昆虫だけなら最初の緑道だけで十分な可能性あり(目黒川緑道~砧公園~フラワーランド~二子玉川) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

今年に入り、雑誌の仕事の関係で

世田谷区の取材を続けてきた私ですが

プライベートで遊びに行くことはあまりなかったため

一日がかりで出かけてまいりました。

もちろん世田谷区全体を歩き切るとなると

到底一日では済みませんので

ある程度生きもの観察ができそうなところを絞り込み

まずは以前にも紹介しました目黒川緑道に向かいます。

 

上の写真は、渋谷駅から池尻大橋へ向かう途中。

大きな車道沿いのアベリアです。

目の前は高速道路と高層ビル街という

惑うことなき大都会なわけですが

普通にホシホウジャクやチャバネセセリなどが

蜜を求めて飛び回っていました。

 

 

 

 

 

 

10月末の目黒川緑道です。キバナコスモスを始め

秋の花が色々と開花していました。

前回の訪問時にもちらとお話しましたが

蜜源植物が非常に多く植えられていますので

チョウやハチを観察したいのであれば

世田谷区ではここが一番だったりします。

(後述のフラワーランドより効率的な可能性もある)

 

 

 

 

 

そうした小昆虫を狙ってか、トンボも出現。

竿の先端にアキアカネが止まっています。

ここを縄張りにしているのでしょうか?

 

 

 

 

 

ローズマリーで吸蜜するニホンミツバチ

どこか近くに巣があるのでしょうかね。

 

 

 

 

 

 

カラミンサという花で吸蜜するウラナミシジミ(左)と

アメジストセージにやってきたナミアゲハ(右)。

ちなみに、どちらの植物もシソ科の仲間です。

ラベンダーなんかも同じくシソ科ですが

あの系統の植物は昆虫を呼びやすいようです。

(ついでにローズマリーもシソ科です)

 

 

 

 

 

 

キバナコスモスも相変わらず優秀な蜜源。

(左:キンケハラナガツチバチ 右:ヒメアカタテハ

ハチの方は、あの長い腹部を上手く使って

花にしがみついているように見えました。

別にこのためにこういう形に進化したわけでは

ない……とは思いますが……。

 

 

 

 

 

ご一緒するウラナミシジミセイヨウミツバチ

ちょっと珍しい光景かもしれない?

近くにアオスジアゲハも来ていましたが

さすがに大きなアゲハと一緒では

他の昆虫も食事などしていられないでしょう。

 

 

 

 

 

 

その後、池尻大橋駅から田園都市線に乗車し

用賀駅で下車。そこから徒歩で砧公園へ。

この砧公園が世田谷区で最も大きい公園であり

バードサンクチュアリなんかもあるのですが

まだこの時期は野鳥の観察には適しておらず

加えて草むらや花壇といった虫の来やすいスポットが

ほとんどないため、公園面積に反しまして

実はあまり「生きものめぐり」には適していません。

 

一応、野鳥の観察小屋近くに花壇があったので(左写真)

そちらは確認しましたが、出てくる昆虫は

上記の目黒川緑道とほぼ同じであり

あちらの方が数は多かったように感じました。

 

 

 

 

 

砧公園は一通り回るのみに留めて

近くにあるフラワーランド(←これが正式名称)へ。

名前の通り色々と花の咲く公園であり

結構しっかり植栽管理をされている割には

入園料などを一切徴収していませんので

面積は広くないものの、昆虫を探したいのであれば

ここで張り込みするというのもアリでしょう。

 

ちなみに夏に取材でここを訪れた際には

あのオオセイボウが一度出現したりもしました。

まあ、撮る前に逃げられましたが(爆)

 

 

 

 

 

 

ブルーサルビア(左)と、まだ花の残っていたクズ(右)、

それぞれにウラナミシジミが飛来していました。

もちろん、この他にも蜜源となる植物が多く

チョウやハチの姿をよく見かけました。

 

 

 

 

 

そうした虫を狙っているのか

シジュウカラが見晴らしの良い枝に……。

人にとっては観賞用のフラワーランドも

弱肉強食の自然の営みの場というわけです。

 

 

 

 

 

 

続いて等々力渓谷へ。

ただ、行って初めて気づいたのですが

渓谷内の遊歩道でどうやら倒木があったらしく、

残念ながら一部が立入禁止になっていました。

(少なくとも等々力駅の目の前にある階段は封鎖されていました)

 

仕方ないので、渓谷に隣接する日本庭園まで

一般道を歩いて移動しました。この庭園より下流は

普通に歩けましたので、そちらを通って

二子玉川方面へと向かいます。

 

ちなみに右は、日本庭園で見かけたオオカマキリ

ツツジの上でジッとしていました。

 

 

 

 

 

日本庭園に植樹されていたカキには

キタテハやアカボシゴマダラなどが来ていました。

写真だとわかりにくいですが、

キタテハのとまっている実は熟れ過ぎており

木に生った状態でありながらすでにほぼ腐っています。

それこそ、チョウが口吻を挿し込めてしまうくらいに……。

 

カキの実は現在クマ関連のニュースで

都市進出したクマのエサになることで話題になっていますが

こうした昆虫やメジロなどの糧にもなっています。

 

 

 

 

 

 

等々力渓谷を下りきり、多摩川の河川敷へ。

ここから二子玉川方面へ歩いて進みます。

道中ではトノサマバッタ(右)などを見かけました。

大分前にはアオダイショウに遭遇したこともありますし

結構自然度は高いようです。

 

 

 

 

 

玉川高島屋の屋上庭園へ。

大分日が傾いて涼しくなっていたためか

飛んでいるチョウやハチの姿は見なくなりました。

花数は多いので、もっと早い暖かい時間帯であれば

色々観察できるような気がします。

 

なお、近くにヤツデが植えてあったので

ヤツデキジラミでもいないかと

葉っぱを裏返してみたのですが……↓

 

 

 

 

 

!?

 

最初に見た時は、何なのか全然わかりませんでした。

虫の卵か、それでなければカビやキノコの類か……?

いずれにしても見たことのない物体だったので

後で色々検索を駆使して識別してみましたところ

外来種のカイガラムシの仲間であることが判明。

ルビーロウカイガラムシというそうです。

 

遭遇率・・・1 (近年はほぼ駆逐されたと聞きます)

インパクト・・・2 (色のせいでよく目立ちます)

美しさ・・・2 (色は確かにルビー色ですが……)

俊敏性・・・0 (……だろ?)

知名度・・・1 (数が少ないので外来種としての知名度も低い)

 

 

今回が初顔合わせであることからもわかる通り

外来種ではありますが、ほとんど問題にならないレベルで

現在では目にする機会が少ないと聞きます。

どうも明治時代に日本に入ってきたらしく

しばらくは農業害虫として猛威を振るったらしいのですが

海外から持ち込まれたとある寄生バチ(これも外来種)によって

ある時一気に数が減ってしまったのだとか……。

 

まあ、数奇な運命をたどったと言いますか

紆余曲折を経て、今では関東方面だと

ほとんど目にする機会がないみたいです。

 

ただ、ここのヤツデには結構付着していたので

総合案内に報告しておけばよかったか?と

後でちょっとだけ後悔しました(汗)

 

 

 

 

 

最後に、近くの兵庫島公園へ。

世田谷区の南西端付近に位置する

多摩川河川敷の公園となります。

広い芝生広場を中心に、所々に植え込みや藪がある

見方によっては「サバンナ」のような環境です。

 

 

 

 

 

芝生広場は草丈が低いので

昆虫の類はほとんど見られませんが

藪に目を向けるとセンダングサなどが開花しており

そちらにはヤマトシジミ(写真)などが飛来していました。

 

 

 

 

 

そして、オオカマキリも健在です。

小島のように点在している藪が

身を隠す場所や食事処として機能していることがわかります。

 

ちなみに芝生広場の方もハクセキレイがウロウロしており

時折何か啄んでいましたので、ブログで紹介することのない

もっと小さな昆虫は生息しているものと思われます。

 

 

 

 

……以上、随分色々と移動しましたが

目黒川緑道とフラワーランドはなかなか収穫も多く

あまり望ましくはないですが新顔も登録できたので

充実した1日となりました。

いずれは世田谷でも講座をやってみたいものですが

その際は今回のようにあちこち移動するわけにもいかないので

ある程度エリアを絞り込む必要がありそうです。

 

 

 

 

 

【10/28 世田谷区内で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、イソシギ、カルガモ、カワウ、シジュウカラ、ダイサギ、ハクセキレイ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アオスジアゲハ、アオモンイトトンボ、アカボシゴマダラ、アキアカネ、アメンボ、イチモンジセセリ、ウラナミシジミ、オオカマキリ、キタキチョウ、キタテハ、キンケハラナガツチバチ、スジグロシロチョウ、セイヨウミツバチ、チャバネセセリ、ツマグロヒョウモン、トノサマバッタ、ナミテントウ、ニホンミツバチ、ヒメアカタテハ、ベニシジミ、ホシホウジャク、モンキチョウ、ヤマトシジミ、ルビーロウカイガラムシ

その他・・・アカミミガメ、メダカ

 

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年12月17日(日)に開催いたします。

 行先は「旧芝離宮恩賜庭園~浜離宮恩賜庭園」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。