スーサイド・サル | Get Up And Go !

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今回は以前 「英国のジャニス」 という記事でもとりあげたイギリスの女性シンガー・マギー・ベル、1975年リリースの2nd アルバム 『スーサイド・サル / SUICIDE SAL (邦題;熟れた果実)』を。

1973年、イギリス・グラスゴーのバンド、"ストーン・ザ・クロウズ" 解散。バンドのシンガーであったマギー・ベルはソロ活動をスタートさせます。アメリカに渡っての1st・アルバムも悪くはないのですが、彼女を白人ソウル・シンガーとして売り出そうとしたレコード会社の思惑もあって、内容的にはソウルっぽい作り。そういった売り出し方自体、歌に相当の実力がなければできないのですが、個人的にはマギー・ベルらしさに欠ける部分も感じるので、こちらの2nd・アルバムから(1st についてはいずれまた)。


冒頭の曲 「ウィッシング・ウェル」 から彼女の歌の魅力が爆発しています。初めて聴くひとの中には驚くひともいるでしょう。ジャニス・ジョプリン? と。この曲はフリーのカヴァーです。同じイギリスのシンガー、ポール・ロジャースが好きだと言うマギー自身の選曲なのでしょう。英国屈指のシンガー、ポール・ロジャースによるオリジナルはもちろん素晴らしいのですが、彼女の歌もまた凄い! ちょっと弾んだファンキーなリズムですが、アレンジとしてはこちらのほうが好きかな・・・







そして2曲目がアルバムのタイトル・トラックともなった 「スーサイド・サル / Suicide Sal」」。ツイン・ギターによるイントロが印象的な曲です。マギー・ベルが友人たちと一緒に作った曲(5人による共作)。歌のモデルとなっているのは、グラスゴー(マギー・ベルの出身地)では知られた歌手であったシャーロット・ベルという女性。マギー・ベルにとっては "素敵な歌手" であった叔母だそうです。思い入れのある曲のようです。アルバムの楽曲中では、タイトル・トラックとなるだけあって、アレンジもすぐれた秀逸なナンバーです。







ソロ・シンガーとしてのキャリアをアメリカでの録音によってスタートさせた彼女も、2nd・アルバム 『SUICIDE SAL』 は、イギリスで録音を行っています。リンゴ・スターの所有する、スターティング・スタジオで行われたレコーディングでは、リンゴ・スターも協力を惜しまず、またアルバムには多くのゲストが参加して制作されています。70年代に残された4枚のストーン・ザ・クロウズのアルバムと2枚のソロ・アルバムを聴けば、彼女が当時 "英国ナンバー・ワンの女性ヴォーカリスト" であったという事実を間違いなく認識することができます。現在、日本のCDショツプなどでは、店頭ではほとんど見かけない というのはあまりに残念な状況です。

「カミング・オン・ストロング / Coming On Strong」 は、ストーン・ザ・クロウズ時代のメンバーであったコリン・アレンとズート・マニーによって書かれた曲。ここでのギター・ソロはゲスト参加したジミー・ペイジによるもの。アルバムではもう一曲参加していますが、当時マギーのマネージャーがツェッペリンのマネージャーでもあったピーター・グラントであったことと関係があるようです。ライヴの楽屋には、ロバート・プラントやジョン・ボーナムが訪れたこともあったそうです。







「ホールド・オン / Hold On」 は個人的にはアルバム中もっとも好きな曲です。こちらはフリー解散後のコゾフ/カーク/テツ/ラビットの曲のカヴァー。ポール・コゾフとサイモン・カークのペンによる曲です。
ある程度の歌の技術があり、若くてエネルギーを持った歌手であるなら、アップのロック・ナンバーは歌えるでしょう。ですが、その歌手の真価が問われるのはバラードにおいてです。当時、マギー・ベルのライヴはイギリス各地どこでも熱狂をもって迎えられ絶賛されたそうですが、もし興奮の合い間にこんなバラードを歌われたならもう・・・(涙)







80年代以降は、マギー・ベルのアーシーな歌の魅力を台無しにするような酷いアルバムもあり、あまり恵まれた状況であるとは言えなかった彼女ですが、現在はブルースの色合いの濃いバンドと共に地道に活動を続けているようです。











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