その出合いには銀貨以上の価値がある?(天神島)※追記あり | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

ブログの読者様が、以前アップした記事を読んで

天神島に遊びに行かれ、まだ撮ったことのない

ウミウシを見つけたと報告してくださいましたので、

私も負けじと8月に入ってすぐに出かけてまいりました。

 

写真はオウギガニと思われる小さなカニ。

手に持つ時は、こうして背中をプッシュしてやるのが最適。

(同じことを何度か書いた気もしますが)

 

 

 

 

 

潮条件は悪くなく、波も割と穏やか。

ウミウシを探すにはうってつけの天候です。

ところが、予想に反してなかなかウミウシは出てこず……。

他のカニやヤドカリ、魚類はそこそこ出たのですが

メジャー種であるアオウミウシですら姿を見せません。

(本当は1匹出たのですが、先に近くの親子連れに

捕獲されてしまったので写真が撮れておりません(汗))

 

しかし、よくよく思い返してみますと

4年前からの私の天神島でのジンクスとしまして

「ウミウシは撮れないが、変なものが撮れる」

というものがありまして……↓

 

 

 

 

 

あーほら、何か変なものが出てきた。

前に図鑑でも写真を見たことがあったので

それが何なのかはすぐにわかりました。

 

 

 

 

 

円形の青い傘に、たくさんの脚(?)を持つ

クラゲのような奇妙かつ美しい生物。

これはギンカクラゲ。名前の由来はもう見たまんまです。

 

遭遇率・・・1(カツオノエボシほどは見られない)

インパクト・・・3 (この個体は500円玉より大きかった)

美しさ・・・4 (透き通るような青色が美しい)

俊敏性・・・0 (波で漂うことしかできない)

知名度・・・3 (小学生向けの図鑑にも載っている種)

 

 

銀貨というか、牛乳瓶の蓋みたいですが

確かに貨幣のような輝きを有していますし

毒はあるもののなかなか美しい生きものです。

厳密には「クラゲ」の仲間ではないらしく

例のカツオノエボシと同じで多数の刺胞動物が集まって

クラゲのような身体を作っているのだとか……。

また、毒性についてもカツオryとは違い

弱毒だと図鑑には記載されております。

 

カツオノエボシと同じく遊泳能力がないため

たまに浜に漂着するのを見るくらいだと聞きます。

その漂着率もカツオryと比べると圧倒的に低いらしく

天神島でこうして見られたのはなかなか幸運だったようです。

 

 

 

 

 

横から見るとこんな感じ。

名前にクラゲとあるように、

ちゃんとクラゲらしい形もしています。

 

ちなみにこのケースは例のビンではなく

コンビニで買ったマカロンのケースを

急遽バケツ代わりにしているだけです。

まあ要するに「ビンを忘れた」ということ(汗)

 

 

 

 

 

ちょっと下から見るとこんな感じ。

ビンに比べると厚さが薄いので

割とクリーンに撮ることができます。

 

とりあえず思わぬ新顔登録でした。

 

 

 

 

 

 

その後は、イソスジエビ(左)やイソクズガニ(右)など

オーソドックスな生きものを撮影して回り……。

 

 

 

 

 

イボイワオウギガニにも久しぶりに会えました。

これはかなり大柄で力も強いので

無理に素手で捕獲するのは避けた方がいいでしょう。

 

その後も諦めずにウミウシを探し続け

石を引っ繰り返しては戻し、を繰り返しつつ

正午に差し掛かったあたりで……↓

 

 

 

 

 

出ました。これはどう見てもウミウシ

左に見える白い物体は、コイツの卵でしょうか?

卵を傷つけないよう、ウミウシだけを引き剝がして

上記のバケツ(仮)に入れてみます。

 

 

 

 

 

引っ繰り返すとこんな感じ。

全身の柔突起みたいなのがキモいですが(爆)

裏側は薄ピンク色でちょっときれい……かもしんない。

 

 

 

 

 

ちゃんとウミウシらしい姿勢になったところで

上から写真を撮ります。キモさと美しさの共存する

このフォルム。前々回撮影したアカエラryに似ていますが

実際あれの近似種であり、イロミノウミウシといいます。

 

遭遇率・・・1(アオryみたいなメジャー種ではない)

インパクト・・・3 (小さいですがフォルムがインパクト抜群てかキモイ

美しさ・・・3 (4にしようか迷ったけどやっぱキモいので(爆))

俊敏性・・・1 (ウミウシに速さを求めちゃ駄目)

知名度・・・2 (あまり知られてはいない?)

 

 

ちなみにコイツの捕食対象はなんとイソギンチャク

アオウミウシはクロイソカイメン

キヌハダウミウシは同じウミウシの仲間……と

ウミウシの食事周りは色々と興味が尽きません。

 

なお、身体に纏っている柔突起みたいな「みの」が

捕食対象の「触手」にちょっと似ていたりしますが

あちらと違って毒は持っていないようです。

(まあ、基本的にイソギンチャクの毒は人にあまり効きませんが)

 

 

 

 

 

さらに、こんなまで出現。

狭い岩の隙間に入り込んできたところで

上記のバケツ(仮)を入れたら撮れてしまいました。

 

たも網があればもっと簡単なんでしょうが……。

 

 

 

 

 

多分、カワハギの仲間の幼魚だと思われます。

身体の表面はカワハギらしくザラザラ。

ちなみに弱っている様子は全然なく

バケツ(仮)の中でバタバタ暴れておりました。

 

解放してやるとすぐに逃げて行ってしまいましたが

センターに連れて行って何者か調べてもらった方が

よかったんじゃないか……と後でちと後悔。

というわけで種名がじぇんじぇんわからないため

これは新顔登録できません(汗)

 

……毎度情けないですが、もしわかる方いらっしゃいましたら

後でそっと教えてくださいませ。<(_ _)>

 ▼

<追記>

けむりだま様からのコメントにより

アミモンガラというモンガラカワハギ科の

幼魚であることがわかりました。

誠にありがとうございました。<(_ _)>

 

 

 

 

 

 

 

センターの水槽で撮影。

結局アオウミウシは撮れませんでした。

ちなみにここ、利用者の方が捕まえたウミウシを

一時的に展示する場所になっているので

さっきのイロミノウミウシを突っ込むことも可能でした。

 

もっとも、前にも言いましたが捕獲は専門外なので

そのまま海に戻してしまいましたが。

 

 

 

 

 

帰る前に、ハマユウ越しに風景写真を1枚。

日が傾いてきたところで、天神島を後にしました。

 

今回、王道の生きものはアオryを含めて撮れなかったものの

予想外の新顔登録が2件続いたので

総合的に見れば十分過ぎるほど収穫のある1日でした。

特にギンカクラゲは、小学校時代に図鑑で見て

「こんなクラゲがいるのか?」と興味を抱いていただけに

今回初顔合わせとなったのは大変嬉しいことです。

タイトル通り銀貨とどっちが嬉しいかは微妙ですが(金くれ)

 

 

 

 

 

帰りのバスに乗る前に、近くにある

立石公園というスポットにも立ち寄りました。

江の島や富士山などが見える景勝地です。

すぐ近くに巨大な円錐状の大岩があるのが

名前の由来となっているようです。

 

磯に降りることもできますが

こちらは散策できるエリアも狭く

成果はほとんどありませんでした。

磯の生きものに会いたいなら、素直に天神島か

あるいは新しく整備されたソレイユに向かうのがいいでしょう。

 

 

 

 

 

【8/5 天神島で撮影した生きもの】

鳥類・・・ウミネコ、コサギ、トビ、ハクセキレイ

昆虫類・・・アオバハゴロモ、アブラゼミ、クロバネツリアブ、コガネグモ、セグロアシナガバチ、ヤマトシジミ

その他・・・アカクラゲ、アゴハゼ、アメフラシ、イソクズガニ、イソスジエビ、イソヨコバサミ、イボイワオウギガニ、イロミノウミウシ、イワガニ、オウギガニ、カワハギの仲間(正体不明)、ギンカクラゲ、ケヤリムシ、ナベカ、ニセクロナマコ、ホンヤドカリ、ムラサキウニ、ムラサキカイメン

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2023年9月17日(日)に開催いたします。

 行先は「朝夷奈切通~鎌倉市北東部」でございます。

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 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。