「分とく山」

 

 

 

 「分とく山」と聞いて「野崎洋光」(のざきひろみつ)という名を思い浮かべる方はグルメでしょうね。メディアに登場することがあ.るのでグルメでなくとも関心がなくとも「野崎洋光」という名前とか顔をご存知かも知れません。

 

 「分とく山」となれば本店の南麻布に行こうと考えますが、日比谷線・広尾駅から少し歩かねばならない。とは言っても5分(422m)なのだが、うだるような真夏の昼間ではたまらない。

 

 そっ、ランチなのです。

 

 カミサンの誕生日祝だけならディナーでも良いのだが、ガキ(娘)の誕生日が近く、ランチなら来れるということが、敢えてランチにした理由になろうか。

 

 ボクの誕生日祝にはカミサンがいつもの料理をつくってくれるが、ボクは料理がつくれないから、プロに頼るしかないというのも理由なんである。

 

 さらに言えば、表立っては言えないが、ボク自身が「美味しんぼ」だからというのが、ホントの理由になるかも知れない。(爆)

 

 でっ、竹芝のホテル・インターコンチネンタル東京ベイにある「分とく山」にしました。

 

 

 竹芝と聞けば竹芝桟橋を思い浮かべると思いますが、竹芝桟橋に隣接しているので、ゆりかもめの竹芝駅が目の前にあるとは言え、ちょっと不便な所になります。その点、浜松町のバスターミナルからホテルとのシャトルバス(無料)があるので歩かなくてよくなり、ディズニーリゾート界隈から出かけるに浜松町駅なら東京駅(or有楽町駅)で山手線に乗り換えればよいので、ここを予約することにしたのです。

 

 あらためて確認したら南麻布の「分とく山」本店ではランチはやってませんでした。(爆)

 

 なので、そもそも本店も選択肢に入れて検討していたのは間違っていたことになります。(汗)

 

 ちなみに、「分とく山」は南麻布の本店の他は、ホテル・インターコンチネンタル東京ベイ、伊勢丹本館(新宿三丁目)にあります。

 

 

 ホテル・インターコンチネンタル東京ベイの入口を入ると全体的に重厚なインテリアに気後れしてしまいました。そういう重厚さに慣れてないからですが、外の世界とはまるで違うというのも何か異様な感がしますね。

 

 でも、異国情緒を感じさせられる外国人には良いかも知れません。

 

 入口から右斜め前方にフロントがあり、入口から右手奥には3階に向かうエスカレータがあります。そのエスカレータで3階に行くと、インテリアはシンプルになり、その奥に目立たない「分とく山」の暖簾がかかっています。

 

 シンプルな暖簾ながらもオーラが漂うようで「(分とく山は)ここだ!」とすぐにわかりましたねー。

 

 「徳風」(とくかぜ)

 

 ランチは会席「徳風」にしました。というか、九品の会席「徳風」でないと「鮑磯焼」(or「鮑の磯焼き」)と「土鍋ご飯」が食べれないので予約の際にこの会席「徳風」を頼んでおいたのです。

 

 そのためか、暖簾をくぐって廊下を奥まで行き、名前を告げると「お待ちしておりました♪」と言わんばかりに、にこやかにテーブル席まで案内してくれました。

 

 ちなみに、ランチでは「鮪づけ重」、「すきやき重」、「厳選佐賀牛つくね焼」「旬彩弁当」というようなランチメニューを食べられるお客さんばかりであり、ディナーにもなる会席「徳風」をランチで頼むというお客さんは他にはいないようでした。(汗)

 

 

 先附(さきづけ)

 

 これは「たこ」と「いか」です。それに濃さが気にならない味わいのたれが少しついてます。

 

 まず「たこ」と「いか」を見て「いきなりそれかい!」と思いながら、ひと口食べてみて「はっ、これは”仕事”してるじゃん♪」とわかりました。

 

 こんな「たこ」や「いか」は今まで食べたことないです。居酒屋で食べる「たこ」と「いか」とは全然ちがうんのだから恐れ入りました。

 

 その一品目で「これが「分とく山」の料理なんだ!」と悟った気がして、これから次々と出てくるヒトサラ(一皿)が楽しみになったものです。

 

 それに、オクラの緑が鮮やかだったし、「穂じそ」(※3)は軸に沿って立派な花が彩りを添えてくれました。

 

 全体的な彩りが素敵だったので思わず、接写して撮りましたデス。(笑)

 

 この花のことを「花穂」(かすい)と呼び、食用になりますが、食べてみると花を食べてるという意識はなかったですね。記憶が薄れてしまいましたが、「しその味だったかなー」と思います。

 

 この『花をつけたものは「花穂じそ(はなほじそ)」で、花が終わって実が熟す前のものは「穂じそ」と表記。穂じそは束の状態で出荷するので、別名「束穂(たばほ)」とも呼ばれます。また、実がふくらんだものは「実じそ」、しごいた実は「こき穂」ともいわれます。』「※3」

 

 

 凌ぎ(しのぎ)

 

 こんな器で登場した凌ぎ、ご飯ものだろうと思いつつ、蓋を開けると山葵をのせた「雲丹」の鮨でした。

 

 ガキ(娘)が、「わーぉっ!」と発したかどうかはともかく、あまりにも可愛すぎる鮨に感嘆してました。

 

 

 凌ぎ(しのぎ)

 

 おじさんであるボクですら、可愛すぎると思えて食べるのがもったいないような気がしたものです。

 

 ご飯粒がてかてかと輝いたので、これは酢飯ではなくもち米だとわかりました。それも冷ましたとは思いますが、まだ温かさがありました。

 

 これに山葵と「雲丹」が添えてあり、ひと口で食べてみるともち米は意外とあり、想像した味ながらも「意外と合うもんだ♪」と新しい発見になりました。

 

 

 お椀(おわん)

 

 「じゅんさい」のお椀です。

 

 輪島塗かどうかはわかりませんが、漆を何層も塗ったであろう漆器で登場しました。食べ終えてからお椀を持ってみると、あまりの軽さに「この漆器は本物だ!」と思いましたねー。(笑)

 

 白身魚が映える色合いも良い。漆器にはもっと茶に近い濃い色合いもあるものの、「これぐらいの明るさがないと食材とのバランスが取れないかも♪」としげしげと眺めながら思いました。

 

 「じゅんさい」は、『つるりとした喉ごし、プリプリとした食感が珍重され、古くから料亭などで“水が育む夏の味覚”として食べられています。』(※4)

 

 その『くるくると巻いた新芽を覆う、透明なゼリー状の「ぬめり」が特徴的で、「食べるエメラルド」とも称されています。』(※4)が、それは『外敵の食害や、病原菌などから保護するために、ぬめりで覆われています。』(※4)

 

 きれいな水がないと育たない水草であることは知るところだが、『世界に広く分布する植物ではありますが、日本や中国など狭い地域でしか食用とされていないそうです。』(※4)というお話は興味深い。

 

 ちなみに、『日本で生産量が一番多いのは、秋田県の三種町です。』(※4)『年間数百トンの収穫があり、全国生産量の約9割を占めるそうです。』(※4)

 

 

 お椀(おわん)

 

 白身魚は、高級魚として知られる「アイナメ」です。鮨で食べたことはありますが、お椀で食べるのははじめてでした。鮨だと「アイナメ」だとわかる気がしていますが、火を通してしまうと淡白で癖がないので、言われないと「アイナメ」であることがわからないような気がします。食べ慣れていない魚だからです。

 

 でも、脂があるのか皮が美味しく、皮と身の間にゼラチンがしっかりと見えたこと、皮と身を食べた時の旨味は他の白身魚とは違うような気がするので、これが「アイナメ」の特徴なのかも知れませんねー。

 

 「アイナメ」は年間を通して水揚げがあるので”旬”はいつ頃なのか一概に言えないようですが、春から夏にかけてが美味しいと言われます。と云うことは今はまだ”旬”ということになる。

 

 お椀の中央に見えるのは「生姜」、その下に見えるのは「冬瓜」です。

 

 『冬の瓜と書きますが、旬は夏です。そのまま冷暗所で保存しておけば、冬までもつことから、漢字では「冬瓜」(とうが)と記すようになったと言われています。』(※5)

 

 

 造り盛り合せ

 

 「金目鯛」と「平目」のお造り(お刺身)です。

 

 「金目鯛」は切れ目があるのでふた切れに見えるのが、実はひと切れになります。それ故に厚みのあり、食べ応えがあります。

 

 「平目」は重ねてあるので見た目ではわかりづらいですが、ひと切れの厚みがありましたし、いちばん上に乗っていたのは「縁側」(えんがわ)でした。

 

 この「金目鯛」と「平目」もまた、先附の「たこ」と「いか」と同様に『”仕事”してました♪』

 

 どんな”仕事”したのか?と聞いてみたくなる、食べ慣れた刺身とは違うこの味わいは美味でした。

 

 種子から芽吹いて開いた赤い小葉はよく見かけますが、それは「芽タデ」(めだて)というのだとカミサンに教えられましたデス。(汗)

 

 同じ「芽ダテ」ながら、白身の魚には「紅タデ」、赤身の魚には「青タデ」が用いられるんだそうな・・・

 

 

 分とく山(冷酒)

 

 こんなに美味しいものばかり食べるなら、冷酒を飲みたくなるものです。

 

 先附では生ビール(グラス)を軽く飲んでおりましたが、「これなら冷酒を!」と早々と切り替えて飲んでいたのが「分とく山」(純米吟醸酒)という冷酒です。

 

 これがまた、美味かった。

 

 どこに造らせてるのだろうとラベルを見ると、山形県米沢市にある「小嶋総本店」(※6)という蔵元でした。

 

 「安土桃山時代に創業し、後に上杉家御用酒屋を承った」(※6)というのだからずいぶんと歴史ある蔵元になります。

 

 ちなみに、右側の碧いグラスはお水が入ってます。この冷酒を飲むためのグラスではありません。念のため、・・・

 

 つづく

 

 

 ※1 分とく山/ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ

    http://www.interconti-tokyo.com/restaurant/waketokuyama/

 

 ※2 分とく山 (わけとくやま)

    https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130703/13005469/

 

 ※3 穂じそ

    https://www.yasainavi.com/zukan/shiso/hojiso

 

 ※4 旬の「じゅんさい」はどうしてヌルヌルしているの? 2016.5.18

    https://shokuiku-zukan.com/news/speciality/junsai/

 

 ※5 夏・秋の旬野菜 とうがん(冬瓜)

    https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=97

 

 ※6 山形県米沢市の日本酒  東光 - 小嶋総本店

    https://www.sake-toko.co.jp/

 

 ※7 「九谷満月」 加賀市(石川県) 2017.12.3

    https://ameblo.jp/seasky-sun/entry-12493290953.html

 

 ※8 「箔座本店」 金沢市(石川県) 2017.12.2

    https://ameblo.jp/seasky-sun/entry-12483894556.html

 

 ※9 「食材・生産者の価値を高める」 2014.10.1

    http://r-tsushin.com/chef/058/

 

 

 「分とく山」(その1) ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ  2018.7.25

 https://ameblo.jp/seasky-sun/entry-12461602828.html

 

 「分とく山」(その2) ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ  2018.7.25

 https://ameblo.jp/seasky-sun/entry-12461604301.html

 

 「分とく山」 ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ  2019.7.30

 https://ameblo.jp/seasky-sun/entry-12499617400.html