【講座実施報告】東京リバーサイドウォーキング(5月・目黒川緑道~中目黒公園編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

 

5月の散策講座「首都圏生きものめぐり」では

目黒川緑道をまず散策。池尻大橋駅からすぐですが

行ったことのない方はちょっと見つけにくいかも?

 

有志の皆さんが様々な草花やシュラブを植えて

小川プロムナードを美しく設えているこの緑道。

流行モノから珍しい品種までと種の幅が広く、

植物園を散策する感覚で楽しめる秀逸なスポットです。

 

 

 

 

 

 

多肉植物をはじめとした乾燥に強い植物は

メンテナンスのしやすさなどから最近好まれ、

ここでも所々に見受けられます(左写真)。

ただ、あくまでそれは一部分。

ローメンテナンスよりも「植えて楽しい」「見て楽しい」という

シンプルかつ大事な園芸の醍醐味を重視しているようで

全体的にしっかりと手入れが行き届いています。

 

右はノハナショウブ。よくあるハナショウブと違い

元々日本に自生している品種です。

湿地帯に生えるそうですが、関東圏ですと

ちょっと自生株を見るのは難しいかと思われます。

 

 

 

 

 

護岸の石を覆うヒメツルソバの花を

カルガモのつがいが食べていました。

このヒメツルソバは護岸部分を覆うことで

野趣を演出していますが、それと同時に

生きものの「糧」としても活躍しているのです。

 

 

 

 

 

 

ヒメジャノメ(左)やモンシロチョウ(右)など

チョウの仲間も飛来しています。

ただ、チョウの観察数が一番多くなるのは

今の時期よりもむしろ秋。特に9月中旬辺りから

ウラナミシジミが出やすくなりますので

その辺りの時期に訪れるのもまた面白いでしょう。

 

 

 

 

 

これはセマダラコガネですね。

大橋ジャンクションの屋上庭園(目黒天空庭園)に

立ち寄った時に見かけましたが……

「こんなにきれいだったか?」とちょっと驚きました。

(珍種じゃないですが最近あまり見なかったので)

 

 

 

 

 

目黒川緑道→目黒天空庭園と散策した後は

目黒川へと繰り出して、川沿いを下流方面へ。

少し歩いたところで「チー」と鳴き声がしたので

手すり越しに川面に目を向けます。

 

 

 

 

 

声の主はやはりカワセミ

しかもこの日は、延べ4回姿を見かけました。

少なくとも1羽ではなく、複数個体が

このガチ人工護岸の目黒川にいたのです。

(ちゃんと魚も捕まえていました)

 

 

 

 

 

コサギは非常に多かったです。

この周辺の代表種と言ってもいいでしょう。

 

 

 

 

 

川沿いを歩く際には、街並みにも目を向けます。

フェンスに這わせたつるバラは、まさに5月の醍醐味です。

つるバラは旺盛に成長する分、秋は咲かないので

次に楽しめるのはまた来年となります。

 

 

 

 

 

 

中目黒駅を経由してさらに下流へいくと

間もなく中目黒公園が見えてきます。

それほど大きな公園ではありませんが

ハーブ園や宿根草主体の花壇など

コンテンツはなかなか充実していますし

その分生きものの数・種類も豊富です。

 

この日は入口近くのスモークツリーが見事でした。

 

 

 

 

 

これは花壇の一角。

もうちょい花が豊富な所も多いですが

公園を代表する雰囲気としては

こんな感じかな?と個人的に思っています。

 

 

 

 

 

おっと、もうオオスカシバが飛び始めました。

元々年に1~2回、夏から発生するらしいので

暖かくなったことで「前倒し」で出てきたのでしょう。

 

なお、この講座開催日以降も

例の代々木公園の花壇を始めとして

色々なところでエンカウントしています。

 

 

 

 

 

 

セリ科の植物にふと目を向ければ

(左)やキアゲハの幼虫(右)が。

キアゲハについては、この見た目ですと

通常のアゲハ(ナミアゲハ)と区別がつきにくいですが

食草が異なるので、キアゲハと判断いたしました。

(キアゲハはセリ科、ナミアゲハは柑橘類を食草にします)

 

 

 

 

 

 

フキが生えていたので、葉を引っ繰り返し

お馴染みのエグリグンバイ(右)を探しました。

さすがに全部の葉を引っ繰り返していたら

それだけで講座が終わってしまいますので

チェックするのは10枚程度に留めましたが、

それでも複数個体が確認できました。

 

 

 

 

 

チェリーセージでお馴染みの盗蜜を働く

デブのクマバチ。顔に黄色い部分があるので

どうやらオスみたいです。

 

 

 

 

 

こんな新顔にも遭遇しました。

ルリカミキリという小型のカミキリムシです。

 

遭遇率・・・3 (ナシやリンゴの葉につくらしい)

インパクト・・・2 (小型だがそこそこ目立つ)

美しさ・・・4 (名前の通り翅は瑠璃色)

俊敏性・・・4 (頻繁に飛ぶので撮影しにくい)

知名度・・・2 (きれいな割には知名度が低め)

 

以前にカトウカミキリモドキを

本種と勘違いしてしまったこともありますが

改めて見比べてみると全然違いますね。

この日はある特定の木周辺を

複数個体が活発に飛び回っていました。

 

 

 

 

 

カマキリの幼虫。まだ1センチ少々と

非常に小さいですが、ちゃんとカマキリの形をしています。

 

 

 

 

 

ハチの仲間を捕獲したササグモ

この手の「待ち伏せ」型の狩りをするクモとしては

本種が代表種かな?と最近考えています。

(最近、ハナグモやワカバグモよりよく見るので)

 

こういう「生」の営みを観察できるのも

自然度の高い公園ならではと言えます。

講師の予想以上の収穫がありましたので

大満足し、公園を後にしました。

 

 

 

 

 

参加者の方が道中で見つけた四つ葉のクローバー

何気に久しぶりに見た気がしますが

多分、シロツメクサの群落をくまなく探せば

結構見つかるんじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

最後に、帰り道の目黒川沿いで遭遇した

超巨大アオダイショウです。

ここのところ妙にエンカウント率が高い

厚さでダレていたのかもしれませんが

動きは緩慢で、ゆっくりと目の前を通過して

藪の中に消えていきました。

 

以上、The都会の川という感じの

目黒川沿いを半日かけて歩きましたが

想定以上に色々な収穫があった気がします。

「こんな都会に、こんな生きものが?」という

驚きや気付きを得られたのであれば幸いです。

参加者の皆様、誠にありがとうございました。

 

 

 

 

 

【5/19 講座・目黒川緑道~中目黒公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・カルガモ、カワウ、カワセミ、コサギ、シジュウカラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ムクドリ、メジロ

昆虫類・・・アオオビハエトリ、アオクサカメムシ、アオスジアゲハ、アカスジカメムシ、アシナガバエ、アシブトハナアブ、アメンボ、ウズラカメムシ、エグリグンバイ、オオスカシバ、オンブバッタ、カマキリの幼虫、キアゲハの幼虫、クマバチ、クロツヤハダコメツキ、ササグモ、サトキマダラヒカゲ、セイヨウミツバチ、セグロアシナガバチ、セマダラコガネ、ナミテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ハナグモ、ヒメジャノメ、ヒメマルカツオブシムシ、ムシヒキアブ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、ルリカミキリ

その他・・・アオダイショウ、アカミミガメ、スジエビ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2024年6月16日(日)に開催いたします。

 行先は「代々木公園~明治神宮御苑」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。