ナラ枯れとの関連性は如何に?(小山田緑地~薬師池公園) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

恐らく小山田緑地に限らないと思いますが

最近こうした立ち枯れしている樹木を

よく見かけるのではないでしょうか?

以前にも書きましたが「ナラ枯れ」といい

カシノナガキクイムシという小さい甲虫が

木の中に入り込む際、菌が持ち込まれることによって

根っこから水を吸い上げる機能が阻害され

こうやって枯死に至るそうです。

(全部が枯死するわけではないらしいですが)

 

2019年あたりから関東圏で多発するようになりましたが

異常に増えた原因は未だに不明とのこと。

反射的に「気候変動のせい」と思ってしまう人が

多いかと思われますが、気候との因果関係は

まだハッキリしていません。

 

カシノナガキクイムシ自体は日本に元からいた在来種で

ナラ枯れという症状自体も元々あったものなので

一概に駆除・防止すればいいのかと懐疑的な声も多く

現状はとりあえず倒木を防ぐくらいに留めて

様子を見ている公園・緑地が多いようです。

 

 

 

 

 

気になったのが、この日小山田緑地で

異様にトゲアリとの遭遇率が高かったこと。

それも、ナラ枯れを起こした木の周辺で

やたらと多くエンカウントしました。

 

トゲアリは洞のできるような太く古い樹木に

営巣する習性があるため、ナラ枯れによって

ボロボロになった木は巣作りに合うのかもしれません。

 

 

 

 

 

カシノナガキクイムシが感染した木は

この写真のように根元に細かな木屑が

溜まっていることがあります。

コナラでの感染率が異様に高い模様

そして、トゲアリもまたコナラを営巣樹として好むと聞きます。

 

なお、ナラ枯れの原因はあくまで

カシノナガキクイムシ(についている病原菌)であり

「ナラ枯れ→(好影響)→トゲアリ」はあっても

「トゲアリ→(悪影響)→ナラ枯れ」はないようです。

 

 

 

 

 

木の洞に営巣するトゲアリ。

巣そのものを見たのは数ヶ所どまりでしたが

あの遭遇率を考えるとかなりの数の巣が

小山田緑地内にあるものと思われます。

 

本ブログでは毎年よく登場するので

あまりイメージは湧かないかもしれませんが

トゲアリは国のレッドデータブックでも

絶滅危惧Ⅱ類とされる種ですので

数が増えるのは一応嬉しい……のですが

やっぱナラ枯れは倒木と隣り合わせなので

少なくとも公園管理者の皆様にとっては

悩みの種であることに変わりないでしょう(汗)

 

 

 

 

 

 

ギボウシの生える遊歩道(左)を散策。

右はアカサシガメの幼虫です。

成虫の特徴がちゃんと出ています。

 

 

 

 

 

 

この日は講座でも見に行く予定だった

ルリモンハナバチを狙っていたのですが

それらしきハチを1匹見かけただけで

残念ながら撮影は叶いませんでした。

管理センター前の植え込みから

オミナエシが多数なくなっていましたので

別の場所に蜜源を探しに行ったのかもしれません。

 

右は、クルマバッタモドキです。

本家のクルマバッタは残念ながら確認できず。

目標だった昆虫がことごとく惨敗という残念な結果に

 

 

 

 

 

ナキイナゴの声を何回か聞きました。

 

結局、小山田緑地では「異様に多いトゲアリ」以外に

これといった収穫(?)はなかったため、

散策は午前中だけに留め、午後は歩いて行ける所にある

薬師池公園に向かいました(徒歩だと1時間弱かかりますが)。

 

 

 

 

 

薬師池公園に向かう途中で昼食。

定食屋さんでもつ煮定食をいただきました。

大盛りにしても千円少々だったので

結構良心的だったかなと思います。

最近オープンしたようでしたが、中々美味でした。

 

 

 

 

 

 

薬師池公園に向かう途中に撮影。

道祖神のお供えの花で吸蜜するヒメアカタテハ(左)と

翅を休めるイチモンジチョウ(右)です。

 

 

 

 

 

こちらが薬師池公園。

夏場はハスの名所ということで結構有名なのですが

「生きものめぐり」という観点からは

ハスだけだとあまり食指をそそられないので(爆)

これがようやく2回目の訪問だったりします。

 

 

 

 

 

もちろん、ハスはとても見事なものです。

貴重な大賀ハスを移植して増やしているらしく

やはり被写体として人気が高いのか

炎天下でも結構多くの人が撮影に訪れていました。

(なお、三脚の使用は規制がかかっているようです)

 

 

 

 

 

一瞬「?」と思ってしまう画像。

顔でなんとなくわかるかと思いますが

カイツブリの幼鳥です。

もちろん、親鳥も近くにいました。

 

 

 

 

 

隣接する福王寺に参拝。

町田氏の保護樹木に指定されている

巨大なイチョウの木があります。

樹齢は何百年くらいになるのか?

 

 

 

 

 

森の中で1枚。光の悪戯でしょうか、

下中央やや右に虹のようなものができています。

 

 

 

 

 

 

樹液にカブトムシが来ていましたが

残念ながら2匹ともメスでした。男を出せ、ウホッ♂

 

 

 

 

 

そういえば林内のあちらこちらに

キツネノカミソリが自生していました。

ほか、もう大分前に花期は終わってしまいましたが

ムサシアブミがかなりの数生えているようです。

 

同じサトイモ科でもテンナンショウと違い

本ブログではまだあまりムサシアブミを撮っていないので

来年の春に来てみようかと検討中です。

 

 

 

 

 

薬師池公園内にある萬葉草花苑。

古民家の周囲に色々な山野草が植栽されており

見ての通りオミナエシも。ここにルリモンハナバチが

来ることもあるらしいのですが、あいにくこの日は出現せず。

 

 

 

 

 

代わりに……と言ってはナンですが

新顔のハチが来ておりました。

ヤノトガリハナバチというそうで

腹部の先端がちょっと尖っているのが特徴です。

 

遭遇率・・・3 (珍種ではないらしく、何度か見た)

インパクト・・・1 (見ての通り小さいハチ)

美しさ・・・2 (まあ、地味ですね(爆))

俊敏性・・・5 (ミツバチ辺りに準じる)

知名度・・・2 (図鑑には掲載されていました)

 

ハナバチの仲間はいずれも大人しいものが多く

本種も接写しても我関せずといった感じでした。

そもそも積極的に襲ってくるハチなんて

秋のスズメバチくらいなものという気もするのですが……。

 

 

 

 

 

ハラビロカマキリの幼虫。

季節的なものでしょうか、8月に入ってから

随所で見かけるようになってきました。

 

 

 

 

 

最後に、ルリモンハナバチの件ですが

本来であればオミナエシやハッカなど

蜜源として好まれる植物の前で

ジッと待ち続けるのがセオリーらしいです。

もしかしたら小山田緑地にせよ薬師池公園にせよ

そのまま待機し続けていれば会えたのかもしれません。

 

まあ「生きものめぐり」ではそうはいきませんが……。

 

 

 

 

 

【8/11 小山田緑地~薬師池公園で撮影した生きもの】

鳥類・・・カイツブリ、ガビチョウ、カルガモ、カワラヒワ、シジュウカラ、トビ、ヒヨドリ

昆虫類・・・アオスジハナバチ、アオドウガネ、アオバハゴロモ、アカサシガメ、アキアカネ、アジアイトトンボ、アシナガバエ、アブラゼミ、アメンボ、イチモンジセセリ、イチモンジチョウ、イボバッタ、ウチワヤンマ、オオシオカラトンボ、オオヒラタシデムシ、オンブバッタ、カブトムシ(メス)、キタキチョウ、キマダラカメムシ、キンケハラナガツチバチ、クルマバッタモドキ、クロアナバチ、クロウリハムシ、コシアキトンボ、コバネイナゴ、コフキゾウムシ、コミスジ、ササグモ、サザナミスズメ、シオカラトンボ、ジャコウアゲハ、ショウジョウトンボ、ショウリョウバッタ、スケバハゴロモ、スジグロシロチョウ、セグロアシナガバチ、ツクツクホウシ、ツバメシジミ、トウキョウヒメハンミョウ、トゲアリ、ナキイナゴ、ニイニイゼミ、ハグロトンボ、ハラビロカマキリ、ヒシバッタ、ヒメアカタテハ、ベッコウハゴロモ、ベニシジミ、マメコガネ、マユタテアカネ、ミンミンゼミ、ムネアカオオアリ、ムラサキシジミ、モンキチョウ、ヤノトガリハナバチ、ヤマトシジミ、ルリジガバチ

その他・・・アメリカザリガニ

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2022年9月18日(日)に開催いたします。

 行先は「秋の里山ガーデン&四季の森公園(横浜市)」でございます。

 現在お申込を受付中です。ご興味のある方はこちらよりお申込ください。

 (講座の概要につきましてはこちらをご参照ください)

 

 

【小学校6年生までのお子さんのご参加につきまして】

小学校6年生までの方は、初回500円でご参加いただけます。

ただし、御父兄の同行をお願いいたします。