ニューヨーク狂人日記 -15ページ目

スポーツは体に悪い<上>

もうすぐロンドン・オリンピックですね。

今日、明日2回に分けて、
尊敬する精神分析学者・岸田秀さんの文章を掲載させて頂きます。

もう30年前の文章ですが古びてない、
■■■■■■■■■
スポーツ・ブームについて



スポーツのたぐいをほとんどやることがないわたしが、
スポーツについて語るのはお門違いかもしれないが、
スポーツに無関心な者にとってスポーツはどう見えるかということを語るのも無意味ではないだろう。

もっとも、わたしがスポーツ無関心派の代表というわけではないが。



わたしの周りにも何らかのスポーツをやっている人が多い。
ジョギングとテニスが今はやっているようだが、
そのほかゴルフ、スキー、剣道など、
たいてい一つか二つのスポーツはやっている、
そういう人たちは誰でも何らかのスポーツは当然やっていると思っているらしくて、
「あなあは何をやっているんですか」とよく聞く。

「別になにもやっていない」と答えると、
変な人でも見るような目付きをして
「汗をかくのは気持ちのいいものですよ。
何かやらないと体に悪いですよ」と忠告してくれたりする。

わたしが「スポーツは体に悪い」と言うと、
冗談を言っているとしか思わない。



冗談ではなく、
本当にスポーツが健康増進や老化防止に役立つとはとても思えない。

スポーツ選手は、一般人より短命だそうだが(本当かどうか知らないが)、
それはスポーツが命を縮めるのであろう。

「彼らはプロだから、過剰に体を酷使するからだろう」と言われるかもしれないが、
「適度」というものがあるのであろうか。
スポーツそのものが過剰なことではなかろうか。

時間に遅れそうになったり、
泥棒を追いかけたりするときに走るのは現実の必要に応じており、
過剰なことではないが、
毎日規則正しく一定時間ジョギングするのは過剰なことであろう。

逆に、何のスポーツもやらず、
泥棒を追いかけたりするとき以外は走らず、
汗を流さず、
ひまならいつもゴロゴロ寝そべっているような生活が健康に有害だとか、
寿命を縮めるとかの確実な証拠はあるのであろうか。



これは人々が漠然とそう思い込んでいるだけで、
そのようなことを支持する何の統計的あるいは医学的証拠もないのではなかろうか。

何の証拠もないのにそう思い込んでいるのは、
かつて何の証拠もないのに自慰が有害だと信じられていたのと同じ現象であろう。

昔は権威ある医者が口を揃えて、
自慰は青少年の精神的、身体的発達を妨げ、
さまざまな病気の原因になると説いていたし、
専門家である医者がそういうものだから、
一般の人びとは自慰が有害であると固く信じていた。

昔の青少年は、いけないと思いつつ、
ときに自慰の誘惑に負けてしまい、大いに悩んだものであった。

現在は、どれほどやっても自慰は何の害もないことになっているが、
要するに、かつての有害説も何らかの医学的証拠があって唱えられたわけではなく、
また現在の無害説も、
かつての有害説の証拠が医学の進歩によって覆されたということではない。

有害説ははなから何の証拠もなかったのであり、
無害説も別に証拠があるわけではない。

ただ、有害説は男女間の性交が性欲満足のための「自然な」方法であるという前提から、
自慰は「不自然」であり、
「不自然なこと」は体に悪いはずだということだったに過ぎない。

いわば、有害説は一種の自然主義的イデオロギーであった。
そして、無害説は現代の正解法のイデオロギーにそっているだけのことである。



 つまり、射精ないしオルガスムを純粋に生理学的現象と見なせば、
異性の性器によって刺激されようが自分の手によって刺激しようが完全に同じはずであり、
もし自慰が有害なら性交も有害ということになり、
そんな馬鹿なことはないという論理である。
要するに有害説も無害説も証明されないある前提からの論理的帰結にすぎない。

(あしたへ続く)
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Take Me Out to The Ball Game

野球が嫌いだ。
興味がないと言っておこう。
まったくとつけ加えておこう。
ま、スポーツ観戦のほとんどに興味がない。



「タフマンです!飲んでくださいっ!」
あの笑顔はよかった。

野球にかかわる思い出といえばこれくらい。
ここで終わっちゃわからないな。

20歳だった。
熊本市・藤井寺球場でガードマンのバイトをしていたときのこと。
オープン戦のデイ・ゲームも始まり人ごみも消えた。
春の日差し。
やることもなく友人と無駄話をしていると、
通り過ぎながら誰かが声をかけてくる。

出番がなかったのか。
その年入団したばかりの長島一茂さんが同僚と帰るところで、
ぼくと友人にヤクルト・タフマンを2本ずつくれた。
屈託のない笑顔は今も変わらないな。

野球場。
小さな憧れのようなものはあった。
NYで知り合った大阪の友人の言葉が忘れられなくて。
広がる未知の世界。

「テレビでナイターを見てるでしょう。
それで6回裏くらいになるとビール買って出かけるんです。
夕涼みに。
大阪球場は7回を過ぎると入場料が無料になるんですよ。
夏の夜、風に当たりながら。
あのすり鉢みたいな球場の外野席で飲むビールがうまくってねー」

野球にも野球場にも興味はないけれど、
ビールを飲む容れ物としての夜の野球場には惹かれる。
でも巨人なんかじゃいけない。
南海というマイナーなチームで、
あの小っこい球場だからこそ。
そして昭和の大阪。
都会のど真ん中にある球場。

話を聞いたのは5年くらい前で、
すでに大阪球場も南海ホークスも消えていた。



ダフ屋という商売がある。
球場やコンサート会場の近くで、
"Ticket, ticket......"
道行く人に声をかけていくそんな商売。

そんな彼らも
「プレイボール」が宣されると。
1曲目が聞こえ始めると。
途端にしぼんでしまう。
玉手箱を開けた浦島太郎のように。
1分の間に暴落してしまった価値。
馬券を買う人もこんな気持ちなのかな?
もちろん売り切ったダフ屋はそんな時間までウロウロはしない。

ダフ屋の世話になるかもしれない。
元気をなくした方のダフ屋に、球場の外で。

相変わらず野球にはまったく興味がないんだけれど。
彼の。職場での彼を。
仕事をしている彼の姿を見ておきたくて。

とはいえ。
いくら世話になりっぱなしだからとはいえ、
ヨソンチの国歌を唄いたくはない。
唄ってもいいんだがお決まりのコースの全員参加行事として。
意思を無視して強制されるのが嫌いだから。
かといってそこらじゅうのアメリカ人にボコボコにされるのはまっぴらだから。
ウェーブなんかしたくないから松葉杖を持って行こう。
行くとしても1回の裏あたりから。

帰りはきっと7回裏か、8回表あたり。
人ごみが嫌いだから。
雑踏にもまれるのなんてまっぴらだ。
静かな電車に乗りたい。

こんなぼくが球場へ足を向けたくなる男。
酒屋の倅ではない。

イチローが街にやってくる。
Mさんのときは一度もこんな気持ちにならなかったのだが。



さすがにビールの持ち込みはやばいな。




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初日、一面だもんな。
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Eat a Peach:Shake(セーキ)

$ニューヨーク狂人日記-未設定


見るからに暑苦しい奴がいる。
そいつのせいではないんだろうが。
できるなら。
夏には会いたくない。

昼間は日光と取っ組み合いの喧嘩をしてるように見える。
釣り上げられた魚のうろこみたいに、
ギラギラ光る暑苦しいステンレス製の屋台も、
なぜかさわやか。
朝陽というのは不思議なもんだ。

開店してない。
閉じられたアクリル板の向こうで,
仕込みをする女の手が止まらない。
パイナップル、バナナ、いちこ、マンゴー、パパイヤ、すいか……
まな板の上、個性を均一に伸ばされてゆく果物たち。
キューブ形になりプラスチック容器へ落ちてゆく。
あわれ切り身となった魚がパック詰めにされるように。

もう何年かな?
この手の屋台が目立ちはじめて。

フルーツ・シェイク
スムージー
と言ったり。
フルーツ・サラダ・ジュース
そんな看板を出す店もある。

ま、平たく言えば果物ミンチ。

ひき肉だけは絶対に食べない友人がいる。

それでも果物のハンバーグは大人気。
通勤ピーク時ともなればどの屋台も列。
健康オタクの多いこの街と、時代と、
もしかすると使い物にならない果物の息がぴったり合った。
それがほんとうに身体にいいのかどうか、ぼくは知らない。
この世は<そんな気>なもので満ちている。

包丁のたたき出すリズムのせいか、
商品のせいなのか。
オーティス・レディングが「Shake」を歌う。
心なしか足取りも軽く。





横断歩道を渡り、
車道を斜めに横切り、
つながれた犬に今朝もあいさつ。
歌いつづけるオーティスのリズムで、
ぼくはミルクセーキのことを考えていた。

はじまりは幼稚園。
あだ名はミルクセーキ。
セーキとセイキの語感が似ているという単純な理由で。
もう少し大きくなってからのことは適当に想像してください。


ミルクセーキ。
今だったらなんだろう?
当時としては新しい飲み物の名をもらったぼくは、
どこか嬉しく、得意げだった。
冬は寒かったが。

初めて飲んだのはどこだったろう?
家の台所かもしれない。
轟音に顔をしかめ耳をふさいでいた。

手に入れたばかりのミキサーで母がこしらえてくれた。
氷を入れた容器に牛乳と、卵、それに砂糖。
轟音と引き換えにミルクセーキは生まれる。

アイスクリームとは違う。
カキ氷でもなければジュースでもない。

ストローを抜けた角のたった飲み物が口に広がる。
眉間にしわを寄せ、その上冷たいものを懸命に吸うもんだから
いつも頭が痛くなる。
でもおいしい。

牛乳だ。
卵だなんて言うと、
最近では「大腸が……」、
「コレステロールが」
「サルモネラ菌は?」
そんな言葉とともに敬遠される。
それでもひと昔前には栄養価の高い食品で、
それこそ健康オタクや、
新し物好きが飛びついていたんだろう。

おごる平家は久しからず。

「男らしさ」
そんな場面でタバコをくゆらせるシーンは消えた。
<夢の国>
絶望を抱えたアメリカはそれでも現実と戦う。

背を丸めてビルの陰、タバコを吸うハンフリー・ボガートなんて見たくないし、
小さくなっちまい色気のないキャディラックには乗りたくはない。

<身体にいい>
言われ続けるスポーツにしたところで、
実は身体によくないことが証明され、
オリンピックはキチガイの祭典と揶揄されているかもしれない。
50年後には。


幼稚園の頃、
Shakeはセーキで。
セイキはセーキで。
ミルクシェイクではなくミルクセーキだった。
ミルクシェイクなんていうあだ名はいやだな。
響きがよくない。
うまそうじゃない。

屋台が遠ざかった頃、
フルーツを食べたい自分のいることに気づく。
求める身体があの屋台を注視している。

ここのところろくなものを食べてなかった。
楽しみとか。
好きなものをとか。
バランスを考えてとか。
忘れてた。
道路に開いた穴に砂利を放り込むように。

フルーツを食べよう。
ぶどう、いちご、メロン、バナナ……。
でもミンチはいやだな。

あ、ピーチがいい。
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凹はんが凸やんと。

2日前は39度。
今日は17度。
いったいどうしたことなんでしょう。
ネ、
さあどうしよう。
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どうして

さびしそうに見えるんだろう?
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凸ちゃんと凹ちゃんと。

昼間は100度。
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「そろそろかな」


60度の部屋の中。


ダウンジャケットにくるまれて帰り支度に取り掛かろうとすると。





「ビーーーーッ、ビーーーーッ、ビーーーーッ……!」


けたたましく鳴りながら震え出す携帯。


かんの虫の赤子の顔が浮かぶ。





携帯を覗きこむと。


「洪水警報発令」


こんなことをやってくれるんだ。


サービスいいな。


そんなの頼んだ覚えもないのに。





甘く考えていた。


ビルを出る前に、


ガラスドアを通して見る外が異常に暗い。


(ぼくの部屋には窓がないから)。





(も少し待とうか……やむかも)


そんな人であふれる玄関。


何の躊躇もなく外へ出て早足。


1ブロックと離れていない駅へ着く頃にはずぶ濡れだった。





でも濡れた身体はまた乾く。


ノートや本が濡れたら悲惨だけれど。


それにしてもどうして人は雨に濡れることを嫌うんだろう。


遠い昔。


おれたちがまだ動物だった頃のことを思い出すんだろうか。











おかげで電車はがらがらで。


ゆっくり座って帰りましたとさ。








昼間、歩きながら石焼ビビンバになりそうだった街も、


豪雨のおかげで芯からすっかりと冷えた。


暑ければいつか雨が降る。





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海の日

7月20日と思っていた。
いつの間にか、7月の第3月曜日になったらしい。
例のハッピー・マンデーというやつで、
融通無碍、変幻自在の祝日に。

連休にするため。
内需を拡大するため。
そんなご都合主義の祝日は嫌いだ。
アメリカだと、
サンクスギビング・デーだとか、レイバー・デーだとか。

そのことじゃなく、その日を祝いたい。
ぼくがマーティン ルーサー キングなら、
だいたいで誕生日を祝われたら、
草葉の陰で怒り狂うだろう。
「テメーらの都合で勝手なことするな!
祝ってもらわんで結構!」

とはいえ日本にいたころ海の日はなかった。
海の記念日というのがあって、
小規模ながらも地元の港で行事があっていたくらいで。

海の記念日をなぜ思うかというと、
その日は地元の夏祭りの日であり、
なおかつ1学期の終わる日であり、
ということは通信簿を持って帰らなければならない日である。
しかもその日はカーチャンの誕生日で、
嬉しいんだか、コワイんだか。
複雑なきもちで迎えていたから。



いつも仕事で立ち寄る建物のビジターズ・パス。
有効期限を見るとおかー様のお誕生日。
もうすぐだね。

母の誕生日を祝日なんかで覚えてたらエライことになる。
ま、小学生の頃は、
「私は永遠の35歳」なんて言ってたから。
さすがに最近は、
「永遠の60歳」と上方修正をしているけれど。



とにかく近頃ではどこへ行くにもビジターパスがいったりする。
実家に帰るのに母親のお墨付きがいる日が来るのかな。



今日、海を見ることはできなかった。

$ニューヨーク狂人日記
ぼくの海の日まで有効です。




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風俗に行った

数年前、芥川賞を受賞した西村賢太さん。
とても興味があって日記を読んでいたんだけれど。

この人サラッと書いちゃうんだよね。

毎日、宝焼酎ほぼ1本を友に。

■■■■■■■■五月二十八日
夜、買淫。

一私小説書きの日乗

前はamazonに書いてたんだけど、
この間から文藝春秋《WEB本の話》に。
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いいんだぜ

最高のラブソングを。


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月曜の朝に

月曜あたりの澄み渡った朝にどうぞ。


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