さて、昨日の「花燃ゆ」の話題の続きですが、主人公の文は、最初久坂玄瑞の妻になりますが、久坂亡き後、明治になってからですが、小田村伊之助の後添いになります。
小田村の前妻は文の姉・寿ですから、小田村は松陰の妹二人を妻にしたことになります。
従来の幕末ものでは、松陰や久坂は必ずといっていいくらい登場しますが、小田村が登場することはまずありません。「花燃ゆ」で、松陰の親友としてクローズアップされているのを観て、「本当にこんな人がいたの?」と思う人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、私たちにとっては、ある意味で馴染みのある人物です。
本会がご指導を仰いできた故・小田村寅二郎先生(元国民文化研究会理事長)、また今もご指導いただいている小田村四郎先生(元拓殖大学総長)のご先祖ですから。
私も最初に小田村先生を知った時には、「吉田松陰先生の末裔」と伺った覚えがありますが、苗字を見れば、小田村伊之助の子孫であることは明らかです。
また、小田村伊之助は後に楫取素彦と改名しますが、台湾の芝山巌事件で遭難した楫取道明は素彦の次男に当ります。
つまり、小田村先生にとって、楫取道明は祖父に、小田村伊之助は曾祖父に当たるわけです。
――ただ、こう書くと、少し誤解が生じるので、もう少し詳しく書きますが、まず、小田村先生の「吉田松陰先生の血筋」というのは、「花燃ゆ」の主人公・文ではなく、姉の寿の方です。そして伊之助と寿の間に生まれた長男・希家が小田村家を継ぎ、次男・道明が楫取家を継ぎます。
小田村先生はこの小田村家の家系になるわけですが、なぜ道明が祖父になるかといいますと、希家には子がなかったので、磯村家から養子を取り、その妻に道明の次女がなったわけです。小田村先生のご両親ですね。
ですから小田村家に流れる吉田松陰の血筋、つまり妹・寿の血筋は、小田村先生のお父様が養子に入られたことで途切れるわけですが、お母様が楫取道明の娘ですので、結局、小田村先生には寿の血筋が流れることになるのですね。もちろん伊之助の血筋もそのままひいています。
ちょっと複雑ですが、ともあれ、その小田村先生のご先祖を、「花燃ゆ」では、大沢たかおが演じ、優香が演じているわけなのですね。