シネマイレージ011: バイス | せっつのブログ

シネマイレージ011: バイス

バイス(監督:アダム・マッケイ) ☆☆☆☆★

ゴールデンウィークに観てかなり印象というかインパクトのある作品だったのですが、いつの間にか時間が経ち、ようやくレビューです。

ブッシュ政権(子ブッシュの方)の副大統領(バイス・プレジデント)として、実質的に権力を掌握し、イラク戦争にかこつけてやりたい放題を行った(とされる)チェイニーを描いた作品。過去に逮捕歴があるのですが、まさにその頃である凡庸以下の大学生時代から描いています。インターンから入った政府の事務職でラムズフェルドの基についたところ、これがまさに彼にとって天職だったのか水を得た魚のように裏方での活躍を見せ、最年少で大統領首席補佐官に登用される。フォードからカーター政権になり共和党が下野した時は、地元で立候補し、下院議員に選出される。ブッシュ(父)政権の際には国防長官を担当するが、心臓の病気の問題もあって政界を引退。石油掘削機の販売会社であるハリバートン社のCEOに天下り(おそらく)して、趣味のアウトドアライフを中心とした悠々自適な生活を送ることになる。~ここで一旦、ハッピーエンドとしてエンドクレジットが出ます!
そんな中、クリントン後の大統領選にあたり、ブッシュ(子)から副大統領にならないかという相談が入ります。乗り気でない風をよそおいながら最終的に受諾し(釣りにたとえていました)、しかも要職を自分の身内で固めてしまいます。そしてあの超僅差の大統領選を制したブッシュは大統領に、チェイニーは大統領を操る実質的な権力者となります。そんな中、あの9.11がやってくる…

作品としてはチェイニーを風刺するというか悪く描いた作品のはずなのですが、私には非常に魅力的な人物に映りました。学問的な頭ではなく地頭が良く、どうやればうまく転がるということが分かっている。こわもてではあるが、愛嬌もある。一度引退したところから風向きが変わってアメリカの支配者になってしまうところもすごいです。いわゆる人たらし系の人の気がしてきます。逆にそういう人にだまされないように気を付けなければいけないのかも。

映画の“語り手”はチェイニーと何の関係もなさそうな人が当たり(近くにいることはあったかも)、この人がなんと終盤で思いがけない形で関わりを持つことになります。これを含めてもストーリーテリングとしても巧みで、最後まで絶えず引き込まれる映画でした。