標高差600メートルを実感した話(芦ヶ久保駅~埼玉県県民の森) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

昨年初夏以来、久々の埼玉県県民の森へ。

アクセスがすこぶる悪い(徒歩で2時間以上&バスなし)ので

地雷を踏むのは極力避けたい……というわけで

雨の心配がない日を選び、足を運んでまいりました。

 

右奥に見える禿げた山は武甲山(ぶこうさん)といい

セメント用の石灰岩採掘のためにあのような形になっています。

氷河期時代から取り残された珍しい山野草が

一部に残されているという話を聞きますが

あいにく安易に登れるような山ではないそうです。

 

 

 

 

 

ハナモモ(?)の木の中に一瞬見えたイカル

くちばしの色などから一発で識別できます。

いる時は群れを成しているのですが

遭遇率はかなり低い気がします。

 

 

 

 

 

こんな小川も。落ち葉で足下の地形が見えづらいので

川に近づく際にはかなり気を付けます。

 

 

 

 

 

 

グロテスクな外見をした謎の幼虫(左)と

恐らくタゴガエルのものと思われる卵(右)を

それぞれ川の中で見つけました。

 

左のこれが何なのかが皆目見当つきません……。

きれいな水でないと暮らせない

何かしらの水生昆虫の幼虫だとは思いますが……。

 

 

 

 

 

 

 

左はスギタニルリシジミ(と思われる)、

右はお馴染みのビロードツリアブ

いずれも春限定の昆虫です。

スギタニryは自然度の高いエリアでないと

首都圏ではなかなか遭遇機会がないかもしれません。

ただ、毎年のように行く石砂山や高尾山などであれば

それなりの確率で会えるような気がします。

 

 

 

 

 

 

何かのハチ(?)が木の柱に巣食っていました。

ミツバチの仲間であることは間違いなさそうですが

ニホンミツバチのように見えて何か違う気もします。

……情報求ム(すみません今回不確かな情報が多いです(汗))

 

 

 

 

 

ちなみに今回県民の森を訪れた最大の目的は

春の山野草を観察することでした。

昨年、仕事で秩父の取材をした際に

県民の森のはスミレを始め非常に野の花が多いと聞き

3月後半期に足を運んでまいりました。

で、結果なのですが……スミレのほか、カタクリの株数も多く

行く先々で一目でカタクリとわかる「葉っぱ」を見かけました。

 

……ほとんどまだ「葉っぱ」だけでした(汗)

例年に比べて暖かかったのでカタクリも早く咲くだろうと踏み

3月中に足を運んだわけですが、予想に反してマダツボミ。

上の写真の株が一番開花したものでした(笑)。

 

 

 

 

 

伸びてきたばかりで

まだ頭を垂れてつくばえすらいないカタクリのつぼみ。

何気にこんな状態の株は初めて撮りましたが

やっぱ多数開花している状態を撮りたかったことは否めず。

 

実はこの県民の森、標高が約900mもありまして

(参考までに、石砂山は578m、高尾山は599m)

平地と比べて明らかに冷涼な環境。

関東平野部では、うちの会社の前に植えているカタクリ然り

3月下旬時点で既に最盛期は通り越しているところもあったので

ちょうどいいかな?と推測していたのですが見事に誤算でした(白旗)。

 

一応フォローするとカタクリの株数自体は正直かなりのもので、

咲いたら相当インパクトがデカかっただろうなと思われます。

それだけにひたすら無念です。(とりあえず環境が良好であることだけはわかりました)

 

 

 

 

 

代わりに、本来であればカタクリより前倒しに咲きがちな

アズマイチゲを撮影することができました。

県が維持管理していることは間違いないものの

明らかな野生の株を撮れたのはこれが初めて。

 

キンポウゲ科の植物で早春期のみ開花しますが

同じくキンポウゲ科で早春に咲くフクジュソウと比較し

野生で見かける機会はそこそこ多い一方

園芸用に公園や庭に植えられる機会はあまりありません。

(見た目のインパクトの問題か、はたまた育てやすさのせいか……)

 

 

 

 

 

キツツキのような登り方をするコガラ

(ちなみにキツツキはコゲラ。今更書くことじゃないですか(汗)

 

 

 

 

 

そういえば、まだオオマシコが残っていました。

これについては早めに来てしまったのが幸いした……と言えるかも?

 

 

 

 

 

成熟したオスのオオマシコを撮影。

やはりこの赤味の強さには目を惹かれます。

毎年集団で越冬しているようですが

食事場所にやってくるタイミングはランダムなので

撮りたいのであれば長時間待機する必要がある場合も。

そのため、たとえ温暖になっていたとしても防寒着は欠かせません。

エサやり疑惑についてはこの際触れないようにしよう

 

 

 

 

 

餌場にコガラもやってきました。

おお、なかなか良い写りになった気がします。

 

 

 

 

 

……カシラダカのオス?

他に似た色の鳥がいない気がしますし……。

 

 

 

 

 

山野草最盛期のタイミングを逸した件や

正体不明の生物が複数撮れてしまったことにより

なんともモニョモニョしたものが残りましたが

とりあえずいい時間になったので下山します。

 

下山……という表現はこの場合適しているはず。

何せ、県民の森の標高900mに対し

最寄り駅である芦ヶ久保駅は317m

高低差約600mを上り下りするわけですから

実質的にこれは「登山」と言って差し支えないでしょう。

 

 

 

 

 

下山中に見つけたジュウニヒトエ(十二単)

春に咲くシソ科の山野草ですが、こちらもまだ開花前。

なんつーか……あと1週間待てばよかったと後悔しています(汗)

 

 

 

 

 

道中で見つけました。

さすがにこれはカントウタンポポだと信じたい(;^_^A

 

 

 

 

 

そんなこんなで乳酸を蓄積させながら芦ヶ久保駅に戻ってくると、

なんと、駅前の植え込みでカタクリが最盛期を迎えていました。びっくり

さすがにこれは人の手で植栽されたものだと思いますが

600mの高低差でこれほどまでに開花期が違うものかと

ただ純粋に驚かされました。

 

 

 

【3/27 芦ヶ久保駅~埼玉県県民の森で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオサギ、アオジ、イカル、オオマシコ、カシラダカ?、ガビチョウ、カワラヒワ、キジバト、キセキレイ、コガラ、シジュウカラ、シロハラ、ツバメ、トビ、ハクセキレイ、ヒガラ、ヒヨドリ、ホオジロ、メジロ、モズ、ヤマガラ

昆虫類・・・アカタテハ、キタテハ、スギタニルリシジミ、スジグロシロチョウ、テングチョウ、ビロードツリアブ、ベニシジミ、ルリタテハ

 

 

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