山崎バニラさんの活弁を体感せよ | 歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

歌舞伎ライター 関亜弓「そば屋のカレー日記」

俳優、ダンサー、歌舞伎ライター関亜弓による大衆向日記です。

宣伝活動絡みでないとほぼ更新されないなこのブログ。
そうお思いのあなた、その通りです。

でも心が動いたときには、ちゃんと書きます。
なにかというと
「山崎バニラの活弁大絵巻2024 ~アニメーションことはじめ~」
に行ってきたのです。
バニラさんは、日本初つまり世界初の、大正琴とピアノの弾き語りでお客様を魅了する活動写真弁士さん。そのお声も唯一無二で、声優、俳優、その他ジャンルを問わずご活躍されています。
そんなバニラさんとの出会いは13年前、舞台で共演したことからでした。地方公演あり、合宿稽古まであった舞台で、私はバニラさんが大好きすぎて、ひっつき虫のように後追いをして、舞台が終わってからも(半ば無理矢理)長いお付き合いをさせていただいております。バニラさんの心の広いファンの方に、「顔もどことなく似ていて姉妹のようだ」といわれて有頂天になった思い出も笑

バニラさんは全国各地で活弁を披露されており、私はほぼ毎年、新宿のスペースゼロで開催される独演会を楽しみに伺っております

ステージに立つのはバニラさんお一人。
お一人で、全観客の目と耳を釘付けにするのです。

今年も、大正琴とピアノの弾き語りに加えてカスタネットまで駆使して繰り広げられる、バニラさんの活弁!
その演奏&演技技術に驚かされるのはもちろんなのですが、私が毎回惚れ惚れしてしまうのは、バニラさんの書く台本です。

活弁にはこの演目にはこの台本、という概念はないそうで、弁士がご自身で台本を書かれるのです(!)
過去の上演台本はあれど、いわば構成、脚本、脚色、そして出演を一手に手がけているのですね。はじめて知ったときはびっくりしました。

今回も、いつもながら観客のツボをおさえた台詞、間、笑いの入れ方、わかりやすさ、現代に照らし合わせた社会的視点。バニラさんの世界にどっぷり浸ることができました。本当に尊敬しかありません。

さらに発見したことがあります。

「ヒロインはいつも泣いている」を書いて以降、ジェンダーについて扱うことの難しさをひしひしと感じるようになり、、
今回の舞台を拝見して、無声映画の時代の男女のあれこれって、実はめちゃくちゃ現代では上演しにくいということに気がつきました。
それなのに、誰も傷つけず、かつ作り手の思いを損なわずに届けるバニラさんて、、!!もう脱帽です。

そんな母の隣で、バニラさんの織りなすシュールなギャグにけたけたと笑う娘。連れてきてよかった!

以前から、歌舞伎と活弁て相性抜群なのではと密かに思っていたところ、尾上右近さんがパーソナリティーの時代のカブキチューンで、バニラさんとコラボレーションされたときは血湧き肉躍りました。また実現しないかな。

ということで、
バニラさんの活弁、一度体験しないと損しますよ!