あそべるかぶきふりかえり4 | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

つづきです

6.お光新版歌祭文 野崎村
[元祖三角関係の悲劇のヒロイン。田舎育ちで決して派手さはないけど、家族思いの超いい子。許嫁久松の恋人だったお染が訪ねてきてもはっきりと嫉妬するが、最後は自ら出家して身を引く健気な女性。]

最初は田舎娘VS都会娘コーデを検討したのですが、お光だけでも十分個性的とのことで、決定。いわゆる普通の女の子だし、
トレードマークの黄色チェック前掛けはどうなるのだろうと思っていたら

なるほど!チェックシャツを腰巻することで表現したとのことです。
そうそう、あくまで「そのまま渋谷の街に繰り出せるスタイル」ですから、エプロンするわけにいかないですもんね。足元はソックス×ブーツでお光の快活さを出しつつ、襟やスカートのチュール等で恋愛まっただ中の少女のイメージ。お見事です。モデルさんの動きもキャラにぴったりでした。

7.渡海屋銀平 実は平知盛『義経千本桜 渡海屋・大物浦』

[屋島の戦で敗れて死んだと思われていた平家方の武将。
頼朝との不和で西国へ落ちてきた義経一行に復讐しようと船問屋に身をやつし機を伺っている。幽霊のふりをして義経のスキをつこうと画策するも、全てを見抜かれていた!という悲運の人。自らの体に碇(いかり)を巻きつけて入水するシーンは迫力モノ。]

久保田さんいわく、これは「ワントーンコーデ」だから再現できるのだと説明してくださいました。どうしても血だらけの知盛を想像してしまうので、モデルさんが着るお洋服のイメージがなかったのですが、さすがです。こうなります

このモデルさんの雰囲気も相まって、ミステリアスな、ホワイトワントーンコーデに。しかも体のラインを隠すだぼっと感が白糸威しの鎧風のボリューム感。



そしてトリを務められたのが巳之助さん&新悟さんの助六揚巻
まずは美しいだけじゃなく、惚れた人は命がけで守る義理と意気地の頼れるあの人。揚巻は女性ですが、新悟さんにかっこよく決めてもらうために現代男性に置き換えたところ、、

メンズの色気、ということで大胆にスーツを基本に。
揚巻の本当の衣裳も
五節句モチーフの、これでもかという柄をあしらっていることから、こちらも大柄チェックを選びました。
更にチェックのスーツの上に、チェックのピージャケットという、上級者向けの柄on柄コーデ。

ロールアップした裾からは赤のストッキングをチラ見せ。これは「(歌舞伎の遊女の衣裳で)赤い蹴出しがチラっと見えるのが色っぽい」という新悟さんのリクエストが反映されています。目の付け所がさすがです。

20センチの高下駄に匹敵するのは厚底ブーツ


風格と艶やかさを出すために「胸元にはヒョウ柄とゴールドのネクタイ2本重ねづけでゴージャス感を出しました」とのこと。

最後に。
揚巻を一人にするはずがありません。助六の巳之助さんが映像でご出演!

{0CA474FC-105C-4750-B1B1-C4C34C38D5D6:01}

足元もご注目ください

{9B8DA8C0-A61D-40A4-9DF7-C3EB39272469:01}

{65F976B2-0F3E-4C78-9173-166DBBCD8904:01}

{CB4BE483-A1A1-4116-83A2-08CCA5B9E205:01}
黒無地をベースに、助六の象徴である鉢巻を模したヘッドバンドの紫に、インナーの赤、黄色いブーツが効いています。

撮影のときも、一発OKの颯爽としたウォーキング&ポージングで、本当にほれぼれしました。

やはり物心ついたときから人前で「魅せる」ことが身体に染み込んでいる歌舞伎役者さんは、凄まじい表現力とプロ意識のかたまりだと思い知らされた気がします。

皆さまおつかれさまでした!

<衣装提供ブランドリスト>
ふりふ(PARCO PART1 3F)
POU DOU DOU(PARCO PART3 3F)
GU(PARCO PART3 B1F)
jouetie(PARCO PART3 1F)
GRACE CONTINENTAL The Banquet(PARCO PART1 2F)
Losguapos for Stylist

=================================================
いかがでしたでしょうか。歌舞伎×ファッションショー。
和柄を取り入れるとか、着物を洋服にしてみる、という方法でない、今真似できる歌舞伎ファッション。

今回の企画、おかげさまで当日は立ち見が出るほどで、歌舞伎界の方もファッション界の方からも是非次回もみたいという有難いお言葉をいただきました。これを機に、元の歌舞伎もみたくなったという声も多数寄せられ、それはまさに目指していたことです。

なんのためにこのような新しい企画をするのかは、歌舞伎を盛り上げるため、歌舞伎を好きな人、劇場に足を運ぶ人を増やすために他なりません。

まだまだ未熟者ではありますが、皆さま生暖かい目で見守っていただければ幸いです。


それではまた次回のイベントにてお会いできますこと、楽しみにしています。

ふりふさん、衣裳のご提供本当にありがとうございました。
『にゃん小判』シリーズお店で是非みてくださいね。
======================================================================


出演:坂東巳之助 坂東新悟

企画・監修:関亜弓/ショーディレクション・スタイリング:久保田卓也/構成:やきそばかおる

イラスト:瓜谷茜 審査映像制作: 菩薩/竹川尚志/ DJ:海太 VJ:緑組

<ショー出演>
とくいちょま/後藤さくら/阿知波妃皇/谷奥えま/谷奥えり/矢部ユウナ/鶴岡愛弓