愛に包まれる
突然 愛に包まれる
空から舞い降りる粉雪の中に
迷いなど最初から無かったかのように
あの日戸惑った影はすべて白い雪の中
結晶の隅まで精巧に七色に反射する眩い陽の光だけが
他ならぬ真実 唯一の正解
掌の中に故郷の街で見た街路樹の
木の葉を集めて広げれば
薄黄色の蝶になって
あの場所まで舞い上がる
それだけは伝えたかった言葉を
それでも伝えられずに白い吐息を漏らせば
真白い鳥になって
あの時間まで羽ばたいてゆく
ある日わたしは
愛を与えた
突然 愛に包まれる
空から舞い降りる粉雪の中に
眼前に広がってゆく
降りはじめた粉雪に
街が白銀にいつの間にか染められてゆくように
コーヒーにミルクが緩やかに溶けてゆくように
心は満たされた愛が拡がった愛に包み込まれた
それだけが
変わらない確信 唯一の正解
故郷
わたしは忘却した
最後に父に告げた言葉を
商店街のパン屋の娘の名前も
置き忘れたLPのメロディも
小さな家の形も
その屋根瓦の色も
柱に誰かがナイフで抉った傷跡も
フィラリアで死んだ犬の空っぽの小屋も
そのだらりと垂れた鉄の鎖も
その鎖の先の
弧を描く傷んだ首輪に刻まれた名前も
意識して忘却した
海辺の防砂林の松は
いつも過去の色をしていた
錆びた針の群れを擦らせ
乾ききった音をたて揺れていた
夢で逢えたら
その時間帯って多分、色んなブロガーの方が、パソコンに向かいやすい時間、お仕事や家事や学校が終わって寝るまでの間が多いのかな、と思うのですが、
夜、眠りについて、夢の中に知らない人が出てくる時って、
やっぱりみんなが寝ているはずの、深夜の二時から四時頃までが、
一番多いような気がするのです。
夢もネットの世界みたいに、みんなが出たり入ったりして混雑してるのかな。
想像にしては、顔立ちもリアルすぎるし、喋ることもわたしの想像だに出来ないことだし。
もしかしたら、ネットの世界みたいに、眠っている誰かと繋がっているのかも。
一度、高速道路をドライブした見ず知らずの男性の夢が鮮明で、
あまりにも鮮明だったのと、顔はそんなに好みじゃないけど爽やかで優しそうな人だったので、
その人とまた夢で出会えるんじゃないかと、ちょっと真剣に思った時があったのですが
もしかしたら、夢のサーバーが混雑してて、うまくその後、繋がらなかったのかも知れません。
夢の中には、現実で出会える回線もあるのかな。
やっぱりネットでコミュニケーションしてもずっとネットの中だけみたいに、
現実にはならないんだろうな。
でも、ネットの中でも約束すれば、モニターから抜け出した現実の世界で会えるみたいに、
夢の中でも約束すれば、現実の待ち合わせ場所で会えるのかも。
今度見知らぬ誰かに会えたら、待ち合わせしようかな。
夢だから、きっと日本じゅう、世界じゅうのどこに住んでいる人かも分からないし
「○日に○○駅に何時に待ってるね」
なんて言えないのだけど。
じゃあ、携帯番号を教えるとして、起きてから電話をかけてもらって
「昨日の夜、夢で会った者ですが…」
こっちが覚えてなかったら、ちょっと怖いかも。
コンタクト
コンタクト外してみて
静かな闇に はがした透明な鱗を流して
わたしの世界が見える?
すべてがぼんやりとして
でも何もかも霞んで見えないわけじゃない
視力0.2のわたしの世界
ぼんやりとしたテーブル ぼんやりとしたワインボトル
ぼんやりとした白い半月
ぼんやりとしたあなたの輪郭
この世界が嫌いじゃないの
コンタクトをすればと勧められても
今はこれでいい
ぼんやりとしか人の顔が見えなくて
ぼんやりとしか街が見えなくて
わたしが密かに取っている 人との微妙な距離
見たくないものまで見えることより
見たいものを見ないことを取ったのよ
でもね
こうして近づけば
すっぽりと あなたは わたしの瞳に映し包まれるの
この暗闇で その囁きほどに 鮮明に