The Tragic Story of BADFINGER | Get Up And Go !

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現在公開中の映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』。 連休中に見てきました。 ハリウッド・ゴジラに関しては以前から賛否ありましたよね。僕自身は今回、「走ったり跳んだり、これはもうゴジラじゃねぇだろ!」と思いつつ見ながらも、怪獣バトルの映像なんかは「凄い!」と。 「やっぱりハリウッドのジェット・コースターって楽しいな」と。 これはこれで面白い映画でした (^O^)

で、劇中、ラストにバッドフィンガーの曲が流れてきて、その場面で一瞬 涙腺が緩んでしまったんですね。というわけで、60年代末から70年代、ビートルズのメンバーたちのサポートのもと、ヒット曲を出したこともあるイギリスのバンド、バッドフィンガーを。


Come And Get It (1969)
60年代半ば頃から、リバプールのクラブを中心にライブ活動を行い、次第に評価を高めていったバッドフィンガーが(当初はアイビーズと名乗っていた)、ビートルズの側近マル・エバンスを通じてビートルズのアップル・レコードと契約を結びプロデビューしたのは1969年のこと。

リンゴ・スター主演の映画『マジック・クリスチャン』の主題歌 「Come And Get It」を担当し、それが全英4位 / 全英7位となるヒット。ポール・マッカートニーによって作曲された佳曲です。ポールがデモとして録音したバージョンは、ビートルズの『Anthorogy 3』に残されています。バッドフィンガーは当初からビートルズ臭を漂わせたバンドだったんですね。





No Matter What (1970)
1970年、”嵐の恋" という邦題のついた「No Matter What」が大ヒット。 親しみやすいメロディとロックサウンドが適度にミックスされた名曲です。 バッドフィンガーは、現在ではパワーポップの源泉のように言われたりもします。この曲の収録されたアルバム『No Dice』もヒットしています。ジャケット・デザインも印象的な、彼らの代表作です。

バッドフィンガーのアルバムは、後のCD時代になってもなかなかCD化されず、一般の音楽ファンは聴くことすらできなかった時代がありました。仕事柄、海外の取引業者にアナログのカット盤を探してほしいとお願いしたこともありましたが入手できず、仕方なく国内でヴィンテージものの『No Dice』を探し、大枚をはたいて入手し聴いていました。

バッドフィンガーの事をよく知らない人でも、この曲は耳にしたことがあるのではないでしょうか。バンドのメインライターであるピート・ハムの曲です。





Without You (1970)
1972年にニルソンによって歌われ全米1位となったバージョンが最も有名でしょう。 94年にはマライア・キャリーもヒットさせています。この曲は現在、世界中で180以上のカバー曲が存在する名曲中の名曲と言ってよいバラードです。 オリジナルはバッドフィンガーです。ピート・ハムとトム・エバンスの共作曲。 この曲も『No Dice』に収録されています。

バッドフィンガーによるオリジナルが、最も好きなバージョンです。 これほどまでに切実感を伴って響くバラードはなかなかないでしょう。"悲劇のバンド" と言われるバッドフィンガーのこの曲を目を閉じて聴いていると、どうしても涙が滲んできてしまいます。

本ブログ初期の頃に記事にしています。自分でもこの曲を記事に出来て良かったなと思っています。お薦めで記事です。
悲劇のバンド、バッドフィンガー





Day After Day (1971)
1971年8月、バッドフインガーは、ジョージ・ハリスン主催のチャリティコンサート、バングラデシュ難民救済コンサートに参加。ピート・ハムがジョージと並んで「Here Comes The Sun」を演奏するシーンは、ライブのハイライトのひとつです。

同年にリリースされたアルバム『Straight Up』に収録された、ジョージ・ハリスン・プロデュースによる『Day After Day』は全米4位となる大ヒット。このあたりがバッドフィンガーのキャリアのピークです。以後アップル・レーベルの崩壊と共に、バッドフィンガーも下降線をたどります。アーティストにとって不利な契約を結ぶこととなったマネージメントの問題が、バンドを苦しめることとなったようです。いわゆる悪徳マネージャーによる搾取です。





経済的な困窮は、バンド内に様々な問題を引き起こします。74年にジョーイ・モランドがバンドを脱退。75年になると、ピート・ハムが自死の道を選びます。79年に、トム・エバンスとジョーイ・モランドによってバンドは再出発し2枚のアルバムを発表しますが、セールス的な成功は得られず、83年にはトム・エバンスも首吊り自殺してしまいます。


映画が結末を迎え大団円となったとき、予期せず「Day Afetr Day」が流れました。その瞬間に目頭が熱くなってしまいました。多くの観客の前で流れた「Day Afetr Day」に、ピート・ハムとトム・エバンスは天国で驚いているかもしれません。

映画を観たほとんどの人は、バッドフィンガーの悲劇の物語を知らないでしょう。