去年より1週間前倒しで登ったら……(石砂山・前編) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

例年になくサクラの開花前倒しになった今年、

以前「都心でソメイヨシノが満開になったら、

石砂山を訪問するベストタイミング」みたいなことを

書いたことがありましたが、それに従うのならば

今年は4月第1週には足を運ばなければなりませんでした。

 

そういうわけで、今年の訪問日は4月3日(土)

ちなみに2020年が4月10日、2019年は4月7日に

それぞれ訪問しております。 何かあまり変わらない気もしますね

 

 

 

 

 


藤野駅近くのカタクリの群生地へ。

朝早過ぎたためでしょうか? まだ窄んでしまっています。

先日のようにマダツボミということはなかったので

帰る前に再度チェックすることにしましょう。

 

 

 

 

 

イカリソウは大分咲いていました。

カラーバリエーションが豊富で

白色が一番多いですが、紫色の濃い花もあります。

 

 

 

 

 

 

いつものように、やまなみ温泉のバス停から登山口までは

徒歩で移動します。晴天で大分暖かくなってきたためか

道中で早くも多数の昆虫に遭遇しました。

右はもちろんミヤマセセリですが、左は何だろう?

シャクガの一種だとは思いますが、種名はわかりませんでした。

(そんなに珍しいものではないと思いますが……)

 

 

 

 

 

ガチ登山とまでは行かないものの、

舗装などはされていませんし、

写真のように柵もない細道を歩くこともしばしば。

うっかり落ちたら「痛い」じゃ済みませんし、

後述の通り散策路に山野草がはみ出していることも多いので

常に足元に気を配る必要があります。

 

 

 

 

 

シュンランが数株残っていました。

葉が途中から千切れているのは、シカに食われたからか?

 

 

 

 

 

ドングリ「種」らしい仕事(?)をしているシーン。

ここから樹木に成長するまでに何年かかるかはわかりませんし

上述のシカに食われてしまうリスクもありますが

これこそが正しく「命」です。

 

 

 

 

 

 

おっと、フデリンドウが多数開花していました。

ここ2年間石砂山ではとんと見かけず

何かトラブルでもあったのかと気になっていましたが

今回は無事、見つけるのに困らないレベルで確認できました。

(これまでの2年間の訪問が早過ぎたのかもしれません)

 

 

 

 

 

こんな感じで、遊歩道にリンドウがはみ出していることも多く

気を付ける必要があります。

登山客が高尾山御岳山ほど多くないため

地面があまり踏み固められておらず、

山野草が生えやすい環境が保持されているのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

ヒトリシズカの生える風景×2

左写真のように日当たりのよい地面にもあれば

右写真のように薄暗い濃い木陰に群生することも。

環境適応能力の高い植物なのかもしれませんが

都心部の公園で自生する姿となると、なかなか目にしません。

 

 

 

 

 

山野草の数が昨年よりも多い(特にフデリンドウ)件から

昆虫の発生も「前倒し」になっているのではないか?と予想。

で、山頂に到着するより大分前に

早くもメインディッシュであるギフチョウが出てきました。

 

ギフチョウは山中でも日当たりのいい場所を好み

石砂山では基本的に山頂で撮影・観察するのが基本です。

(山頂付近は鬱蒼とした日陰にはならないので)

たまに麓に生えるミツバツツジで吸蜜することもありますが

エンカウント率が低いので、単にギフチョウが見たいだけなら

素直に(?)山頂まで登りましょう。 足には大分来るけど

 

食草となるカンアオイを保全するなどして

石砂山では長いこと保全活動が進められています。

 

 

 

 

 

食事中。麓から山頂までスミレが多数咲くため

成虫の食事には困らない模様。

ほか、あちこちで見られるツツジも貴重な食事場です。

 

ちなみにギフチョウは食事のために静止してくれる時間が短く

むしろ地面に降りて日光浴する時に長時間翅を休める蝶です。

山頂ではこの時期しばしば、地面に翅を広げて

ボーッとしている(?)ギフチョウにそぉ~っと近づき

囲みこんで上から撮影するカメラマンの姿をよく見かけます。

(通称「囲み取材」)

 

 

 

 

 

シカの足跡。まだ石砂山では会ったことがないですが

上記の食痕らしきものといい、

多数「いる」ことは間違いありません。

 

イノシシやクマが現れる可能性も勿論あるので

登る際にはそれ相応の覚悟が求められます。

 

 

 

 

 

例によって脚に乳酸が溜まりましたが

約2時間かけて、登山口から山頂に辿り着きました。

道中特に走ることもなく、むしろ何度も立ち止まって

ギフチョウやミヤマセセリ、各種山野草等の撮影に勤しんだので

単に「登る」だけなら1時間40分もあれば十分でしょう。

 

山頂および下山後の記録については、後編でお送りします。

 

 

 

<後編に続く>

 

 

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