謎だらけの「ミヤマ」シリーズ第7弾(神代植物公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

昨年からよく紹介している

代々木公園の宿根草花壇でございますが

その第二弾ともいえる花壇が

現在、神代植物公園の入口前でお披露目されています。

 

代々木と同様、東京パークガーデンアワードという

ローメンテナンス型のガーデンのコンテストで

入賞者5名の花壇が実際につくられているわけですが

今回は入賞者の方がそれぞれ日なたと日陰に

1つずつ花壇を作る形になっています。

(代々木の場合はほぼ日なたのみ)

当然、日照が違うと育つ植物もまるで違うため

同じ人がつくった花壇でも植物種やデザインがまるで違います。

 

 

 

 

 

今回はテーマが「武蔵野の“くさはら”」ということで

代々木の時よりもグラス類が多く、野趣を感じさせます。

その分、花数はそこまで多くないので

必然的に蜜を求める昆虫の数も

代々木の花壇より少なくなる傾向にありますが

これについては「隣に神宮の内苑の森がある」という

代々木の立地的なアドバンテージによるところも大きいですし

昆虫の本番はまだまだこれからですので

引き続き様子を見たいところです。

 

 

 

 

 

 

多くはないものの、もちろんゼロではないので、

昆虫の飛来もちゃんと確認しています。

王道のクマバチ(左)のほか、キク科の花の上には

キリギリスの仲間の幼虫(右)が乗っかっていました。

 

 

 

 

 

では公園の中へ。

昨年11月の講座で歩いた時には工事中であった

園内の宿根草ガーデンがリニューアルされています。

オープンしたのは今年の春からみたいです。

 

植栽が非常に充実しており

間違いなく以前よりレベルアップしています。

公園のスタッフさんたちだけでなく

どうやら民間ボランティアの方も

維持管理に努めている模様。

今後どうなっていくのかが気になります。

 

 

 

 

 

使用されている植物につきましては

代々木の宿根草花壇に通じるものがあり

ナチュラリスティックガーデンの

王道というイメージです。

 

植物種が増えて高低差も生まれましたので

昆虫にとってはありがたいリニューアルではないかと。

 

 

 

 

 

 

三尺バーベナを訪れるオオスカシバ(左)に

翅を休めているショウジョウトンボのメス(右)。

ほか、ミツバチとクマバチが多数飛んでいました。

 

 

 

 

 

5月末ということで、バラ園の方もちょうど見頃でした。

予想通り、かなり人があふれていますね。

 

 

 

 

 

 

メインである沈床式花壇のような

一発で目を惹く華やかさこそないものの

原種系のバラを集めて育てている区画もあります。

人の手で作出されたものでないため

花弁が王道のバラのように「巻き」を作りませんが

その分蜜源などが露出していますので

昆虫にとってはよい食事場所になっているようです。

 

あと、原種にはトゲの多い品種がよく見られるのですが

これはトゲをまわりの石や木に絡ませて

光を求めて上へ上へと伸びる傾向があるため。

園芸用のつるバラの中には、怪我をしないよう

トゲの少ない品種に改良したものもありますが

「完全にトゲがないつるバラ」というのは

2024年現時点でもまだほとんど存在しません。

(1つだけそういうつるバラを知っていますが長くなるので割愛)

 

 

 

 

 

暑くなってきたので水浴び中。

右上のヒヨドリは乾燥中(?)です。

 

 

 

 

 

コオニヤンマが出現。

このトンボは身体に比して頭部が小さいのが

大きな特徴なのですが、この角度からだと

ちょっとわかりにくいかもしれません。

識別する時は真横から見るといいかも?

 

 

 

 

 

かなり近くにいた上に全然逃げなかったので

スマホで撮影されている方もいらっしゃいました。

 

 

 

 

 

正面から撮影することもできました。

レンズとの距離は10cm程度です。

 

 

 

 

 

そして、この日は嬉しい新顔にも遭遇。

アオオビハエトリを初撮影した時に

ちらと小耳に挟んだ、奴と肩を並べる

日本で最も美しいハエトリグモの1種です。

ヨダンハエトリといいます。

 

遭遇率・・・2 (珍種ではないですが見たのは初めて)

インパクト・・・1 (ハエトリグモなのでかなり小さい)

美しさ・・・4 (腹部の模様が見事)

俊敏性・・・3 (なかなか静止しないので撮りにくい)

知名度・・・2 (その筋では有名らしい)

 

Wikipediaに単独ページを持っている

アオオビハエトリと比べると、遭遇率は低い一方

色合いの派手さではこちらに軍配が上がります。

腹部に4段のオレンジ色のラインがあることが

名前の由来になっているようです。

 

 

 

 

 

ほぼ同じ場所にアオオビハエトリもいたのですが

残念ながら近づいてきてはくれなかったため

美麗種2種の一緒にいるシーンは撮れませんでした(汗)

 

この2種についてどちらが美しいと捉えるかは

人によるかもしれませんが、何となく日本人は

アオオビryの方を好みそうな気がしないでもないです。

 

 

 

 

 

それともう一つ。この日とある樹木で

複数個体を確認したこちらの甲虫……。

サイズはせいぜいコメツキムシ程度でしたが

顔の形からして、これはタマムシの仲間ですね。

 

手持ちの図鑑はもちろんのこと

昆虫エクスプローラーにも掲載されておらず

色やサイズなどを元に色々検索をしてみました。

その結果、ミヤマナガボソタマムシという

あまり首都圏では目にする機会のない甲虫だと判明。

(絶滅危惧種とされているわけではないようです)

もちろん、初めて撮影したものとなります。

 

遭遇率・・・1 (本来関東にはあまり分布していない?)

インパクト・・・2 (サイズは本家タマムシの半分以下)

美しさ・・・4 (やや黒味の強い青緑色のメタリック系)

俊敏性・・・ (それなりの頻度で飛ぶ)

知名度・・・1 (手持ちの図鑑では非掲載)

 

 

 

 

 

 

サイズがわかるように、手を添えて1枚。

1匹だけでなく複数個体飛んでいたので

どこか近くで繁殖したものと思われます。

 

検索をかけると、撮影場所として出てくるのが

雲仙だの熊本だのと九州ばかりなので

なぜここに現れていたのかはちょっと不明です。

単に今まで私が気付いていなくて実は毎年出ていたのか

九州方面から持ってきた木を植えた際に一緒についてきたのか

ツマグロヒョウモンみたく温暖化に伴い北上してきたのか……

 

いずれにしても、強く印象に残る出合いでした。

 

なお、「ミヤマ(深山)」という名の付く昆虫としては

ミヤマセセリ、ミヤマチャバネセセリ、ミヤマクワガタ、

ミヤマアカネ、ミヤマカワトンボ、ミヤマカミキリに続き

7種目の登録という形になります。

(ミヤマカラスアゲハもそろそろ撮りたい)

 

 

 

 

 

その後は水生植物園の方にも足を運び

咲き始めたハナショウブを観賞して……↓

 

 

 

 

 

池でカメを観察して、この日は帰りました。

(さりげなくスッポンが2匹混じっています)

 

本ブログだと、この植物園に行くのは

秋であることが多いのですが

今回のような夏場はもちろんのこと

冬~春も色々と鳥が観察できますので

通年で「生きものめぐり」ができる公園でもあります。

 

 

 

 

 

【5/26 神代植物公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・シジュウカラ、ヒヨドリ、ムクドリ

昆虫類・・・アオオビハエトリ、アシブトハナアブ、エグリグンバイ、オオシオカラトンボ、オオスカシバ、カマキリの幼虫、キリギリスの幼虫、クサギカメムシ、クマバチ、クロイトトンボ、コアオハナムグリ、コオニヤンマ、シオヤアブ、シマアメンボ、ショウジョウトンボ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、ツマグロヒョウモン、ナミテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ハグロケバエ、バラルリツツハムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ホソヒラタアブ、ミヤマナカボソタマムシ、ムラサキシジミ、モンシロチョウ、ヨコヅナサシガメ、ヨダンハエトリ

その他・・・アカミミガメ、スッポン、メダカ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2024年7月21日(日)に開催いたします。

 行先は「舎人公園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。