七色遠景 -16ページ目

愛に包まれる


突然 愛に包まれる


空から舞い降りる粉雪の中に


迷いなど最初から無かったかのように

あの日戸惑った影はすべて白い雪の中

結晶の隅まで精巧に七色に反射する眩い陽の光だけが

他ならぬ真実 唯一の正解


掌の中に故郷の街で見た街路樹の

木の葉を集めて広げれば

薄黄色の蝶になって

あの場所まで舞い上がる

それだけは伝えたかった言葉を

それでも伝えられずに白い吐息を漏らせば

真白い鳥になって

あの時間まで羽ばたいてゆく

ある日わたしは

愛を与えた

突然 愛に包まれる

空から舞い降りる粉雪の中に

眼前に広がってゆく

降りはじめた粉雪に

街が白銀にいつの間にか染められてゆくように

コーヒーにミルクが緩やかに溶けてゆくように

心は満たされた愛が拡がった愛に包み込まれた

それだけが

変わらない確信 唯一の正解

アドバルーン




あの アドバルーンを撃ち落して

幼い頃 手を引いて連れられて

スーパーの屋上にぽかんと浮かんでいた

赤と青の縞模様

とてつもなく憎いんだよ

あれを撃ち落してよ

さあ早く

もう過去なんて要らないから

母さん

母さんなら出来るよね

大嫌いなんだ

あのアドバルーン

消してしまえ

早く

僕はもう大人だから

憎くて堪らないんだよ

消してくれよ

消してしまえ

今すぐに



故郷


わたしは忘却した


最後に父に告げた言葉を

商店街のパン屋の娘の名前も

置き忘れたLPのメロディも

小さな家の形も

その屋根瓦の色も

柱に誰かがナイフで抉った傷跡も

フィラリアで死んだ犬の空っぽの小屋も

そのだらりと垂れた鉄の鎖も

その鎖の先の

弧を描く傷んだ首輪に刻まれた名前も

意識して忘却した


海辺の防砂林の松は

いつも過去の色をしていた

錆びた針の群れを擦らせ 

乾ききった音をたて揺れていた



夢で逢えたら

アメブロのサーバーが混む時間ってありますよね。
その時間帯って多分、色んなブロガーの方が、パソコンに向かいやすい時間、お仕事や家事や学校が終わって寝るまでの間が多いのかな、と思うのですが、
夜、眠りについて、夢の中に知らない人が出てくる時って、
やっぱりみんなが寝ているはずの、深夜の二時から四時頃までが、
一番多いような気がするのです。
夢もネットの世界みたいに、みんなが出たり入ったりして混雑してるのかな。
想像にしては、顔立ちもリアルすぎるし、喋ることもわたしの想像だに出来ないことだし。
もしかしたら、ネットの世界みたいに、眠っている誰かと繋がっているのかも。

一度、高速道路をドライブした見ず知らずの男性の夢が鮮明で、
あまりにも鮮明だったのと、顔はそんなに好みじゃないけど爽やかで優しそうな人だったので、
その人とまた夢で出会えるんじゃないかと、ちょっと真剣に思った時があったのですが
もしかしたら、夢のサーバーが混雑してて、うまくその後、繋がらなかったのかも知れません。

夢の中には、現実で出会える回線もあるのかな。
やっぱりネットでコミュニケーションしてもずっとネットの中だけみたいに、
現実にはならないんだろうな。
でも、ネットの中でも約束すれば、モニターから抜け出した現実の世界で会えるみたいに、
夢の中でも約束すれば、現実の待ち合わせ場所で会えるのかも。

今度見知らぬ誰かに会えたら、待ち合わせしようかな。
夢だから、きっと日本じゅう、世界じゅうのどこに住んでいる人かも分からないし

「○日に○○駅に何時に待ってるね」

なんて言えないのだけど。
じゃあ、携帯番号を教えるとして、起きてから電話をかけてもらって

「昨日の夜、夢で会った者ですが…」

こっちが覚えてなかったら、ちょっと怖いかも。

コンタクト


コンタクト外してみて


静かな闇に はがした透明な鱗を流して

わたしの世界が見える?

すべてがぼんやりとして

でも何もかも霞んで見えないわけじゃない

視力0.2のわたしの世界

ぼんやりとしたテーブル ぼんやりとしたワインボトル

ぼんやりとした白い半月

ぼんやりとしたあなたの輪郭


この世界が嫌いじゃないの

コンタクトをすればと勧められても

今はこれでいい

ぼんやりとしか人の顔が見えなくて

ぼんやりとしか街が見えなくて


わたしが密かに取っている 人との微妙な距離

見たくないものまで見えることより

見たいものを見ないことを取ったのよ

でもね

こうして近づけば

すっぽりと あなたは わたしの瞳に映し包まれるの

この暗闇で その囁きほどに 鮮明に