“不吉”の象徴を求めて(田島ヶ原サクラソウ自生地~戸田ボート) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

雑誌の〆切に追われる中ではありましたが、

気分転換も兼ねまして、アリスイが来ているという

田島ヶ原のサクラソウ自生地に行ってまいりました。

 

あくまでここはサクラソウの見られるスポットとして

天然記念物に指定されているのですが

秋ヶ瀬公園と荒川本流、そして彩湖に囲まれるという

自然環境に恵まれた立地ゆえ、実は野鳥の数も結構多いとか。

 

とは言え、面積および撮影できる鳥のバリエーションでは

秋ヶ瀬公園の方が上。ただし毎年のようにアリスイが飛来し

しかも舞岡公園と違って観察しやすいらしく

「それ」目当てのバードウォッチャーは結構多く訪れます。

 

既に野焼きは終わっており、焼け焦げた茎と

新しく芽吹いてきた春の植物が観察できました。

これをやらないとサクラソウほか各種希少植物が

ほとんど見られなくなってしまうため、

コロナ禍であろうと欠かすことはできないようです。

 

 

 

 

 

件のアリスイですが、然るべきポイントを訪れてみると

拍子抜けするほどあっさりと姿を見せてくれました。

現在のカメラでこれだけクリーンに撮れたのは

もちろん今回が初めてとなります。

 

上記の通り野焼きした後なので、視界を遮るものがほぼなく

一方でサクラソウ自生地ゆえに中への立入は規制されているため

程よい距離感かつオープンな場という撮影には理想的な環境。

過去、あまり鮮明に撮れた試しがなかったので

納得いくまで何度もシャッターを切りました。

 

 

 

 

 

ちなみにタイトルにも書きましたが

アリスイは首を曲げて何度も後ろを向く習性から

不吉の象徴として扱われることがありました。

また、キツツキの古巣などで営巣するのですが

巣に侵入しようとする外敵に対し、

鱗のような模様を活かして蛇に擬態して威嚇するなど

人気に反して(?)少々不気味な話にも事欠きません。

 

 

 

 

 

一応キツツキの仲間ではありますが、

自分のクチバシで木に穴を開けるようなことはできない模様。

代わりに長い(他のキツツキもそうですが)をアリの巣に差し込み

アリを絡め捕って食べます。(要するにアリクイと同じようなもの)

手前の倒れた枝が著しく邪魔ですが(呪)写真も食事中です。

 

アリスイがよく地面に降りているのは、恐らくこのため。

木の洞よりも地面の方がアリの巣も多いですしね。

 

 

 

 

 

 

ちなみにアリスイ以外としては、

ツグミはもちろん、タヒバリの数も多めでした。

いずれも野焼き後の地表に残った

種や小昆虫などを食料としているものと思われます。

 

写真の左下手前にツグミが突っ立っていますが

もちろんこの1羽だけでなく、相当数が飛来していました。

 

 

 

 

 

 

メインディッシュであるアリスイは撮れましたし

やや落ち着いてきたとは言え、まだこの日は〆切前でしたので

そのまま駅に引き返すという選択肢もあったのですが

せっかくなので彩湖の方にも足を運んでまいりました。

 

噂には聞いていましたがキャンプしている家族連れが多く、

このご時世での公園の重要性がよくわかります。

もし仮に、コロナ禍を理由に公園を封鎖していたら?

ストレスが蓄積し、そこから逆に健康面に悪影響が及んだ可能性も

あるのではないかと個人的には推測しております。

 

 

 

 

 

花壇はほぼパンジーのみ。

春以降はまた植え替えをするのかもしれません。

かなり大きい花壇なので、植物の組合せ方を工夫すると

写真映えするスポットになるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

池の畔にタシギ(写真左)とツグミ(右)の姿が。

先日秋ヶ瀬公園でタシギを撮影していますが

彩湖の方にも来ていたのですね。

やはり全体的に今年は数が多いのかも?

 

 

 

 

 

カワセミも観察できました。

彩湖そのものではまず見られませんが(足場がないため)

園内の観賞池の周辺を探すと割とすぐ見つかります。

 

 

 

 

 

彩湖を抜け、土手を歩いて戸田ボート方面へ。

 

 

 

 

 

 

戸田ボートでは複数のヨシガモを確認できました。

左の個体はまだ若いのか、グリーンの部分が少なめです。

昨年は桜のシーズンまで残ってくれましたが

さて、今年はいつまで観察できるのか……?

 

 

 

 

 

ボートの練習に励む学生たちと、ヨシガモのつがい。

 

写真以上に近くをボートが通過することもありますが、

ヨシガモが怯えることはなく、一方で事故になることもなく

漕艇場という環境を上手いこと共用しているように見えます。

 

こういう所が、ヨシガモを戸田市の鳥に推薦したい所以です。

(冬場にしか観察できない鳥ではありますが)

 

 

 

 

 

この日は妙に戸田ボートのヨシガモの数が多かった気がします。

今まで単に私が気付いていなかっただけかもしれませんが

オス・メス合わせて20羽以上いたんじゃないかと。

上の写真にもオスが5羽、メスが1羽写っています。

(しかし後日訪問した際には、オス・メス共に2羽ずつしかいませんでした)

 

 

 

 

 

最後に、市役所横の後谷公園のヨシガモの様子も確認。

間違いなく後谷公園に飛来していたと証明できる写真です。

依然としてここを離れず、カルガモとも仲良くしているようでしたが

あくまで冬鳥ですので、もうそろそろ見られなくなるかも?

 

 

 

【2/27 田島ヶ原~戸田ボートで撮影した生きもの】

アオサギ、アオジ、アリスイ、オオバン、オカヨシガモ、カイツブリ、カルガモ、カワウ、カワセミ、カワラヒワ、キジバト、キンクロハジロ、コガモ、コゲラ、シジュウカラ、シロハラ、セグロカモメ、ダイサギ、タシギ、タヒバリ、ツグミ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ホシハジロ、マガモ、ムクドリ、ヨシガモ

 

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 3月中旬に情報公開しますので、ご期待ください。m(_ _)m