伊豆高原の花園。遠目には「ハゲ山」みたいでも……(天城高原周辺~大室山) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

8月初旬の話になりますが

正月に引き続きまして、実家の家族と一緒に

伊豆旅行に行ってまいりました。

 

例年、正月は伊東のホテルを使っているのですが

今回は行動規制が一切ないということもあって

あちこちの宿泊施設が早い段階から埋まってしまい

どうにか開いていたのが天城高原のホテルのみでした。

とは言え、ホテルの周りはほとんど野山ですし

そのくせ歩けるエリアが結構広かったりしますので

私のような人間にはユートピアに近い環境です。

 

なお、写真では晴天のように見えますが

この日は断続的に大雨が降り

幾度となく雨宿りのために避難しました。

 

 

 

 

 

 

なお、ホテル周辺はちゃんとガーデンっぽく

設えられているものの、天城高原ならではと言いますか

周囲にかなりの数のシカが生息しているらしく

実際、ぶらっと歩いただけでも相当数の落とし物(右)が。

 

彼らは夜行性の傾向が強いと聞きますが

数が多い故か、日中に出現することもある模様。

 

 

 

 

 

木の頂でなくホオジロの姿を幾度か見かけました。

スズメより多かった気がします。

 

 

 

 

 

大雨が降ることもあれば

いきなり霧が発生することも。

 

なお、ここの標高はヤクザ893mとのこと。

ほぼ山岳域と言っていい環境ですので

天候が次々変化するのも常と言えます。

 

 

 

 

 

ここからは、ホテル周辺で見つけた昆虫です。

高低差のある草原がありますので

基本はそこでバッタの仲間を追いかけます。

 

まずは、恐らくヒロバネヒナバッタ

なお、ここの草原にはトゲのあるアザミの仲間が

多数自生していますので、うっかり手を出そうものなら

怪我をする可能性があります。要注意です。

 

 

 

 

 

 

ナキイナゴ(左)とホシササキリ(右)。

平地でも見かけるオーソドックスな

「鳴く」バッタの仲間ですね。

 

真夏であったこの時点でも

結構な数が発生していました。

 

 

 

 

 

上記の通り途中で何度か雨が降り

その都度私は建物(ホテル)に避難しましたが

雨がやんで再度外に出ると

またすぐに虫たちは活動を再開しました。

(写真はツマグロバッタ

 

まあ、山で生きるのであれば

これくらいは対応できなきゃ無理ということなのでしょう。

 

 

 

 

 

これは、ヤマトフキバッタのようです。

丘陵~山岳域を好むバッタなので

この辺りはまさにうってつけのようです。

 

 

 

 

 

 

草むらに降りて休憩中のジャノメチョウ(左)と

アザミを訪れたトラマルハナバチ(右)。

特にジャノメチョウはあちこちに出没しており

しかも花が咲いているわけでもない草原で

幾度となく目にしました。

 

ジャノメチョウは幼虫がススキを食草としているらしいので

羽化したばかり……だったのかも?

(だとすれば飛ぶのが苦手で何度も降りていたのも納得)

 

 

 

 

 

コオニユリ(だと思う)も自生していました。

時期によっては、もっと色々な山野草が

開花するのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

2日目にホテルを出て麓に戻っている途中

シカの集団が出現しました。

何気に、ちゃんとこうやって撮影するのは

初撮影の時以来だったりします。

 

人の暮らす環境に順応しつつあるとは言え

相手は純粋な野生哺乳類。よく言われるように

エサ目当てで積極的に近づいてくるということはまずなく

不用意に近づけば逃げてしまいますので

慎重に歩を進め、一定以上の距離は保ちます。

 

 

 

 

 

可能な限りクローズアップしたのがこちら。

初回撮影時と比べ、ちゃんとシカらしい模様が

くっきりと確認できるのが嬉しいところです。

 

天城高原では、シカそのものは珍しくないですが

現状、天敵がほぼいない状態ですので

今後の個体数の変化が気になるところではあります。

 

 

 

 

 

その後、リフトで大室山に行ってまいりました。

正月に行った時にはほぼ一面黄褐色でしたが

夏場は御覧の通り。俯瞰で見ると芝生か何かで

覆われているようにすら見えてしまいますが

実際には背丈の高い植物に覆われています。

 

 

 

 

 

 

しかし何より驚かされたのは、山野草が多いこと。

特にカワラナデシコは見つけるのに苦労しないレベルで

白花のもの(右)もいくつか見られました。

 

都心部では減少著しいと言われていますが

こちらでは至ってメジャーな種のようです。

多分、下草を食べてしまうシカが

ここまで上がってこないというのも大きいんじゃないかと。

(背の高いススキなどに囲まれて入ってこれない?)

 

 

 

 

 

この写真で確認できるピンク色の「点」

すべてカワラナデシコです。

もちろん、こんなものは氷山の一角です。

ただ、日当たりのいい東側エリアに集中しており

西側では数が少なかったように見えました。

 

日照を好むという特性がよくわかりますね。

(だから極相林になると消えてしまう模様)

 

 

 

 

 

さらに驚かされたのがコレ。

アヤメの仲間 ヒオウギです。

もちろん、初めて撮った自生個体です。

(ササキリの仲間が花粉を食べています)

カワラナデシコ以上に

平野部では目にする機会が少ないですが

こちらではそこそこの数が確認できました。

 

ここまでの山野草の宝庫とは思いませんでした。

野焼きによる丁寧な管理の賜物と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

最後に、帰りがけに御殿場のアウトレットへ。

もちろん買物目的だったわけですが

異様にツバメとよく遭遇しました。

(この写真でも左上の方に1羽とまっています)

 

 

 

 

 

お洒落な商業施設ですので

ツバメの巣なんかは撤去されても

不思議じゃないと思っていたのですが

意外にも転落防止を設けているお店がいっぱい。

なんか和みますね。

 

大室山とはニュアンスが違うものの

こういうのもまた嬉しい「発見」です。

 

 

 

 

 

雛A「狭い」

雛B「暴れるな」

雛C「お前だろ」

雛D「早く巣立て」

 

まあ、さすがにもう全部巣立ったでしょう(汗)。

 

 

 

 

 

【8/6~7 天城高原~大室山で撮影した生きもの】

鳥類・・・イソヒヨドリ、カワラヒワ、コゲラ、ツバメ、トビ、ヒヨドリ、ホオジロ

昆虫類・・・アブラゼミ、オオシオカラトンボ、オオセンチコガネ、キマワリ、クマゼミ、コバネイナゴ、シオカラトンボ、ジャノメチョウ、ショウリョウバッタ、ツマグロバッタ、ツマグロヒョウモン、トラマルハナバチ、ナキイナゴ、ヒロバネヒナバッタ、ヒメギス、ホシササキリ、ヤマトフキバッタ

その他・・・ニホンジカ、ミミズ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年9月17日(日)に開催いたします。

 行先は「朝夷奈切通~鎌倉市北東部」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。