【講座実施報告】カマキリの「卵」ってこんなだったのか(11月・神代植物公園編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

雑誌の締め作業に追われて尻に火がついていますが

先週日曜(11/19)に開催いたしました

講座「首都圏生きものめぐり」のレポートを

こちらに掲載させていただきます。

 

今回は秋の神代植物公園を散策しましたが

いつもと違い、昼食込みのロングタイムで実施。

時間をたっぷりと取ったので、本園、分園、

そして深大寺周辺と余裕をもって歩くことができました。

 

この日は毎年恒例の菊花大会の最終日。

全体的に秋の花の開花期が遅れたため

ちょうどこの日が神代花車(写真)の

最盛期だったように感じます。

少なくとも、この2週間前(11/4)に

現地を視察しに行った時と比べると

明らかに「見頃」であったという印象です。

この辺りの見頃は今後年々ランダムになりそうなので

その都度気象情報や傾向を読みながら

私たち一人ひとりが推測するしかなさそうです。

 

 

 

 

 

正門近くで唐突に出現したオオカマキリ

菊の展示棚に乗っかっていて

スタッフの方が困っていらっしゃいましたので

一言お断りして捕獲(もちろん素手で)しました。

 

今回の講座はある意味でカマキリが

メインターゲットみたいなものでしたので

スタート直後に一つ「目標」を

達成してしまった感があります。(;^_^A

 

 

 

 

 

しかしまあ、この日は晴天でしたね。

遠方の富士山がくっきりはっきり見えました。

気温も晩秋にしては高く、20℃以上に。

昆虫の「出」が良かったのもこのためです。

 

 

 

 

 

ハギ園の近くに開花していたイソギク

花粉を食べに来たのか、ツユムシの姿を確認できました。

花粉は葉よりも栄養豊富だと聞いたことがあります。

 

 

 

 

 

深大寺にて、突然目の前に飛んできたので

素手で捕獲して見せました。ウラギンシジミです。

翅を開いていないのでわかりにくいですが

これはメス。もちろんオスとの違いについても

しっかり解説させていただきました。

 

 

 

 

 

 

神代植物公園 本園にて。

大温室(左)にも入りましたし

ジュウガツザクラ(右)も観賞しました。

大きな公園ですが、歩くポイントを把握しておけば

1時間ちょいくらいで全エリアを歩き切ることもできます。

 

なお、生きものが発生しやすいのは

ハギ園と入口近くの池周辺。

バラ園にもちらほらと飛んではいますが

バラはほとんど蜜源としては働いてくれず

むしろダリア園の方が虫を呼んでくれています。

(ただし、バラに来るハチの姿もありました)

 

 

 

 

 

本園散策後、分園に向かう前に昼食をとりました。

せっかくなので深大寺そばのお店へ。

11:30くらいにお店に入れたので

あまり混雑はしていませんでした。

これが12時回ってしまうと大変なことになるので

早めに入ったのは我ながら英断でした。(;^_^A

 

 

 

 

 

食後はまず水生植物園へ。

ミゾソバやツリフネソウなどの秋の花が

まだこの時点では多数残っていました。

(本来の花の最盛期は9~10月くらい)

本園と違って「植栽」はほとんどされておらず

元々の自然を見せているようなエリアなので

昆虫・野鳥の出現率も高くなります。

 

アオジの声らしきものは聞こえましたし

視察時に実際写真も撮っているのですが

残念ながらこの日は姿を見せてくれませんでした。

 

 

 

 

 

指にとまるアキアカネ

何故私にばかりやたらとまるのかは不明。

飛び回っているルートに指を出すと

自然とこういうシーンが多くなる……みたいな感じ。

 

当たり前ですが、右手にとまらせてしまうと

自分では(カメラでは)撮影ができないので

マネしたいのであれば左手を使いましょう。

 

 

 

 

 

おっと、池の中にドジョウの姿が。

水質が適しているのか、複数見かけました。

 

 

 

 

 

これはチョウセンカマキリ

ほんの少しだけですが、鎌の付け根の

赤い部分が覗けています。わかりますか?

 

ちなみにこの水生植物園ですが

他のスポットと比較して明らかにチョウセンryの

出現率が高く、この日はかなりの数の

卵のうを確認しております。

 

 

 

 

 

なお、この橋げたの卵のう

チョウセンカマキリのものなのですが

実は私、2週間前の視察の際に

ちょうど「産卵」しているシーンを観察しております。↓

 

 

 

 

 

これがその視察時(11/4)に撮影した写真。

まだ産卵を始めた直後のチョウセンカマキリです。

(まだ半分くらいしか産んでいません)

この後、終わるまでには結構時間がかかりまして

この状態から「産み切る」までに

最低でも2時間くらいはかかっていたようでした。

当然、産み始めたのはもっと前になりますので

産卵にかかる時間を計算すると……さて、どのくらいになるのか?

 

 

 

 

 

産卵中の卵のうを可能な限りクローズアップ。

卵そのものは細長い楕円形をしており

よくよく見るとその形らしきものがわかります。

それを包む卵のうは、産卵直後は泡のように柔く

時間経過に伴って固まっていきます。

 

 

 

 

 

産卵後のチョウセンカマキリ。

ちょっと別の場所を散策している間に産み切っていたので

いつ産卵が終わったのかは定かでありません。

(さすがにここで何時間も待ち続けるのは酷なので)

 

カマキリの産卵シーンは大分久しぶりに見た気がします。

最後に見たのは、それこそ子供の頃だったんじゃないかと。

欲を言うなら講座の日に産卵してほしかったですが(爆)

視察時に産んだ卵のうがそのまま残っていたのを

紹介できたのは嬉しいことです。

 

 

 

 

 

ちょうど最盛期だったツワブキ

チャバネセセリ(左)やキタキチョウ(右)など

多くの昆虫に蜜を提供する晩秋の花です。

東京駅の丸の内駅前広場など

最近は都心部でもよく植えられていますので

恐らくは東京の生物多様性向上に

結構貢献しているかと思われる植物です。

 

 

 

 

 

おなじみ、ウラナミシジミも飛来していました。

……今年はいつ頃まで見られるんだろうか?

(意外と年明けまで粘ったりして)

 

 

 

 

 

 

ちなみにこれは視察時の記録です。

ハギの花でウラナミシジミが産卵しており

ちゃんと卵も確認しました。

……でもここで孵化したとしても

恐らく冬越しはできないんだけどなぁ(爆)

 

 

 

 

 

寿命が尽きかけていたと思われるクロスズメバチ

深大寺で頼りなく足下を歩いていたので

ひとまず救助して近くに移動させてやりました。

当然、ハチなので毒針も持っているのでしょうが

まあオオスズメバチというわけでもありませんし

敵意はなさそうだったので。とは言ってもこの状態では

命が尽きるのも時間の問題だったかもしれません。

 

 

 

 

 

アカスジキンカメムシの幼虫

なぜか一部のカエデの木に多数来ていましたが

ここで樹液を吸っていたのかどうかは微妙。

成虫の美しさには定評がありますので

然るべきシーズンに来ればあの姿を

高確率で堪能できる……のかもしんない。

 

 

 

 

 

知らない甲虫(爆)

すみません、図鑑でも全く同定できていません。

もしわかる方いらっしゃいましたら

そっと教えていただけますと幸いです。<(_ _)>

 ▼

Facebookにて詳しい方に助言をいただきまして

ムネアカセンチコガネという種であることがわかりました。

 

遭遇率・・・1 (かなりレア度が高い模様)

インパクト・・・2 (色は目立つが本家センチコガネより小型)

美しさ・・・3 (オレンジ色が鮮やか)

俊敏性・・・3 (手に乗せるとすぐ飛んで行ってしまいました)

知名度・・・2 (レア種ゆえか昆虫ファンにはそれなりに知られている模様)

 

これまで撮ったことがなかったことからもわかる通り

そう簡単に会えるような甲虫ではない模様。

それゆえか実はまだ生態には不明な点も多く

他のセンチコガネのように糞を食べるのではなく

植物の菌根菌を食べるタイプなのだそうです。

写真の個体はメス。オスには角があるのだとか。

 

なお、コイツを見つけた場所は

決して極端に自然度が高いとは思えない場所です。

まあ、芝生広場やゴルフ場に出るという記述もあるので

それ自体は決してイレギュラーではないようですけどね。

 

情報提供いただきました方、誠にありがとうございました。

 

 

 

 

 

最後に、植物多様性センターを散策。

もう大分日が傾いていたので

気温も下がり始め、昆虫の出も悪くなっていました。

 

 

 

 

 

それでも、草むらをかき分けてみると

ショウリョウバッタモドキの姿が。

 

 

 

 

 

ヤツデの葉の裏には、ヤツデキジラミの姿も。

これだけの小さい昆虫なので、前情報がなければ

恐らく知らない人はスルーしてしまうはず。

 

2年前の初撮影以来、ヤツデを見かけると

葉を引っ繰り返す習慣がついてしまいました。

実際、コンスタントに確認していると

そこそこの率でエンカウントしますし

他の小昆虫が一緒に見つかることもあります。

 

 

 

 

 

この日最後のカマキリは

アザミの花で待機するオオカマキリでした。

 

チョウにしろハチにしろ

蜜源に赴くのは命懸けということですね(汗)

 

 

 

 

 

最後に、ここ数年では一番早く見た気がするツグミです。

(最近は年明けにならないと見られないことも多いので)

彼らのライフサイクルにも何かしら変化が生じているのか?

これからのバードウォッチングシーズンにおいては

その辺も随時チェックしていきたいところです。

 

以上、お天気にも恵まれまして

なかなかに充実した講座になった気がします。

ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。

 

 

 

 

 

【11/19 神代植物公園の講座で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、シジュウカラ、ツグミ、トビ、ハクセキレイ、メジロ

昆虫類・・・アカスジキンカメムシ(幼虫)、アキアカネ、アジアイトトンボ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミ、オオカマキリ、オンブバッタ、キタキチョウ、キンケハラナガツチバチ、クダマキモドキ、クロスズメバチ、コバネイナゴ、シマアメンボ、ショウリョウバッタモドキ、セイヨウミツバチ、ダンダラテントウ、チョウセンカマキリ、ツマグロヒョウモン、ツユムシ、ナナホシテントウ、ヒナバッタ、ベニシジミ、ホシホウジャク、ホソメヒラタアブ、ムネアカセンチコガネ、ヤツデキジラミ、ヤマトシジミ

その他・・・ドジョウ、メダカ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年12月17日(日)に開催いたします。

 行先は「旧芝離宮恩賜庭園~浜離宮恩賜庭園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。