私は普段から、自分のことを何でも褒めたり、物事をできるだけプラスに考えるようにしています。
といっても、無理やりそう思い込もうとしているわけではありません。
今では自然と、そういう考え方ができるようになっています。
でも、もともとはそんなタイプではありませんでした。
人と自分を比べては、欠点ばかりが目についてしまい、劣等感にずいぶん悩まされてきました。
それがいつの間にか、少しずつ自然に、物事をプラスにとらえられるようになっていたのです。
そのきっかけは、父が亡くなったことでした。
父を亡くしたあとは、あまりの悲しさに毎日大泣きして、泣き暮らすような日々が続いていました。
何をしていても涙が止まらなくて、心に穴があいたどころではなく、どうやって日々を過ごしていたのかもよく思い出せないほど。
そんな生活が、1年ほど続いていたように思います。
そんな時、いつの間にか自然とこんなことを始めていました。
「お父さんだったら、今の私にどんな言葉をかけてくれるだろう?」
そう考えて、父の口調をまねしながら、独り言のように言葉を口にするようになったのです。
私の父は、とても優しくて、誰からも慕われるような人でした。
おおらかで細かいことにはとらわれず、いつもどっしり、ゆったり構えているような人。
冗談も好きで、私の前では本当に良い父の顔を見せてくれていました。
私が悩んでいたり困っていたりすると、何をしてでも助けてくれるような人でした。
でも、自分が興味のあることには後先考えずにすぐに飛びついてしまうところもあって、よくお金を損しては母に怒られていました(笑)。
そんな父のことが、私は大好きでした。
そんな父の口調をまねして、少しずつ自分に優しい言葉をかけるようになっていきました。
たとえば――
「お前は本当にすごいなぁ。ほんとにわしの子か?」
「お前は話がうまいなぁ。口から生まれたんじゃないのか?」
最初は、父を失った自分を慰めるための言葉でした。
でも、だんだんと日常のささいなことにも、「父ならきっとこう言ってくれる」と思いながら、自分で自分を褒める言葉をかけるようになっていったのです。
そうしているうちに、いつの間にかそれが「自分褒め」になっていました。
今では、自然と何かにつけて自分を褒めたり、マイナスなこともプラスに捉えられるようになっています。
たとえば、今ちょっと右下の歯に違和感があるのですが、そんな時でも――
「もしこの違和感がなかったら、歯磨きを後回しにしてたかも。
ちょっとした違和感があるおかげで、ちゃんと意識できてる。
ありがたいな」
こんなふうに、以前ならマイナスに感じていたことも、自然とプラスに受け止められるようになっています。
こうして前向きに物事を考えられるようになったのは、間違いなく父のおかげ。
父のまねをして自分にかけた言葉が、いつの間にか「自分の言葉」になっていました。
今では、父の口調ではなくても、自分自身で自分を褒められるようになっています。
お父さん、ありがとう。
もし、皆さんもつい自分を責めてしまったり、落ち込んだりする時があったら――
「大好きなあの人だったら、きっとこんなふうに励ましてくれるだろうな」
そんなふうに、誰かの言葉を思い出して、自分で自分にかけてあげてみてください。
最初はちょっとぎこちなくても大丈夫。
誰かのまねでも、優しい言葉を独り言で言っているうちに、自然と自分自身を褒められるようになっていきますよ。
どうか、オンリーワンなあなた自身を、これからも大切に、そして愛してあげてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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