPAN JAM BEACH以来か?)
ここまでラウド・パンク系のバンドがいなかったのもあり、初めてムロ海エリアでダイバーを誘発するが、近年はイベントでMCすることがほとんどないので、やっぱりこの日もマシンガンのような曲連射ぶり
バイオリンパンクの原点、ビスたんのツービートに東出(Violin.)が太い音色を弾く「CPX」と続き、ダイバーも次々に現れる
サビを冒頭に持ってくれるアレンジがなされた「秘密」では、ホール・アリーナスケールのアンサンブルを柿沼(Gt.)が鳴らすが、BIGMAMAはかつてはホールでも武道館でもワンマンを行ったバンド
ラインナップを見ると、もうベテランになってしまう
がその分、ここまでの出演者でキャリアもライブ本数も桁違い
その経験に裏付けられるアンサンブルをお見舞いしており、安井のベースも普段以上に頼もしい
そんな頼もしい安井のベースは、BIGMAMA流のEDM、「MUTOPIA」でより東出のバイオリンとユニゾンすることでより躍動
ビスたんに至っては、スティックで自身のバケツを叩く余裕ぶり
その姿は「The Naked King」ではない
れっきとした王様
そしてライブハウスでしか聞けない、ラウドに寄った新曲「虎視眈々と」を終えると、金井は客席に挨拶してステージを後に
ビスたんは無事だったが、特に喋ることはなかった
懐かしく思えた人もいただろうが、BIGMAMAはまだまだ現役
MCなしで十分魅せられる
それはスキルが熟されているから出来ること
若手には良いお手本となっただろう
秋には初のZeppツアー
王様は虎視眈々と次を狙っている
セトリ
荒狂曲”シンセカイ”
CPX
秘密
MUTOPIA
The Naked King〜美しき我が人生を〜
虎視眈々と
・MAGiC OF LiFE[ムロ赤レンガエリア LEFT STAGE](12:40~)
ここまでは海に面したムロ海エリアにいたが、ここでUVERworldが「Touch Off」をライブでやる際に使用される映像の元ネタになっただろう、赤レンガが多いムロレンガエリアへ
実質的なセカンドステージとなっているムロレンガエリアへの出演となったMAGIC OF LiFEはこのフェス皆勤賞
つまり、アルカラやLACCO TOWERのようにこのフェスを代表するバンドである
実は彼らを見るのはGalileo Galileiと東海大学でツーマンした時以来
この日見るアーティストで過去最長ブランクとなるものの、高津戸(Vo. & Gt.)を始めとする4人に風貌の変化は感じない
むしろ彼らが改名前のDirty Old Men時代を含め、今年で20年も活動していることに大いに驚く
しかしより驚くのは、「箒星の余韻」という、彼らが改名して間もない頃にリリースした曲で始めたこと
ちょうど改名した直後に、Galileo Galileiとのツーマンで初めてライブを見て、「良いバンドだなあ」と思ったけど、山下(Gt.)が奏でるメロの良さも不変だ
メンバー全員40近くなり、流石にキーを下げて歌っている曲も多い
でも力強さも優しさも、高津戸の歌声には以前備わってる
劣化なんて一切してない
高津戸の口から結成20周年、並びに久々にフルアルバム(「flowers」)がリリースされることを告知されると、懐かしいどころかDirty Old Men時代にリリースされた「呼吸」と初めて見た頃を思い出す曲が続く
正直、聞くようになったのはMAGIC OF LiFEの頃から
したがって、音楽性が変化したかどうかは分かりにくいのだけど、コロナも意識することなく、楽しく合唱していた日々のことは思い出せる
あの頃には戻れない
でもあの頃に、可能な限り近づけることは可能だ
高津戸が発した、
「止まらずに進め!!」
とは無論、弱虫ペダル主題歌だった「栄光への一秒」のことを指す
主題歌として起用されていた当時を思い出す少年少女もいるが、渡辺(Ba.)のはしゃぎっぷりは今も少年のよう
、容姿通りのパワードラミングとテクニカルなビートを刻む岡田(Dr.)からなるリズム隊も盤石だ
しかし、あの時はMAGIC OF LiFEが、どんどんアニメに寄り添うバンドになるとは思わなかった
今はアニメ主題歌を邦楽ロックバンドが担うのは普通
でもLiSAがロックヒロインとしてシーンを繋ぐ役目を担うまで、アニメ主題歌はアニソンバンド(主にランティス)のイメージだった
だからMAGIC OF LiFEがそっちにシフトし始めた頃、少し不安を抱いた
シーンからかけ離れるのでは?と危惧したから
でもそれは自分の思い込み
今もMAGIC OF LiFEはロックシーンで戦っている
高津戸は結成20周年について改めて言及しつつ、
「ファンタジーの世界に逃げ込みたくなる事もあった。こんな日もあるかと思うこともあった。でもバンド続けられるのはみんなが支えたくれたから。20年前にバンドを続けた時に抱いた夢をまだ追いかけることが出来ています。」
と振り返る
多分、今MAGIC OF LiFEはほとんどの音楽メディアでは見られない
3大音楽雑誌にもほとんど載らない以上、このフェス来なければ今なお活動していることを知らない人も多い
でも改名後、バンドは色んな作品と関わり、そこで接点を持つようになってくれた方もいる
沢山の出会いが、MAGIC OF LiFEを20年動かしてくれたのだ
そうして長年、支えてくれたファンに、
「他人と比べなくていい。君は大丈夫だ!!」
と全肯定するのは「応援歌」
分かりにくい表現を用いることもなくストレート
目の前にいる1人1人を肯定する歌
バンドを続けるのは簡単じゃない
でも色んな支えが、バンドを20年へと導いた
ならばバンドからの恩返しは、参加者を肯定すること
あなたが踏み出す一歩を与えるのが最大の恩返し
バンドが踏み出すための一歩
そして最後は、バンドをここまで続ける原動力になったであろう「弱虫な炎」
自分は弱虫ペダルをほぼ知らない
しかし、弱虫ペダルといえば真っ先にこの「弱虫な炎」が浮かぶ
「弱虫な炎」が弱虫ペダルを通じて、多くの人をMAGIC OF LiFEに結びつけたのだ
まだまだ旅は続く
それは弱虫な炎が燃え続けるということ
セトリ
SC.線香花火
箒星の余韻
呼吸
栄光への一秒
応援歌
弱虫な炎
・四星球[ムロ海エリア RIGHT STAGE(13:00~)
・バックドロップシンデレラ[ムロ海エリア LEFT STAGE](13:55~)
その四星球に準備中、豊島(Gt.)がちょっかいをかけられてしまったバクシンことバックドロップシンデレラ
キャリアは四星球が上だけど、ムロフェスには関わっている回数は四星球以上
いつものように「およげたい焼きくん」をウンザ仕様に改造したSEで豊島、鬼ヶ島(Dr.)、アサヒ(Ba.)と登場し、跳躍力がテレビで取り上げられたこともあるあゆみ(Vo.)が最後に現れるが、そのあゆみは「台湾フォーチュン」で早速客席に突入
ダイブが禁止されてないフェスでバクシンを見たことはなく、恐らくこれが制限のないバクシンだと思われるが、あゆみは実質逆立ちのような状態で歌う驚異的な身体能力を魅せる
ちなみに、「SASUKEに出るべき」という声もあったが、跳躍力は良くても、他が足りてないらしい
恒例の「ウンザウンザ」シリーズを切った「本気で〜」は、巨大サークルが出現
海の近くで巨大なサークルを生み出す風景なんて、そう見られないから美しくもあるけど、更にダイバーまで出現する客席のアグレッシブぶり
ウンザウンザはアドレナリンを活性化させる性能でもあるのだろうか(意味に触れてはならない)
バンドの風物詩「フェスだして」は言わずもがな、今回も大合唱
近くにいた初めて見た人は「ナニコレ…」と唖然
自分が初めて見た時もこんな感じ
致し方ないとは思うが、
「これを歌い続けてから、色んなフェスに出させてもらってますが、「フェスだして」出す前から出してもらっているフェスがある。それがムロフェス!!」
とムロフェスは、バクシンを「フェスだして」が生まれる前からブッキングしてくれたようだ
「ライブハウスもフェスシーンを盛り上げようとしてくれている!!」
は池袋Adamsの店長でもある豊島が告げると、説得力も高い
フェス出演を祈願するヘドバンも行わせ、一向に曲がバズらないことも自虐する「バズらせない天才」で鬼のように強いリズムを発揮した後、「月明かり〜」で今度はあゆみがステージとステージの間にある柱に登ると、
「毎年場所が変わるフェスはこれ以外見たことありません(笑)」
とまるで地方巡業のように、開催地が移動しまくっているムロフェスを弄るも、
「でもそれはムロさん達、クレストの方々がくいつくばってでも開催しているってことだよね。そして今年は野外。開催出来てよかったね!!」
と何年もこのフェスに出ているから、毎年苦労しているムロさんを労う
各地のフェスに出る前から出させてもらっているフェス
ムロさんはバクシンにとって、戦友のようなものだ
ラスト、「さらば青春のパンク」ではあゆみが客席に突入したかと思いきや、ステージでは飛びまくったりとやはり驚異的な体力を発揮
何度かバクシンのライブは見てきたが、今回が1番感動した
セトリ
台湾フォーチュン
本気でウンザウンザを踊る
フェスだして
バズらせない天才
月明かりウンザウンザを踊る
さらば青春のパンク
・Dizzy Sunfist[ムロ海エリア RIGHT STAGE](14:25~)
元がパンクロックの四星球から自然にラウドパンクの流れになっており、Dizzy Sunfistも当然パンク
しかし自分が見るのはWANIMAがシーンに出てきた時のツアーで見て以来
あの時は音が強烈過ぎて、耳を必死に塞いだ記憶がある
なのでベースが昨年、メイ子(Ba.)に変わったものの、ライブをほとんど見てないので違いは分からないが、1発目の「No Answer」からこの日1番の爆音を出しているのは分かる
続く「Life is A Suspence」もハチマキを巻いているmoAi(Dr.)のビートが緊迫ありすぎて、本当にサスペンスのようになっているが、Dizzy Sunfistはどんなにハードな曲でもあやぺた(Vo. & Gt.)のメロディーセンスによって、どれもキャッチーに昇華される
「Andy」はそのあやぺたのメロディーセンスが光っているし、バンド初の日本語詞となった「そばにいてよ」で「あやぺたって、歌上手いな〜」と思う
なんで自分は8年もライブを見なかったのだろうか
しかしあやぺたといえば、時折意味不明なことを言い出す傾向があり、
あやぺた「こんな暑い日にこそ、もっと熱くならないと!!あつぽよ〜!!」
観客「あつぽよ〜!!」
と謎のワードをこの日も発明
まるでスイーツのような名前だが、このあやぺたこそ、UVERworldの彰の奥さんであることを忘れてはならない
「あの憧れていた人達(Hi-STANDARD?)みたいに、私達もあなたのPUNK ROCK PRINCESSになる!!」
と宣言し、あなたにとってのパンクロックの象徴になることを宣言する「PUNK ROCK PRINCESS」、
「夢は死なへん!!」
が代名詞な「The Dream Is Not Dead」と当たり前ながらダイバーが次々に発生
昔なら自分も前に突っ込んだが、今はそうしない
でもじっと出来ず、拳は勢いよく上がる
Dizzy Sunfistのパンクロックは心を解放させる
これもまた、パンクロック
ある意味フェスによく合うラテンのテイストを入れた「Tonight, Tonight, Tonight」で踊らせた後、最後は流れ星の如く良質なメロディーの嵐を降らせる「SHOOTING STAR」
WANIMAのツアーゲストで見た際、あまりの爆音ぶりで自分はDizzy Sunfistをかなりの間、敬遠してしまった
あれから相当時間は経過した
かつて騒音に聞こえたメロディックパンクは今、心地の良いメロディックパンクとして耳元に流れ星として注がれた
セトリ
No Answer
Life is A Suspence
Andy
そばにいてよ
PUNK ROCK PRINCESS
The Dream Is Not Dead
Tonight, Tonight, Tonight
SHOOTING STAR
・ラックライフ[ムロ海エリア LEFT STAGE](14:55~)
Dizzy Sunfistに続いてこちらもご無沙汰なラックライフ
見るのは7年ぶりとなる
時間になると、PON(Vo. & Gt.)はバンドが結成15周年を迎えたこと、並びに11月にZeppワンマンを控えていることに言及し、
「言うべきことは言ったぞ!!」
と伝達したいことを全て報告し終えたところで、リリースされたばかりのベストアルバムから一体感を出す「ファンファーレ」から開始
ランティスに所属しているがゆえ、「これ何のアニメのタイアップ?」と気にしてしまうが、こちらにタイアップは無い
nano.RIPEにかつてfhánaも在籍したランティス所属
「なんでアニソンバンドがここに?」と初参加者で抱く方もいるだろうけど、ラックライフはこのフェスの常連
加えて「リフレイン」はお互いに技をぶつけ合うようなシーンを想像させるように、大石(Dr.)はドラミングし、ikomaの鳴らすギターソロもブルージー
もちろん、たく(Ba.)のベースも太くグルーヴィーでPONの歌唱は歌謡曲の影響を受けつつも、自身なりに昇華している印象
つまりはアニソンバンドではなく、ロックバンド
だがPONはどうも奇行に出ようとするクセがあり、滑った後には、
「船に手を振れ!!」
と言って、最初参加者はポカーンとするも、後に本当にやり始め、
「なんで本当にやるんだよ(笑)」
と暴走制圧に(笑)
この一連の流れを、次に出演する忘れらんねえよの柴田は笑っていた
「「ムロフェス出たいです」と伝えて、「まずは前夜祭からだね」って前夜祭に出させてもらったけど、途中でRhythmic Toy Worldのうっちー(内田)と抜けて、先輩バンドの悪口言ってた(笑)」
とリズミックの内田もしれっと巻き込むような思い出話をしたあと、演奏されるのはバンドの最新形である「軌跡」
文豪ストレイドッグスの主題歌だから、当然メロディーは良いものになっているけど、何年もアニメタイアップを手掛けるのは簡単じゃない
ずっと王道のメロディーを作らなければならないのだから
曲中には名曲、「名前を呼ぶよ」を彷彿させる歌詞も出てくるが、
「あなたと出会えた。それが俺らの軌跡」
とバンドにとって大切なのはあなたと出会えたこと
それがなければ、バンドは続かない
そして最後はベストアルバムのラスト、即ちバンドが最も伝えた曲に選ばれ、
「届けよう心を 信じようこの気持ちを
僕じゃなければ掴めないもの
僕らの今が 光になるよう」
とバンドの信念が籠もった「Hand」
PONは終盤、
「四星球の人(北島)も言ってたけど、戻ってくるアーティストのためにこの場所を守りましょう!!」
とムロフェス常連として、このフェスを守り抜くことを口にした
大阪出身のバンドではあるが、実は彼ら
横浜にあるBASISとも繋がりが深いバンド
機会があれば、そのBASISでラックライフを見てみたいなと思うようになった
「らしく」聞きたかったなあ
セトリ
SC.Naru
ファンファーレ
リフレイン
軌跡
Hand
・忘れらんねえよ[ムロ海エリア RIGHT STAGE](15:25~)
ラックライフが終わるとすぐさま、リハを始めるも時間の関係上、「忘れらんねえよ」を途中で中断せざるを得なかった忘れらんねえよ
この日のサポートは、安田(Gt.)とダイチ(Dr.)に加え、ベースは小堀とほぼ爆弾ジョニー
ちなみにイガラシが在籍するヒトリエは翌日の出演
横浜ということでサザンオールスターズの「LOVE AFFAIR〜」をSEに登場するが、恒例のコールアンドレスポンスは、
「みんなムロさんの名前知らないでしょ(笑)」
と柴田のご尤もな指摘から、
「ムロ!」
「ツヨシ!」
と勝手にムロさんの本名を使ってレスポンス(笑)
そのレスポンスを終えると、忘れ屈指の名曲「犬になって」から
忘れは翌日、CLUB CITTA'でツレ伝フェスを控えており、BIGMAMAやLEGO BIG MORLと翌日の出演アーティストもいる
だからか、安田のギターはやけに大きかった
今でもたまにサポートするタナカヒロキがいる影響も少なからずあったのでは?
フラワーカンパニーズから伝授されたヨサホイ節(正確には「真冬の盆踊り」の合いの手)を皮切りに始める「ばかばっか」は、久々に柴田が客席に突入するのを見たが、この日のビール職人はムロさん
ムロさんの元に送り届けてもらい、イッキ飲みも決めたあとはスムーズに演奏に戻るけれども、忘れのライブといえばやっぱりこれ
かつて、キュウソネコカミのセイヤとアルバムの特典で対談した際にも、
「「ばかばっか」は、外せない」
と話していた
このパフォーマンスが復活したのはとても嬉しい
持ち時間が短いのもあって、すぐに「Cから始まるABC」も行われるが、
「俺明日、CLUB CITTA'でイベントあるんだけど、日程の調整上ムロフェスと被っちゃったのよ。でもムロさんは、「じゃあ初日なら出れるね。」って。ムロさん、バンドマンに優しすぎ!!」
とムロさんへの愛は止まらない
しかもムロフェスとツレ伝はコラボしており、ムロフェス参加時に渡されるリストバンドを持っていくとコラボグッズが貰える仕様
日程が重複してしまったのに、コラボまでするムロさんあまりに優しすぎる
だから今日の「アイラブ言う」の相手はムロさんに向けてだろう
こんなにもバンドマンに優しい人間だから
バンドマンを代表して、熱い愛を届けた
そして最後はお馴染み、「この高鳴りを何と呼ぶ」だが、イントロから手拍子をする客に向けて、
「これが普通じゃないと思っている」
と敬意を払った
柴田はコンプレックスを抱えて今まで駆け抜けてきた人間
こうした手拍子を貰えるありがたさをよく理解している
だから翌日開催されたツレ伝フェスに、沢山の仲間が集まった
1人になっても活動できるのは沢山の支えがあるから
当たり前が当たり前ではないこと
柴田は特に理解しているから、ツレ伝フェスの後に発表されたZepp Shijukuワンマンはなるべく行こうと思った
セトリ
SC①バンドやろうぜ
SC②忘れらんねえよ
SE.LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜(サザンオールスターズ)
犬になって
ばかばっか
Cから始まるABC
アイラブ言う
この高鳴りを何と呼ぶ
・GRAND FAMILY ORCHESTRA[ムロ海エリア LEFT STAGE](15:55~)
今年に入ってから自分はYouTubeを通して、まだ世間に知られていないアーティストに触れる機会がとても多くなった
自分がライブや友人を通じてしった、chef'sやmollyは8/1に行われるムロフェス後夜祭に出演することになっているが、このフェスに赴かない限り、知らなかったアーティストもいる
その1組目はGRAND FAMILY ORCHESTRA
メンバーは松山(Vo.)、ピクミン(Dr.)、なかむら(Ba.)という3人編成だが、実際はサポートを入れて5人で活動している
軽くリハを行って最初に「ラバーソウル」が演奏されるが、自分は近年の音源を軽く聞いてとても「ポップ」な印象を抱いた
ポップであることは間違いない
しかし、そこにダンスビートやパンクの影響もあり、実際にはロックの影響が強いことを最初で匂わせた
ラテンミュージックとJ-ROCKを絶妙にドッキングし、天気だけで心も晴天模様とする「オー晴レルヤ!」と初見でも分かりやすそうな曲で踊らせるが、忘れのライブを見ていただろう松山は、
「俺は25分であんなに、上手くまとめる事できないから曲をやり続ける」
と柴田のようになれない(そもそも柴田は漫画を非常に好み、アルバムの特典に付属したおすすめ本レビューはものすごく分かりやすかった)ことから、曲を連打することを連続
リハでも演奏されていた、会場を南国の雰囲気に塗り替えていく「リンディドン」でよりハッピーにさせるが、その直後には予告もなく新曲
初めて見たので、特徴はあまり覚えられなかったが、良質なメロディーの一方で、
「夏が終わる」
とまだ中盤にも差し掛かってない夏が終わる切なさを感じさせるような曲だった
そのうちリリースはされるだろうが、解禁されたら即座に多くの人へシェアする
更にエモの権化と称してもいいだろう「黄金になる」で松山は、客席に突入
パンクの影響を持つイメージは無かった
自分が思っていた以上にパンクの影響を受けているバンドだったらしい
「最後に1番踊れる曲を」
とハードロックとブルースを融合させた「TAXI」
音源でイメージしていたポップなイメージは仮初め
実際は想像できないほど、パンクなアンサンブルを鳴らすバンドだった
何故売れないのか、不思議でならなかったけど
ちなみに後にわかったことだが、ギターはHaKUのヒロシゲが担当していたとのこと
まさかここで彼を見るとは…
セトリ
SC①リンディドン
ラバーソウル
オー晴レルヤ!
リンディドン
新曲
黄金になる
TAXI
・KAKASHI[広場ステージ](16:45~)
日本工学院とのコラボの一環で設けられたこのステージは、無料ステージとなっており、フェスに参加していない人間でも参加できる
つまりはフェス参加者以外にもアピール絶好の場となっており、既に出演したロマンスアンドロマンスに続いてこの日2組目の出演はKAKASHI
先月ギターの斎藤が脱退することが発表されたばかり
本番前に時間いっぱいまでリハを行い、堀越(Vo. & Gt,)達は履けることはせず、
「群馬から来ました、KAKASHIです!!」
といきなりバンドを象徴する「本当の事」からスタート
KAKASHIが出演するステージはムロ海エリアとムロレンガエリアのタイムテーブルとは独立した時間になっており、いつ移動されてもおかしくないようなステージ
それにも関わらず最初から代表曲をぶちかますのは、KAKASHIは「いつか終りが来ること」を最初から自覚しているバンド
演奏中に何かアクシデントが起こって、演奏できなくなるかもしれない
だから出し惜しみは一切しない
唐突に発売が発表された最新アルバムの先行シングルとなった「やめろよ」、ジャパネク出演時に会場で購入したのが懐かしい「グッドバイ」とKAKASHIの音楽性はSUPER BEAVERに近いものがある
故にリズムは強く、斎藤の美メロがバンドを形成するパーツとなっていた
なので斎藤が離脱すると聞いて、「今後どうなるの…?」と急には受け入れられなかった
もう次は見えているのだろうか(ちなみに斎藤の脱退はライブで一切触れられず)
このステージには参加者も、通りすがりの通行人も閲覧できる故、KAKASHIを初めて見る人は半々
KAKASHIを見るためだけに来た方もいると思うが、
「来年もここでムロフェスやるために、ちゃんとゴミは拾いましょう」
と堀越は赤レンガ倉庫でのムロフェスが、今年限りにならないように訴える
自分は地元住民ながら、赤レンガ倉庫にはほとんど足を運んでない
だからこの日、足を運んで「こんなにもフェスに向いているのか!!」とJAPAN JAMが移設してきた時のことを思い出した
でも継続させるには、近隣住民に迷惑をかけないのが大事
堀越の言っていることは当たり前
その当たり前を守ることが、来年もムロフェスを赤レンガで開催出来ることに繋がる
「このライブがクレストの入口になるかもしれない、そう思ってライブをやっています。」
とO-Crestへ客を導くライブになるかもしれないことを悟り、会場限定アルバムのリード曲、言葉数の多い「エターナルフォースブリザード」を猛スピードで行い、「ドブネズミ」、「Set me free」と新旧とファストナンバーを連発
ファストナンバーの連打は、ライブハウスの熱気を思い起こさせるものがある
「ありきたりのことだけど、未来は変えるもの。そう思っています」
と話したものの、直後に
「結局変わらないじゃないか」
と「違うんじゃないか」の冒頭を歌う堀越
「すぐ否定するの?」と困惑する人もいただろうが、
「そう、何もしないと未来は変わらない。でも自分の手で変えることが出来る。そう考えています。」
と改めて伝えることで説得力をもたせる
変わるのを待つんじゃない
自分から変えていくんだと
そして最後は「ドラマチック」の合唱が広がっていくが、ホールどころかアリーナでもKAKASHIの音楽はマッチングすると考えている
この無料ステージを通して、群馬が生んだKAKASHIの魅力が伝わってくれれば幸いである
セトリ
SC①変わらないもの
SC②花火
本当の事
やめろよ
グッドバイ
エターナルフォースブリザード
ドブネズミ
Set me free
違うんじゃないか
ドラマチック
・AJISAI[ムロ海エリア RIGHT STAGE](17:25~)
GRAND FAMILY ORCHESTRAと同じく、ムロフェスに参加しなければ出会わなかったアーティスト2組目
というよりほぼムロフェスにしか出演しないバンドなので、お目にかかる方が珍しい
何故ならこのAJISAIは一度活動停止し、ムロフェスで再度シーンに戻ってきたバンドだから
なので、自分は音源をほとんど知らない
むしろこのフェスに長年参加されている方の方が詳しいのが確実だが、オープニングの「リメンバー」を聞くと「キャッチーで普通に良い曲」と自分は思った
松本の歌い方が好き嫌いが別れるだろう
癖のある歌い方だから
でも曲は非常にJ-POPや歌謡曲に寄っており、とても親しみやすい
なんなら今からリバイバルでもおかしくないくらい
現実社会に疲れたサラリーマンを主人公とした「サイハテトレイン」、ファンキーでダンサブルな「送信エラー」、ど直球な「片道急行」と初見なので、自分に思い入れのある曲はない
そうして思い入れのある曲がないから、「なんでこうした曲が埋もれたんだ…?」と首をかしげる
今でも昔でも、シーンに食い込んでいいと思う曲ばかり
名曲はどんなに年月が経過しても、色んな世代に届くのだろう
最後に演奏された「ハロー」は、再会を祈って演奏されたもの
当時を懐かしんだもの、「こんなアーティストがいたのか!?」と驚いた方々
反応ははっきり別れただろうが、来年以降このフェスで再会したいアーティストは確実に増えた
セトリ
リメンバー
サイハテトレイン
送信エラー
片道急行
ハロー
・ストレイテナー[ムロ海エリア LEFT STAGE](17:55~)
BIGMAMAの後、ムロ海エリアには今やアリーナでワンマンするNovelbrightが出演した
今やアリーナでライブするバンド故、若手アーティストには憧れのバンドに見えたと思うが、この日の出演者でストレイテナーはきっと最年長
去年出演したりと、ムロフェスに馴染み深い顔となっている
「STNR Rock and Role」をSEに登場した後、ROLANDのような髪型のシンペイ(Dr.)は刺青がはっきり認識できる格好でOJ(Gt.)はいかにも海にいそうな叔父さん、サングラスを着用しているが怖くはないひなっち(Ba.)と1人1人、キャラ立ちはしているが、普段からワンマンに足を運ぶ者としては、ホリエ(Vo. & Gt. & Key.)の真っ赤なTシャツが気になる所存
持ち時間がか25分しかないので鍵盤は設置されず、もうエンドロールが流れた気分になる「DAY TO DAY 」で幕を開ける事になるが、ただでさえ若手のアーティストを多く見てきたので、ひなっちのベースの太さも、一打一打が強いシンペイのビートは特にダイナミック
別に勝負をしている訳ではないが、あまりにも風格が出ている
長年積み上がってきたアンサンブルが
普段ならクライマックスを彩る「シーグラス」を序盤に演奏するのはワンマンでもほとんど無い
「「シーグラス」スタートあったけ?」と回想しても記憶に無いけど、海の近くで「シーグラス」を聞くのはきっとJAPAN JAM BEACH以来
まだ夏は終わらない
けれども、海岸で聞くことはそう無いからいつまでも覚えていたい風景
シンペイのパワフルなビートに、OJのシューゲイジーなギターが重なる「叫ぶ星」、この短い持ち時間で聞けるのが意外な「原色」と先日まで行われたベストアルバムのリクエストを反映したようなセトリ
OJ加入どころか、2014年以降の曲が特に続いているのだが、
「こんなシャレオツな時間に出させていただいて、ありがとうございます!」
と話すホリエは、本当に20年以上もバンドを続けているのか、疑われても反論できないだろう(笑)
若干ナウいな言葉遣いだし(笑)
とはいえ、テナーは今やシーンのレジェンド
「今日はストレイテナーがデビューした後に生まれた子がやっているバンドもいて、「昔聞いてました!」って縁が生まれる。こういうのも悪くないなと思います」
とホリエが話すように、テナーデビュー後に生まれた子たちで結成したバンドもいる
青春時代を共にした若きバンドが、レジェンドと対面する
それはとても素晴らしい出来事だろう
そうやって音楽は繋がるのだから
そんな若きバンドマンも青春時代に聞き込んだであろう「Melodic Storm」が、この日のラスト
近年は聞けなかった、あの合唱がまた聞ける
既にチケットを所持ている10月、3度目の武道館ワンマンへの期待はより膨らんだ
セトリ
DAY TO DAY
シーグラス
叫ぶ星
原色
Melodic Storm
・osage[O-Crest STAGE](18:35~)
「これステージなのか?」
一目見た瞬間、そう思ってしまったのはこのO-Crestステージが自治体のお祭りで用意される、簡易ステージのようだったからである(実際のO-Crestと、あまりに差がありすぎる)
無料ステージが故、仕方ないところもあるが、O-Crest ステージに出演するOsageはワルキューレのツアーさえ被らなければ、普通にツアー参加したほど注目しているバンドだ
とはいえ、どう見ても急造ステージ
リハは全く音が聞こえなかったが、本番で「世明けの唄」を始めると、田中(Dr.)のビートは明らかにパンク仕込
この裏ではHump Backのピンチヒッターでkoboreが出演していたが、そちらもパンク
同じ時間にパンクが四方八方からなる凄い状況に
ジャキジャキとギターロックの基本を金廣(Gt.)が弾きつつ、クサマ(Ba.)のベースラインはゴリッゴリな「セトモノ」を続けたあと、
「日本で1番大きいライブハウスへようこそ」
と宣言する山口(Vo. & Gt.)
周囲から見れば、広っぱにしか見えなくとも、山口には大きなライブハウスに見える
彼からすれば、ライブできる場所は全てライブハウスなのかもしれない
その言葉、かつてSUPER BEAVERの渋谷龍太が
「どんな場所でも、持ち時間が何分だろうがやることは変わらない」
に通ずるものがある
J-POP特有のノスタルジックなメロディを用いた「青かった。」、田中の細かいビートが際立つ「Letter」とOsageの音楽性は歌謡曲、ギターロック、パンクを見事に中和させたもの
しかも彼らの所属はsumikaやSUPER BEAVERが在籍するeggman
eggmanはとんでもない若き才能を世に放っていたのである
更に、
「ブランニュージャパニーズポップミュージック」
と渋谷龍太の自己紹介をリスペクトしたような前説から始まった「フロイト」で、山口はギターを置き、ゆっくりとステージを動く
ロックだけでなく、ヒップホップも手の内にする
それが、ブランニュージャパニーズポップミュージック
「どうせ前を向いていくしか無いんです。今日の夕焼けと共に聞いた音楽を思い出して、またライブハウスに持ってきてくれたら」
と告げる山口はとても大人びており、まだ活動5年近くのバンドとは思えない
ポジティブに捉えるなら、今後のシーンを担う予感がプンプンする
きっと次のシーンはOsageが担うはず
ラストナンバーの「ウーロンハイと春に」を聞いて、そう確信した
だから、いつかワンマンに行きたいと思っている
十年後も二十年後もなんでもない話をしたいから
セトリ
SC.Sonic blue
世明けの唄
セトモノ
青かった。
Letter
フロイト
ウーロンハイと春に
・the quiet room[ムロ赤レンガエリア LEFT STAGE](19:15~)
そんなOsageの先輩、クワルーがムロレンガエリア、Left Stageのトリ
ロッキンオンの海津亮が「失恋バンドの源流」と話していたが、今日出演した失恋バンドはやはりクワルーの影響を受けているのだろうか
CHERRY NADE 169のぴのりをサポートドラムに迎えるのは、CDJと変わらず、フェスの多幸感を更に引き上げる「Fressy」で始まるのもCDJと共通
音源ではストレートなギターロックだが、いざライブになるとパンクっぽくなるのがクワルーの特徴
それだけ前田(Ba.)とぴのりのグルーヴが強固ということだ
ただCDJと異なるのは、その前田とぴのりのリズムをフューチャーした「(168)日のサマー」がセトリに入っていること
コロナ禍前からクワルーはフェスセトリをがっつり固めている傾向があり、恐らく誰にでも入りやすい構成にしているように見えた
でも今年、ようやく発声が解禁された
「(168)日のサマー」の合いの手を叫ぶのは今後、クワルーのライブの風物詩になるのかもしれない
更に代表曲「Instant Girl」では、菊池(Vo. & Gt.)が客席前方へ接近
ロッキンオンのフェスでしか、彼らを見てこず、そもそも客席に入るイメージもないので「こんなアクティブな面あるんだ(笑)」となる王道のギターロックに影響を受けた、斎藤(Gt.)の細かい音色は、この日の出演者の中では唯一無二のもの
一方、慣れないのはフェスの終りが近づく頃に「パレードは終わりさ」を聞くこと
いつもライブの終わり、それぞれの日々に戻っていくように演奏されていたものの、フェスの終演が近づく際に演奏されると寂しさが込み上げる
テーマパークの夜パレードを見ているほどではない
その寂しさを埋めてくるのが久々の合唱
すっかり忘れていた
「パレード〜」には、合唱があることを
エモい瞬間があることを
そんな中、最後に演奏されたのはチルサウンドのような音色を鳴らしながら、最後は轟音が炸裂する「グレイトエスケイプ」
これまでとセトリが変わり、大いに驚いたがこれはクワルーの次なる進化への予兆だろうか?
パンキッシュでありながら、大人びたクワルーを見ていた
セトリ
SC.平成ナイトコウル
Fressy
(168)日のサマー
instant girl
パレードは終わりさ
グレイトエスケイプ
・Atomic Skipper[ムロ赤レンガエリアRIGHT STAGE](19:45~)
そんなクワルーのライブの後、「待ってました!!」と言わんばかりに、曲を連発したのはムロレンガエリア、最後のアーティストとなるAtomic Skipper
5月にリリースされた「Orbital」があまりにも良く、この日の出演者で1番気になっていたバンド
時間になると、
「静岡県浜松市から来ました、Atomic Skipper始めるで!!」
と中野(Vo.)が宣言し、「確実に大合唱になるな!」と音源を聞いた時から思っていた「ロックバンドなら」で、早くも合唱が起こるが同時にダイバーも一気に流れてくる
そもそもAtomic Skipperはギターの神門が作詞作曲し、中野はピンボーカルというSUPER BEAVER方式を取っている
故に音源もSUPER BEAVERを彷彿させ、「女性版SUPER BEAVER?」なんて思ってしまったが、ビーバーのライブでダイバーは見たことがない
エモどころか、パンクが根底にあるバンドのようだ
だからか最年少、松本(Dr.)のドラムはパワフルだし、パンキッシュな「メイビー」も合唱やダイバーだらけ
あまりにも常識の上を行くようなパフォーマンスに驚いている
「幸福論」の最中、神門は柱に登って弾こうとするも弾けないことが判明する恥ずかしい瞬間を見せてしまったが(笑)
「ここ、良いステージですね!夢が積まれたレンガに覆われているみたいで!」
と中野はムロレンガのステージのロケーションを絶賛する一方、久々にムロフェスが野外で開催されていることから、
「今日はライブハウス編の集大成。本気が問われている」
と並々ならぬ覚悟
ここで、満点回答を出さなければならないと自覚しているかのように
その覚悟を示したと言っても過言ではない「ウォールフラワー」には、
「探していたんだ僕らは
君を優しく包みこんで
悲しみだけ掬って君を守れる歌」
というフレーズが出てくる
Atomic Skipperの音楽は、貴方を守るためにある
シンガロング出来る楽しい曲ももちろんある
でも本質はあなたのためのもの
傷ついたあなたを救うための音楽
そして出発の時が近づいていることを宣告する「ココロ」で、なんと中野が客席に突入してきた
昔SUPER BEAVERの渋谷も客席にダイブすることはあった
でも、今客席に突入するバンドといえばハルカミライの橋本学
SUPER BEAVERに影響を受けた音楽をやりつつも、ライブはハルカミライのよう
どうやらAtomic Skipperは、SUPER BEAVERとハルカミライの融合体のようだ
そして客席に突入したまま、
「星降る夜の中
何を願えば 君は笑うの
星降る夜の中 素敵な歌が
君を待っている」
と「星降る夜」を歌い、シンガロングも起こす
屋外だから見られた景色
かつ、とんでもない逸材が多くの人に露見した瞬間だろう
気がつくと、神門まで客席に突入
久米(Ba.)もステージで暴れまくっていたりと、想像以上に暴れん坊だった
しかしアンコールで戻ってくると、「1998」で再び中野は客席へ
「どんだけアグレッシブなの!?」と驚愕してしまったが、時間一杯使い切るように「間に合ってます」までやっていった
衝撃度はこの日の出演者一
アルバムが良かったので、ツアー参加を検討していたが、これで参加を決定的にした
SUPER BEAVER、ハルカミライを吸収した次世代エモ
ここからきっと凄いことになる
それくらいに凄いライブをしていた
リハで、神門は
「来年は海の方でやりたい!!」
と話していた
来年も赤レンガ倉庫で開催され、出演できるならムロ海エリアで「ブルー•シー•ブルー」をやろう
そしてまた星降る夜にやろう
セトリ
SC①幻になって
SC②周回軌道列車
SC③ブルー•シー•ブルー
ロックバンドなら
メイビー
幸福論
ウォールフラワー
ココロ
星降る夜
(encore)
1998
間に合ってます
・Ivy to fraudulent game[RIGHT STAGE](20:25~)
衝撃といえば、忘れてはならないのが彼ら
初めてライブを見た際、
「良い音楽には称賛を‼つまらない音楽には中指を‼」
とボーカル寺口が言い放ったIvy to fraudulent gameが初日のトリを務める
昨年ギターが脱退した関係で、この日もサポートを加えた4人編成(現在、サポートギターをwebで公募中)
昨年リリースされた「Singgin' in the NOW」より「オートクチュール」でスタートするが、シーンに出てきた時よりはかなり分かりやすくなった
当時はシューゲイザールーツの爆音にポストロックを混ぜたりと、シーンに出てきた際は「なんなんだ、彼らは…」と感想を抱くような超新星
前述した寺口の言動もあって、「化物」
そう形容せざるを得なかったから、ポップにシフトするとは予想もしなかった行動である
その変化は、次の「blue blue blue」に出てくる
「奇を衒い過ぎて
普通になった」
がそっくり当てはまるが、カワイのベースはどんどんゴリッゴリになっていき、寺島がイントロで不敵に笑った「青写真」でアンサンブルは一気に爆発
昔からIvyを知るものだから、「Ivyはやっぱりこれだよ!!」となるし、こんなにもオルタナ•シューゲイザーに寄せた曲を手かげているのはドラムの福島
Ivyの才能は、他のアーティストと一線を画している
トリということで、寺島は興奮していたが、
「このフェスと付き合い長い人がいるから「守り抜く」とは言えないけど」
と謙遜気味
この直前には、ムロフェスの看板というべきアルカラがライブしていたし、GOOD ON THE REELやラックライフもムロフェスを代表するバンド
だから簡単に、「守り抜く」なんて言えない
しかし、
「好きなものは愛します」
と言ったように、Ivyのルーツであるオルタナ•シューゲイザーへの愛は変わらない
夜の野外、それもデートの聖地と言われているらしい、赤レンガ倉庫で超轟音が鳴る
それは爆音を愛していることの偽りなき、証明となる
そんな好きな音楽への敬意は、ポストロックのようなアプローチが込められた「故郷」にも現れるが、メンバーが育った街を
「地味な街」
なんて表現しつつも、その地味な街に生まれたから、今こうしてステージに立っているし、バンドを出来る幸せを噛み締めている
愛するのは音楽だけではない
生まれ育った街も、出会った人達もだ
とはいえ、トリでもムロフェスは持ち時間が少ない
故にあっという間にラストを迎えてしまうが、
「去年1人抜けたけど、見ている人は見てくれている」
の通り、電撃的なギタリストもあったが、それでもシーンはIvyを切り捨ててない
音楽リスナーも音楽シーンもIvyを今も見守り続けている
去年の出来事があったので、あまりにも説得力ある一言だ
その説得力ある一言を経て、最後はやはり
「生きる為生きていたってさ
いつかは死んでしまうから
あらゆる不安や畏怖の意味の無さに
笑ってみせるがいい」
とIvyなりの死生観、襲い来るネガティブな事案に笑って向き合えと伝えるような「Memento Mori」
喪失を乗り越えたバンドだからこそ、「Memento Mori」の歌詞もより染みてきた
でも更に感動したのはアンコール、観客の「ありがとう!」に、
寺口「こっちがありがとうだよ!!」
と即座に反応したが、その言動は感情的
3人になってもIvyを見捨てずにいてくれたファンには感謝しきれないからだろう
昔の寺口はほぼ狂犬だった
初めて見たときのパフォーマンスは、今とはあまりに異なりすぎるから
怖いもの知らずの若者
そんな印象だったけど、今寺口はこうして素直に感謝できる人間に生まれ変わった
あの頃を知るものほど、グッとなった名場面
「俺たちがあなたのバンドです!!」
と寺口が伝えたあと、再び「オートクチュール」を演奏したが、その際、寺口は客席に突入して歌っていた
きっと感情が抑えられなくなったのだろう
その姿は、笑顔に満ちていたし
初めて見たときと今のIvyはあまりにも違う
けど人間らしくなったから、どんどんIvyへの愛が強くなってきた
最低な日々は完全に超え、そこにあったのは確かな今だった
セトリ
SC. Oh, My Graph
オートクチュール
blue blue blue
青写真
故郷
Memento Mori
(encore)
オートクチュール
他のフェスと比較すると、あまりにも持ち時間が少ないから、普段見ているアーティスト程「もっと時間があれば…」となってしまうだろう
けどこのフェスの意義、それは知らないアーティストを知ることにある
この日初めて見たGRAND FAMILY ORCHESTRAが思ったよりもパンクで驚き、Osageは次世代を担うと確信
中でもAtomic Skipperは「絶対追いかけないと!!」と思ってしまった程だ
自分のミスで2日目のチケットは取れなかったが、来年もこのフェスには足を運びたい所存
是非とも赤レンガ倉庫でお願いします