A-330 パンパローニ作少女胸像
A-330 パンパローニ作少女胸像 H.42×W.30×D.21cm
プレゼント企画のことなんかで、色々と連絡を差し上げたり、発送したり・・・なんてしているうちに、あっという間に一週間以上経ってしまいました。
ということで久々に石膏像なんですが、今回はギリシャ彫刻ではなくて、もっと近代に近い1800年代に作られた作品についてです。いままで未確認だった由来が判明しましたので、それの報告です。
まずは、これはお詫びということになるんでしょうね~
長年の間・・・、本当に長い時間ということになります・・・
おそらく戦前から、すでにこの石膏像は日本の画材業界には流通していて、さらにその可愛らしい顔立ちから、とても人気の高かった商品なのです。
その当時から、どの石膏屋さん、どの画材屋さんでも「ドナテルロ少女胸像」と呼ばれていて、今日までずっとこの名前で呼ばれてきました。
当然、作者はルネッサンスの偉大な彫刻家ドナテルロであると考えるのが自然な流れですが、以前からたくさんの書物をあたっても、ドナテルロの作品群の中にはこの少女像は存在せず、??と思いつつ過ごしていたのです。
このブログをはじめて、まだ間もない頃の2009年8月に一度取り上げていたのですが、
→ 2009年8月の記事
この記事中でも、いまひとつ素性がよくわからない旨を書いています・・・。
さて、ということで最近のいろいろな勉強の成果で、この像の由来が判明いたしました。
作者は、ルイジ・パンパローニ(Luigi Pampaloni 1791~1847年)
フィレンツェで活躍した新古典主義時代に属する彫刻家です。
石膏の少女像のオリジナル彫刻は、
こんな全身像なんです。カノーヴァなんかを連想させる、流麗で美しい彫刻ですね~。
人気の高かった彫像のようで、何体かの複製バージョンが存在するようです。
私の両親が、フィレンツェのアカデミア美術館に展示されていたのを確認しております(その時のものは、素材が大理石ではなく、石膏製だったような・・・ということですが)。
さて、パンパローニさんについて・・・
じつは、Wikipedia内でもイタリア語バージョンにしか記述がありません。。。
イタリア語は全然分らないので、Google翻訳様にお願いしたら、ますます訳が分からなくなりました・・・
ですので断片的なところですが、少しだけ。
1791年にフィレンツェで生まれたパンパローニは、カッラーラ(ミケランジェロなども通った大理石の採石場の村)にあったアカデミーで、ロレンツォ・バルトリーニの弟子として修業時代を過ごしました(バルトリーニは、フィレンツェのアカデミア美術学校の教授でもあったため、アカデミア美術館にバルトリーニに捧げされた石膏像コレクションが収蔵されています)。
彼が活躍しはじめた1810年当時は、おりしもナポレオンによるイタリア支配の時代で、そのナポレオンに関連した肖像彫刻、墓碑などを多く手がけました。
19世紀初頭のイタリア半島というのは、18世紀末まで大きな勢力をもっていたオーストリア勢が、ナポレオンの隆盛とともに駆逐されてしまい、ローマを含む教皇領もフランスに併合され、ナポレオンは”イタリア王”を名乗り、君臨する
というような状況でした。
そんな時代ですから、当時の芸術家達は、当然時の為政者であるナポレオンを称揚するような作品を作らざるを得なかったわけです。
ちょっと、あんまり情報がないんだけど・・・
この男性像はナポレオンに関連したパンパローニ作品(いずれもパリの施設に収蔵)。
男性像は”Buste de Prince Napoleon Louis”(1830制作)と表記がありました。
それから、
Empoli - La collegiata di S. Andrea e la fontana del Pampaloni
こんな噴水とか・・・
それから、フィレンツェのドゥオモ(大聖堂)の向かい側にあるこの二人の肖像彫刻、
アルノルフォ・ディ・カンビオ像(1240~1302年 フィレンツェのドゥオモの最初の設計者)
ブルネレスキ像(1377~1446年 ドゥオモのあの丸屋根の大クーポラの設計者)
ブルネレスキは、ギベルティとともに、ドゥオモの”天国の門”のレリーフコンペで競ったことで有名ですね。
勝者はギベルティとなり、落ち目のブルネレスキはローマへと旅立ち、古代ローマ建築などを意欲的に吸収した後、この大クーポラで再び脚光を浴びることとなりました。
それから、ウフィッツィ美術館の壁面を飾る偉大な芸術家達の肖像彫刻の中の、
レオナルド・ダ・ヴィンチ像!
こちらもパンパローニさんの作品です。
以下、他の場所ではなかなかまとめ画像のない作家ですので、ここにペタペタと作品を貼らせていただきます。
Giusepp Bezzuoliの肖像 1847年
裸婦像
Busto di Giovanetto
そして最後にこちら、
冒頭の少女の全身像と同じ彫刻ですが、こちらはパリの美術館に収蔵されているもの。
「Jeune fille aux tourterelles(キジバトと少女)」というタイトルがついていて、Musee Jacquemart-Andre収蔵となっていました(この美術館知らない・・・)
今、ちょっと調べてみたら、パリ8区のエトワールに近い辺りにあって、ジャックマール・アンドレ美術館・・・ということです。
19世紀、ナポレオン三世の時代の大富豪アンドレさんと、その奥様ジャックマールさんの個人コレクションが、その邸宅跡に展示されている美術館だそうです。
なんでも、1867年の万博の際には、ナポレオン三世から直々にそのコレクションを展示するように依頼をもらうほどのコレクターだったようです。
ということで、長々と書いてきましたが、この石膏像に関しては、パンパローニ作であることが確実となりましたので、近いうちにネットショップ上などの表記も「パンパローニ作少女胸像」と改める予定です。
私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」では、今回の記事で取り上げたA-330 パンパローニ作少女胸像 を実際に購入していただくことが可能です。
「石膏像ドットコム」は、日本で唯一の石膏像専門の販売サイトです。
約500種の多様な商品ラインナップにてお客様のお越しをお待ちしております。
以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。