新たな危機遺産
さらに今年の世界遺産委員会では、新たに3件の危機遺産が登録された。そのうち2つがアメリカ大陸中央部にある世界遺産。右の地図に示したように、ロス・カティオス国立公園(コロンビア)とベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(ベリーズ)である。
パナマとの国境沿いにあるロス・カティオス国立公園は、以前このブログでも紹介したように、武器・麻薬の密輸、ゲリラの存在などといった、政府の力が及ばない危険地帯となっている(→「パナマという国」2009年3月28日
)。そのため山林の違法伐採や、貴重な動植物の乱獲なども防げず、今回、国際的な支援を求める形で、危機遺産に登録された。
またベリーズ・バリア・リーフ自然保護区は、以前このブログでも紹介したように、ブルーホールのような美しい珊瑚礁を持った世界遺産である(→「セノーテとブルーホール」2007年9月30日
)。ダイバーにも人気が高く、観光開発が進み、マングローブが大量に伐採されているという。マングローブの森は、ウミガメやマンタ、アメリカマナティーなどが棲息する貴重な場所でもある。
一方は危険地帯で、もう一方はリゾート地。一見すると両者は対照的であるが、その裏では森林の伐採が進み、周辺の動植物を苦しめているという点で、共通の危機的状況を抱えている。
ロス・カティオス国立公園(新公式テキスト第3巻P.260)
ベリーズ・バリア・リーフ自然保護区(新公式テキスト第3巻P.262)