Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ







世間では今 MJですが、こちらはMD。マイルス・デイヴィスのことです。本屋に特集雑誌が並んでいたので、なんで今マイルス? と思ったら、今年は生誕100年の年に当たるとのこと。なるほど。

以前に詳しく書きましたが、僕は90年代前半の数年間、某外資系CD店でジャズ売り場の担当となり、ジャズを商品としてあつかっていた時期があります。仕事となると商品知識が必要。マイルス・デイヴィスも売れ筋アーティストのひとりとして、定番と言われるほとんどのアルバムは聴き込みました。

1940年代にジャズ・トランぺッターとしてキャリアをスタートさせたマイルスは、時代と共に様々なスタイルの音楽を取り入れ、晩年は自分の音楽がジャズと呼ばれることを嫌ってもいた人です。僕自身もいわゆるジャズという音楽には思い入れがなかったことから、まっさらな気持ちでマイルスの音楽に入っていけた記憶があります。そんなわけで、いわゆる名演とは違う偏った選曲にはなりますが、好きな曲をいくつか選んでみました。



My Favorite Albums


Stuff (1968)
この曲の収録されたアルバム『Miles In The Sky』が録音されたのは1968年。マイルスはジミ・ヘンドリックスの音楽に衝撃を受け、自らの音楽を電化しロックに接近させていく、そんな時期なんですね。フュージョンと言われる音楽が登場するのは、70年代に入ってからです。この曲に鍵盤で参加したハービー・ハンコックは、この時初めてエレピを弾いたとのこと。

最初にこの曲を聴いた時は、不思議な曲だなぁと思いました。4ビートではなく8ビート。でもロックと呼ぶにはアドリブソロはまるでジャズ。ドラムはトニー・ウイリアムスですが、この8ビートがぎこちなくてなんかヘンテコ。時系列でマイルスのアルバムを聴いていくと、おそらくこの曲あたりがロック化への第一歩だということがわかります。

ジャズのタイム感とロックの構造をそのまま融合させたみたいに聴こえる曲。ジャズ・ミュージシャンが無理して8ビートを導入したら筋肉がつってしまった。でもみんな頑張っています。何といってもコワモテのボス、マイルスの命令ですからね。ハービー・ハンコックなんかかなり頑張っているし、"ジャズとしては" 新しい感覚も見えてきます。

エンディングも盛り上がらずに突然終わります。長い曲ゆえ、途中で聴くのをやめてもOKです。僕のように聴き続けて癖になってしまう人もいます。





Red China Blues (1972)
この曲もマイルス・デイビスの音楽としては珍品の部類でしょう。ブルース・ハープがフューチャーされています。泥臭いフレーズがシャッフル・ビートと組み合わさってはいますが、やはりどこかブルースとは違う。当時のコアなマイルス・ファンの反応はどうだったのでしょうか。個人的には、このインスト・ブルースのちょっと変わったところが気に入ってます。

当時のマイルス・デイヴィスは、トランペットにエフェクターをかまして歪ませてからアンプにつないだりしていたようですが、この曲ではギターで使うワウペダルを使用しています。これはジミ・ヘンドリックスの影響によるもの。そのペダルは、ジミからもらったものだと何かで読んだことがあります。

50年代のモダンジャズ期から「ジャズの帝王」と呼ばれていたマイルスは、70年代に入るとジャズの外側、外側へと出ていきます。
「きのうと同じ服を着る気になれない。きのうと同じ音楽をやる気にもなれない。退屈だからな」
マイルスの残した言葉です。





Right Off (1970)
1971年のアルバムに『Jack Johnson』という、黒人初の世界ヘビー級チャンピオンとなったジャック・ジョンのドキュメンタリー映画のサウンドトラック・アルバムがあります。「Right Stuff」はそのアルバム中の曲です。マイルスがこれをどういった経緯で引き受けたのかはわかりませんが、熱心なボクシング・ファンであったことは確かです。これもエレクトリック・マイルス期のアルバムです。

この曲のロック・ビートはカッコいい! ストレートにロックしていて爽快感もあります。マイルスの突き抜けたトランペットの音はもちろんカッコいいのですが、ギターのジョン・マクラフリンによる切れの良いカッティングにも素晴らしいものがあります。この曲での貢献度は高いと思います。

70年代初頭のマイルス・デイヴィスは、ザ・バンド、スティーブ・ミラー・バンド、グレイトフル・デッド等のロック勢のライブのオープニングアクトを務めたり、ロック・フェスにもいくつか出演していたようです。ジャズクラブを飛び出して、シンパではない不特定多数のファンの前でも演奏していたわけです。

「音楽はボクシングのようなもの。常に前進し続けなければならない。」
これもマイルスの言葉です。





Time After Time (1984)
1985年発表のアルバム『You're Under Arrest』は、マイルス・デイヴィスのアルバムの中では聴きやすい作品です。マイケル・ジャクソンの「Human Nature」とシンディ・ローパーの「Time After Time」のふたつのカバー曲の出来が出色です。

現在では名曲バラードのひとつであるシンディ・ローパーのカバーには、トランぺッター・マイルスの魅力が詰まっています。マイルス・デイビスのトランペット演奏の魅力は、音数を絞って間だとかニュアンスによって語るタイプの演奏にあります。

口数の多い男より、少ない言葉と魅力あるトーンで口説かれたほうが女性はグッとくるでしょ。最近は違うのか? 例えが悪い? でもマイルスのバラード演奏は、ずっとそうであったと思います。

「トランペットを吹くコツ? 好きなオンナにキスするように、だ」
なるほど!






いつもお洒落で、年を重ねるごとにカッコ良くなっていったのがマイルス・デイヴィスです。年を取らない妖怪か?と思った時もあります。晩年もファッショナブルで、トランペットを持った立ち姿はいつも決まっていました。

マイルス・デイヴィスは音楽に限らず自分に関するすべてのことに対して、最高でありたいと常に願っていた。そういう人であったと思います。

最晩年のマイルスでしたが、90年に一度だけ生で演奏を聴くことが出来ました。