九州旅行:高千穂
休憩でバスが止まったのは高森というところであった。空気が良さそうなので深呼吸をした。かつて高千穂と高森をつなぎ、宮崎と熊本を線路で結ぶ計画があったらしいが、果たされることのないまま、国鉄民営化もあってそれぞれの駅に来る線までも廃止になってしまったのである。そんな高森から山の中を抜け、高千穂に着く。そもそもこの地に来ることになるとは以前は思ってもいなかった。何しろ天の岩戸だぜ。どう考えても神話でしかないではないか。もともとの計画でも行くかどうかは定かではなく、高千穂中心部から天岩戸神社までは7kmもあり、バスが動いていなければレンタサイクルで行くしかなく、そこまでして行くところなのかという思いもあった。それだけに、インフォメーションセンターでこのあとすぐ出るバスで行けますと案内された時は少し拍子抜けさえした。
バスから見える山々が秋という季節もあってか美しい。どこか以前行った明日香を思い起こさせるものがあった。日本の原風景に近いのだろうか。終点の天の岩戸停留所はどうもひなびた感じで、いかにも観光客目当ての小さい店がいくつか並んでいる。まずは東本宮へ。人もあまりいないし厳かな雰囲気。落ちついて参拝をすることができた。続いて西本宮。こちらはもう少し賑わいがある。先程のインフォメーションの方によると、ここで神職の方から説明を聞き由緒ある場所を拝ませてもらうことができるというのだが、そこまではしないことにした。そこから、パワースポットと言われている天安河原へ向う。そこに至るまでに見えるものがひとつひとつ美しい、あるいは神々しさを感じさせる。特に川とそこに差し込む陽の光は、もののけ姫のシシガミ様のシーンを思い起こさせるものがあった。メインの場所は小さな洞穴で、そこに鳥居があり参拝する場所になっていた。ここで石を重ねながら願い事をすると叶うということで、無数の石の積み重ねが見られた。当然というべきか、手頃な大きさの石は既に残っておらず、願い事をすることはできなかった。ただ、この場所よりも、ここに来る途中の場所の風情が素晴らしく、戻る途中その風景をしばらく立ち止まって楽しんでいた。
かなり感銘を受けたこともあり、西本宮でふだんは引かないおみくじを引く。小吉ではあったが、細目の中の項目のひとつでずばりと言われた感じがあり、おどろきを隠せない私であった。
天の岩戸が良すぎたのか、高千穂中心部はそこまで感じるものはなかった。高千穂神社は風情があり、源頼朝の家臣の畠山重忠手植えの杉というにも感心したが、肝心の高千穂狭があまりにいわゆる観光地然となっているのが腑に落ちない。決して悪いことではないのだが、アジアからのお客さんの比率があまりに高い。観光の仕方が日本人とは異なるため、どうしても落ちついて風景を楽しめないのである。しかも、この時間帯から出てきたのだが、腹の動きが急に活発になり、急いでトイレを探すことになるというのが増えた。なお、ランチは高千穂中心部にあるカフェっぽいところで高千穂牛ボウル。落ち着けたし、なかなか味も良かった。
バスセンターに戻り、延岡へ向かう。旧道を行くバスで、ずっと川沿いの幅の広くない道を行き、辺りはだんだん暗くなり、少しこわい感じもあった。延岡の宿は部屋に少し臭いが残りどうも感触が良くない。駅前はかなり寂しく、その中でとんちゃんという延岡ではかなり人気があるという店に行ってみると、仕込みに時間がかかり1時間待ってくれという。逆に信用できる気がし、部屋に戻るのには気が乗らなかったため、駅ビルにあった蔦谷書店へ。実は蔦屋書店には初めて入ったのだが、販売用の本と閲覧用の本が両方置いてあるのはなかなか良いかもしれない。たとえばアート系の本などが閲覧できるのは、現地の学生にとってかなり役立つのではないだろうか。ここで明日行く宮崎の下調べをして、時間が来たので再びとんちゃんへ。結構こだわりの強いメニュー内容だったが、それを裏切らない内容で、特に名物のチキン南蛮は美味であった。
九州旅行:熊本
空港からバスで入ったので、どこが中心かはわかっていた。それにしても駅の周りに食べられそうな店がないので、ホテルの人に来てみると、駅にあるという。実際、かなりの充実ぶりであった。ラーメン店が四件ある中から人が並んでいるところを選ぶ。豚肉はニンニクの味付けで、麺は博多のっぽい。そこまで感心せず。
熊本城へは市電で向かう。ガタゴトとなかなか進まない。熊本城メインの電停から向かう。外堀からして崩れているとこがある。清正像を写真に収めたのち城の入口へいくと大きなくまモンが出迎えてくれた。いろいろ櫓(やぐら)が現われこれか、これかと思っているうちにようやく本物の天守閣に出る。石垣と、大小ある天守閣の小の方が補修中である。天守閣も石垣もそこまで大きさを感じなかったが、じわじわくる。天守閣以外のところにも傾斜の急な石垣が見られた。清正公を仇として狙っていることがばれて築城中に生き埋めにされた人にまつわるものが展示されていた。なおテレビで「桝形」が紹介されていた大手門は被害の大きいためまだ公開に至っていなかった。メインの地区を出た後も遠くから天守閣が見えたので、何枚も写真を撮った。近くに穴場っぽいもので「細川刑部邸庭園」なるものがあり、少し道を迷いつつも行ってきた。京都で観た庭園ほどではないとは感じたが、十分紅葉狩りができた。夜にはライトアップされるらしい。加藤神社という、勿論清正公を祀る神社にも参拝した。
城を離れ、街の中心であるところのアーケイドを歩き、夕食の店を探す。有名らしい馬肉の店のガイドに出ている方が見つけられなかったが、もう一方の店が見つかる。高価なので迷いつつも入ってみると、あいにく貸し切りだった。ガイドに出ている方の店に電話をしてもらったがいっぱいだったので、先に目を付けていた郷土料理で馬刺も出る店に入る。なかなかシブかったがメニューは充実していた。馬刺盛り合わせの量を少なくした版ができるというので、それにした。5つの部位が食べられ、普通の味のものもあったが、たてがみがコリコリして一番旨かった。ほかのものも普通の馬刺よりはなめらかだった。ここでコストがかかったため、キビナゴの天ぷらなどで抑え目にする。
泊まったホテルは駅に近く部屋も申し分なかった。この日福岡での相撲の千秋楽だったが、熊本だというのに力士の姿が見られた。翌日は9時過ぎの高速バスで高千穂に向かった。ホテルの朝食はつけなかったので、駅のパン屋のイートインに入った。出るときジャケットを忘れてあわてて戻る。それほど温かかったということだが。時間的に、熊本駅からビジネスマンのが続々と出てきて、これも熊本の特徴の一つを形作っている気がした。熊本は振り返ってみると、決して大都市ではないが恵まれた中都市という印象。そして、中心にある熊本城を誇りに思い、敬意を払っている。それだけ城の存在感は大きかった。この後行ったいくつかの街に比べると海外からの旅行客の印象は強くなかったように思う。
シネマイレージ014:ジョーカー
ジョーカー(監督:トッド・フィリップス)
☆☆☆☆
現在日本の映画興行成績1位独走中のこの作品観てきました。大体の大きな流れは予測していたのですが、それにしても暗かった…。下層階級(と言っていいのかな)の未来に明るさのない話がずっと描かれ、明るめの話といえば、近所のお姉さん(娘いるけど)と少しいい感じになることくらい。それも証券マン3人殺しの件が覆いかぶさり、そして市長候補の人(いわゆる富裕層)との因縁の件が入ってきて、さらにどうにもならなくなっていきます。何といっても、主人公の笑いが止まらないクセが、病気なのですが、何ともいやな感じをかきたてられます。
そして終盤にかかるところで階段のシーンになり、ここでようやく自分的には気合が入りました。エンディングの考え方がいまひとつわかっていないのですが、その前で終わってしまうとあまりに刺激的すぎるというところもあるのでしょうか。
映画が終わって外に出ると、日比谷だったのもあってか、いわゆる日本の中流の人たちであふれていて、映画の世界感との差異にもおどろかされました。むしろこういう人たちがこの映画を観て共感できるところがあるのか、そして何故日本でも興行成績がここまでよいのかがピンときませんでした。私の見解としては、ヴェネチアで最高賞を獲ったという評価の裏付けと、周りが娯楽作ばかりの中で飛びぬけて本格派作品であるという立ち位置があるのではないかと思っています。本格派といえば、監督は『ハングオーバー』シリーズのトッド・フィリップスで、制作陣にはその『ハングオーバー』にも出て最近では『アリー スター誕生』(私は結構気に入ってます)を監督したブラッドリー・クーパーも名を連ねており、この「本格派感」というか自分の好みのテイストが入っているのはブラッドリーの線もあるのかと思ってみたりしました。
バットマン関連観たことがないのですが、さすがに気になったので少しかじってみようかと思います。