以前に取材で訪れたことのある目黒川緑道。
全長だと600mくらいあるのですが
今回紹介するのは、その内の約300mくらいの範囲。
目黒区と世田谷区の境目、ちょうど東邦大学の入口から
上流方面に位置する人工的な「せせらぎ」です。
(よって今回紹介する範囲は全て世田谷区となります)
かつては名前の通り目黒川が流れていたのですが
現在は暗渠化されており、その上に水路と散策路、
そして花壇が設けられているのです。
右奥に見えるのが東邦大学の医療センター。
斜面にはソメイヨシノの大木が列植されており
さらにその足元に日陰に強い植物が入っています。
この時点では花期が終わってしまっておりましたが
6月頃であればアジサイが、真夏であればユリの仲間が
それぞれ観賞できます。無論3月末~4月上旬ならば
サクラの花が満開期を迎えますので
春~初秋にかけてはほぼ花が尽きることがありません。
特筆すべきは、植栽密度が非常に高いということ。
過度に地面が露出しているところがありませんので
いつの時期でも一定以上の「見栄え」を保っています。
上記の病院前は木陰になっていますが
それより上流に進むと日当たりがよくなり
秋でも花の咲く植物が多数見られました。
それに伴い、昆虫も多数確認できるようになります。
写真は、最早お馴染みのウラナミシジミ。
僅かに残っていたミソハギの花で吸蜜中です。
ヒメツルソバなどの横に広がりやすい植物で
水路を構成する石の隙間を覆っています。
単なる石組よりも、一層「自然」な雰囲気に。
ちなみに上の方で「花壇」と書きましたが、
せせらぎ沿いは何も花ばかりではありません。
植物好きの地元有志の皆さんが、
一年草から多年草、花木までと大小様々な植物を植え
ちょっとした植物園のような様相を見せています。
花壇から遊歩道に溢れんばかりに生長した植物も。
昆虫にとっても貴重な蜜源となっており
上記の植物1株だけでセイヨウミツバチ(左)のほか、
ニホンミツバチ(右)やアブの仲間なども見られました。
こちらにもウラナミシジミが飛来していました。
翅の形や色合い、脈の入り方などが非常に美しい個体です。
2頭のアオスジアゲハが飛来中。
彼らはクスノキさえあれば繁殖は十分可能ですが
街中だとこうして複数一気に現れるのは
未だに稀な光景だったりします。
ナミアゲハもやってきました。
上記の通り、ここは大橋ジャンクションのすぐ近くで
特に大きな公園等に隣接しているわけでもありませんが
蜜源植物がこの緑道に集中しているためか
どこからともなく大小様々な昆虫が飛んできます。
無論、都会の真っ只中ということもあって
そこまで珍しい種は現れませんが、数は非常に豊富です。
おっと、ルリタテハまで現れました。
普段は郊外の農業地帯や雑木林の住人なので
こうした街中で会えるのは結構珍しいことです。
水路とルリタテハ。
右側の石で翅を休めています。
この時点ではキバナコスモスも多数開花していました。
チャバネセセリ(右)などのチョウやハチも多数見られました。
小さな草食昆虫が集まるからか
肉食であるトンボも飛来しています。
(写真はお馴染みのアキアカネ)
さて、この時歩いた距離は片道約300m程度。
観察しながら歩いても、恐らく15分もかかりません。
にも拘らず、12種類の昆虫を確認できました。
決して「純自然」ではない、人工的な水と緑のプロムナードですが
それでも確かに生物多様性に貢献していることが窺えます。
同時に、地元の皆さんが散歩道などとして利用し
花の写真を撮っていかれる方も多く見られるなど
人にとって居心地よい空間になっている点も重要です。
【10/20 目黒川緑道で撮影した生きもの】
アオスジアゲハ、アキアカネ、ウラナミシジミ、キンケハラナガツチバチ、セイヨウミツバチ、チャバネセセリ、ツマグロヒョウモン、ナミアゲハ、ニホンミツバチ、モンキチョウ、ヤマトシジミ、ルリタテハ
★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は
2022年11月20日(日)に開催いたします。
行先は「石神井公園」でございます。
(白子川は今回行かないことになりました)
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