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シネマイレージ013:イエスタデイ(ネタバレ注意)

イエスタデイ(監督:ダニー・ボイル)
☆☆☆☆
アリー スター誕生、ロケットマンにこれ、と最近音楽映画ばかりになりましたが行ってきました。うん、ダニー・ボイルだけあっていい味出してました。何といっても、主人公が普通の人なのが良い。もちろん上記の他の作品でも主人公は最初は普通の人でそこからスーパースターになっていくのですが、この映画の場合、人の曲を借りて歌っているだけのいつわりのスーパースターですからね。相手の女の子も普通の子で、その二人のラブストーリー(なのかな?)がメインとなるのは良いと思います。そして、主人公が恋愛に奥手で、ぜんぜん進まないというのもなかなかグッドです。外国の映画は普通すぐどんどん進んでしまう印象があるので。
一方で、もやもやさせられたのが、タイムパラドックス的な整合性がまったくわからなかったこと。むしろ、設定はあくまでもネタであってそんなに考えられていないのかもしれません。ビートルズ以外にもなぜかポイントで失われているものあるし。そして、最後にばらまいちゃうところ、あれはさすがにどうかと、後で多額の金額を請求されるかと思ったのですが、実際にやったならば誰かが慌ててすぐに止めるので大丈夫だろうなと思い直しました。
そして何といっても、映画のつくりの時点で先入観を与えられているからなのですが、ビートルズの曲がやたらと良く聴こえます。エド・シーラン(かなり多くの場面で出演している)でなくても白旗上げます。エンド・クレジット(某曲がフルでかかる)で客席から一人として途中で出ていなかったのが象徴的でした。


*標題にネタバレ注意書きましたが、いつもあまりネタバレ気にしていないので、基本ご注意下さい。

シネマイレージ012:ロケットマン

ロケットマン(監督:デクスター・フレッチャー)
☆☆☆★

先週ようやく鑑賞してきました。

そうですねー。言われていたことですが、どうしてもボヘ~との共通点がありすぎて…という感想になってしまいますね。最後の例の曲が出てくるのが待ち遠しくなりました。ビデオクリップまで再現しており、リアルタイムで聴いた私としてはそれだけで感激しましたが。

違うところとして大きいのは父親との関係性と、バーニー・トーピンの存在。前者に関しては、父親が再婚後に成した子をかわいがっているところとか、結構グサグサ来ますね。バーニーについては、全編を通じていい人過ぎて、出てくるたびにほっとさせられました。あと、歌詩の対訳がしっかり出てくるので、その才能のほとばしり方に改めてほれぼれしました。
曲に関してはかなりいろいろ出てきました。出版社で「暗い」と言われた曲の中にいくつも後の名曲がありましたが、その中に80年代の曲まであったのは、本当にそのころ原型があったのでしょうか。あるいはあくまでもネタとしてなのか…

シネマイレージ011: バイス

バイス(監督:アダム・マッケイ) ☆☆☆☆★

ゴールデンウィークに観てかなり印象というかインパクトのある作品だったのですが、いつの間にか時間が経ち、ようやくレビューです。

ブッシュ政権(子ブッシュの方)の副大統領(バイス・プレジデント)として、実質的に権力を掌握し、イラク戦争にかこつけてやりたい放題を行った(とされる)チェイニーを描いた作品。過去に逮捕歴があるのですが、まさにその頃である凡庸以下の大学生時代から描いています。インターンから入った政府の事務職でラムズフェルドの基についたところ、これがまさに彼にとって天職だったのか水を得た魚のように裏方での活躍を見せ、最年少で大統領首席補佐官に登用される。フォードからカーター政権になり共和党が下野した時は、地元で立候補し、下院議員に選出される。ブッシュ(父)政権の際には国防長官を担当するが、心臓の病気の問題もあって政界を引退。石油掘削機の販売会社であるハリバートン社のCEOに天下り(おそらく)して、趣味のアウトドアライフを中心とした悠々自適な生活を送ることになる。~ここで一旦、ハッピーエンドとしてエンドクレジットが出ます!
そんな中、クリントン後の大統領選にあたり、ブッシュ(子)から副大統領にならないかという相談が入ります。乗り気でない風をよそおいながら最終的に受諾し(釣りにたとえていました)、しかも要職を自分の身内で固めてしまいます。そしてあの超僅差の大統領選を制したブッシュは大統領に、チェイニーは大統領を操る実質的な権力者となります。そんな中、あの9.11がやってくる…

作品としてはチェイニーを風刺するというか悪く描いた作品のはずなのですが、私には非常に魅力的な人物に映りました。学問的な頭ではなく地頭が良く、どうやればうまく転がるということが分かっている。こわもてではあるが、愛嬌もある。一度引退したところから風向きが変わってアメリカの支配者になってしまうところもすごいです。いわゆる人たらし系の人の気がしてきます。逆にそういう人にだまされないように気を付けなければいけないのかも。

映画の“語り手”はチェイニーと何の関係もなさそうな人が当たり(近くにいることはあったかも)、この人がなんと終盤で思いがけない形で関わりを持つことになります。これを含めてもストーリーテリングとしても巧みで、最後まで絶えず引き込まれる映画でした。