最近、本ブログで頻繁に使用する「コモン枠」という言葉。
前にも説明しました通り、普通に見られる生きもののことを指し
野鳥で言うならシジュウカラ、メジロ、ヒヨドリ、ムクドリ辺りが、
植物ならばエノコログサやホトケノザ、ツクシ等が挙げられます。
(外来種に関しては、本ブログの規定では含めていません)
どこでも簡単に撮れる動植物ということで
無視されることも多いのですが、一般認知度が低かったり
外出頻度が低いとコモン枠でも見たことがないという方も多いため
ツアーでも案内できるよう毎度しっかり撮影しています。
まだコアジサシのシーズンには程遠いですが
この日は久しぶりに伊佐沼へ向かいました。
上の写真は道中の田んぼで撮影したもの。
こうした場所では繁殖力の強い外来種ばかりというイメージがありますが
写真中にあるナズナもホトケノザも日本在来種です。
夏羽に変わりつつあるオオジュリン。
田んぼ沿いでかなりの数見かけました。
こんな感じです。複数体が茎に掴まっているのがわかりますか?
この鳥は自然地でも会えないことが少なくないので
コモン枠には入れていません。会えたらちょっと嬉しい鳥。
伊佐沼で撮影したコガモ(左)とイカルチドリ(右)。
この沼は夏のコアジサシ、秋の渡りのシギ・チドリなどが見所ですが
冬~春にかけては目立ったものは撮影できず、
少々物足りないと感じる方もいるかもしれません。
実際、バードウォッチャーの姿はほとんど見かけませんでした。
田んぼに目を向けると、食事中のカルガモの姿が。
日本における最も有名なコモン枠のカモですね。
古代ハスの見られる辺りにて。
重機が地面を掘り起こしている傍らで、
ここでもカルガモの姿が見られました。
どうやら地面に埋まっていた植物の根を食べている模様。
(一瞬土を食べているようにも見えてしまいましたが)
カモのくちばしは地面を掘るのには適さないため
重機で掘り起こされるのを待っていたようです。
人の居住地近くに現れるコモン枠の生きものは
このように人の営みを上手いこと利用していることが多々あります。
長い時の中で見出した生存戦略の一環なのでしょう。
こと首都圏においては、こうして人の環境を利用できる生きものが
自ずと勝ち残り、個体数を増やしていく流れとなりそうです。
先日食事シーンを撮影したオオタカなども
一時期は絶滅が心配されましたが、近年は人の環境に順応し
昭和~平成初期では想像できないほど個体数を回復させています。
農業ふれあいセンターの花壇には、
早春期らしくヒヤシンス(左)とクリスマスローズ(右)が。
季節ごとの園芸植物が観察できるので
毎回足を運ぶたびにチェックしています。
昆虫が吸蜜に訪れるのは、もう半月くらい先かも?
改めて沼に目を向けます。
ヒドリガモが集団で陸に上がり、食事をしていました。
このカモも冬場は随所の水場で観察できるコモン枠の鳥です。
水草を食べることもあれば、こうして陸に上がり
芝生広場で植物の種などを食べることもできるヒドリガモ。
食事が限定されず、色々な環境に適応できることが
彼らの大きな強みと言えそうです。
1羽だけ、アメリカヒドリの遺伝子が濃い個体を発見。
今冬は結構色々な所で見かけた気がします。
高次消費者であるモズは、それなりに自然度が高くないと
生息できないため、街中ではなかなか見かけません。
しかし里山系の公園等であればコモン枠と言える存在。
伊佐沼のように周りが農耕地の場合も、結構よく見かけます。
ツグミについては都市公園や街中の空き地などでも見られ
正真正銘のどこでもコモン枠の冬鳥です。
もうそろそろお別れか……と毎年この時期に思うのですが
結局GW頃まで残っていることも多々あります。
帰り道で見かけたジシバリ(左)とカラスノエンドウ(右)。
これもまたコモン枠の植物であり、そして日本在来種です。
こうした「生き残る場所」を獲得した動植物は
今後も我々のすぐ傍で順調に個体数を維持していくものと思われます。
ただ、それを上回る勢いで外来種が侵入してくれば
この限りでもない……かもしんない。
【3/12 伊佐沼で撮影した生きもの】
鳥類・・・アオサギ、アメリカヒドリ(雑種)、イカルチドリ、イソシギ、オオジュリン、カイツブリ、カシラダカ、カルガモ、カワラヒワ、キジバト、コガモ、コチドリ、シジュウカラ、ダイサギ、ツグミ、ハクセキレイ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、ヒヨドリ、マガモ、ムクドリ、モズ
昆虫類・・・モンシロチョウ
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