晩秋の鎌倉で山を歩く(花をたずねて鎌倉歩き・11月) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

11月の「花をたずねて鎌倉歩き」より。

この日は六国見山(ろっこくけんざん)のハイキングでした。

普段と違って鎌倉駅ではなく、大船駅よりバスに乗って

鎌倉湖方面に向かいます。2019年の台風以来

あちらに赴くことは殆どなかったので懐かしいです。

 

登山道はバス停よりやや離れた所にあるため

道中はのんびり歩きます。こういうのも鎌倉歩きの醍醐味です。

 

 

 

 

 

 

そろそろ読者の皆様も見飽きてきたであろうウラナミシジミ(左)と

前回の記事でも登場したヤツデの花で吸蜜するニホンミツバチ

鎌倉歩きでこういう昆虫に出合うのも

多分今年はこの回が最後ではないかと思われます。

(さすがに12月ともなるとほぼ何もいなくなる)

 

 

 

 

 

ちなみに身体の色が黒くても

セイヨウミツバチのことがある……というわけで

極限まで接近し、ハチには申し訳ないですが

フラッシュまで使って鮮明に撮影しました。

 

翅の赤い注釈を入れている部分に脈があれば

間違いなくニホンミツバチということですので

この個体はニホンミツバチと判断しました。

 

鎌倉ではセイヨウryでなくニホンryで

養蜂を行っている方が結構いらっしゃいますので

そこから飛んできたのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

食事を試みるシジュウカラ

嘴よりもまず目につくのが「脚」。

手がないので当然と言えば当然なのですが

脚の使い方が大変器用です。

 

 

 

 

 

 

かなり気づきにくい登山道入口(左)から

六国見山に入ります。険しい山道ではないですが

運動靴・スニーカーでないとさすがにしんどい道。

ウォーキングには最適かもしれません。

実際なかなかいい運動になりました。

 

ただし、森の中は高木が多くやや暗いですし

既に晩秋ということもあって昆虫は少なめ。

餌が少ないためか、鳥もあまり見かけません。

 

 

 

 

 

休憩は、やや開けた高台にて。

地域ボランティアの方が残した切り株が

ちょうどいい椅子になります。

 

カラスウリの実などをいくつか見かけました。

 

 

 

 

 

このような里山風景も。

恐らく「鎌倉野菜」と呼ばれるものも

こういう場所で栽培されているのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

クダマキモドキ(左)にオオアオイトトンボ(右)。

いずれも秋によく出てくる昆虫ですね。

(トンボの方はイマイチな写りで失礼)

 

森の中ではほとんど収穫はありませんが

上記のような開けた里山に出ると

一気に生きものの数が増えます。

白昼の気温が高い時間帯は特にねらい目。

というか、日が傾くと急激に気温が下がるので

真昼間しかチャンスがないと言った方がいいかも?

 

 

 

 

 

展望台より。奥に見えるのは逗子マリーナか?

 

 

 

 

 

 

下山中。地元の方が植林をしているところもあれば

自生するシロヨメナ(左)などの秋の野草も魅力です。

 

 

 

 

 

 

サザンカ(左)はちょうど見頃。

バラのような強いものではないですが

花を近づけるとなかなか良い香りがします。

右はヤブコウジ。別名ジュウリョウ(十両)

鎌倉の山中では目にする機会も多い

ポツンと赤い実をつける野草です。

 

ちなみに寺社の境内でよく見られるのは

これよりサイズが多くたくさんの実をつける

マンリョウ(万両)という植物。

何となく名前の由来もわかるようなそうでもないような(?)

 

 

 

 

 

思い切り逆光だったヤマガラ。(;^_^A

Photoshopで極限まで加工して

どうにか証拠写真レベルまで補正できました。

 

 

 

 

 

鎌倉らしい地形の1つ「切通し」。

今年は朝比奈切通しで大量のハンミョウを撮ったり

ついでに噛まれたり色々と思い入れがあります。

 

 

 

 

 

下山して熊野神社を見学中。

近くの花にヤマトシジミが来ていたので

とりあえず捕まえてみました(もちろん素手)。

すごく迷惑そうだったのですぐ開放しましたが。

 

 

 

 

 

平地を歩き、常楽寺という初めて訪れる寺へ。

鎌倉幕府の三代執権 北条泰時の墓所があります。

 

 

 

 

 

境内にはウ(千両)がたくさん。

マンリョウと違い上向きに実をつけるのが特徴で

まず見間違えることはないはずです。

実の色には赤と黄色がありますが

いずれも同じセンリョウです。

 

 

 

 

 

マンリョウ(万両)

一緒に実をつけているところを撮影。

いずれも珍しい植物ではないですが

こういうシーンには初めて遭遇しました。

 

さてさて十両、千両、万両と来たわけですので

「百両はどこ行った?」と思われる方も多いはず。

上記の3種と同じく正月の縁起物として

よく育てられるのですが、百両だけ少ないらしい……。

ちなみに見た目はマンリョウによく似ているのですが

所感としては赤い実の量はマンリョウの方が多め。

縁起物として使われにくいのはこれが原因か?

 

 

 

 

 

最後に、秋の鎌倉の寺社境内といえば

やはりリンドウが見所です。

昔は野生で普通に生えていたこともあるそうですが

今のところ野生のリンドウには

まだ一度も遭遇したことがないですね……。

 

鎌倉の山は薪や木炭を使用しなくなったために

間伐等をされなくなり、里山から人も減ったので

植生遷移が進んで暗い森になりつつあるそうです。

リンドウを始め、多くの自生する山野草が

激減したのも、この辺りが理由だとか。

無論、これは鎌倉に限った話でもないですが……。

 

探せばまだ、どこかに自生するリンドウもあるのかもしれませんが

ここまで数が減っているとなると、仮にこの先見かけたとしても

場所は隠した方がいいかな……と自分も思っております。

 

 

 

 

★次回、生きもの探索ツアー「首都圏生きものめぐり」は

 2021年12月19日(日)に開催いたします。

 行先は「横浜みなとみらい(予定)」でございます。

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